自分らしく生きた結果、見事ぼっちになりました! 作:Narvi
ハチャメチャ展開です! 書いてて楽しかった……。
少し長くなってごめんなさい! これからはもう少し短いです!
学校に友達はいない。
いや、それは少し違うだろう。
俺には友達はいない。多分、俺の間違いでなければ、俺に友達と呼べる者は少なくともここにはいないだろう。ここ以外でもいるか怪しいが。
休み時間。周りはいつものメンバーで集まってわいわいと楽しんでいる。紗綾も紗綾で、学校では別の友達と楽しくやっているだろう。
そして、俺の周り。
――まあ、いつもどおりだな。
当然のように、がらんとしていた。
俺はいつものようにスマホを眺めたり、小説を読んだりと休み時間を過ごす。スマホを眺める、といっても何かのアプリというわけではない。
ハーメルンなどの小説サイトだ。ランキングを眺めてみたり、タグで絞っていくとたまーに超面白い作品とぶつかる。そういうのを探して、読むのが俺は好きだった。
俺だって、高校生活の最初からこんなことをしていたわけじゃない。もちろん友達を作ろうと、青春な高校生活を送ろうと努力はしたさ。
しかし、それは自己紹介の時に起こった。
『は、初めまして。平坂唯斗って言います! よ、よろしくお願いしましゅ!』
盛大に噛んだ。クラスは、ひたすらに静寂を保っていた。
そんな事件があった。ちょっと頑張りすぎて、緊張しすぎた結果、から回った。それからは、もうやらかした恥ずかしさから、自分から話しかけることなんてできず、今に至る。
妙に気を張ったから悪いんだ。
おじいちゃんに言われたじゃないか。『自分らしく生きろ』って。ちょっと自分らしくない行動を取ってしまった結果、こうなってしまった。
それはともかく。見ての通りである。
さも当たり前のように、俺は浮いていた。
授業中は寝るわけでもなく、だからといって真面目に受けているわけでもなく、先生の話をBGMにノートを取っていたら、おわった。
――はぁ~! 今日もおわった~!
俺は椅子に座ったまま体を伸ばす。ずっと座っているとどうしても体が硬くなってしまう。この行為は、本当に開放感があって最高だと思う。
――よし、帰るか。
そう思って、机の隣にかけていた鞄を持って立ち上がる。そしてそそくさと教室から出て行く。
毎日毎日、なぜか俺は見られているような気がする。当然気がする、というだけであって、聞くわけにもいかない。自意識過剰とか直接言われたらさすがに心が折れる気がする。
しかし、ぼっちは観察眼が鋭いのだ!
――威張るところではないか……。
気になるなら話しかけてくれればいいのに、とは思う。
そんな周りの見る目が嫌で、俺は毎回すぐに退散するのだった。
「ごめん、待った?」
「いや、気にするほどじゃないよ」
待ったといっても数分程度だ。
俺はすぐにクラスから出てしまうが、紗綾はそうではない。普通に友達はいるし、会話をして笑い合っているのを俺は何度も目撃している。
だから俺もすぐには外にでず、校内をウロウロしつつ時間を潰しているのだが。
――やっぱり視線が気になるんだよな……
堂々としていよう。おじいちゃんに言われてからはそう考えているのだが、それでもやっぱり周りからたくさんの視線を送られると少し萎縮してしまう。
自己紹介はクラス内のものだし、悪い噂もそこまでないと思うのだが。
「まあ、いいや」
「え? どうしたの?」
「いや、なんでもない」
紗綾はそれほど興味ないのか「あ、そう」と言って歩き始める。俺もそれに並ぶように歩く。
「友達はいいのか?」
「いいの! 方向合う友達もいないし!」
「別に俺たちももう帰る方向違うけど――」
「え? 何言ってるの、唯斗。方向同じだよ?」
「いや、それは前の話だろ? 今は俺がひとり暮らしするために引っ越したから方向違うだろ?」
「そうね……少し前までは……」
――少し前までは……?
まあ、確かに高校入学して一ヶ月はたったが、方向が同じだったのは中学までの話だ。
何か勘違いをしてるのかもしれない。まあ、紗綾は前から少し様子が変なところがあったし、いつもの天然が出ているんだろう。
「楽しみにしててよね!」
「まあよくわかんないけど。楽しみにしてるわ」
なぜか紗綾が笑顔だったから、とりあえずそれでよしとした。俺たちは世間話をしながら、春の道をのんびりと歩いた。
「ところで、紗綾さんや」
「んー? どうしたの?」
時刻はすでに九時を回っている。何だかんだで夜ご飯も作ってもらっているから、大体この時間までいてくれるのがほとんどなのだが。
「帰る準備とかしてないけど。もう九時すぎたよ」
「うん、そうだねー」
「……え?」
「はい?」
紗綾は軽く首をかしげる。
――可愛い、けど!
「いや、そろそろ帰らないと――」
「あ、そういえばまだ言ってなかったよね! 私、今日からここに住むことになったから!」
――はい?
言葉が出ず、思わず心の中で聞き返す。
紗綾はスマホを操作しつつ「どこだっけ……あ、あったあった!」と言って、俺にその画面を見せてくる。
「え、っと……紗綾の母さんからか。『唯斗君とその両親に住んでもいいか聞いて、許可を得たならママは全然構わないわよ(*´∀`*)』
いや、まてまて……そもそも俺の母さんと父さんの許可は――」
「大丈夫! もう得たわ!」
「……は? えっと、なになに。『紗綾ちゃんには唯くんがお世話になってるからね~。不束者ですが、唯くんをお願いします(  ̄ー ̄ )ゞビシッ 節度を守って、既成事実作っちゃってもいいから!』
これが実の母の言うことかよ!? ちょっとマジで母さん! いや、割とマジでどうした!」
俺はすぐにポケットからスマホを取り出して、電話をかける。かける相手はもちろん俺の母さんだ。
「もしもし――」
「もしもし母さん! 紗綾になんてこと言ってるんだよ!」
「あら? 嫌だった?」
「いや、そういう問題じゃないだろ!? 何が『節度を守って』だ! 母さんが一番節度守ってねぇよ!」
さすがに既成事実を作るなんて言葉が、節度を守ってのあとに続いてはいけないと思う。
「でも、紗綾ちゃんには昔から唯くんがお世話になってるし~? 実際あんた、紗綾ちゃんいないともう生きてけないでしょ?」
「うぐっ!?」
「むしろ、一緒に住みたいって紗綾ちゃんの気持ちを無碍にするなんてことを、あんたができると思ってるのかい?」
「ぐはっ!?」
「ほら、とにかく! 紗綾ちゃんそこにいるんでしょ? 変わってくれる?」
俺は傷心のまま、紗綾にスマホを渡す。
「はい……はい……え!?……は、はい! 頑張ります!!」
――いや、何をだよ……。
顔を赤くして『頑張ります!』は明らかにまずい。母さんがきっと電話で何かを吹き込んでいるんだろう。
紗綾から返されたスマホを受け取り、僕は耳に当てる。
「そういうことだから! あんたも見限られないように頑張りなさい!」
「あー、うん。頑張る……」
「じゃあ、そういうことだから!」
そう言って電話は切れた。
俺は理解が追いつかず、近くのソファに体を任せるように、勢いよく腰を下ろした。
「紗綾」
「な、なに……?」
あくまで俺は紗綾に感謝しているし、朝は冗談で言ったが、部屋はあるし住むことに関して問題はないのだ。
「これから、よろしく」
俺は改めて、紗綾にそう告げた。
「……うん! よろしく!」
紗綾は頬を赤く染めたまま、綺麗な笑顔でそういった。
「ところで、き、既成事実をつく――」
「作らないからな!!」
やりすぎたと反省はしている。しかし、後悔はしていない!
などと作者は宣っており……。
文字数に関しては3000文字を超えたら二つに分けます。なるべく2000字で書くので、ほんと今回はテンション上がって書きすぎちゃったんです許してください!
次回は『2話 幼馴染との共同生活』でお送りします!(構想段階なのでタイトルは変更される可能性があります)
高校生、年頃の男女が一つ屋根の下……。R-18展開はダメだって、お母さん(運営さん)、言ってた。そのタグつけてないのでそれなりに頑張ります←
次回予告に関しては、こんな感じの話が次回書かれるんだな、っていう風に見てください。
あと番外編の場合は次回予告に書かず、活動報告あたりに報告しますね。
それでは次回もお楽しみに!