孤独な少年と桜の乙女(次回更新未定)   作:宇彩

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更新が開いてしまって申し訳ありませんでした。

久しぶりの更新ですが、楽しんでいただけたら嬉しいです。


孤独な少年は、隣の席の少女に興味を持つ

 次の日の朝、登校し次第俺はいつものように机に突っ伏して寝た振りを始める。起きていたところで誰かになにか言われるだけだからいつも朝会の前はこうしている。まあ今日もこのまま担任が来るまでのんびりしているとするか。

 そう思って腕に頭を乗っけて寝る体制に入る。いつもなら誰にも話しかけられないでぼっちをエンジョイしているのだがしばらく経つと急に誰かに肩を叩かれた気がした。というかぼっちをエンジョイってなんだよすごそうだな。と、まあこのクラスでこんな俺に話しかけてくるような変わり者はいないので、誰かが間違えて当たってきたか。ちなみにこの時に顔をあげると「は?なにこいつ自分が呼ばれたと思ってんの?呼ぶわけないじゃん」と冷たい視線を向けられるので注意が必要だ。人ではないとなると背後霊でも取り付いているのだろうか。あらやだ11歳にして霊と仲良くなっちゃった?☆

 

 …うん、今の発言すっげーきもいな。

 

 にしてもボッチの得意技一人語りをしている間にまた肩を叩かれる。どんだけしつこいんだろうこの背後霊と重いながら俺はしぶしぶ顔をあげて振り返ると、そこには昨日の放課後に体育館裏で会った雪ノ下がいた。そいやこいつ同じクラスだったな、聞くまで忘れてたけど。

 

「やっと反応したわね。寝てるのかと思った」

「わり。で、どうした」

「その…昨日はありがとう。それでこれ」

 

 と言って雪ノ下は手を差し出してくる。その手にはばんそうこうが乗っけられていた。

 

「あー、別にいらないのに」

「でも昨日妹さんのために持っていると言っていたじゃない。それを私がもらってしまったのだから返すべきだと思うのだけれど」

「なるほど。ありがとよ」

「いえ」

 

 そう言ってばんそうこうを渡すと雪ノ下は当たり前のように俺の隣の席に座る。あ、なにこいつって思ったら席隣だったのかよ全然知らんかった。

 そして話している間の男子からの冷たい視線と呟きがこわかったですはい。

 

「雪ノ下さんなんであんなやつと…」「もしかして脅されてるのか?」「うわあいつひでえな」「ってかあんな濁った目のやつこの学校にいたっけ?」「いんや見たことない」

 

 脅してないからな?むしろ助けたまでである。あと最後のやつ二人あとで少し話がある。クラスメイトとして認識されてないならまだしも六年間いる学校の生徒としてさえ認識されてないとは恐ろしいことである。見たことないってここにいるからな?あと濁った目って言うな事実だけど。

 

 まあ今の男子の呟きでわかった通り、雪ノ下はそこそこ人気のようだ。まあ確かに成績優秀、容姿端麗というやつだからな。見ていて面白そうだし暇潰しに少し観察してみるのもいいかもしれない。

 

 弁解しておこう決してストーカーではない。誰に言ってるんだろうなこれ。

 

 そんなことを考えながらぼーっとクラスを見渡す。すると離れたところから雪ノ下を見ている数人の女子が視界に入った。何というか…俺が普段向けられるようなあまり好意的ではない視線。そういえば昨日もそうだったな。もしかしてと思いまわりに人がいないのを確認して雪ノ下に小さな声で話しかける。

 

「お前もしかしていじめられてるのか?」

「…その質問に答える必要はあるかしら」

「いや、なんとなく気になったから聞いただけだ。答えたくなければ答えなくてもいい」

「そうね…まあ女子にはあまりよく思われてないでしょうね」

「やっぱりか」

「ええ。私って男子によく告られるのよ?」

「自慢か?」

「ふふっそうかもしれないわね」

「お前変なやつってよく言われるだろ」

「あら、クラスメイトの認識さえしていないような人に言われたくないわね」

 

 ムッとなって言い返そうとしたとき、ちょうど担任が入ってきて朝会が始まったので話すのをやめる。途中でなぜあんな自慢のような発言をしたのかが少し気になったが少し考えたらわかった気がする。まだかもしれないくらいの考えだし、女子の考えはよくわからないから放課後にでも桜に聞いてみよう。桜が女子と呼べるのか分からないが。

 

 やっと今日も学校が終わる。ちなみにどの授業でも基本的に席順は変わらないので休み時間は雪ノ下とちょくちょく話をしていた。まああいつが変なやつだって事くらいしか分からなかったが。

 

 ベンチに行くと桜がしゃがんでなにかをじーっと見ているようだったのでとりあえず横に行ってみる。

 

「よ」

「あ、八幡さん!今日は早かったですね」

「おう。で、何やってんだ?」

「蟻を見てました!」

「暇なのか…?」

「いえ。見てくださいこの子」

 

 と言われたので桜が指差している蟻を見る。そいつは自分の体よりも大きな獲物を持ちながら歩いていた。

 

「すごいですよねこんなおっきなの持って…」

「そうだな」

「さて八幡さんも来たことですし蟻の観察はやめましょうかね。たくましく生きるんだぞ~」

 

 と言いながら桜は蟻に手を振ってからベンチに腰掛けた。なんというか行動ひとつひとつが小さい子供のようだな、俺より長く生きているとは思えない。そんなことを考えているのがバレたのか桜にジトーっと見られたので何食わぬ顔をして隣に座る。

 

「そうだ、桜」

「はい?」

「少しばかり聞きたいことがありんだが」

「何でしょう?年齢の話以外なら聞きますよ」

「まだそれ忘れてなかったか…まあいい。

例えば同じクラスに、男子に好かれてしかも成績優秀なかわいい女子がいたとする。女子から見たらそいつのことどう思う?」

「そうですねー…羨ましいというか少しばかり妬んでしまうというか…」

「やっぱりそうか」

「でもどうして急にそんなことを?」

 

 そういわれた俺は桜に昨日のことと今日のことをかいつまんで話した。桜はずっと「うーん」と唸りながら聞いていて、俺が話し終わると「あの…」といいながら俺を見る。

 

「八幡さんはその…雪ノ下さん?のことが好きなのでしょうか?」

「いや全く」

 

 そう言うとぱあっと笑顔になる。

 

「ですよね!よかったです」

「急にどうした」

「いえなんとなくですっ」

「はあ…?」

 

 俺の返事を聞いた桜はふふふ~んと鼻歌を歌いながら脚をパタパタとしていた。…やはり何を考えているのかよく分からないな。




いかがでしたでしょうか。

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お読みいただきありがとうございました。

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