孤独な少年と桜の乙女(次回更新未定)   作:宇彩

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今回は八幡と小町の回なので桜は登場しません。楽しみにしている方がいらっしゃいましたらごめんなさい。

とても更新があいてしまいましたが、楽しんでいただけたら嬉しいです。


孤独な少年は、妹と休日を…過ごす?

 ゴールデンウイークーーそれは子供にも大人にも楽しみにされている一週間。子供達は日々の疲れをものともせず友達と遊びまくり、大人達は日々の疲れを癒すための休日。

 え、お前はどうかって?もちろん八幡は友達とかいないから遊ぶ予定なんて無いですよ?寂しくなんかない!あれっなんか目から汗が…

 

 そんなわけで俺はこの休みやることもなく暇なので毎日ソファーでゲーム機片手にゴロゴロしているか宿題の消費をしていた。

 どれくらい暇かというと、毎日のように小町と

 

「ごみいちゃんさ…出かけなよ…」

「いや俺は疲れることが嫌いだからな」

「友達とかと遊ばないの?」

「は?オトモダチ?」

「…うん。変なこと言った小町が悪かったよ…」

「分かればよろしい」

「はあ…」

 

 なんて会話を繰り返すくらいだ。

 

 そんな休日をenjoyしていたゴールデンウイーク最終日、いつものごとくソファーでゴロゴロしていると突然リビングのドアがバンッと音を立てながら開けられた。何事かと思いドアの方を見てみると小町が期待したような目で俺を見ている。

 何となくめんどくさいことになりそうだと悟った俺は、とりあえずクッションに顔を埋めて何も知らない振りをした。すると小町が「おっにいちゃん♪」と言いながら俺の方に向かって歩いてくる。あ、やっぱ嫌な予感。

 

「ヘルプ!」

「…なにを」

「宿題が終わらない!」

 

 おおよそ予想していた通りのお願いをされた俺はいかにして小町の宿題を手伝わないかを考える。だってめんどいもんゴロゴロしたいもん!

 

「…それではそんな小町さんに問題です」

「てれんっ」

「…ノリいいな。第一問、その宿題はいつ出されたでしょうか」

「ゴールデンウイーク前!」

「第二問、このゴールデンウイークは何日あったでしょうか」

「十日間!」

 

 その返答を聞いた俺はにやっと笑う。

 

「つまり時間は充分あったってことだ。溜めたお前が悪いな。てなわけでおやすみ」

「ごみいちゃんその笑顔気持ち悪いよ…ってそうじゃなくて!手伝ってよ!」

「めんどい疲れる眠りたい」

「手伝って」

「自分で頑張れ」

「…大声出すよ?」

「近所迷惑なだけだな。俺はそんなのじゃ動じないぞ」

「言ったね…お父さーん聞いてお兄ちゃんがねー!」

「よーし分かった手伝おう!」

 

 親父は小町を超がつくほど溺愛しているのだ。喧嘩でもして頭ちょっと叩いただけで家から出されるレベル。手伝わないと目線で殺されるかもしれん。あらやだ怖い。

 そんなこんなで俺はソファーからしぶしぶ起き上がる。あばよ俺のゴロゴロする予定だった休日。

 

「で、どんな宿題なんだ?」

「好きな都道府県を選んで名産とかをまとめるとかなんとか」

「それならたしか俺が四年生のときにやったのがあるぞ」

「ほんと!?見せて見せて!」

「ちょっと待ってろ探してくるから」

 

 といって俺は自分の部屋に戻りファイルを漁る。と、それはすぐに見つかったのでそれを持ってリビングに戻る。

 

「ほらよ」

「ありがとうお兄ちゃん!どれどれ…」

 

ーーーーーーー

 

 4年 1組 比企谷八幡

 

選んだ都道府県

→千葉県

調べたことをまとめよ。

→特に調べてはいないが、俺にとってマッカンは外せない。異論は認めない。あの爆発的な甘味のよさがわからない人はいないだろう。それに何よりマッカンは…

 

ーーーーーーー

 

 渡されたときには希望に輝いていた目は次第に残念なものを見るような目に変わっていく。途中で読むことを諦めたのか小町はすっと俺の方に紙を渡してきた。

 

「…お兄ちゃんのを写そうとした小町が間違ってたよ…」

「そうか?良く書けてると思うんだがなぁ」

「マッカンのことばっかじゃん…」

「俺にとってはマッカン様だからな」

「…まあいいや自分で頑張るよ…」

 

 といって小町はパソコンを机の上に置いて俺の座っている横に座ってくる。

 

「で、どこ調べるんだ?」

「その時の気分で決める」

「さいでっか…」

「あ、目の前にりんご」

「小町ちゃん?まさかそんな簡単に決めないよね?」

「りんごといえば青森な気がするから青森にしよっと」

「…期待を裏切らないよなお前…」

 

 すると小町は「あっおもりあっおもり♪」と謎の歌を歌いながらパソコンのキーボードをパチパチ叩く。と、何か見つけたのか「ほへ~」と良くわからない声をあげる。

 

「見てみてお兄ちゃんすごい綺麗」

「良く分からんことしとらんではよ宿題やれ」

「宿題の一環だもん」

「へー。で、何が綺麗だって?」

「桜」

 

 といって小町はパソコンの画面をこちらに向けてくる。そこには青森県の桜の名所をまとめたのであろうページが表示されていた。

 

「確かに綺麗だな」

「青森って桜で有名なのかな」

「知らぬ」

「まいっかまとめに使っちまえ♪」

「…頑張れよ」

 

 そういうと小町はまた鼻唄を歌いながらキーボードをパチパチ叩き始めた。

 そんな小町を横目に見ながら俺はソファーに寝転がる。そういえば明日から学校だ…と憂鬱な気分になりながらも、明日の放課後桜の木の下に行こうと少し明るい気持ちになる。やはりあの桜の木の下でのことはとても楽しいからな。

 それが顔に出ていたのか小町に「お兄ちゃん…ニヤニヤして気持ち悪い」と言われたが。

 

 そんな感じで一時間ほどゴロゴロしているとやっと小町が「終わったー!」と伸びをした。

 

「お、お疲れさん」

「やっとこれは終わった~」

「ん?これ?」

「まだ宿題残ってるんだ」

「やれ今すぐにやれ」

「むー…」

 

 そんなことを言いながらしぶしぶ課題を始める小町の横で俺はずっとゴロゴロとしていた。

 

「お兄ちゃん…邪魔なんだけど…」

「いや俺の方が先にここいたよね!?」

 

 なんて会話も十回くらい繰り返しただろうか…理不尽だ…




いかがでしたでしょうか。

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お読みいただきありがとうございました。

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