この素晴らしい世界に殺人貴を!   作:朎〜Rea〜

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皆々様、こんにちわ!
累計UA(あってる?)数2万
気に入り数300を超えました!!

これも、月姫とこのすばを好きなあなた達のおかげです!

いやぁ、しかし、みんなさっちん好きすぎない……?
私も好きだけどさ(*゚-゚)

てなわけで、さっちんも活躍します!


路地裏同盟の下っ端

 森を出てみると、既に夜になっていた。アクセルの街に戻ってみると、冒険者が正門に集まっていた。

 

 そして、それに対峙するように白いワイシャツをきた、ロングヘヤーの男。

 

 殺人衝動さえないものの、思わずにはいられなかった。

 

 コロサナイト────

 

 こいつは、ただの悪。どうしようもないくらいの悪だ。ここで殺しておかないと、後でどうかるかなど、自明の理だ。それに、殺さないのなら、殺される────

 

 直感的にわかった。あいつはやばい。

 

「やっと来たか、志貴。待ちわびたぞ」

 

 やはり、この吸血鬼は俺のことを知っている。平行世界の俺が殺した、というのは間違いないらしい。

 

「お前がロアか……」

「うん? お前はあれか、殺したやつに興味はないってパターンか。まあいいだろう。そっちにいるのはあの時に血を吸った女じゃないか。まさか、死徒と同じ程の力を得ているとはな。感謝してほしいな」

 

 ロアは俺の隣にいた弓塚を見た。その言葉は俺を怒らせるには充分すぎた。

 

「感謝……だと? 言いたい事はそれだけだな。一秒でも早く、おまえを殺すっ!」

 

 眼鏡を外し、ナイフを抜く。

 

「そう焦るな、兄弟。しょっぱなから全開にしちまったら脳が破裂するぞ?」

 

 あいつは直死の魔眼のことを知っている。それもそうか、俺と戦ったんだから……

 

「生憎、俺にそういう制限は無いんでね。お前はここで確実に仕留めてやる」

「いいね、相変わらずの寝ぼけぶりだ! 

苛立ちを通り越して嬉しくなる! さて、来いよ殺人鬼、あれからどれだけ腕をあげたのか、オレの体で確かめてやる!」

「そうか、それなら味わうといい」

 

 『閃走・水月』で背後に移動し、『閃鞘・八穿』で分割する。これで終わりの筈だったが、間一髪のところで察知され、距離を取られる。

 

「ほう、流石は志貴だ。七夜の体術か。面白いじゃないか。それっぽいことはやっていたが、あの殺人鬼と同じとは恐れ入った。だが、俺と同じでは通用せんっ!!」

 

 ロアは手を振り、雷撃を飛ばす。それは、一直線に俺目掛け飛んでくる。

 

「ちっ!!」

 

 雷撃を殺した。

 

「相変わらずその能力厄介だな、志貴よぉ。無制限とは恐れ入る」

 

 どちらが厄介か。あの雷撃こそ厄介だ。直進しかしないというのは救いだが、とにかく早い。今のはよく反応できたと思う。森から出る前にレンから情報を聞いておいて正解だった。

 

「あんまり、私を無視するなぁあああっ!!」

 

 轟音とともに、地面にクレーターができた。その中心にいたのは、弓塚さつきだった。

 

 なんという馬鹿力……

 

 それに、あのスピード。レンたちのところから、瞬間移動さながらの速さだった。水月と同じくらいか……?

 

「危ないな。俺が死んだらどうするんだ?」

「絶対にあなたを殺す。私だけじゃなくて、遠野くんまで殺そうとするなんて許さない!!」

 

 弓塚から出る殺気。肌がピリピリする程のものだった。

 

「弓塚! 危ないから下がってろ!!」

「嫌っ! 私は私のために戦うの。遠野くんが戦ってくれてるように……私は志貴くんが死ぬのなんて見たくない!!」

「弓塚……」

 

 何も言い返せない。自分を殺した相手を憎悪せず、俺を殺そうとしたことに憤怒している弓塚に俺は何を言えばいいのかわからない。

 

「おうおう、見せつけてくれるじゃねえか。それにしても、女。よくもまあ、ここまで吸血鬼の力を制御できるようになったな」

「私は……力を暴走させちゃって迷惑をかけた……だから、頑張ったんだ。この破壊の力を、みんなを守れる力にできればって!!」

「力は所詮力だ。みんなを守るための力ぁ? 笑わせるなよ、女。力ってのは、人を傷つけるためにある。履き違えるなよ? こんなふうになぁっ!!」

 

 裏拳が弓塚に当たる。

 

「うわぁあああ」

「弓塚っ! 大丈夫か?」

 

 飛んできた弓塚をキャッチする。

 

「ととと、遠野くん!? だ、大丈夫! ありがとうございます!!」

 

 弓塚は顔を朱に染めながら、地面に降りる。

 

「俺達だって志貴さんの仲間だ! やるぞ、みんな!」

「ふん。雑魚は黙ってろ」

 

 雷撃がカズマたちめがけ降り注いだ。

 

「早急ね、吸血鬼。もう少し余裕を持ったらどうなの?」

 

 頭上に雪の結晶のような氷の盾が出現し、雷撃を防ぐ。

 

「今のはレンがやったの?」

「ええ、流石に直撃はしたくないでしょう?」

「あの雷撃、受けてみたいっ!! レン、次は貼らなくていい。私が私が耐えきってやろう!!」

 

 遠くからダメな発言が聞こえてくる。なんか、凄いイヤだ。なにあの人受けたがってるの? 死にたいの……?

 

「さっきから気になっていたのですが、あの吸血鬼はプリーストなんですか? 雷系の魔法とは……なかなかにカッコイイです!! ですが、あのような魔法は知りませんね。興味はありますが、やはり浮気はできません」

 

 めぐみんもめぐみんで一人で葛藤しているし、本当にこのパーティーはどうなんだろう……

 

「お前ら、真面目にやれっ!! クリエイト・ウォーター! フリーズ!! からのスティール!!!」

「……おい、それを返してくれないか?」

 

 カズマ君が持っていたのは黒いパンツだった。それは、紛いもなく、ロアが履いていたものだ。

 

「プークスクス。カズマ、アンタいくら裸ワイシャツに憧れるからって、男を裸ワイシャツにする必要ないんじゃない?」

「おどれは黙っとれ!! ていうか、あいつなんにも持ってないのかっ!?」

「俺に武器なんてものは必要ない。この拳さえあればどうとにでもなる。いつかはナイフなんてものも使ってたが、今は線も見えないからな」

 

 ロアはカズマ君が作った氷を何も無かったかのように壊す。

 

「今度は私が相手だぁぁああ!」

 

 ダクネスの剣戟。だけど、それは当たるはずもなく、当たりの岩を切り裂くだけだった。

 

「……ノーコンが。これでも食らってな。天の崩雷!!」

 

 ロアから放たれる雷撃。ダクネスはモロに受けてしまう。が────

 

 

「貴様の雷撃はそんなものかっ!! もっと痺れさせろ!! こんなんじゃ、少しも興奮できんっ!!」

 

 全くの無事。どれほど、防御系のスキルにポイントを降っているのだろうか。呆れを通り越して、素直に賞賛してしまうほどだ。

 

「くそっ……何なんだこいつは……」

「俺の仲間、だ。やっと隙を見せたな、ロア」

 

 少し、ロアを気の毒に思いながらも、背後から左肩を殺した。

 

「ふははははは!! いい、いいぞ志貴ぃ。いいだろう、本気を見せてやる。固有結界・過負荷(オーバーロード)!!!!」

 

 突然の、ロアの周りが光り出す。

 

 あれはやばい……

 

 すぐに分かった。が────

 

「させない!! 枯渇庭園!!!」

 

 弓塚がその光の中に飛び込んでいく。

 

「なに……!? 力が……魔力が抜けていく、だと……?」

 

 弓塚が何かを叫んだ途端、光は消えた。光の中止にいたハズのロアは膝をついていた。

 

「あなたは……許さない!! これが、みんなを守る力……めぐみんちゃん、今です!!」

 

「この時を待ってました!! われは輪廻から外れしもの。生には生を、死には死を。故に、死したものを死に返したもう。その死は偶然でなく必然。その死に刻み込め……エクスプロージョンッ!!!」

 

 凄まじい爆発が起こった。大地はえぐれ、地形が変わる。猛烈な風が俺達の間を吹き抜ける。

 

「無様ね、ロア。志貴にやられただけでなく、子にもやられるなんて。さすがの私も笑わずにはいられないわ」

「黙れ夢魔が。貴様ら路地裏なんとかはいずれこの俺が破滅させてやる……っ!?」

 

 逃げようとするロアの足元を凍らせるレン。普通の状態なら壊して抜けられたはずだが、左腕を殺されバランスを失い、爆裂魔法を直撃したロアは抜け出せないでいる。

 

「残念だけど、逃がしはしないわ。あなたに次はない。出番よ、アクア」

「仕方ないわね!! ここで終わりよ吸血鬼!! セイクリッド・ターンタンデッド!!!」

 

 聖なる光がロアを包み、これにて鬼退治は終結。呆気ない? こんなものだろう。レンいわく、路地裏同盟の下っ端だ。もともと、コンクリートに潰されて死んだらしいし……

 

 これ以上は何も言うまい、何だかあの吸血鬼が可哀想になってきた。

 

────────────────────────────ギルド

 

「カンパーイ!!」

 

 ジョッキを打ち合い、ガラスの響く音がギルド内に響きわたる。

 

「遠野くん、私まで良かったのかな……?」

「いいんじゃないかな。誰も気にしてないだろ?」

「うん。だけど……」

 

 弓塚は恐る恐るアクアの方を見る。そのアクアはと言うと、不機嫌である。

 

「……たしかにあんたは吸血鬼だわ。だけど、その力の使い方っていうか……ああ、もうっ!! ……認めてあげるわ」

「え……?」

「だから、認めてあげるって言ってるの!! あなたの本音を聞いて、それを無下にする女神なんて下衆以下よ。……分かった!?」

 

 弓塚は首をブンブンと縦に振る。

 

「なんだアクア、そんなことでイライラしてたのか」

 

 カズマ君はニヤニヤしながらアクアを見る。

 

「うるさいわね、ヒキニート! 男裸ワイシャツに憧れがあったなんて驚いたわ」

「そうですね。カズマは女の子が大好きなド変態かと思っていましたが、男の子も大好きなド変態だったんですね」

 

 パーティーだけでなく、ギルド全体からの目線が冷たくなる。

 

「いや待てっ! お前ら本当にふざけんなよ! 変態はこいつだけで十分だろうが!」

「何を言うか! 私は変態ではない! ただ、自分の快楽に素直なだけだ!!」

 

 それを変態と言わずしてなんというのだろう。

 

 カズマ君も冷たい目になっている。

 

 そんなこんなで、宴会は終わった。

 

「遠野くん、今日はありがとう……」

「志貴でいいよ。こっちじゃ苗字は違和感しかないからな」

 

 こっちに来てからは、苗字で呼ばれたことなんてなかったから、名前で呼んでくれた方がありがたいというのが事実だ。

 

「……それじゃあ、私のこともさつきって呼んでくれたら嬉しいな……」

「分かったよ。それで、今日はどうするんだ?」

 

 また、あの屋敷に戻るというのなら少し考えなくてはいけない。宿を借りる金は持ってないだろうから、俺が払えばなんとかなるだろう。

 

「そのことなら心配いらないわ」

「レン? そういえば、ギルドにいなかったけどどこにいたんだ?」

「さつきの宿探しよ。あの屋敷でもいいかもしれないけど、流石にね。その格好もどうにかしないといけないし」

 

 さつきの格好はローブの下に俺な通っていた学校の制服だ。もちろん、この世界には似つかわしくない。

 

「というわけで、行くわよさつき。いいわね、志貴?」

「もちろん。さつきを頼むよ」

「ええ、任されてあげるわ」

 

 そう言って、踵を返すレン。

 

「それじゃあ、志貴くん、またね!」

 

 レンに付いていきながら、振り返り手を振るさつき。その姿はただの女子高生にしか見えなかった。

 

「ああ、また」

 

 二度とさようならなんて言わない。これからは、いつでも会えるのだから────

 

「志貴、ずっと気になっていたのですが、さつきとはどのような関係なのですか?」

 

 なるほど。さっきから暖かい視線を感じていたが、見られていたというわけか。

 

「さてね。めぐみんにはまだ早い」

「私を子供扱いしないでください。二人は付き合ってるのですか」

「俺はさつきを振ったから、さつきが今どう思っているかなんてわからないよ」

 

 多分、さつきの好意は変わらないままであろう。そんなのは、あの顔を見たらわかる。

 

 だけど、俺はそれに答えられない。

 

「そうですか。だそうです」

「え、なに? 志貴、さつきに告られたの? ヒキニートとは違ってリア充してたのね」

「うむ。だが、さつきもいい子ではないか。志貴の周りにはあれよりもいい子がいたのか?」

 

 出てきてのは、アクアとダクネス。しかし、どうして女というのは恋バナが好きなのだろうか。

 

「とびっきりの、いい妹(おんな)がいたよ」

 

 思い出すのは、その怒った顔、困った顔、呆れた顔、拗ねた顔、そして、とびっきりの笑顔。

 

 あいつは、今どうしているだろうか────




結局、ネロアさんは末端だったんです。本編のラスボスが中ボスより弱いんですからね(*゚-゚)

もう、不憫でしかない。アークドロイブはダクネスに止められるわ、ラストアークはさっちんに干渉されるわでズタボロのロアさん涙目。書いてて可哀想だった……

ロアが死んだっ!!
この人でなしっ!!!

のレベルでね(*`・ω・´)

さっちんはほぼ完璧に固有結界を使えるようになってます。今回は範囲をかなり狭くして、ロアのみに集中させました。なんて、イマジンブレイカー……

今回書きたかったのは、さっちんとのやり取りだけだったのですが、クロスオーバーというものの関係上無理やりねじ込みました……割と適当に……適当なのは今始まったことじゃないんですけど……

そいでは、感想待ってるからね!
評価もしてくれて大丈夫ですよっ!?

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