どこかで見たことある上等です・・!!
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修正致しました。報告ありがとうございます。
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修正致しました。
白兎来る。
(最初の印象って、大切なんだなぁ・・・)
本日、35軒目のファミリアのホームに、向かう途中で軒先のガラス越しに映った自分の姿をまじまじと見る。
白い髪に赤い瞳。どう見ても力とかないんです!と主張している細い体。そして何より。
(もうちょっと身長は、欲しかったなぁ・・・。おじいちゃんは、
あんなにおっきかったのになぁ)
少年は、溜息をつきながらも、紙に書いてあるファミリアのホームを目指す。
新しい世界。新しい社会。新しい関係。・・・そして、初めての冒険。ほとんどのものが心躍りながらここ、≪迷宮都市オラリオ≫にやってくる。さきほど、溜息をついていた少年も例外ではない。きっと、ここでならあの時誓った思いを、夢を叶えれると意気揚々と門をくぐったのだ。
だが、誰かが言っていたが現実は甘くない。まさかの少年も冒険が始まる前に、こんな羽目になるとは思っていなかっただろう。少年は、自らの頬を叩き気合いをいれてから、
目の前の扉をノックした。
「お前が?何が出来んのよ? ・・・くっ!!
そんなウサギみたいな面でなにができるんだよ!
・・・だがよぉ? 男娼としてなら考えてやってもいいぜ」(ニヤニヤ)
本日、35回目のノックと24回目の容姿に対しての、いいがかり。だがダンショーとは?と、すこしだけ疑問を残しつつも、ベル・クラネルはすぐさま
「し、失礼しました」
と、その場を離れる。
この街≪迷宮都市オラリオ≫を訪れてから(正しくは昨日の夜から)、
やけにウサギ、ウサギと言われる自分の顔を、店のショーウィンドウで改めて確認する。
(ここに来るまでそんなこと、言われたことなかったんだけどなぁ・・・)
ベルは深い溜め息を吐きながらも、昨日の夜立ち寄ったキルドで渡された
『必見!! 初心者でも入れてくれそうなギルド一覧表』
に最後のバツ印を入れる。
(全部、だめだったなんて・・・。 エイナさんになんていえばいいんだろう)
昨日のよるヘトヘトになりながらも到着した街で、見ず知らずの自分にこの街のイロハを丁寧に教えてくれた美人な女性。エイナ・チュールの顔が浮かぶ。
もう一度溜息をつきながらもバベルを見上げるベル。
(でも、あそこに入るにはファミリアに入らなきゃいけないんだし・・・)
(だけど、ファミリアに入れてもらえないなんて一体どうしたら)
まさに、やってきた世紀末である。しかし、ベルはしばらく考えた後ルビーのような瞳を輝かせながら
走り出す。
・・・そう。
バベルに向かって。
冒険者にとって最初の難関はバベルに入ることである。という言葉を誰かが残した。
バベルは来るものは拒まない。だが、入ってきた冒険者(えもの)を逃がさまいとする暗い暗い闇で冒険者を迎える。
これは入り口に立った者にしかわからない。
だが、ベルはあっさりとバベルに入っていった。
これは彼が勇気を持つものだからだったのか、まだ、恩恵も受けてない
白兎を、バベルすらも冒険者として認めなかったからなのかは、誰も知る由もない。
(そうだ。みんな僕のことが弱っちく見えるから相手にしてくれないんだ!)
(きっとダンジョンで力をつけてからならきっと何処かのファミリアに入れる)
暴走気味の発想である。ベルにもっとダンジョンとはなにか。そんな一朝一夕で臨めるものなのかという説明はきっと、ファミリアの人がしてくれるだろうと思っていたエイナに死ぬほど説教されるフラグは、丁寧にたっていた。
だが、さすがにベルとて丸腰でダンジョンに入るほどネジは緩くない。祖父の家に置いてあった、祖父曰くよく切れるナイフを片手に慎重にダンジョンを進んでいく。
(えっ?! いま・・・なにか?)
ベルの右後ろから痛烈な音と共に棍棒が振り落される。目前の何かに気を取られていたベルは避けれるはずもなく、右腕を強打される。
(しまった!!おじいちゃんのナイフが!!)
目の前から・・・壁からゴブリンが生み出される瞬間を見慣れぬベルは、思わず見入ってまったのだ。無知ゆえの失態である。
(に、逃げなきゃ・・・・)
幸いゴブリンは後ろに一体と先ほど壁から出てきものとで、2体。
ベルは2体に背中を向け無いようナイフ拾い後ずさるように、後退していく。
当然のようにゴブリンは追いかけてくるのだが、ベルとて生まれてから14年野原を駆け回っていたわけではない。息を切らしながらも、どうにか逃げ切れていた。
今回逃げ切れたのも、ダンジョン入口付近であったことと、まだベルに体力が残っていたからこそ、成し遂げることが出来た生還である。もし、あと、もう少しでもダンジョンの奥に入っていたならば、ベルは間違いなくその命を絶やすことと、なっていただろう。
「・・・っ!!はぁ・・・はぁ・・・。」
(肺が痛い・・・。足も・・でもなにより・・・・)
ゴブリンに殴られた右腕を初めてみるベル。ムラサキに変色し指を少し動かすだけでも
激痛だった。
ザザザザザザ――――――――――――
ザザザザザザ――――――――――――――
崩れるように座り込むベルに、土砂降りの雨が叩きつける。これが、誰からも、冒険者と認めてはもらえなかった少年の痛々しい初陣だった。
「・・・・・・!!!!」
(だれかの・・・声が聞こえる)
ここで白兎の意識は一旦落ちる――――。
如何だったでしょうか?
拙い文章で申し訳ありません。
感想などありましたらお気軽にお願い申し上げます。