マジで毎日22時には落ちてました…死ぬかと思った(*´•ω•`*)…
ということで、最新話です。今回から月姫(メルブラ)のターンです。ネタありシリアスありで行けたらいいな……
「ここは……」
目を開くと、パーティーメンバーが俺の顔を覗き込んでいた。どうやらここは、俺が借りている宿の一室らしい。
「やっと目を覚ましたわね。傷は治っているのにいつまでたっても目を覚まさなかったから心配したのよ」
「すまない。どうも、夢を見てたみたいだ。俺はどれくらい寝てたんだ?」
「3時間です。怪我は倒れてからすぐにアクアが治したのですが……夢ですか? どのような夢を見ていたのです?」
「ううん……覚えてない。ただ、いい夢だった、かな」
内容を思い出そうとするけど、全く思い出せない。夢というものはそういうものである。
「ともあれ、みんなには迷惑をかけたな」
「いやいや、爆裂魔法を撃たせたのは俺ですし……」
「ごめんなさい、志貴。私もあそこで撃つべきではありませんでした」
「その事についてはもう咎める気は無いよ。結果としては倒せなかったけど、注意はそっちにいったからね」
「それで志貴! 爆裂魔法はどうだったのだ? やはり、身がえぐられるような感じなのだろうかッ!? ああ……私も受けてみたいものだ……」
普通の人間なら木っ端微塵もいいところだろうが、あのデュラハンの剣を受けてなお立っていたことを考えると、こいつなら死なないかもしれないと思う自分がいた。
「ともあれ、一件落着だな」
それなら、ギルドで食事をとり、解散となった。話は他愛もないものばかりだったが、少しだけ気になるものがあった。
最近、ダンジョンで人型モンスターが倒れているらしい。
普通に考えたら、どこぞの冒険者が倒したのだろうが、これはそうではなかった。
モンスターからは血が1滴も流れていなかった。
殴打や毒ならまだ生易しいだろう。モンスターから血液がなくなっているらしいのだ。
まるで、吸血鬼にでも吸われたかのように……
「あくまで噂の範疇ですよ? 噂に尾ひれがつくなんてこと良くありますからね」
めぐみんはそう言っているが、これは噂という形で済ませていい問題ではない気がする。
いつ、それが人に向くかは分からないのだ。
俺は吸血鬼を知っている。
ネロさんだ。
だけど、ネロさんは人間の血を吸う気は無い。そう言っていた。心配なのは、ネロさんが言っていた、もうひとりの吸血鬼だ。ネロさんとは知り合いらしいが、その吸血鬼が人の血を吸わないとは限らない。
あとで、詳しい話でも聞きに行くか……
「志貴、さっきの夢のことだけど、ちょっと気をつけておきなさいよ。少しだけど、魔力を感じたわ」
「なんだアクア。まるで女神様みたいな言い方だな」
「失礼ねっ!! 私は女神よっ!!」
そういうわけで、解散してから例の魔道具屋に向かったが、既に閉店していた。店主さんはまだ帰ってきていないようだが、ネロさんはどこか出かけているのだろうか?
それからは、特にすることもなく宿に戻った。
────────────────────────────────その夜
テシテシテシ────
ベッドの上で眠っていると、頬を叩かれているのに気づく。
「な、なんだ……?」
テシテシテシテシテシテシテシテシ────────
目を開くとそこには白猫がいた。肉球で頬にパンチを繰り出していました。どこか、恨みがこもっていた気がするのは気のせいだろう。
俺が起き上がると、白猫はベットを降りた。
「君は……どうしたんだ、こんな時間に」
問うが、もちろん答えなんて返ってこない。返事を待つなんて、自分でもおかしいと思う。
白猫は窓辺に飛び乗り、じっとこちらを見る。
「……ついてこいっていうことか?」
自信があった訳では無い。ただのカンだ。猫がそんなことを示すはずがない。だけど、その白猫は頷いているように見えた。
俺は短剣を手にし、着替えもせずに外に出た。宿を出ると、白猫がお出迎えしてくれた。
「本当に、君は不思議だね」
白猫はフイッ、とそっぽを向き歩き始める。ついて行けばいいのだろうか?
俺はその後を追って行った。
「ここは……」
白猫を追いかけていくと、そこは街の近くの森であった。
それは、なんの混じり気もない殺意。
ナイフを抜き、恐る恐る振り返る。
「初心者殺し……だったか……?」
それは、大きな黒虎のようなモンスターだった。初心者殺し。名前の通り、冒険者初心者では歯も立たないモンスターだ。
「な……なんだ……?」
初心者殺しは影に飲み込まれた。比喩でもなく、事実だ。
「む? 遠野志貴。何故ここにいる?」
初心者殺しがいた場所の対角線上には俺の知っている人物が立っていた。
「ネロさん……今のはネロさんが?」
「その通りだ。私は吸血鬼だからな。概念が書き換えられ、吸血衝動自体は無くなりはしたが、餓えにはかなわないのでな。こうして、動物の血液を頂いているという訳だ」
「そうだったん、ですね」
決定だ。噂の犯人はネロさん。人間に害はないということはほぼ確定だろう。これで安心だ。
「ところで、奇遇だな夢魔よ。主もこちらに来ていたのか」
「ええ、教授もお元気そうで何よりだわ。貴方もこっちに来ているなんて思いもしなかったわ」
そこには白い少女がいた。その代わりに、白猫がどこにもいなくなっている。
白猫が白い少女? 嘘だろ? ファンタジーだからってなんでもありなのかこの世界はっ!?
いや、ネロさんと知り合いということは、俺の世界の住民か……俺の世界もファンタジーだったんだなぁ……
自分の眼のことを棚に上げ、遠い目になってしまう。
「君は……?」
「私はレン。そうね、いうならばあなたの使い魔かしら」
レンという少女はそう言い切った。
「使い魔? 使い魔ってあれだろ? 俺は契約したつもりは無いぞ?」
「それは残念。だけど、あなたは私の契約者よ。まあ、実際のところあなたであってあなたでないのだけれど」
俺であって俺でない。それは、聞き覚えがあった。
「平行世界の俺……ということか」
「ご名答。私としては不本意だけど、仕方ないからあなた側についてあげる。のうのうと死なれても困るし、あいつの頼みだし……」
これはアレか? この娘はアレなのか?
「ふむ、ふむふむ。これは……分かっていてもクルな……雪原を抜けて、ここまで助けに来るとは余程のことということか」
ネロさん。そういう文化に詳しいんですかっ!? ていうか、雪原って?
「な、何を言っているのよっ! とにかく、分かったわね、志貴!」
とりあえず、頷いておく。何はともあれ、この娘は俺の見方らしい。
「それにしても夢魔よ、なぜ主はこの森に遠野志貴を導いたのだ?」
「簡単よ。ここ、私の散歩コースなんだねど、最近初心者殺しがこの森に住み始めたのよ。それを志貴に殺してもらおうと思ってね。まあ、教授が食べちゃったみたいだけど」
あれ? レンって娘、俺の使い魔なんだよな? なんで俺が危険な目に合わされてるんだ?
「教授は……吸血の為だったわね。どうなの? この世界は?」
「うむ、興味がつきんな。全く、あちらでの常識が、こちらでは非常識ときた。研究者にとっては楽園とだけ言っておこう」
ネロさんは御満悦の様子。
「そういえば、どうしてレンは猫に?」
「それは決まってるでしょ? この姿であなたの部屋にいたらあなたに襲われるもの」
いやいや、流石にこんな小さな子を襲うことは無い。
え……? なんでレンさんは顔を赤く染めてるの?
ちょっとまって? 平行世界の俺ってロリコンなの? いや、たしかに可愛いとは思うけど、これは犯罪だぞ? マジで手を出したの? 警察行きだぞ?
ちょっと、平行世界の俺を連れてこい。17分割にしてやる!!!
感想を書いてくれたら、作者は裸で踊ります。(裸で踊るとは言ってない)
なんか、展開的に月姫に似てしまいました。狙ったのですけどね。吸血鬼は他にいますからねぇ
どうなる事やら(他人事)
次回は、カズマたちと冒険します。たぶん……