自分らしく生きた結果、見事ぼっちになりました! 作:Narvi
今回、『幼馴染の紗綾さんがまた一つ成長します』ので注目!
あと3話まで紗綾さんの見た目を公開してなかったので描写しました。今回は描写忘れやらなんやらで説明多めですが許してください……!
お詫びの意味も込めて、ちゃんとサービスカットは用意したからな←
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紗綾による爆弾発言と、母さんの破天荒さを受けて衝撃冷めやらぬ状態の俺だったが、まあそうなってしまったことをどうこういっても、無駄なわけで。
「そもそも俺にこれを断る権利すらないんだよな……」
まあ言ってしまうと、これは自分で蒔いた種だったりする。冗談でもあんなことを言ってしまえば、紗綾のことだ。これくらいのことは起きてしまうことだって、考えられたはずだ。
俺はため息を吐き、紗綾を見る。
身長は俺よりも頭一つ分小さいくらいで少し下くらいで、細身で華奢な体つきをしている。肩くらいまである栗色の髪に、くりっとした大きな瞳。初雪のような白い頬が、今は真っ赤に染まっている。何やら「既成事実……」やらなんやら、小声でブツブツと物騒なことをつぶやいているが、本当にこいつは大丈夫なんだろうか。
この幼馴染とは本当に小さい頃からずっと一緒だった。
家がすぐ近くということもあって、たまたま中学校は別々だったがそれ以外では通っていた保育園も、小学校も一緒だった。親譲りなのか、小学生の頃から世話焼きで、小さい頃は勉強ばかりで無口、今とは少し質が違うぼっちだった俺を心配してか、よく一緒にいてくれた。
そして中学生になって、おじいちゃんの言葉によって吹っ切れた俺。ずっとひとりで抱え込んでいるのを気づいて、心配してくれていた紗綾に、昔のことではっきりと覚えているわけではないが感謝の気持ちを込めて、お礼を言ったのを覚えている。
そんな過去もあって、紗綾には昔からずっと感謝しっぱなしなのだ。少しくらいわがまま言われたって、俺は紗綾のことを許すし、紗綾がそうしたいなら俺は応援する。
「家の設備とかは大体知ってるよな?」
「うん! バッチリだよ!」
まあ、当然か。なんなら俺よりも詳しく知っているかもしれない。
「ならオーケー。衣服は何だかんだここに置いていってる分があるし、数日くらい大丈夫だろ?」
「う、うん! 大丈夫……!!」
――そこでなぜ恥ずかしがる……。
紗綾の一挙一動が何を意味しているのか。最近ちょっとわからなくなってきた。
「まあ、それならいいや。もし何か足りないものとかあったら遠慮なく言って」
「わかった! 家事は任せてっ!」
そう言って小さめの胸を張る紗綾。
こうして、高校生の男女による同棲生活が始まった――
「ふう……生き返る~」
なんやかんやあって風呂に入るのがいつもより遅くなってしまった。
ちょっとした騒動があったせいで、変に疲れていたから、俺は汗ばんだ体をシャワーで洗い流し、そのまま湯船に浸かる。
「既成事実、ね」
既成事実と言うと、男と女の淫らな行為なわけで。当然高校生にもなってその内容を知らないわけがない。紗綾だって何をもって既成事実というのかくらいわかるだろう。多少知識に疎くてもこれくらいは知っているはずだ。
――いつからこんな感じになったんだろうな……。
そんなことを考えつつ、お風呂のお湯に顔を半分ほど沈める。
多分、中学生から、だと思う。結構記憶が曖昧なのは、中学校生活は割と順風満帆だったからだろう。
おじいちゃんに言われて心を入れ替えたあとは友達も出来たし、よく遊びまわっていた。今や高校ぼっちを満喫しているが、中学ではそんなことなかった。
中学校は紗綾と別々なところに行った、とは言うものの、俺はその理由をしらない。当然俺が通っていた中学校は共学だし、普通科の中学校だ。
そして紗綾が行ったところも共学の普通科である。そのわけを、僕は全くしらないし、なぜか俺が聞いてもはぐらかされた。
「多分その時からなんだろうな」
俺は湯船から顔をだして、ポツリとつぶやいた。
小学生のときは俺にべったりで、いつも手をつないで歩いていた紗綾も、今ではそんなことはなく――
「あれ? そうでもない?」
いや、そんなことなくはなかった。事あるごとに手をつなごうとしてくるし、家では結構べったりひっついてくる。
鬱陶しいわけではないし、学校ではそんなことないから問題はないけど、俺だって男だ。
「もう少し自分が女子高生っていう自覚をもってくれれば――」
「おじゃまします……!」
――は?
ガラガラ、と風呂場の扉が開く音とともに、一糸まとわぬ幼馴染――紗綾の姿がそこにあった。
「そんなに見ないでよ、変態……」
「変態呼ばわりするくらいなら入ってくんな!」
自覚云々のことを言ってるそばから、これだ。ほんと、なんできたんだよこの幼馴染は……。
「もう体は洗った? 私が流してあげるよ!」
「もう勘弁してくれ……」
その言葉は狭くなった浴槽で、虚しく響いた。、
「「……」」
そしてお互い揃って無言である。
まあ、ある意味当然の結果だ。年頃の男女が小さな風呂場に、タオルがあるとはいえ裸でいる。そんな状態で会話が成り立つ方が恐ろしい。俺はそこまで強い心臓をしていない。
「あ、えーっと……。大丈夫? 痛くないかな……?」
「あー、うん……。別に痛くない……」
――気まずい……。
今俺の後ろには、裸の幼馴染が背中を洗ってくれている。俺はただ無心を貫くだけだった。
「ねぇ……」
「……ん?」
「えっと、ね。高校生活、大丈夫かなぁ、って」
それは紗綾なりの気遣いだった。もしかしたらこんな突拍子のないことをしてきたのも、これが原因だったのかもしれない。
「唯斗は少し遅れて入学したから……友達と話してるところも見ないから――」
「それは紗綾が心配することじゃないよ」
「でも……」
紗綾は優しいから、いつも自分よりも俺のこと――周りのことを優先してしまう。それは小さい頃から一緒にいる俺だから気づいてしまうことで、昔の俺もそうだった。
「これはおじいちゃんの受け売りなんだけどさ、『好きに生きればいい。自分らしく生きなさい。そして、その道に誇りを持ちなさい』。少しは自分を優先したって、紗綾ならバチは当たらないよ」
「唯斗……」
振り向くわけにはいかないから、当然表情はわからない。ちゃんと伝わってくれていればいいけど――
「っ!?」
心臓が飛び跳ねた。
「ちょっと紗綾さん!?」
「はい? なんでございましょうかー?」
「いきなり抱きつくのはいかがなものでしょうか!? てかなにその口調!?」
前に手を回されて、背中には小さいながらもしっかりとした二つの膨らみが押し当てられている。それはわかるくらいに柔らかく、危うく理性が飛びかけた。
「ありがとう! 唯斗のおかげで私、気づくことができたよ!」
「いや何が!? てか離れて!!」
「本当はわかってるくせに……嫌ですー、離れませーん!」
――何か、俺は言ってはいけない人にこれを言ってしまった気がする……。
俺が抵抗する度に、紗綾は更に抱きつく力を強めた。そして、最終的に抵抗することをやめ、俺はなすがままにされるのであった。
結局紗綾が何に気づくことができたのかはわからなかった。そして、風呂場では一線を越えるような事態には至らなかった、ということだけは、ここに明記しておく。
「どうしてこうなったんだ……」
「ふふっ、どうしてだろうね?」
「いや、元凶はお前だからな」
「でも原因はあなたにあるんだよ?」
やっぱり、俺には紗綾が何を言ってるのかわからない。
紗綾が何に気づいたかは、次回のお楽しみに……。
やりすぎたと反省はしている! しかし、後悔はしていない!(二回目)
などと犯人は供述しており、これからも続けていく方針を示しております。
次回更新は前書きでも書いたとおり少し遅くなります。一週間経って、それから出来上がり次第――26日~6月2日までには投稿します!
次回は『4話 ずっと紗綾のターン!?』でお送りします!(構想段階なのでタイトルは変更される可能性があります)
R-17.999999……って、セーフですよね……?
多分予告の内容を投稿する前に紗綾視点を書きます。お楽しみに✩