あれは嘘だっ!!
なんというか、会話だけになってしまいましたorz
ギルド内────────────
「自己紹介をしておこう。ダクネス、クルセイダーだ。今日からカズマのパーティーにお世話になることとなった」
どうやら、金髪少女は今日からパーティーの一員になっていたらしい。カズマ君の様子を見るに、渋々パーティーに入れたようだ。
「遠野志貴。アサシンだ」
「アサシンというのはあれか! 背後から迫り、相手を吊るし、拷問するのだろうっ!?」
「なぜそうなるっ!?」
どこからそういう発想になるんだ? 発想がぶっ飛びすぎだ……
ていうか、鼻息が荒いぞ……? 大丈夫なのか、この子……
「志貴さん志貴さん、そいつ、極度のMですよ」
カズマ君が耳打ちしてくる。
「なるほど、類は友を呼ぶという訳か……」
俺は深いため息をつく。
「おい、どういう事だっ!? よし、聞こうじゃないか!!」
どうもこうもそういう事だろう。他に理由があるだろうか。
カズマ君は多分、紛いもない変態で間違いはないだろう。さっきのパンツ事件がそれを証明している。アクアもめぐみんもダクネスも、なるべくして仲間になったのだろう。
ん? 俺? ほら、俺は監視役だから除外だ。
「待ってください、志貴。私とカズマを一緒にしないでください。私は変態にジョブチェンジした覚えはありませんよ?」
「そうよ! こんなヒキニートなんかと一緒にしないでちょうだいっ!」
哀れ、カズマ。なんか全否定されている……
「おい、そこ! 聞こえてるぞ!」
カズマは席を立ち、女子二人を勢いよく指さす。
「なんですか? 開き直りがあるなら聞こうじゃありませんか。ほら、言ってみてくださいよ。女の子2人からパンツを剥ぎ取った今の気分はどうですか?」
「ほんっとに、すみませんっした!」
Oh……Japanese DOGEZA……
「あはは……綺麗な土下座だね……」
クリスは若干引いているようだ。俺も引いている。
「いや、でもスティールって相手の持ち物からランダムにものを奪い取るんだろ? これは事故だろ?」
「ま、まぁ……本当はそうなんだけど、君の場合は悪意しか感じないというか……」
クリスはジト目でカズマ君を見る。
「そういえば、そのスキルっていうのか? どうやって覚えたらいいんだ?」
「えっ……? 志貴、スキル覚えてないの?」
「ああ、冒険者としての知識はゼロに近いからな、俺」
説明は受けた気がするけど、ほとんど実践していないのが事実だ。
「ちょっと待った。って言うことは、貴方、カエルをスキルもなしにあんなにしてたわけ?」
「そういうことになるな」
アクアの問に答える。
「スキルなら、冒険者カードに表記されているはずですよ」
「カードに書いてあるのか……」
めぐみんの教えに、カードを見る。そういえば、しっかりとカードを見たことがなかったのを思い出す。
カードには──
短剣 Lv1
直感 Lv1
気配遮断 Lv1
直死の魔眼 LvMax
七夜体術 LvMax
確かに書いてあるな。しかし、最初からレベルがマックスになってあるんだが……
「どうしたんですか? 私たちにも見せてくださいよ……って何ですかこれっ!? ほんとに人間なんですか、志貴?」
「どれどれー? って、嘘でしょ……? どこかのヒキニートなんか比べ物にならないじゃない!!」
なかなかひどい言われようである。しかし、カズマくんもなかなかの言われようだ。
「だから、誰がヒキニートだっ!! ってか、そんなに凄いのか、志貴さん……って、うおっ!? まじか……それって志貴さんの特典だったりするのか?」
「特典? ああ、あれなら厄介な体質を少しばかり常人にしてもらっただけだよ」
体質を常人にしてもらったことで、人外に違和感は覚えるものの、殺人衝動は起きていない。いつも気をはらなくていいって言うのはいいな……
「はあ? 貴方、特典をそんな下らないことに使ったの?」
「まあ、かなり厄介だったからな。あの体質があったら、アクア。多分俺は君を殺してる」
「あはは……なんの冗談?」
アクアは苦笑いをする。
「割と冗談じゃない。丁度いいか。同じパーティーになったことだし、俺の目について話しておくか」
「目?」
「そう、目だ。この目はいわゆる魔眼でね」
俺は眼鏡を外す。
「魔眼? なんだそれ?」
「カズマの世界で言うなら、写輪眼とか白眼のことね。何かしらの力が宿った目のことを言うのよ。それで、なんの能力があるの?」
「人の死を視る脳力だ。直死の魔眼って言われている」
俺は正直に答える。別に嘘をつく必要は無い。
「人の死? それって死神の目か?」
「悪いけど、その目の能力は聞いたことがないかな」
死神の目というのは、アルクェイドからは聞いたことがない。特殊なものでもなさそうだけれど……
「死神の目はその人の寿命を見ることが出来る目のことだ。まあ、アニメでしか出てこないんだけどな」
なるほど、アニメか。そういうのって家じゃ見られなかったからなぁ……
「なるほど。俺の目は人や物に線や点が視えるんだ」
「線や点?」
「ああ、実際に見てもらった方が早いな」
そばにあった椅子にナイフを入れる。それは、豆腐のように、簡単に切れ、バラバラと音を立てて、崩れた。
「……どういうこと?」
「視えている線を切っただけだよ」
それが直死の魔眼の能力だ。これが、死を視るということ。
「なにそれ、ただのチートじゃない……」
「いや、アクア。それ、一定の冒険者は持ってるんだろ……?」
転生者は少なからず持っているはずだ。そういえば、カズマ君の特典はなんなのだろうか……?
「そんなの、比較にならないわよ。制限とかないわけ?」
「前まではあったんだけど、死んだ時になくなったよ」
「ますますチートじゃない……」
アクアはため息をつく。
「で、だ。俺の元々の体質だけど、鬼だとか、悪魔、吸血鬼みたいな人外のものを見ると殺したくなる殺人衝動っていうのがあった」
「えっと……それってつまり……」
「アクアにも有効だったという事だ。その体質のせいで何人か殺しているしな……」
「流石、志貴ねっ!! いい特典を選んだじゃない!!」
アクアは汗ダラダラになりながら、親指を立てる。
「ところでその線は私にもあるのかっ!?」
今まで黙っていたダクネスは興味津々に聞いてくる。
「あるにはあるが……」
「いや、ダクネス。割と取り返しがつかなくなるから、切ってもらおうとか考えるなよ? 死体の処理がめんどくさいから」
「私の死体をどうするつもりだ、カズマッ!!」
ナイスフォローだ、カズマ君。にしても俺、ダクネスは少し苦手かもしれない。
「ところでカズマ。さっきから話している特典というのはなんですか?」
「ああ、何でもねーよ。つまり、志貴さんが魔眼持ちだってことだ」
「それはさっきの話を聞いていたらわかります。やはり、カズマはアホなんですね」
「誰がアホだっ! このロリっ子!」
「なっ……この私がロリっ子……」
めぐみんは目に見えて落ち込んでいる。結構外見にコンプレックスがあるらしい。
『緊急クエスト! 緊急クエスト! 冒険者各員は至急正門に集まってください! 繰り返します、冒険者各員は至急正門に集まってください!』
突如として、放送が街中に響き渡った。
次回こそ……次回こそはキャベツ炒めを……
感想等書いてもらえると私は喜びます(´・ω・`)