自分らしく生きた結果、見事ぼっちになりました!   作:Narvi

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 一週間投稿ギリギリでした……ふぅ……。

 内容自体は進みませんが、デートといえばこれでしょ! ってものを書きました!

 こんな彼女いたら、悶え死にそうになるのをなんとか耐える毎日になりそうですね……。

 


6話 俺はやっぱり断らない

 洒落たカフェで赤面中の二人。

 

 いや、確かに傍から見ればこれはデートであり、俺たちのことはカップルに見えるだろう。

 実際にそういう認識で構わないし、俺自身も『これってデートみたいだよな』程度には思っていたので、全然間違ってはいない、と思う。

 

 ――だからって、なぁ……。

 

 俺はテーブルに両肘をついて、一つため息をつく。

 ちらっと顔を上げてみれば、目の前には幼馴染が下を向いて、チラチラと頬を赤く染めたままの顔でこちらを見てくる、そんな状況。

 

「あぁ……うぅ……」

 

 そんな奇声とも取れる唸り声をあげながら、紗綾は何度もその行動を繰り返していた。

 当然、それは俺たち二人を『カップル』の関係という、勘違いも(はなは)だしい内容を指摘されたからで。

 

 正直、こういう幼馴染の反応を見て、グサグサと心に槍でも刺されたような痛みを感じているのだが。

 

 そんなことは露知らず、未だに顔が真っ赤な紗綾だったが、空気を読んだかのように持ってこられた料理は、今の気まずい雰囲気をぶち壊すいいきっかけとなってくれた。

 

 先程までとは打って変わって、美味しそうに頬に手を当てながらショートケーキを食べる紗綾。

 

 ――とりあえず、勘違いするのだけはやめよう……。

 

 一緒の家で暮らすようになって、紗綾との関係が更に―――物理的にも―――縮まったと思っていたが、それはあくまでひとつ屋根の下で暮らす幼馴染、という関係であって、断じて恋愛感情からのものではない。

 

 ぼっちは勘違いしやすいのだ。

 毎日ごはんを作ってもらって、一緒の食卓を囲み、一緒に風呂に入り、一緒のベッドで寝て、一緒に朝を迎える。

 そんな関係が続いていたものだから、もしかしたら紗綾は俺のことが好きなのかもしれない、なんて考えがよぎるのも、確かに間違いではない。

 

 でも! でもだ!

 

 ――ヘタれと言われても結構!

 

 あくまで自分の思ったとおりに動く。自分らしく、自由に。

 

 というわけで、俺はとりあえず、目の前に置いたサンドイットを手に取り、一口。

 

「お、うまいな……」

 

 ハムとチーズとレタスのオーソドックスなサンドイッチだが、味は格別でシャキシャキと水々しい音を立てながら、これまた美味しそうに食べる紗綾の顔を見つつ、食べ進めた。

 

 

 

 

 サンドイッチを食べ終わり、砂糖とミルクを入れたコーヒーで一息ついた。

 軽食にしてはボリュームのあるサンドイッチではあったが、もちろん今はお昼どき。それだけでは食べ盛りの高校生のお腹は満たされないのだ。

 とりあえず、俺は紗綾のために頼んだパンケーキを食べてみることにする。

 

 ふわっとした食感とちょうどいい甘さが口の中で広がる。

 

 ――流石、店のおすすめなだけあるな……。

 

 そんな感想を浮かべながら、少しずつ食べ進めていくが、途中でその手を止めた。

 

「……」

 

 くりっとした大きな瞳でじーっとこちらを見つめる、幼馴染。その視線は俺の手に持っているフォークに突き刺さる、パンケーキに注がれていた。

 

「あー、えっと」

 

「……」

 

 紗綾は時々こういう瞬間があった。

 わがままではいられない性格なのか、こういうちょっとしたことをためらうことがたまにある。しかし紗綾はわかりやすく、もちろん幼馴染の俺にはバレバレで。

 

 ――食べたいなら言ってくれればいいのに。

 

 フォークを少し揺らしてみれば、目線で追う紗綾の姿はもはや犬にしかみえない。紗綾の後ろに勢いよく左右に振る尻尾を幻視して、ふつふつとこみ上げる笑いをどうにか抑える。

 

「食べる?」

 

「う、うん……」

 

 少し照れながら、紗綾は頷く。

 

「あ、あーん」

 

「……ん?」

 

 口を開けて何かを待つ紗綾。

 

「あーん……!」

 

 いや、何を待っているのかはわかる。別にそんな鈍くはないし、とぼける気もなかった。

 

 ――だからカップルに間違われるんだよ……!

 

 でも、これにちゃっかり満足している俺もいて。

 

「……はいよ」

 

「あー、んっ……」

 

 もちろん断らなかった。

 

 フォークを口元に差し出して、大きく口を開いた紗綾がそれをパクりと一口。もぐもぐとよく噛んで、そして一言。

 

「おいしぃ~!」

 

 もっと、もっとと次を強請る紗綾にため息をつきながら、俺は小さく切り分けてもう一度紗綾の口元へと運んだ。

 

 紗綾は基本的に無邪気なのだ。天然で、たまに破天荒な行動を取り出すけど、自分に正直で、ある意味で言えば俺よりも自分らしく生きているのかもしれない。

 ただ、それ故に周りを気にする。

 本人は『したくてしているし、大丈夫!』と言って、いつも家事を受け持ってくれているが、知らず知らずのうちに疲れがたまっているのは当然のこと。

 

 だから俺は紗綾の言ったことをあまり断らない。

 

 俺と一緒にいるときくらいは、こうやって羽目を外させるのも、いいかもしれない。

 

 ――日頃の感謝の意を込めて、だな……。

 

 これくらいならお安い御用だと、俺は美味しそうに食べる紗綾を見て、そう思った。

 

 この行為が関節キスだということに気づくのはパンケーキを全て平らげたあとのことで、無性に恥ずかしくなるのは当然、後のおはなし。






 デートで実際にこれをできる男はマジですごいと思う。相当相思相愛じゃないと出来ないよね、これ……。

 唯斗の思考を反映させて書きたいと思っている作品なので、すごくもどかしい関係を書き続けますが、どうかお付き合いください!

 次回は『7話 レッツ! ショッピング!』でお送りします! 構想は練ってあるのでそこまで投稿が遅くなることはないと思います。
 それに、今回あまりストーリーに進展がなかったのでちょっと申し訳なく思っていて、そういう意味でも早めに投稿します!

 では、次回もお楽しみに!

 追伸、活動報告の方では言いましたが、Twitter始めました! 小説関係のなので、活動状況を話したり、別作品のことも別サイトのことも含めて、更に前に話したPBWのシナリオのことも呟くので見ていってください!

https://twitter.com/Narvi_126

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