シャドウ雪子戦の日の夜中。
「一件落着だし、しばらくは来ないよね」
『そうだね。僕にとっては寂しいことだけど、仕方ない。そう僕が決めたから』
恒例になってるのかファルロスが夜中に来た。シャドウ戦の夜中に来ると決めているので、しばらくは来れないハズだ。そろそろ僕の快適な睡眠時間が欲しい。
「今日は誰の話をするの?」
『決まってる。今日助けた彼女に話したあの人のことだ』
美鶴先輩のことだとすぐにわかった。でも大体は天城に話してしまった。ファルロスも聞いていたらしく、別のと言われても特になにもない。
「何から話すの?」
『そうだね。まぁ全然天城さんと関係ない話なんだけど、屋久島の別荘はどうだった?』
ホントに関係ない話だった。
「まぁ。凄かったよ。でかいし海近いしメイドがいっぱいいるって順平もはしゃいでた」
『そっか。確か帰る前日だったよね。アイギスと会ったのは』
「そうだね。研究所からも近かったんだと思った。桐条の別荘は凄いじゃなくて凄すぎ、だよ」
ファルロスはそんな僕の話をすんなりと聞いていた。
「ねぇ。何で活動部のみんなの話をするの? この世界なんだから彼らでもよくない?」
『まぁいいんだけどね、それでも。……でもさ、本来君と彼らは出会うはずのない関係だ。なのに彼らのことを話してとても大切な存在になりました。ってなったら……』
ファルロスは僕に何かを試すように声のトーンを少し落として、訊いてきた。
『君は、帰りたくなくなるかもしれない。特別課外活動部と、特別捜査隊のどちらを選ぶってなったら……選べる自信はあるかい?』
『現に、君はもう彼らに頼られてる。この物語は鳴上くんが主人公だ。君は偶然居合わせた「たまたま同じワイルドの力を持つ者」だ。いずれはこの世界から消える運命だということを、忘れないで』
僕は頷こうとした。けど、中々頷けなかった。もう、この時点で僕は……彼らと別れは嫌だ。と思っているのだ。
順平、ゆかり、風花、美鶴先輩、真田先輩、アイギス、コロマル、天田……そして荒垣先輩。
鳴上、花村、里中、天城、クマ……これから出会う人たち。
みんな僕にとって大事だ。
『まぁ、まだ事件は始まったばかりだ。仲間を大切にするのは当然のことだと僕も思うよ。でも、いつかは別れが来ることを忘れないで。今日はそれを言いたかった』
「わかってる」
ファルロスは「バイバイ」と言って消えていった。しばらくは来ない。時計を見ると25時だ。完璧夜更かし。
「頼むからシャドウ戦後は早く寝かせてほしい……」
シャドウ雪子戦は前の戦いと比べて大変だったらしい。目をつぶったらすぐに寝ることが出来た。
ファルロスとの話しは、最近現実味を帯びている気がするのは気のせいだろうか?
ーーランクアップ。「死神:ファルロスコミュ4」