下書きを一度全部消してしまって書き直し……
出来上がってたのに……
ということで、やる気が削がれ、無駄なところをカットカットカット!!!
かなり、コンパクトになりました(*´•ω•`*)
今回は2度目のベルティア戦です!
────────にゃあ……
目を覚ますと、白猫が部屋の中に入ってきていた。
「なんだ、また来たのか」
最近、俺の部屋によく白猫がくようになっていた。その毛並みは綺麗で、まるで絹のようだ。
「全く、この部屋のどこが気に入ったのやら。ほら、これくらいしか出せないぞ」
白猫に差し出すは、皿に注いだミルク。もしかすると、これが目当てなのかもしれない。
「しかし、君はどこから来るのかな?」
撫でようとするが、逆に引っ掻かれてしまう。どうも、俺のことがお気に召さないようである。
「それじゃ、俺はもう行くよ。君は好きなだけいるといい」
いつもそう言って部屋を出るのだけど、帰ってきた時にはもういなくなってしまっている。
そして、翌朝また現れる。その繰り返しだ。
猫は気まぐれとはいうが、白猫はどこか自分の意思がしっかりしているかのようにも思える。
変な猫。そう言い切ってしまえば簡単なのだろうが、なかなかそうもいかない。何故なら、この世界には猫っぽいものはいても、猫そのものはいないらしいのだから。
アクアは注意しろ、とは言っていたが、流石に邪険にはできないというのが現状である。
『緊急! 緊急! 全冒険者の皆さんは直ちに武装し街の正門に集まってください! 特に冒険者サトウカズマさんとその一行は大至急でお願いします』
ギルドへ向かう途中、緊急クエストの警報が街中に響きわたった。
「カズマ君達、何かやらかしたのか……?」
疑う訳では無いけれど、前科だらけの彼らだ。仕方が無いと思う。
────────────────────────────────正門
俺が正門についた頃には、冒険者で一杯になっており、カズマ君、アクア、めぐみん、ダスネスも既に集まっていた。
「あ、志貴さん。おはようございます」
「おはよう、みんな。しかし、なんの騒ぎだ?」
「おはようございます、志貴。アレですよ、アレ」
めぐみんは平原の向こうを指さす。
「なぜ城に来ないのだこの人でなしどもがああっ!」
そこに居たのは、以前撃退したはずのデュラハンだった。
「何で? もう爆裂魔法を撃ち込んでもいないのに」
カズマ君の言う通りだ。あれから、カズマ君とめぐみんがふたりで街を出ていくのは見たことがない。
「何を抜かすか、白々しい。そこの頭のおかしい紅魔の娘が毎日欠かさず通っておるわ!」
毎日だと……?
「めぐみん、そこになおれ。成敗してくれる」
「ま、待ってください、志貴。冗談抜きで死んでしまいます。それに、城への魔法攻撃の魅力を覚えて以来、大きくて硬いモノじゃないと我慢できない体に……」
ダメだ、この娘。ほんとに頭がおかしいのではないだろうか……
「めぐみん、大体お前魔法撃ったら動けなくなるだろうが! てことは共犯者がいるだろ!」
カズマ君の名推理にアクアが吹けもしない口笛を吹き出す。なんてわかりやすいのだろう。
「お前かああああ!」
カズマ君はアクアの頬を思いっきり引っ張る。
「アイツのせいでろくなクエスト請けられないから腹いせがしたかったんだもの!」
それはわかるが、やっていいことと悪いことがある。もちろん、この場合は後者だ。
「聞け愚か者ども。この俺が真に頭にきていることは他にある。貴様らには仲間の死に報いようという気概はなかったのか!?」
仲間の死? 誰か死んだか?
「仲間を庇って呪いを受けたあのクルセイダー……騎士の鏡の様なあの者の死を無駄にするなど──」
その騎士の鏡はデュラハンに向かって元気そうにヒラヒラと手を振る。
「あるぇぇぇえええええええ!? 何故だ!? あの時確かに呪いをかけたはずだ!!」
「あれなら俺が殺しておいた」
「馬鹿を言うな! アークプリーストであるならいざ知らず、アサシンのお前が呪いを解けるはずがあるまい!!」
この世界の常識ならそうだろう。だけど、俺にはこの直死の魔眼がある。呪いに概念があるなら、殺せるのが通りだろう。
「事実なんだから、受け入れることだな」
「なになに? このデュラハンずっと私たちを待ち続けてたの? プークスクス!」
アクアはデュラハンを挑発する。前回、挑発は効かないというのは分かっているが、時と場合を考えて欲しいものである。
「おおおお、俺がその気になれば街の住民を皆殺しに!」
「させると思うか?」
『閃鞘・八穿』
相手の頭上に高速移動し、切りつける技。
「ぬお!」
「ちっ……やっぱり、駄目か」
だが、デュラハンが乗っていた馬は殺せた。これで、馬による移動は不可能なはず。これなら、今日は何故かやる気な女神様の出番だ。
「アクア、今だ!!」
「任せなさい! ターンアンデッド!!」
聖なる光が、デュラハンを包み込む。
「ぎゃああああああああ!!」
「ね、ねえ変よカズマ、志貴。効いてないわ!!」
「いや結構効いてた様に見えたんだが。ぎゃーって言ってたし」
「多分聞いてる。もう一度頼む!」
もう一度決まれば、かなりの消耗なはずだ。このまま、短期で決める。
「させるか! アンデッドナイト! この連中に地獄を見せてやるがいい」
デュラハンはアンデッドナイトというアンデッドのモンスターを召喚するが──
「セイクリッド・ターンアンデッド!」
アクアの聖なる魔法の前に塵となってしまった。
「ひあああああああああっ!!? 目が! 目がぁあああああ!!」
デュラハンは地面をのたうち回っている。チャンスは今だ。
「このまま、引導を渡す!」
「小癪な!」
しかし、俺の斬撃は避けられてしまう。
「そろそろ、斬られてくれてもいいと思うんだけどね」
「クハハハハ、そうもいかんさ。俺は俺でお前と戦うのを楽しんでいるのでな。お前の本気、見たくなったぞ。さてどうしてくれよう……そうだな、街の連中を皆殺しにする! いけ、アンデッドナイトよ」
再び大量にアンデッドナイトが生成され、正門の方に走り出す。
「なっ!?」
「おっと、アサシンの小僧よ。お前は俺が相手だ」
正門に戻ろうとするが、デュラハンに阻まれる。向こうはカズマ君達が何とかやってくれるはずだ。
そして、数分攻防を繰り返していると、アクアとカズマ君がアンデッドナイトの集団を連れて走ってきた。
なにか嫌な予感がする────
そう思った頃には、時すでに遅しだった。
「エクスプロージョン!!!」
俺は横に跳んだが間に合わず、めぐみんの爆裂魔法に巻き込まれてしまった。直撃は免れたが、すぐには立てそうもない。
「凄く……気持ち良かったです……」
当の本人は、満足した顔で地面に突っ伏している。
これで終わり。そう思いたかった。
「クハハハ! 面白い。お前らの相手も、この俺自らしてやろう」
しかし、デュラハンは爆裂魔法を受けてなお、立っていた。
「ふざけろよ……このバケモノ……」
体に鞭を打つが、体が起き上がらない。あれで決まっていれば、なんてことは無かったはずなのに、今はピンチだ。
「ビビる必要はねぇ、すぐにこの街の切り札がやってくる!」
「魔王軍の幹部だろうが何だろうが関係ねぇ! 爆裂魔法で弱っている今がチャンスだ!!」
数人の冒険者がデュラハンを囲み、攻撃を試みるが、それは虚しく、程なく冒険者たちは死を迎えた。
「あ、あんたなんか今にミツルギさんが来たら一撃で斬られちゃうんだから!」
冷や汗が流れたのがわかった。
切り札とは昨日、剣を奪われ、鎧を切り裂かれたあのソードマスターだったのだ。
カズマ君も分かったのか、すごく気まずそうな顔をしている。
「くそ……よくも、みんなをっ!!」
立ち向かうは、騎士の鏡であるダクネス。その太刀筋は、岩をも砕く。
否、岩しか砕かなかった。
止まっているはずのデュラハンに太刀の一つも浴びせることが出来なかったのだ。
そこからは、ダクネスの防戦一方だった。ダクネスの攻撃は当たらないが、デュラハンの攻撃は吸い込まれるように当たっていく。
「ダクネス、下がれ!!」
それを見かねたカズマ君はダクネスを下がらせようとする。
「クルセイダーは背に誰かを庇っている状況では下がれない。こればっかりは絶対に……」
まさに騎士の鏡。ど変態とばかり思っていたが、少しは見直してしまう。
「それにこのデュラハンはやり手だぞ。こやつ先程から私の鎧を少しずつ削り取るのだ。全裸に剥くのではなく中途半端に一部だけ鎧を残し、私を公衆の面前で裸より扇情的な姿にして辱めようと……っ」
前言撤回だ。デュラハンの前にクルセイダーをはやく何とかしないと……
「ええい、黙ってろ!! クリエイトウォーター! からのフリーズ!!!」
カズマ君は水の魔法でデュラハンの足場を水浸しにし、氷魔法でそれを固めた。これにより、デュラハンの足は凍りつき、動きが一時であるが止められる。
「回避し辛くなればそれで十分、本命はこっちだ! スティール!!!」
しかし、その手には何も握られていなかった。
「悪くはない手だったな。レベル差というヤツだ」
「いや、充分だ」
俺への敵対心が完全に解けている今、俺にやることは一つだった。
『閃鞘・迷獄沙門』
背後から、デュラハンの線を十数本斬り裂いた。
「俺から注意をそらしたのは間違いだったな。そうなれば、俺の領域だ」
「クハハハハ……本当に死人を殺すか……天晴れ、人の子よ。貴様の方がよっぽどバケモノだ」
バケモノか。自分の望みを叶えられるのならば、俺はバケモノにだってなるだろう。俺を生かすという望み叶えようとした、最愛の妹のように……
「そりゃどうも。アクア、送ってやれ」
「任せなさい。セイクリッド・ターンアンデッド」
こうして、デュラハン討伐は幕を閉じた。
「カズマ君、ありがとう。君がデュラハンの注意を引いてくれたから、どうにかなったよ」
「いやぁ、スティールが失敗した時はどうなるかと思いましたよ、ホント」
あれは、カズマ君のファインプレーあってのものだ。
「で、カズマ君。なにか、開き直ることはあるか?」
終わりよければすべてよし、という訳にはいかない。なんせ、こちらは死にかけたのだ。罪は罪。しっかりと償って貰わねばなるまい。
「ままま、待ってください、志貴さん!! 俺はあの時の最善の策を!!」
そんなことは分かっている。少しおちょくってみたくなったのだ。
「最善の策、ね。全く、あんまり無茶をさせないで……くれ────」
そこで、どうにか保てていた俺の意識は完全にブラックアウトした。
白猫は一体なんなんでしょうね(すっとぼけ)
次回はさらに月姫からあの子が!!
オリジナルストーリーでお送りさせていただきます(多分)