この素晴らしい世界に殺人貴を!   作:朎〜Rea〜

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ちょっと短いですが、本日二話目です。

作者は灰になりました


噂の吸血鬼を探しに

「はあ……」

 

 ギルドの椅子に座って大きなため息をついた。

 

「どうしたんですか、志貴さん」

「いや、昨日は眠れなくてね……」

 

 色々考えていた。レンが俺の使い魔であるということは分かった。理由もわかった。

 

 だけど……

 

「ところで、志貴さん。その娘は?」

 

 俺の隣にいる少女が問題なのだ。

 

「私はレン。志貴の知り合いよ」

 

 昨日夜通し討論して、ここに落ち着いたのだ。こんな所で使い魔だとか、ご主人様だとか言われたらたまったものじゃない。

 

 事の発端ら、正体も見せたことだし、明日からはクエストにもお供するわ。

 

 というレンの発言だった。

 

 正直にいうと、レンを連れ回すのは気が引けた。誤解を招く言い方かもしれないが、レンは間違いなく可愛い部類だろう。白い髪に赤い目。白い肌は人形のようだった。実際は猫だったのだが……

 

 そんなレンを連れ回すのだ。最初から連れ回していたのなら兄妹だとかで誤魔化せただろう。だけど、ひょこっと現れたら、俺がこの娘に何かしたという噂が立つ。

 

 仮にも俺は、カズマ君のパーティーメンバーだ。間違いなく悪い噂が立つ。風の噂も75日というが……長い。二ヶ月ちょっとですよ? 尾ひれがついて、俺まで変態扱いされるのはゴメンだ。

 

「そうなんだよ。この街に魔道具屋があるだろ? そこの従業員に世話を頼まれてね」

 

 ごめんネロさん。これ以外の言い訳を思いつかなかったんです。

 

「そうなのですか。私はてっきり犯罪者にジョブチェンジしたのかと思いましたよ」

 

 よし、レンと話し合っていて正解だった。

 

「まあ、志貴なら大丈夫でしょ。どこかのロリニートとは違うし」

「ちょっと待てお前ら。もし仮にだ、俺がその娘くらいの子を連れてたらどうするつもりだ?」

「即通報します(するわ!)」

「うぉおおおいっ!! 俺にだって事情はあるはずだろ!?」

「悪即斬です。近寄らないでください、ロリマさん」

「俺、そこまで信用がないのか……」

 

 がっくりと肩を落とすカズマくん。まぁ、今までの行動を考えると擁護できないのが事実である。

 

「ところで、レンちゃんのクラスは?」

「なんか、悪寒がするからちゃん付は辞めてくれる? レンでいいわ、ロリマ」

「だから違うってば!! で、クラスはなんなんだよ?」

「私は幻術師(ソーサラー)よ」

 

 これは、後から聞いた話だがソーサラーのクラスはプリーストの派生らしい。回復をこなしつつ、モンスターに幻術を見せ惑わせる。後方支援のクラスだそうだ。

 

「すごいわね、レン!! あなた幻術が使えるの!?」

「限られた環境でだけだけれど、そうなるわね。まあ、回復役にはなれそうにないけど」

「そうなのですか? ソーサラーにはヒールなど回復魔法もあるはずですが」

「私の場合、幻術で回復まがいのことは出来るけど、実用的じゃないわ。私はどちらかと言うとアタッカーよりね」

「そうなのね。回復役は私に任せなさいっ! なんたって私はアークプリースト兼女神なのだからっ!!」

 

 レンの目がだんだん可哀想なものを見る目に変わっていく。レンの言いたいこともわかる。こんな真昼間から酒を飲んでいる女神なんているわけが無い。

 

「事実だ……」

 

 レンにこっそりと伝える。

 

「え……」

 

 レンが固まった。

 

「まあ、みんな信じてないから問題ない」

「そ、そういう問題なの?」

「そういう問題だ」

 

 最近、カズマ君たちに毒されてきているのかもしれないと思う俺であった。

 

「みんな揃っているな。少しばかり、手伝って欲しいクエストがあるのだが……ん?」

 

 まだ来ていなかったダクネスがギルドに入ってきた。そして、レンを見ている。

 

「志貴、その娘は?」

「知り合いだ」

 

 簡潔に、短く答えた。何も言わせるつもりは無い。

 

「そうなのか。てっきり志貴はいたいけな少女を監禁し、人前では言えないようなあんなことやこんなことを……」

 

 前提条件が間違っていました。こいつに合わせるべきではなかったようだ。

 

「で、ダクネス。どうしたんだよ」

 

 これ以上パーティーメンバーの妄想を加速させまいと、カズマ君な話を切り出す。

 

「ああ、昨日モンスターの話をめぐみんが話していただろ?」

「昨日? あれですか? 血を抜かれていたという」

「それだ。それなんだが、割と貴族達が気にしていてな。私たちで調査に行きたいんだが、駄目だろうか?」

 

「それは、討伐ということなのか?」

 

 討伐となったら少し困ったことになる。

 

「いや、現状として人に被害は出ていないからな。何が起こっているか。それを調査するだけだ」

 

 だが、杞憂に終わったようだ。

 

「それってお金になるの?」

「ああ。調査だけだが、なかなか出してくれるそうだ」

「その話、乗ったわ!!」

 

 これは酷い。何が酷いって、お金に買収される女神がだ。

 

「そう言ってもらえると助かる。みんなもいいだろうか?」

 

 みんなも頷く。実際、あれはネロさんの仕事であって、みんなに害はない。それならば、簡単な仕事だ。何の問題もないだろう。

 

「それじゃあ、3時間後に出発だ」

 

 一度解散となり、俺とレンは宿に戻ることにしあ。

 

「ねぇ、志貴。正直に言うけど、今回ばかりは嫌な予感しかしないわよ」

 

 ベッドに座るレン。

 

「なんでだ? あの犯人ってネロさんだろ? 危険も何も無いだろ」

「やっぱり……この馬鹿。ちょっと考えたらわかるでしょ。昨日、教授はどうやって初心者殺しを殺したの?」

 

 レンはため息をつく。

 

「確か、影みたいのがこう、ニョキっと……」

「分かったみたいね。あれは影じゃなくて混沌だけど、そういうこと。教授は食人鬼。食べたあとは何も残らない」

 

 現在わかったことがひとつ。このクエストは危険なのではないだろうか。

 

「今から断ることは……」

「あの子達が断ると思う? せいぜい、足掻きましょう。ま、目星はついているけれど……」

「そうなのか?」

「ええ。確実という訳では無いけれど、路地裏同盟の下っ端かしら」

 

 路地裏同盟ってなんでしょう……?

 

 ────────────────────────────3時間後

 

「それじゃ出発だー!!」

 

 カズマ君の掛け声に、おー! と、みんなが返事をする。

 

 今回向かうは、森の奥。昨日連に連れてこられた森の更に奥である。

 

「本当に、何か出そうな雰囲気だな……」

 

 カズマ君の言いたいことはわかる。ここには光が入ってこない。全て、木々に遮られ、地面はジメジメとしている。

 

「なに? カズマさんビビってるの? プークスクス、この程度のところでビビるなんてさすがヒキニートね。安心しなさい。アンデッドが出てきても、この女神の私が退治してあげるから!!」

 

「うっさい、黙ってろ!! ていうか、めぐみんはどこ行った……?」

 

 さっきまで付いてきていたはずのめぐみんが急に消えていた。あたりを見渡すが、あの派手な赤マントはどこにも見えない。

 

「ちょっと……アンデットの気配はしないんですけど!? あれよね? 人数を確認していくうちに減っていくっていうあれよねっ!?」

 

 どんどん顔が青くなっていくアクア。お化けは大丈夫でも、怪奇現象は苦手らしい。

 

「あ、慌てるなアクア! おーい、めぐみんどこだー!!」

 

 さも平然としているカズマ君も脚が震えている。こんなところで、こんなことが起これば当然だろう。

 

「あ、やっと気づいてくれました。ここです、ちょっと出るの手伝ってもらってもいいでしょうか?」

 

 めぐみんは沼にハマっていました。

 




やっと、ピアニストみたいな人が出てきますよ

伏線やっと回収できる(*゚-゚)


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