落ち着け、先ずは鋏を下ろそうか。   作:赤茄子 秋

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現在のボルキャンサー 1500


5話 こいつが…雑魚なのか?

加賀友之を貪り終えるモンスター。

 

既に体は殆ど存在せず、靴の中に残った加賀を貪り続ける。

 

「ビギィ…」

 

そして鹿のような角を持ったそのモンスターは食べ終わると今度は別の獲物を探す。

 

先程居た他の男、須藤雅史を狙おうと先程加賀友之を引きずり込んだ窓に近づこうとすると…

 

「ビギャァァァァッッッ!!?」

 

「……え?(何が起こったんだ…バイクで吹き飛ばしたんだよな?なんで吹き飛ばせたんだ?)。」

 

そのままミラーワールドにやって来た須藤雅史、仮面ライダーシザースに轢き倒されたが…ここで須藤は早くも気づく。

 

「バイクは最高だな!」

 

「ビギィ…ビギャァァァァッッッ!!?」

 

そのままミラーワールドの移動に使われるバイクでまたモンスターをふきとばしたのだ。

 

地べたに寝そべっていたモンスターを轢き、吹き飛ばしたのだ。

 

バイクが強いとわかった瞬間である。ゲスイ。

 

「…なんか、プスプスいってるな。」

 

だが、そう上手くいかないのがこの世界だ。

 

バイクの調子が悪くなった。もともと、戦闘に使われない物なので当たり前なのだが…原作では壊れた描写は無かったので戦術としてこれだけで生き残れそうな気がしたのだが。

 

「まぁ、仕方ないか。」

 

充分な仕事をしてくれた。モンスターの足も少しふらついている。

不意打ちと追撃は基本だと、誰かが言っていた気がする。ただ、死体蹴りはしない。何故なら死体になったらコアを喰われるから。ある意味これが死体蹴りじゃないかと思うが。

 

「やるか…先ずは、一匹から。」

 

『STRIKE VENT』

 

バイクから降りると直ぐに左手に着いているシザースバイザーにカードを入れる。

すると、直ぐに空中から右手に大きなボルキャンサーと同じ鋏が装着される。

 

「ビギッビギッギ!!」

 

すると、モンスターはサスマタの様な武器を取り出す。何処から取り出したかはわからない。

 

大きな獲物だ。お互いに武器を構えると…少しだけの静寂が訪れる。

 

これが、戦いの緊張…それに少しだけ高揚感を感じる。

 

「うぉぉぉぉぉ!!」

 

「ビギ!!」

 

そして、鋏とサスマタがぶつかりあう。ぶつかりあうと、火花をあがる。

 

これが…そうか。戦いなのか!そう思った次の瞬間だ。

 

「嘘だろ!?」

 

仮面ライダーシザースのメインウェポンであるシザースピンチは…粉々に砕け散った。なぉ、サスマタは健在である。傷一つ見当たらない。

 

「ビギャァァァァ!!」

 

バイクに轢かれたのを怒っているモンスターは鋏が粉々になったのを良いことに、そのままサスマタで攻撃を仕掛ける。

 

「うっ…ぐっ、がぁっ!!(やべぇ…早い、痛い、強い。てか…俺の鋏が脆すぎる!!!)」

 

そして、身のこなしだけでモンスターに勝てるわけもなく、そのままサスマタに切りつけられてしまう。

 

一度、二度、三度と…連続で振るわれるサスマタに避けるのも苦しくなってくる。

 

そして、地面を無様に転がされてしまう。

 

速さもそうだが…このモンスター、強い。

 

単にシザースが弱すぎるのもあるが。

 

「くそ、これならどうだ。」

 

『GUARD VENT』

 

空から落ちてきた蟹の盾をそのままサスマタとぶつける。

 

「あぶねぇ…」

 

この角度…よく見るとガード出来なければデッキを破壊されていた。

ギリギリだった。もし間に合わなかったら…目の前のモンスターに喰われるか、ボルキャンサーに喰われていただろう。

 

「ビギリ、ビギビギ!」

 

盾で押さえつけることで、何とかサスマタの攻撃を防ぐ事に成功する。

なんとか、甲羅の盾だけは役にたちそうだ。

サスマタを通さないが…このままではじり貧なのは須藤も理解していた。

 

「(どうする?『FINAL VENT』で倒せるかもわからないし、避けられたらそれこそ終わりだ。こっちは防御力だけは何とかあるから…でも、制限時間が来る。)」

 

ライダーがミラーワールドに存在できるのは10分も無い。

それまでに蹴りをつけなければならないのだが…盾を使うだけではどうしても限界があった。

 

盾で攻撃をガードし、盾で押し返し、を繰り返す。

こちらは常にガードのタイミングを見極めながら、動かなければならない。

一度でも失敗すれば、更に敵のモンスターのペースになってしまう。

 

「ビギ!ビギャァァァァ!」

 

そして、モンスターが攻撃を緩める事は無い。

甲羅の盾を壊す勢いで攻撃を仕掛け続ける。

本当にこのまま攻撃されていれば壊れてしまうだろう。

 

「(雑魚モンスターにこんだけ手こずるって…俺のスペック低すぎじゃ無いですか!?これ、サバイブ貰ってやっと他のライダーと互角じゃありませんか!?)」

 

心の中でどれだけ現実から目を背けても、現実は変わらない。

徐々にモンスターに須藤雅史、仮面ライダーシザースは追い詰められている。

 

「(このままだと本当にじり貧だ。『ADVENT』を使ってボルキャンサー呼んで…倒されたら本当に勝ち目が無くなる。シザースピンチが一撃で壊されるのがおかしいんだよ!何でだよ!シザースがピンチになってるんですけど!?絶体絶命なんですけども!?くそが、こっちは防御しか取り柄が無いんだぞ!?どうやって攻撃をしたら…したら…?)」

 

そこで、須藤は閃いた。

 

決して誉められない戦いを彼はする事を決めた。

どんなに汚くても、どんなに難しくても…勝たなければならないのだ。

仮にコレがテレビなら、泥臭くてカッコいいと言われそうだが…彼の求める戦い、目標は安定した勝利だ。

 

本来ならば、この方法は選びたくなかった。

 

「おりゃぁぁぁぁ!!」

 

「ビギギッ!?」

 

そのまま盾でサスマタを空中に吹き飛ばす。これでモンスターから武器は無くなった。

 

そして…

 

「どっしゃゃゃゃ!!」

 

「ビギャァァァァ!!」

 

そのまま空中にあったサスマタでモンスターを貫く。

 

「最終的に…勝てば良いんだよ!」

 

どんなに汚くても、勝てば官軍。

敗者に選べるのは負け方だけ、どんなに汚くても…今は勝たなければならない。

 

「おら、おら、おらぁっ!!」

 

そのままサスマタを何度も突き刺す。バイクで吹き飛ばしたお陰もあり、徐々にモンスターは足がふらつき、もう限界のようだ。

 

最後にサスマタを突き刺して力の限り、上空に投げ飛ばす。

 

「ビギリァ!」

 

直後に、カードをデッキから取り出す。

 

選ぶのは勿論、このカードだ。仮面ライダーシザースの紋章が刻まれたカードを流れるようにバイザーにセットする。

 

これが、仮面ライダーシザースの必殺技。

 

『FINAL VENT』

 

「ビギャァァァァ!!!!」

 

ボルキャンサーが空中に投げ飛ばされたモンスターにシザースを投げ飛ばす。

そのままぶつかりあい、モンスターは爆発四散。

 

爆炎の中には白く輝くコアが出てくる。

 

「…はぁはぁはぁー、やってやったぞ!」

 

初めての戦闘、初めての仮面ライダー、初めての勝利、シザースは満身創痍に近いがとても心は晴れ渡っていた。

一部曇り空でもあるのだが…今後の戦いに不安を拭いきれていないのもある。

 

「キチキチキチ」

 

そして、特に役だたなかったコアに飛び付くボルキャンサー。

 

余程お腹が空いていたのだろう。吸い込むようにコアを取り込んだ。

 

「キチキチキチ」

 

そして今回は満足してくれたのか、そのままどこかへ消えた。

 

自分を食べに来なかっただけマシなのかもしれない。

 

あと、今回のMVPはバイクだろう。こいつが一番ダメージを与えていた。

全てのライダーの標準装備だが…今後はバイクを軸にして戦おうと心に決める。

 

「さてと…どんだけ上がったかね。」

 

そして、デッキからシザースはカードを取り出す。

勿論、最後のカード。『ADVENT』のカードをだ。

 

【ADVENT ボルキャンサー】

 

ATTACK 1520

 

「…シッテタ。」

 

彼の戦いは始まったばかりだ。大声で叫びたかったが、モンスターが来ても困る。そのままミラーワールドの世界から脱出する。

 

「(20しか上がってねぇ…)」

 

他のカードも確認するが…どれも20しか上がっていなかった。

 

「…帰るか。」

 

須藤雅史の明日は何処だろうか…そう思いながら家に真っ直ぐに向かって行く。

 

 

 

 

なお、途中で更にモンスターの襲撃もあったが、バイクで轢き倒した。

 

ステータスも10上がった。

 

バイク強い。




Q.好きなライダーは?

A.G3-X

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