しかし、昨日1話しか投稿してないのに読まれた回数とお気に入りが思ったよりすごいことに……
これが、型月効果……?
このすば効果なのかもしれないけれど……
とりあえず、流すようにだぶんしかかいてないですが、お願いします(´・ω・`)
時は流れ、翌日。
「うーん……この格好は少し目立つな……」
なにせ、異世界に学ランだ。目立たないわけがなかった。
「俗世に塗れる、という訳じゃないけど、郷に入っては郷に従え、だ。なにか服を探すか……」
とりあえず、昨日のクエストのおかげでお金に関しては問題は無い。生活必需品を得るため、街に出て買い物をすることにした。
ということで、始まりの街アクセルを探索。服を適当に見繕う。
アーマーなんていうものも憧れるけど、俺の場合は動きやすさ重視だ。七夜の体術は実感はないが使えるようになっているはずだけれど、俺の専門は暗殺だ。動く際に音をたてないものがいい。そうなると、もちろん金属系の装備は不要。マント系の類も必要ない。
俺の要求に答えた服装は日本における忍者服のようなものだった。まあ、異世界補正か服にはいろんな布が追加されていて、いかにもファンタジーというものだった。
服を買い終えた俺は、ギルドに向かう。もちろん、昼食をとるため。
「お、いたいた。少しいいかな?」
「あなたは昨日の……」
「自己紹介がまだだったね。俺は遠野志貴だ。志貴でいい」
「佐藤和真です。そんじゃ、こっちもカズマで。で、どうしたんですか?」
「ああ、これを渡そうと思ってね」
どん、と机の上に袋を置く。中には1万エリス。昨日借りたのは千エリス。お返しとしては十分なはずだ。
「昨日のお礼、というか昨日のお返しだ。君たちにとっては端金かもしれないけど、受け取ってほしい」
「……神かっ!?」
何を言っているんだ……?
「なになにっ!? どうしたの!? って、お金っ!? ウェイターさんシュワシュワ3つ!!」
どこからともなく水色の少女が現れ、袋の中を確認すると、注文をする。3つって俺の分も入っているのか?
「おいまてっ!! なんで金が入った瞬間使ってんだよっ!!」
「えー、いいじゃない! ねぇ、いいわよね?」
「まあ、もう渡したものだからどう使おうがそちらの勝手だと思うが……」
なんていうか、この少女。どっかのアーパー吸血鬼みたいだな。
「それで、そっちは?」
「私? 聞いて驚き、ひれ伏しなさい!! 私はアクア、女神よ!」
「ふぅん。女神ねぇ。俺は遠野志貴だ。志貴でいい」
さっきからアクアと名乗った少女が放っている気配がエリス様に似ているという理由がわかった気がする。
まあ、こっちはなんだか哀れだな……
「あれ、志貴さんは信じるんですか?」
「俺が転生者ってことを除けば、まあ信じないな」
「どう? カズマ。私ってすごぉいのよ?」
「いや、全くすごいとか、そんなの関係ないと思うぞ?」
アクアは周りからは、かわいそうなものを見る目で見られている。普通ならそうなるよな。
「それじゃ、ご馳走様でした。俺はこれで失礼するよ」
昼食を終え、その場をたつ。
「さてと、体でも動かすか……」
やることが無かったのだ。まだ街を見て回っても良かったのだけど、特に欲しいものは無い。俺の場合、必要最低限のものがあれば問題は無い。
そういうわけで、運動がてらクエストを受ける。内容は昨日と同じものだ。
街を出て、しばらくカエル狩っていると、豪音が聞こえた。どう考えても、これは爆発音だ。
事件か……? それとも事故? どちらにしろ、ただ事ではない音だった。
「何をやってるんだ……君たち……」
音がした方に行ってみると、そこに居たのはカエルと戯れる人間。近くには隕石が落ちたかのようなクレーターができていた。
「し、志貴さぁああん! 助けてくださいぃいいい!」
カエルに追われるカズマ君は必死の形相で俺に向かって全力疾走してくる。
これは、さすがに見逃すことは出来ないだろう。
「……分かった。そのまま、俺の後ろに」
眼鏡を外し、ナイフを抜く。
「さて、料理の時間といこうか」
向かってきたカエルを17分割する。
「すげぇ……」
「それで、さっきの音は一体……?」
「それなら、アレのせいです」
カズマ君はやる気のない目でカエルを指さす。
「ん? カエル……って人が食べられてるっ!?」
数匹いるカエル。その中に、口から人の脚を出しているカエルを2匹見つけた。
「いいんですよ。あんなバカどもは放って起きましょう」
「いやいやいや、流石にそれはまずいだろう」
ナイフを抜き、腰を低くする。
『閃走・水月』
地面を思いっきり蹴り、カエルの背後に移動する。
その速度はさながら、瞬間移動だった。
「……っ!? いくら何でも、強化されすぎだろ……」
そんなことを呟きながら、カエルを殺し、食べられそうになっていた二人を助ける。
1人はかわいそうな女神こと、アクア。もう1人は知らないな……
「カエルのなかってあったかいんですね……いらない知識が増えました……」
その赤いマントを羽織った少女は地面に突っ伏したままだったが、どこか満足気に見えた。
「えっと……君は……?」
「我が名はめぐみん、アークウィザードを生業とし、最強の攻撃魔法、爆裂魔法を操る者!」
「そういう夢でも見たのかな?」
カエルに食べられそうになった恐怖で頭がやられたのか……? なんという酷いことを……
「ち、違わいっ! これを見よっ!」
提示してくるのは、冒険者カード。
そこにはしっかりと、めぐみんという名と、職業がアークウィザードであるということがしっかりと記載されていた。
「なんか、ごめん……」
「なんですか!? なんなのですか!? なにか、おかしい所がありました? 聞こうじゃありませんか!!」
なんか、すっごい突っかかってくる。
「かじゅまぁ……また汚されちゃったよぉ……」
「寄るな、駄女神! 服が汚れるだろうがっ!!」
なるほど。昨日のあの粘液は何かと考えていたが、そういう事だったのか。つまるところ、今日は昨日と同じ状況だったということだ。
「それじゃ、俺はこれで……」
「志貴さぁああああん!?」
カズマ君の悲鳴のような叫び声を聞かながら俺はその場を去った。この場にいてはまずい。俺の中の本能がそう呼びかけていた。どこぞの正義の味方なら助けていたのだろうけど、俺はそうもいかないというわけだ。
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「あ、いた!!」
翌日、ギルドで朝食をとっていると、ドンッ、とテーブルを叩かれる。
「どうしたんだ、女神様。俺はこう見えて忙しいんだが」
「どう見ても、忙しくないでしょ! それより、貴方。私達のパーティーに入らない?」
全く早急だ。
「アクア達のパーティー? お誘いはありがたいけど、断らせてもらうよ」
「え? どうして?」
「どうしてもこうしても、俺はアサシンだ。その名の通り、暗殺者。不意打ち専門だから、団体行動は苦手なんだよ」
尤もらしい言い訳を述べる。このパーティーはやばい。このパーティーはやめた方がいいと直感がそう教えている。
「えー、いいじゃん、そんな事言わずにさぁ」
わかってはいたが、アクアは食い下がってくる。
どうすれば、断ることが出来るのだろうか……このタイプはあれだ。こちらが首を縦にふらない限り、離してはくれないだろう。
そんなことを考えていると、扉からカズマとクリス、金髪少女が入ってきた。
「あれ、志貴?」
「エ……クリスか? どうしたんだ、そんな涙目で」
「うむ、彼女はカズマに盗賊のスキルを教える際に、パンツを剥がれたうえに、有り金全てをむしり取られて、落ち込んでいるだけだ」
金髪少女の説明から考えるに、カズマ君はただの犯罪者になったらしい。
「財布返すだけじゃダメだって……じゃあ、いくらでも払うからパンツ返しって頼んだら、自分のパンツの値段は自分で決めろって……」
「おい、待て! ちょっとまてっ!! 間違ってないけど、ほんと待って!」
間違ってないのか……?
「さもないと、このパンツはもれなく我が家の家宝として、奉られることになるって……」
「カズマ君、警察に行こうか」
カズマ君の肩をポンと叩き、ニッコリと微笑んでみる。
「待ってください、志貴さん!! 冗談ですよねっ!?」
「俺は冗談は嫌いだよ」
とりあえず、犯罪者を警察に引渡しに行くか……
「志貴、ちょっといいかな?」
そんなことを考えていると、クリスからお声がかかった。
「ああ、どうしたんだ?」
「こっちじゃ話しづらいから、あっちに」
クリスはカウンターの方を指さす。
「これは、命令じゃなくてお願いなんだけど、先輩のパーティーに入ってくれない?」
「俺が?」
「うん。先輩の動向がちょっと不安でさ。流石に何かやらかすとは思えないんだけど……」
何となく、クリスの心配はわかる気がする。
「こちらとしては、今はなんのお礼もできないですけれど……でも、頼れるのは志貴さんくらいしかいなくて……」
俯き、エリスを出してくるクリス。なんか、ずるいと思う。
「はあ……分かったよ。お礼はしっかりと貰うからな……ほら、戻るぞ」
カズマ君たちのところに戻ると、そこは修羅場と化していた。
「これはどういうことなんだ……?」
戻ってみたら、カズマの手には黒い布。それを、ブンブンと振り回している。めぐみんの様子からみて、めぐみんのものらしい。
「カズマ君、やっぱり一回警察にいこうか」
俺の異世界生活は前途多難らしい……
さて、なし崩し的に志貴さんはPTに入ることになりました。次回はキャベツ狩りです。
いつか、七夜さんも出したいですねぇ……