~アイズside~
(・・・渇き。)
(いつもあった。)
(・・・飢え。)
(満たされなかった。)
(だけど・・・十分だった。幸せだった。ロキがいて、フィンがいて。リヴェリア、ガレス。ファミリアのみんながいてくれた。私に与え続けてくれた。私は貰ってばっかりだった。そのうち私は、嬉しいを覚えた。笑うを覚えた。美味しいを覚えた。)
カノジョは真っ赤に染まった手のひらを見つめながら思う。
(恋を。恋を教えてくれた。キラキラとした世界を教えてくれた。少しだけど私は“ワタシ”を忘れることが出来た。)
カノジョはうな垂れる。
もう、何を■しているのか分からなかった。
何かが分からないものをレイピアでプスプス刺し続けた。
(楽しかった。戻りたいよ。でも・・・デモ・・・ワタシハ)
カノジョはワラウ。なぜなら—ーーー。
「もう、ここで終わらせよう・・・アイズ。」
最も最愛の人が自身が最も嫌う作り笑顔を浮かべて立ちふさがっているからだ。
~アイズside end~
「おやおや、英雄ご到着ですか・・・?覚悟は決まりましたか?
世界か?彼女か?あなたの決断で決まるのですよ・・?」
バベルが心底嬉しそうに笑う。
「決めたからここにいるんだ!バベル!お前に教えてやるよ!可能性を!!」
ベルは神速でバベル・アイズの方へ飛んだ。
「早いだけであなたは・・・!結局それですか!!」
アイズ・バベル共に防御姿勢を取るがベルは突っ込んで来なかった。
ベルは二人を無視して目的地に飛ぶ。
「貴様!!!!!」
目的地に気付いたバベルがいつもの道化の姿勢を崩しベルを追う。
だがベルに追いつくはずもなく。
「フレイヤの名のもとに制限を解く。すべてを消滅させる雷となれぇぇぇぇ!!!」
【撃滅するもの】とシィアの先端から雷が発生する。
その強大な雷はバベルの塔を一瞬で消失させた。
「なぜだ・・・・なぜ神の力が行使できる・・・・。やはり・・・化け物か・・・」
バベルはそのまま炭となって消えた。
塔が消えたことにより塔から発生していた異形の魔物たちも姿を消した。
「そっか・・・。バベルの塔そのものが消えれば・・・!
私たちやったんだ。やったよ・・・!みんなぁ・・。」
ティオナは周囲の冒険者たちと勝利の勝鬨をあげていた。
バベルの魔物は消失した。バベルは消えた。
故に天岩戸の結界も壊れて神々がこのオラリオに戻ってくるだろう。
そんな安堵と歓喜の声が木霊するなか、この戦いに終止符を打った
“英雄”は。
うな垂れている剣“鬼”アイズ・ヴァレンシュタインに―
「え・・・?ちょっとベル・・・?なにしてんのさ・・?」
ベルは後ろからー
「おい!!!!てめぇぇぇ!!!ふざけんじゃねぇぞ!!!!」
二対の刃で彼女を抱きしめるように―
「ベルさん・・・・?」
「ベル・・・それがあなたの答えなんですか・・?」
突き刺した。
次でラストです。