孤独な少年と桜の乙女(次回更新未定)   作:宇彩

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というわけで、予告していたクリスマス短編です。今回は文字数少なめ。

タイトルにもあるようにこれは本編とは繋がりません。作者が書きたい!となって書いただけなので言ってしまえばifストーリーです。

楽しんでいただけたら嬉しいです。
では、どうぞ。


閑話 : 八幡と桜のクリスマス話(本編との関係なし)

「そういやもうすぐ冬休みか。クリスマスももうすぐだな」

 

 冬休みが近付いているある日のいつものベンチ。桜にあげるために持ってきていたたカイロで手を温めながら「温かいです~」とふにゃふにゃしてる(結構かわいい癒される)桜の隣で俺はそう呟いた。

 すると桜は「くりすます…」と呟きながらこてんと首をかしげる。

 

「くりすます…くりすます?なんですかそれ?焼き芋ならぬ焼き栗でも食べるんですか?」

「栗じゃねーよ。守り神にはそういうイベントみたいなのはないのか?」

「んー、秋には大規模ではありませんが収穫祭がありますよ。神様に今年も果実をありがとうございますーって。それ以外には特にありませんね。ところで " くりすます " ってなんなんですか?」

 

 桜はいかにも興味津々!という顔をしながらこちらに身を乗り出してきたので、俺はクリスマスについて説明を始めた。大昔に神様が生まれた日だからこの日にお祝いをすること、クリスマスツリーやクリスマスリースという飾りを出したりすること、クリスマスには家族や友人とケーキやチキンを食べてお祝いをしたりすること。そんな辺りを説明したあと、最後に俺はこう付け足した。

 

「あとはあれだな、いい子にしてるとサンタさんが来る」

「さんたさんとは?」

「クリスマスイブ…あ、イブってのはクリスマスの前日な、イブの夜に枕元やらクリスマスツリーの下やらにプレゼントを置いてくれる赤と白の服着て髭生やしてるおっさんがいるんだよ」

「プレゼント!そのサンタさんというのは優しいおじいさんなんですね!会ってみたいです!」

「あー…、起きてれば会えるんじゃね?」

 

 サンタの裏事情を知ってしまっている俺は目を輝かせながらそう言う桜の夢を壊したくなくなり桜から目を逸らしながら他に何かないか考える。

 

「あとは友達とプレゼント交換とかだな。まあ俺には交換する友達がいないまであるが」

 

 クリボッチっていう言葉あるよね。あのボッチっていうのはどこからの事を言うんだろうか。まあ俺には小町というスイートエンジェ…あ、あいつ今年友達の家に泊まりでクリスマスパーティだって言ってたっけか。ま、まあ悲しくなんてないんだからっ!どうした俺。

 そんなことを考えていると…大半が現実逃避だったが…隣から腕をくいくいと引っ張られたので桜のほうを向く。すると桜はさっきまでのキラキラとした表情のまま口を開いた。

 

「プレゼント交換してみたいです!しましょうよ!」

「プレゼントなんて用意してないが?」

「細かいことはいいんです!というか私がプレゼントをもらってみたいだけですから!」

「さいですか…まあいいが」

「やったやった!で、プレゼントと言うのは何を頼めばいいのですか?」

「んー自分の欲しいものとかか?よく分からんな」

 

 そう言うと桜はんーと唸りながら考え始めた。桜みたいな黒髪なら髪留めとか合いそうだなーとかぼけーっと考えながら待つこと数分、桜は申し訳なさそうな顔をしながらこちらを向く。

 

「ものが思い付かなかったんですがものじゃなくてもいいですか?」

「いますぐ視界から消えてほしいとか言うのじゃなければいいぞ。ちなみにこれはクラスのやつに言われたことがある」

「なんか寂しい話を聞いた気がしますが…そんなことじゃないですよ!あのですね、……頭を撫でてほしいんです……」

「すまん、重要なところが聞こえなかったんだが」

 

 俯きながらぽしょりと呟いていたために難聴系主人公ではない俺でも聞き取れなかったのだが、それを指摘すると桜は髪から少し覗いている耳をなぜか真っ赤にしながらもう一度言った。

 

「頭を撫でてほしい…です」

「え、そんなのでいいのか?」

「はい、普段は頼めないので…。それがいいです」

「はあ…」

 

 俺が息をつくと、断られると思ったのか桜は寂しそうな顔をして俯いてしまったが、その俯いている頭に手を乗せると驚いたように顔をあげた。しばらくそのまま綺麗な黒髪をさらさらと撫でていると桜は猫のように幸せそうな顔をしながら「ふにゃ~」と呟き始めた。

 

~・~・~・~

 

 結局そのまま二人ともが満足するまで八幡は撫でていたのだった。ちなみに桜が可愛くて八幡はずっと癒されていたらしい。

              おしまい




いかがでしたでしょうか。

信頼している人に頭撫でられるとなぜか安心するよね という作者の考えから なら番外編そういう話にしよう! となりノリで書いてみました。クリスマスだし桜さんをいつもよりかわいく書きたかったんですがいかがだったでしょう(笑)

~・~・~・~

恐らく年内は最後の更新になります。
五月にこの作品の投稿をはじめてから読んでくださっている皆さん、今年も本当にありがとうございました。来年もよろしければ八幡の成長を楽しんでいただけたら嬉しいです。

それでは、メリークリスマス&よいお年を!

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