自分らしく生きた結果、見事ぼっちになりました! 作:Narvi
まずは謝罪をさせていただきます。
思い切り期限を破って、申し訳ございませんでしたぁぁ!!
本当にごめんなさい。ちゃんと一週間投稿守るとは言ってたのにな……。忙しいからって約束破るのは頂けない。報告してなかったし……。
本当に申し訳ございませんでした! 次回から気をつけます。せめて報告はしますので……。
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今回から新章入ります!
サブタイ通り、デートやで……。紗綾さん、頑張れ……。
5話 休日デート?
柔らかな感触と温もりを感じる。
朝だ。小鳥のさえずりや、少し明るくなった部屋を、冴え切らない脳で受け取りつつ、受け流していく。
起きなければいけない。そう分かっていても起きれないのは当然で、ついつい二度寝して学校に遅刻なんてこともあるが、なんと今日は日曜日。
頭が冴えきる前に、リセットしてしまおうか。
抱き枕を体に引き寄せ、再度眠ることに――
「唯斗……!! 唯斗……!!」
しかし、自分を呼ぶ声によって遮られる。
「……ん?」
俺はゆっくりと寝ぼけ眼を開いた。
「……お、おはよう」
語尾を窄めながら、目の前の幼馴染――紗綾が言う。
「お、おはよう、ございます……」
驚き半分、嬉しさ半分。とりあえず、目は覚めた。
そんな感じで、日曜の朝が始まった。
顔を洗って着替えたあと、俺たちは紗綾が作った朝食を食べていた。
普段から早起きな紗綾は、どうやら俺が起きる一時間くらい前からすでに起きていたらしい。本来なら朝食を作って、ちょっとしてから起こすつもりだったというが……。
「ごめん、俺かなり朝に弱くて」
「それはもういいから、それにそんなこととっくの昔から知ってるし……」
俺が謝ると紗綾は顔を赤くして少し俯き気味に朝食を頬張った。苦笑いを浮かべて、紗綾の作った味噌汁をすする。
まあ当然俺が起きるわけなく、一時間と少しの間、紗綾は俺の抱き枕になっていた。人の温もりを感じられる抱き枕だ。気持ち良くないわけがない。
――元はといえば勝手に入り込んだ紗綾が悪いんだけどな……。
それをいうのは野暮というものだろう。
「無理やり起こしてもいいんだからな?」
「い、いや、大丈夫だよ! 別に嫌じゃ、なかったし……」
あまり深くは聞くまい。俺は気にせず、再び目の前の料理に視線を戻した。
しばらくして、紗綾は「一度家に戻って物をとってくるね」と告げ、家を出た。この家の鍵を持っている方の手で、軽く手を振りながら。
――相変わらずだな……。
長年一緒だった幼馴染を見送って、リビングのソファに座りながら、俺は幼馴染のことを考えていた。
容姿は言わずもがな。贔屓目で見ても可愛いし、性格もよく、話しかけやすいというのもある。アクティブな人なので、当然友達も多いだろう。
――足枷になってなければいいけど。
自分らしく、自由に生きると決めた俺だから。割と周りから反感を買いやすい生き方を掲げたと思っている。
そばにいて尽くしてくれる紗綾にはとても感謝してる。でも、だからこそ。
紗綾にも、正直に、自分らしく生きてもらいたい。
もし、その結果、俺のそばから離れていっても、俺は構わなかった。
だってそれが紗綾の幸せなのだから。そのためなら、俺は多少の苦労にも目を瞑ろう。
「――なんてな。まあ、俺がどうこうできる話じゃないし」
まあ当然、将来どうなるかわかんないけど。
「んあ、そろそろか?」
いろいろ考えつつソファに身をゆだね、ウトウトしてきたところで、ふと時間を見る。
現在時刻は11時。
俺はソファから身を起こし、自室に戻る。かけてあるコートを着てバックを持ち、スマホと財布を確認すると、戸締りを確認して外へ出た。
スマホを開き最新のメールを確認する。
『準備できた! じゃあ、駅で待ってますヽ(*´∀`)ノ』
紗綾から届いた顔文字入りメールに目を通して一言。
『りょーかい!』
そう返すと、鍵を閉めて待ち合わせの駅に向かった。
「ごめん、少し遅くなった、か……?」
俺が駅に着いたときにはもう紗綾はいた。薄く化粧の施された、いつもとは違う幼馴染。
紗綾は俺の存在に気づくと、人ごみの中手を大きく上げて手を振った。
「ううん、今きたとこだから!」
なにかのテンプレのようにそう返される。ちょっとした感動を覚え、苦笑した。
「それ、持つか?」
「ううん! これ軽いから、大丈夫だよ!」
きっと家から持ってきたものが入っているんだろう。そう聞いてみると、断られた。様子を見るに、本当に重くはないんだろう。
俺は気にしないことにした。
「じゃあ、どっか行こうか。昼ご飯ってまだだよな?」
「うん、まだだよ!」
「私行きたい店あるんだ~」と笑顔で言う紗綾に手を引かれ、俺たちは駅を出た。
どうやらここから近いらしい。くだらない話をして、特に道中が苦になることもなく、歩いて数分で目的の場所に着いた。
「この店、すごく噂になってるの……! パンケーキが絶品らしいよ!」
「お前はそれが昼食で本当にいいのか……?」
――いや、確かにパンケーキならお腹は膨れると思うけど……。
着いたのは、おしゃれな雰囲気を漂わせているカフェだった。いかにもカップル御用達! という店の風格に少し呆気に取られつつ、俺たちは中に入っていく。
時間が良かったのか、人気店―――紗綾情報だが―――だというのに、すんなりと入る事が出来た。
空いてる席に、紗綾と向かい合わせになるように腰掛ける。店員が現れ、メニューを渡されると、俺たちは綺麗に作られたメニュー表を眺める。
「結構メニューはあるんだな」
「そうだね~」
洋風なメニュー表をめくれば、中もやはり洋風な食べものが書かれている。ガッツリとしたパスタ系だったり、軽く食べる人にはぴったりのサンドイッチやホットドック。飲み物は店内の雰囲気にぴったりなコーヒーからオレンジジュース、コーラなど一通り揃えている。
スイーツだと小さめで食べやすく、リーズナブルなパフェやパンケーキなどなど、どれも見事に飾られていて美味しそうだ。
こうやってみると学生の財布に優しい印象を浮かべる。人気の理由は聞いていなかったが、そういうところなのかもしれない。
「俺は決まったけど、紗綾はどうだ?」
「う~ん……これとこれで悩んでるんだけど……」
そうやって指をさしたのは、おすすめのパンケーキといちごのショートケーキだった。
「どっちも、ってのはないんだな」
「そんな食べたら太っちゃうよ!」
もうっ、と眉間に皺を寄せ、目を細めていう紗綾に、俺は苦笑いするほかなかった。
「なら、どっちの方が食べたいんだ?」
「え? う~ん……。おすすめされてるパンケーキも気になるけど、食べたいのならショートケーキ、かなぁ……」
「りょーかい」
疑問を浮かべる紗綾を放っておいて俺はテーブルに置いてあるベルを鳴らす。数秒して、男の店員がやってきた。
「ご注文お伺いいたします」
「このショートケーキと……紗綾、飲み物はどうする?」
「え、あ……こ、コーヒーに――」
「お前コーヒー飲めないだろ……いいや、オレンジジュースで」
店員はやりとりが面白かったのかふふっと笑うと、すぐに気を取り直して注文を打っていく。
「唯斗! 別に私、コーヒー飲めるからっ!」
「はいはい、強がらなくていいからな。それとも、オレンジジュース嫌か?」
「……嫌じゃないけど!」
もう、「私、怒ってます!」とでも言いたげな、不満げな顔をする紗綾を見て、こらえきれず笑った。店員もプルプルと震えている。
かろうじてかしこまりました、と告げた店員は今も頑張って注文を打っている。そんな様子を流し見しつつ、終えたのを確認してから、続けてメニューを伝えていく。
「で、このサンドイッチとアイスコーヒー、あとパンケーキをお願いします」
「え?」
ここでミルクとガムシロップを一つずつ付けてもらうことを忘れず伝える。ご注文を確認させていただきます、とテンプレートな言葉をきれいに吐き出すと、慣れた口調で次々と注文を読み上げていく。
それに間違いはなく、そう伝えると営業スマイルで答え、下がっていった。
「ねぇ」
「ん?」
「その、パンケーキって……」
「いや、紗綾も食べたかったんだろ? サンドイッチだけじゃ流石に足りないし、俺も食べたかったからな、頼んだけど。悪かったか?」
「……ううん! ありがとう!」
「どういたしまして」
「……失礼します」
話が終わったのと同時に、先ほどの店員がお冷を持ってきてくれた。
「随分仲がよろしいんですね」
「そうですね。まあ、長い付き合いですし……」
小さい頃から一緒にいた幼馴染だし、普通の友達よりは断然仲がいいと思ってる。
「そうなんですね! ここで働いてるといろんなカップルを見るので……。こういう人たちがうまくやっていけるんだな、って思っただけです」
――……ん?
「急に話しかけてすみませんね」と笑顔で頭を下げる店員に、俺は笑いながら「いえいえ、大丈夫ですよ」と答える。
なんか引っかかるけど……。目の前の紗綾も顔を真っ赤にしているし。
そしてその疑問は、すぐに解消された。
「彼女さん、大切にしてくださいね?」
店員はごゆっくりどうぞ、と言うとそそくさと去っていった。
――そ、そういうことかっ!!
当然、気づいたときにはすでに遅かった。特大の爆弾を落とされた俺たちは、気まずい雰囲気の中、料理が来るのを待った。
とにかく今は、鈍感な俺を思い切り殴りたい、そんな気分だった。
甘さ控えめ。ただ確実に愛が伝わる……。
別作品でもよく言われたこと。『シリアスとほのぼのが共存する作品』です。なぜだろうね? 相反してるとは言わないけど、書いてたらこうなってしまう……。
この作品ではシリアス2割、ほのぼの8割を目指して頑張ります!
飲食店でバイトしていたことがあって、ぼくは結構客に絡まれました。彼女いるの? とか言われていないですねーあはは、とか返したけど「うっせぇボケェ! そんなん店員に聞くな!」とか思ってました。
女の子みたいだな ← いや、男だって思ってるってことだよね。
滑舌いいし、声可愛いね ←最後の余計だろ。
君、何歳? 高校生? ← 聞いてどうする。
客のコミュ力は恐ろしい……。
次回は『6話 ふたりのデート模様』でお送りします! サブタイまったく決まってないけど、次回も書きたい感じで書くだけ!
デートで書いて欲しいシーンがあればある程度要望聞きますよー。ぜひ感想、評価の方を、お願いします!