今年もあとわずか。
正月中はできる限り書き溜めておきたいですね。
それでは64話どうぞ。
ハーマイオニーは怒っていた。
その矛先は魔法省から来たドローレス・アンブリッジである。
明らかに魔法省からの差し金と分かり切った生徒に対しての学ばせるつもりなど無い授業内容。
更には魔法省がホグワーツに干渉するために新たな役職を作り出していた。
それがホグワーツ高等尋問官である。簡単に言えばホグワーツの教師に対して停職や解雇をする権利をもつ役職だ。もちろん選ばれたのはアンブリッジである。
他にもハリー・ポッターに対しての過剰な罰則などがあるがそれらは大したことではない。
あのクソガエルは
その事実だけで許すことなどできるはずがなかった。
「まあまあ。落ち着いてハーマイオニー。僕は何ともないわけだしルーピン先生以外の闇の魔術に対する防衛術の教師でまともなのはいなかったし。高等尋問官だって僕にとってはどうでもいいものだしね。」
「でも!」
興奮するハーマイオニーをソファーに座らせて横に座り宥めるように頭を抱く。
「落ち着いて。僕は怒っている君よりいつもの方が好きだよ。」
そう言われてしまっては怒りを鎮めるしかないハーマイオニー。
「レオずるい……。」
しばらくそうしていると研究室に来客があった。
クーに対応させると少し困惑した状態で戻ってきた。
「レナード様。生徒の方たちがお見えです。」
「誰? フレッドやジョージかな。」
「いえ、それがかなりの大人数がいらしてます。ざっと見たところ今まで勉強会に参加していた生徒にスリザリンの生徒までいます。」
「何かしらね? どうするの?」
「とりあえずは中に入れようか。クー、奥の実験スペースを拡張しておいて。」
「かしこまりました。」
研究室の奥、実験をするためのスペースは空間拡張の魔法が施されている。
今は大広間ほどの大きさになっている。そこに入ってきたのはレイブンクローを中心とした週末に開催されていた勉強会の参加メンバーやロンを除いたウィーズリー兄弟やその他の生徒たちだった。スリザリンも少数ながら見える。
集まった生徒の代表してセドリック・ディゴリーがレオに用件を伝える。
「レオ。僕たちを鍛えて欲しいんだ。」
彼らが言うにはアンブリッジのやり方では身を守れないと考えたらしい。
そこで三年前に防衛術を教えていたレオに教師役として白羽の矢が立ったのだ。
「それに僕たちは例のあの人が復活した可能性が高いと思っている。ハリーがあれだけ言っているし、魔法省や日刊預言者新聞のやり方を見ても真実を隠そうとしている気がしてね。君にも聞いておきたい。あの人は復活しているのは本当かい?」
「本当です。ハリー・ポッターの言うように目の前で復活を見ましたからね。」
その発言に対して恐怖が広がるが、何人かは覚悟を決めたような顔になった。
「それを聞いてますます今のままじゃだめだと確信したよ。レオ、僕たちは力が欲しい。自分だけじゃない、大切な人たちを守れるだけの力が!」
その力強い言葉に集まった全員が頷く。
「スリザリンの方たちはどうなんですか。わたくしとしてはレナード様への危険が少しでも減らすためにはご遠慮したいのですが。」
クーの遠慮のない発言にその場にいた全員の視線がスリザリン生に向かう。一緒に来たと言ってもやはり信用していない部分があるようだ。
「……俺たちは純血じゃない。」
「スリザリンだからって純血主義が全てじゃないわ。」
「寮の皆に、特に純血の一族にばれるのが怖くて黙っているし、純血だって偽っている人だって多いのさ。僕だって母方の祖父がマグル生まれさ。」
「このまま闇の帝王が支配する世になったら俺たちは逆に生きにくくなるのさ。」
「それに、あーなんだ、その、テイラーに勝てる未来が見えないというか……。」
「それだったらそっちについた方が生き残れそうじゃない。それがここにいる理由よ。本当はもう少し参加したい人はいるだろうけど。決心がついてここに来たのは10人にも満たない私たちだけだけど、スリザリン全体の半分ぐらいはテイラー君につくべきか迷ってるわ。」
その発言にほとんどの者が納得した。
闇の帝王を直接見たものはいないが、レオが第三課題で使った魔法で吹き飛ばされそうだ。
それにレオが戦闘をしているところは何度か目撃しているが全力を出している様には見えないのだ。
「分かりました。今年は土曜日の午前の勉強会は戦い方を教えていきましょう。次の土曜日までに詳しい内容を決めておきます。それまでに参加するメンバーのリストの作成をお願いします。後は要望があれば何か考えて来てください。」
この日はこれで解散となった。
「やっぱりあのガマガエルにはみんな不満しかなかったのね。」
「そうだろうね。さて、色々と考えておこうかな。どうせなら授業ではできなかったことをやってみたいしね。」
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次の土曜日。
レオの研究室に集まったのは相当な人数になっていた。
レイブンクローはほぼ全員、136人。ハッフルパフとグリフィンドールは半分ほどだろうか合計139人。
スリザリンは流石に数は少ないがそれでも30人ほどはいる。
合計300人を超える数がレオの研究室に集まっている。全校生徒の半分以上だ。
これには流石のレオにとっても少し予想外だった。
「すごいなこれは。」
「それだけレオの事を認めてくれているってことよ。」
全員がレオの事を見ている。これからのことを期待している目付きだ。
「さてと。ここに集まったということは力が欲しいということでしょう。予想以上に人数がいるので全員に細かく教えることはできないと思いますが、今の闇の魔術に対する防衛術よりはましだとは思います。
これだけの人数なので実力に応じてクラスを分けます。
まずは、僕が教えていなかった三年生以下の生徒には基本的な魔法の使い方と戦い方を教えます。
次に四年生以上は
これらを使える人たちは僕が鑑定して各々に合った呪文を極める段階に進みましょう。
最後にそれ以上になったら僕がより役立つ魔法を教えていきます。
先に三年生以下に魔法の心得を教えますので、四年生以上は先ほどの三つの魔法を使えるように自習してください。使える人は使えない人に教えてもらえると助かります。」
三年生以下は喜んでいるが四年生以上は不満そうだ。
何人かはすごい魔法を教えてもらえると思っていたのかあからさまな文句を言っている。
「
その発言に同意するような声が次々と上がる。レオは溜息をつく。
「分かりました。なら
文句の主、スリザリン生の六年生が前に進み出る。それと使えない代表としてネビルが恥ずかしそうに前に出てきた。
「さて先輩、僕に
「分かった。いくぞ、
赤の閃光がレオの持つ杖を弾いた。それを見てどうだ! と自慢げな顔をする上級生にレオが採点する。
「30点ですね。ではネビル、彼に
「で、でも僕まだちゃんと使えないよ……。」
「大丈夫。僕が教えたでしょう。魔法を使うのはイメージが重要です。杖を相手に向けしっかりと呪文を言う、そうしたら杖先から呪文が発射する。命中したら彼の杖が宙を舞う。
それをしっかりイメージするんです。そしてその杖は君の元に飛んでくる。さぁ、イメージしましょうか。」
ネビルはレオの発言をしっかり聞いて繰り返し呟く。深呼吸して落ち着かせ準備ができた。
「
ネビルの放った武装解除は杖を弾き飛ばした。それだけでなくネビルの元に杖が飛んできた。
「はい、よくできました。50点。このように自分の手元に飛ばして奪い取ることもできる。先輩のようにただ放つだけならすぐにできる。」
「で、でも! それぐらいなら俺だってすぐできるようになる! ロングボトムができるようになったんだから!」
「ええ、このぐらいならちょっと練習すればできるでしょう。でもこれでも50点です。さて先輩杖をどうぞ。今からあなたへ100点の
「え、ちょ、ちょっとまっ」
「
レオの放った閃光は見えない速度で相手に突っ込んだ。
それは杖を弾くだけでなく持ち手自身をも吹き飛ばした。
後方5メートルほどにきりもみ回転しながら吹き飛ぶさまを皆が見ていた。着地点をクッションにしていたが気絶している。
「はい、このように同じ魔法でも使い方ひとつで強力に変化します。発動速度、呪文の飛行速度、効果の向上に無言呪文。大したことの無い魔法と侮っている相手ほど効果を発揮できるでしょう。」
レオの実力を目にしたことの無い一年生は目を輝かせている。
レオの事を知っている者も改めてそのすさまじさを感じている。
「それでは授業を開始しましょうか。」
ここにレナード・テイラーによるホグワーツ生強化活動が開始した。
後の世にホグワーツ最強の世代と言われる時代の始まりであった。
というわけで、レナード・テイラー先生による授業が開始しました。
名称は特にありません。ついでに勉強会という名目で堂々と隠しもしてないです。
ダンブルドア軍団? そんなものはない。
ハリーやロン? もちろん参加してないです。足手まといが加速する……。
スリザリン生も全員が純血主義やお辞儀の配下ではないだろうし
レオの力を見ているから反抗するのが出てくるだろうと考えて参加してもらいました。
ちなみに本作ではホグワーツの人数は寮一つにつき一学年が男女20人程度で
20人×7年×4寮=560人程度で考えてます。
原作は1000人ぐらいだったはずですけどそこまで多い描写が少ないのでこうしました。
これからどんどん生徒のレベルがアップしていきます!
お辞儀のホグワーツ攻略難易度が上がるな。
それでは次回お楽しみに。