【完結】ハーマイオニーと天才の魔法式   作:藍多

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今回で本編完結となります。

2017年5月2日に初投稿してようやくここまで来ることができました。
出来ればピッタリ一年で最終話を投稿したかったですけどなかなかうまくいきませんでした。

それではエピローグどうぞ。


エピローグ

2016年9月1日 キングス・クロス駅 九と四分の三番線。

イギリス魔法界を揺るがした戦争から早くも二十年近い年月が経過していた。

例年通り、この日はホグワーツ魔法魔術学校に向けて多くの子供たちが旅立つ日である。

長年過ごした我が家同然のホグワーツに帰る上級生。

まだそこまで自分の家であるとは思えていない下級生。

そしてホグワーツへの期待と不安を抱いている新入生。

 

その新入生の中にその子はいた。

金色の癖のある髪の毛を持った少女。その目はあたりを見渡しては興味深そうに観察している。

その後ろに付いている白い髪のメイド姿の少女が声をかける。

 

「お嬢様、そろそろ出発の時刻になります。」

 

「分かった! お父様とお母様に挨拶してくる!」

 

そう言って両親のもとに駆け寄っていった。

 

「お父様! お母様! ロザリー・テイラー、行ってまいります!」

 

少女の両親は非常に若々しい、いや若すぎる。未成年と言えるほどだ。

そしてそんな二人を周りは遠巻きに見ている。

父、レナードと母、ハーマイオニーは愛娘に優しく言う。

 

「ロザリー、自由に色んな事を学んできなさい。何かあったらすぐクーや僕らに連絡するようにね。」

 

「頑張るのよ。戻ってきた時の成長を楽しみにしているわ。」

 

最後に最愛の両親にキスをしてロザリーは蒸気機関車に飛び乗る。

コンパートメントの確保と荷物の積み込みはクーが既に完了していた。

蒸気機関車が出発する。生徒たちは窓から顔を出したり手を振ったりして家族との別れの挨拶をする。もちろんロザリーも例外でない。

 

「体調に気を付けるのよ! 手紙すぐにでも出すわ!」

「頑張りなさい。クー、ロザリーをよろしく頼むよ。」

 

「お任せください! お嬢様の安全は全身全霊でお守りします!」

「行ってきまーす!」

 

 

蒸気機関車はどんどんスピードを増し、キングス・クロス駅はすぐに見えなくなった。

コンパートメント内はロザリーとクーの二人だけであった。

 

「お姉さま、荷物ありがとう! これからホグワーツでもよろしくね!」

 

「はい。これから7年間お世話させてもらいます。」

 

クーは身体機能をフル活動させ体内の(命の水)が全身から漏れないように気を張っていた。

 

(ああ……。お嬢様は年々、可憐にお美しくなられますね。そんな崇高な存在のお世話をできるなんてなんて名誉! レナード様、お母様、わたくしやり遂げて見せます!)

 

クーが密かに決心しているとコンパートメントの扉がノックされた。

許可を出すと青白い顔でプラチナブロンドの男子が一人入ってきた。

そして騎士が姫にするかのように跪いた。

 

「お久しぶりです、ロザリー様。それにクー様も。スコーピウス・ヒュペリオン・マルフォイ、今年からホグワーツで共に勉学を励むことができると思うととても嬉しいです。」

 

「あー……久しぶりね、スコーピウス。何度も言うけど、様つけるの止めてくれない? わたしは別にあなたに何もした覚えはないわよ。」

 

「とんでもない! あなたの父上のレナード・テイラー様はぼ……私の母上の命の恩人です! ならば敬意をもって接するのが貴族というものです! 微力であり、不要ではあるでしょうが、私はあなたの力になりたいのです!」

 

スコーピウスとしては精いっぱい貴族としての振舞いを恩人の家族にしているのだろうが、何となく威厳が足りないし、事実としてそれ以外のロザリー個人に向けての感情もあるのだろう。

ロザリーとしては友人として普通に接して欲しいのだが、なかなか直りそうにない。

クーはそんな二人のやり取りを見てほっこりしていた。

 

そんなコンパートメントに新たな来客が現れた。

 

「やぁやぁ! こんにちは! 僕はジェームズ・シリウス・ポッター! 今年からホグワーツに入学する新入生、よろしく! 全部のコンパートメントに挨拶回り中なのさ。」

 

「え、ええ。よろしくね。」

「ポッター? ああ、あのポッターの息子か。」

 

いきなりの登場に少し引き気味のロザリーと若干嫌な顔をするスコーピウス。

クーは興味ないのか見向きもしていない。

乱入者のジェームズはコンパートメント内を見渡してロザリーに目を向けるとその目を輝かせた。

 

「君、可愛いね。うん、僕は君が気に入った!」

 

「いきなり来て何を言っているんだこいつ。」

 

「うん? 君、失礼だな。育ちがなってないな。」

 

「マルフォイ家を馬鹿にするな!」

 

「マルフォイ家? ああ、スリザリンしかいない闇の魔法使いの一族か。元だっけ? こんな奴と一緒にいることないよ。僕と一緒のコンパートメントに行こうぜ。君とは是非とももっとお近づきになりたいよ。もちろんそちらの美人のお姉さんも。」

 

「結構よ。あなたのような人はお断り。」

 

「つれないねぇ。僕のパパはクィディッチの名プレイヤーで生き残った男の子、ハリー・ポッターだぜ。」

 

「あっそ。それなら私のお父様はレナード・テイラーよ。」

 

それを聞いた瞬間、ジェームズの顔から色が消えた。

 

「それともう一つ。私と近づきたいのならお父様から認められなきゃいけないわね。」

 

「は……はは。じ、上等じゃないか! これからホグワーツで大活躍して君にも君のお父さんにも僕が凄いって認めさせてやるよ!」

 

そのまま逃げるようにコンパートメントから出て行ってしまった。

ロザリーはその様子を見ながらこれからのホグワーツ生活も色々起こりそうだなと直感したが、そういうことも含めて楽しみが待っているのだと確信していた。

 

新たな生徒を乗せ蒸気機関車はどんどん進んでいった。

その先には日々に刺激こそ満載ではあるが、闇の魔法など微塵もないホグワーツが待っている。

 

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娘を見送ったレオとハーマイオニーはかつての学友と食事をしたりしてから自宅に戻って来ていた。

ウィーズリー双子やネビル、ルーナやそれ以外にも何人かと久しぶりに会うのは新鮮だった。友人たちは誰もかれも家庭を持ちホグワーツに通う子供がいるようである。これから娘のロザリーも一緒だからと仲良くしてもらえるようにお願いもしてきた。

 

「ロザリーは上手くやれるかしら? 友達は出来るかしら? 悪い虫は付かないかしら? いざこうして家から出ていてしまうと途端に不安になってしまうものね。」

 

「クーも付いているし大丈夫だろう。それにフレッド達の子供たちとも仲良くできるだろうし、僕は心配よりロザリーがこれからどんな風に成長するのか楽しみだな。」

 

ロザリーもクーも家におらず久しぶり、それこそ十年以上ぶりに二人っきりである。

何だか人数が二人分減っただけなのに空間拡張魔法で十倍にも家が広くなったかのような感じがする。

だけれどもハーマイオニーは娘の目があったため少し我慢していたが存分に愛する人に甘えることができる、なんてことも思っていた。

 

「ねぇ、レオ。久しぶりに思いっきり甘えていいかしら?」

 

「僕が断ったことあったかな? ……うん。何回かあったかもしれない。」

 

「えい!」

 

ハーマイオニーはレオに思いっきり抱き着く。

体温、臭い、感触、味。それらをたっぷりと堪能した。

 

「これからロザリーが卒業するまでの七年の間は毎日抱き着くわ。」

 

「ははは。これじゃあ魔法の研究は一時ストップかな?」

 

「いいの?」

 

「別に構わないさ。僕たちの時間は長い。それこそ宇宙が消滅でもしない限りはそうそう消えやしないさ。それにね。」

 

「それに?」

 

「恋人になった時に、魔法ばかり考えているようなヤツだ。君より魔法を優先することも多々あるだろう、なんて言ったと思う。でも今じゃ魔法と同じぐらいにハーマイオニー()の事が好きになっているのさ。だから魔法より優先するのも当然さ。」

 

二人は窓の外に青く輝く地球を背景に抱き合う。

 

「「愛してる。」」

 

レナード・テイラーとハーマイオニー・テイラー。

二人はこれから先、未来永劫、尽きることない永遠の生を愛する人の隣で歩むことを改めて誓った。

 

魔法は、世界は未だ解けることない未知が数多くある。

その全てを解明するなんてできないかもしれない。

それでも愛する人となら何も退屈することなど無いとレナード・テイラーは確信していた。

二人の行く先は果てしないが、きっと希望や愛が広がっている世界が待っているのだろう。




これにて本編完結です!
ここまで読んでいただきまして本当にありがとうございます!
これを書いている時点で、総UA120万以上、お気に入り数も7千越え!
正直ここまでになるとは思っていませんでした。
よくてお気に入り100ぐらいかなとか。
それに何度かランキング入りしたりと何もかも予想以上でした。
ハーメルンで完結したハリポタ原作作品も現時点で18作品と少なくこの作品が数少ない完結作品になったのもちょっと誇らしいです。

最初は自分の中で妄想しているだけでしたが、色んな作品を読んでとりあえず妄想を吐き出してみようと考えて書き出したのが一年前。
週1~2回のペースで投稿を続けてそれが完結までこれたのも読んでくださった皆様のおかげです。
自分として書きたかったのはオリ主そのものとハーマイオニーと結ばれるということ以外だと、
1巻:オリ主が賢者の石の罠をグレードアップ
2巻:バジリスクの過去と設定
3巻:オリジナル魔法生物
4巻:競技場爆破
こんなところは書こうかなとは思ってました。


以下各キャラクターのその後など。

・レナード・テイラー
現在魔法研究のため月に在住。
妻ハーマイオニーとは相変わらず愛し合っている。
愛娘のロザリーも溺愛。
魔法研究で様々な改革をして歴史に名を刻んでいる。
これからも変わらず愛する家族と生きていくだろう。

・ハーマイオニー・テイラー(旧姓グレンジャー)
愛する夫を支え続ける。
魔法研究の手伝いや育児その他色々と助けている。
人外の身体なので夫と共に外見は若々しい、というか未成年。
でもやろうと思えば大人モードも可能。

・クー
変わらずメイドをしている。
お嬢様を愛でるのが最近の趣味。
ロザリーにお姉さまと呼ばれて全身の細胞が暴走するのを抑えるのがきつく成っている。

・ロザリー・テイラー
レオとハーマイオニーの一人娘。グリフィンドール所属。
肉体的には人間である。
しかし基本的に高い魔力と治癒力はある。全身をレオ特製の魔法具で過保護すぎるほど守られている。なのでダンブルドアですら傷つけられない。
人外になるか、人間として生を全うするかはロザリーに決めてもらうつもりでいる。
『眼』など遺伝はしていないが聡明ではある。
恋人にするなら父(レオ)より強い男が良いと言う。無理ゲーである。

・ジルニトラ(レオ改造ドラゴン)
修行した後再度レオに挑戦→敗北→修行→挑戦……。
このサイクルを繰り返している。でも本人(竜)的には満足している。
この戦いの余波が大きいことが月に移住している要因になっている。

・アースキン・テイラー、フェリス・テイラー
存命。アースキンは全快し闇祓い局の局長に復帰。鬼の局長として頑張ってる。
フェリスはそんな夫を支えている。

・ハーマイオニーの両親
存命。孫娘のロザリーを溺愛している。
娘が肉体的に成長していないのはちょっと複雑。でも幸せなら良いかなとも。

・ハリー・ポッター
ホグワーツ卒業後はクィディッチのプロ選手になる。人気選手である。
大人になって大分精神的に成長して立派になる。
その後チームメイトと結婚して一児の父に。
息子がかつてスネイプの記憶で見た父親のようになりそうで胃が痛い。
原作と違う運命だが本人としては幸せな人生である。

・ジェームズ・シリウス・ポッター
ハリーの一人息子。祖父と父の名付け親から名前を貰った。
原作とは生まれた年が違うためロザリーと同学年。グリフィンドール所属
プレイボーイで父親を尊敬している。
ロザリーの事でスコーピウスとライバル関係に。

・ロン・ウィーズリー
父やパーシーのコネを利用して父と同じ偽の防衛呪文ならびに保護器具の発見ならびに没収局に所属。父と同じ仕事をして役立つことをしたいと思っている。
現在マグルの女性と交際中。

〇ウィーズリー家
・モリーは相変わらず力強い母親として一家を支えている。

・ビルはフラーへのアタックがようやく効果を発揮したところ。でもまだ結婚はしていない。

・チャーリーは独身。ドラゴンが恋人。ジルニトラを一度見て感涙している。

・パーシーは大臣補佐として順調に出世中。その内は大臣とも言われている。

・フレッドはアンジェリーナ・ジョンソンと結婚。一児を設ける。
・ジョージはケイティ・ベルと結婚。子供はいない
 四人揃って悪戯用品専門店を繁盛させている。

・ジニーは闇祓いに就職。独身。局長のアースキンの元で日々修業中。次期局長とも言われている。

〇マルフォイ家
・ルシウスは身体は完治することもできたが罪としてそのままにしている。
今は聖28一族筆頭として魔法界の未来のために残る命を使っている。

・ドラコは癒者になり多くの患者のために奮闘。その際アステリア・グリーングラスと知り合い恋人、後に結婚した。
アステリアの呪いは様々な方法を使うが解除できず最終的にレオを頼る。
呪いが解けた後はドラコ以降のマルフォイ家はテイラー家に忠誠を誓うようになる。

・アステリア・マルフォイ(旧姓グリーングラス)
原作同様「血の呪い」が発現するもレオによってあっさり解除。存命している。

・スコーピウス・ヒュペリオン・マルフォイ
ドラコの一人息子。スリザリン所属
母親を助けた縁でテイラー家と親交がある。
ロザリー・テイラーに貴族として忠誠を誓うが内心では恋心がある。
それ関係でジェームズ・シリウス・ポッターとライバルになる予定。

・ネビル・ロングボトム
レオの特別教室で自信と実力をつけた彼はどんどんと成長していった。
最終的には原作同様薬草学の教師となる。スネイプ先生は苦手だがちゃんと接することができるようになった。

・セドリック・ディゴリー
チョウ・チャンと結ばれる。
クィディッチの選手として活躍。ハリーとは良きライバル。

・ホグワーツの他の学生は特に変化なし

〇ホグワーツの教師、職員
・アルバス・ダンブルドア
エピローグ後もホグワーツの校長を続けている。
レオの娘が入学することでまたストレスが襲い掛かって来るのではないかと戦々恐々。
そろそろ寿命なので後継者を探さねばとも思っている。

・ミネルバ・マクゴナガル
相変わらず副校長でグリフィンドール寮監。変身術担当。

・フィリウス・フリットウィック
闇の脅威が去って傷も癒えたため復職。呪文学を担当。

・ポモーナ・スプラウト
変わらずハッフルパフの寮監。現在はネビルと二人で薬草学を教えているが
近いうちに引退しようかと思っている。

・セブルス・スネイプ
スリザリン寮監で闇の魔術に対する防衛術担当。
愛するリリーの仇であるヴォルデモートにリリーの命日に鉄拳をお見舞いしている。
そしてリリーへの思いは自分の中だけの秘密として生涯誰にも喋らない。
独身を貫く予定。
グリフィンドールいびり、スリザリン贔屓は変わっていない。

・ホラス・スラグホーン
魔法薬学担当。
スラグクラブで得たコネクションを活かして魔法界の立て直しに貢献していた。
相変わらずスラグクラブは開催している。ロザリーのことも気に入ることだろう。

・シビル・トレローニー
相変わらず役に立たない占い学
ハリーとヴォルデモートの予言が外れ、後にされたレオに関する予言のみ的中したことからダンブルドアとしても予言についてどう対処すればいいか頭を悩ませている。

・アーガス・フィルチ、ポピー・ポンフリー、イルマ・ピンス
相変わらず規則・医務室・図書室の鬼として君臨。

・ルビウス・ハグリッド
再生された森の森番をしている。
ジルニトラの記憶は抜き取られたため動物好きはそのまま。
だけど、ドラゴンだけは苦手になった。
魔法生物飼育学の教師ではない。


〇不死鳥の騎士団
生き残りは各自平和に暮らしている。
ムーディは高齢だが相変わらず元気に疑心暗鬼である。

・シリウス・ブラック
身体は回復したが、独身のまま。
親友の孫に滅茶苦茶甘い。ブラック家の金庫の鍵を渡そうとしたこともある。

・リーマス・ルーピン
身体が回復した後、原作同様トンクスと結婚して子供もできた。
狼人間ではなくなっているので何の憂いもなく子作りできたのであろう。


〇魔法省
純血主義者たちが減ったため色々とマグル生まれや混血に対して良い流れになっている。

・ルーファス・スクリムジョール
現在も魔法大臣。後任にそろそろ譲りたいが有能であるため残って欲しいと言われている。


〇闇の魔法使い、死喰い人
・ヴォルデモート
南極にて投獄中。これからも変わることはないだろう。
一年に一回スネイプが殴りに来る以外はたまにダンブルドアが来て様子を見ている。
それ以外は誰も来ないので徐々に人々から忘れられてきている。
スネイプとダンブルドアが死んだら本当に孤独で永遠の氷獄にいることになる。

・ベラトリックス・レストレンジ
原作同様御辞儀の子を妊娠、出産。ベラトリックスとその子がその後騒動を起こそうとするが、それはまた別の話。

・ピーター・ペティグリュー
実はひっそりと生き残っていた。
ネズミとしてその生涯を終えることになるだろう。


こんなところですかね。
ここまで良く書き続けることができたと自分でも驚いています。
これで本編は完結ですが、番外編としてその後やIF、他のキャラの視点なんかを書いていけたらとは思っています。
リクエストとかあったら活動報告へお願いします。参考にします。

次回作も決めましたので詳しくは活動報告の方で書きます。

それではここまで本当にありがとうございました!

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