【完結】ハーマイオニーと天才の魔法式   作:藍多

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気に入った小説ほどなぜかエタる気がする。
なぜだろうか?

何はともあれ62話どうぞ。


62. 裁判やら監督生やら

実力を示したレオたち三人は現在不死鳥の騎士団の会議に参加している。

積極的に任務に参加することはないとはいえ情報は必要だ。

レオ自身が闇の帝王のターゲットにされている可能性は高いからだ。

現在の騎士団の活動は主に情報収集とハリー・ポッターの護衛。その他は信頼できる仲間を集めることや巨人族や残っている狼人間に対しての説得などである。

 

「さて、今のところレオの力が必要なことはないじゃろう。それではわしは一度ホグワーツに戻る。各々任務をよろしくお願いする。」

 

レオたちもテイラー邸に戻ろうとするとムーディに呼び止められた。

 

「小僧。お主の使う防御、呪文を跳ね返したり防いだりする壁のようなものは魔法で発生させておるのか?」

 

「いいえ、魔法具を使っています。」

 

「そうか。その魔法具の量産はできるか? できるならば騎士団全員分が欲しいな。それがあれば生存率はかなり上がるだろう。」

 

「作るだけなら時間があれば可能ですけど使うとなると厳しいでしょうね。」

 

「扱いが難しいのか? それとも何か制限でもあるのか?」

 

「いえ、誰でも使えますよ。ただ魔法具一つをまともに運用するだけでもかなりの魔力が必要になります。僕は父譲りの多めの魔力があるので問題ありませんが平均的な魔法使いでは一つをまともに使うと攻撃か防御どちらかになってしまいますね。それなら自身で盾の呪文を使った方が効率が良いはずです。」

 

「うーむ。やはりそう簡単にはいかんか。トンクス! こっちに来い!」

 

ルーピンと話していたトンクスはビクッとしてムーディを見る。

その顔はこれから先の事を予想してすごく嫌そうにしていた。ゆっくりと出口の方に向かっている。

 

「えーと……。何かなマッド・アイ? 大した用事じゃないなら私は任務に行くね!」

 

「逃げるな。これから任務の空き時間にはわしが鍛えてやる。」

 

「うぇええええ!? なんでよ!」

 

「学生に負けるようじゃまだまだだ。実戦だったら死ぬぞ。任務までまだ少し時間があるな。行くぞ!」

 

「いーやー! 助けてリーマスー!」

 

ズルズルとムーディに引きずられて出ていくトンクス。

残されたのはルーピンとレオたち三人だ。

 

「さて私もそろそろ任務に行かなくては。君たちには言っておかなくちゃね。私は今年はホグワーツに行けないんだ。過激派の人間に戻っていない狼人間の説得するのが任務でね。闇の魔術に対する防衛術は今年は別の人間が担当することになる。」

 

ハーマイオニーはそれにショックを受けていた。

ルーピンの授業はとても評判がよくハーマイオニーも好きな授業だったのだ。

 

「ルーピン先生の後任は誰になるんですか? 私としては先生が今までで一番の先生でした。」

 

「ははは、それはありがたい。でも彼氏のレオの方が良いんじゃないかな? ま、真面目に言うと後任はまだ決まっていないが恐らく魔法省から何かしらの圧力があると思う。私としては教師を続けたかったのだけどね。」

 

そう言って任務に出発するルーピン。

騎士団が誰もいなくなった部屋に入って来る者たちがいた。

全員が赤毛である。ウィーズリー兄弟たちだ。

 

「よっ! 久しぶり。」

「相変わらず一緒にいるな。」

 

真っ先に挨拶するのはフレッドとジョージ。続いてジニーが入ってきて挨拶する。

その後に初めて見る顔が二人ほど追加された。

 

「おお、君が噂のレナード・テイラー君か。俺はチャーリー。ウィーズリー家次男でドラゴンキーパーをしている。」

 

「僕は長男のビルだ。君の考案した侵入妨害用の罠はすごいね。グリンゴッツでも君の話はよく聞くよ。」

 

上二人の兄と握手をする。ロンとパーシーがいなかったがロンは部屋から出てこず、パーシーにいたっては魔法省に勤めて家族とは袂を別ったらしい。

しばらくお茶会を楽しんでから帰宅した。双子の商品開発は順調の様だった。この感じであれば半年ほどで量産も可能であろう。

 

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それからしばらくしてハリー・ポッターが魔法省で裁判にかけられるという情報が騎士団とアースキンから聞かされた。どうやら吸魂鬼(ディメンター)に対して守護霊の呪文を使ったことを咎められるようだ。

 

「とうとう魔法省は吸魂鬼(ディメンター)の制御ができなくなったようだ。魔法省に帝王の魔の手が入り込んでるのではないかとスクリムジョールが危惧してたよ。」

 

アースキンは魔法省の腐敗ぶりを改めて見せられて憤慨している。

騎士団はハリーをグリモールド・プレイスに護送することにしたらしい。

その程度ならレオの力を借りずとも問題ないと判断されたのか特に救援要請はなかった。

 

その後、無事護送と裁判は終了しハリー・ポッターの無罪が確定したらしい。

ただ、双子からの手紙にはハリーが荒れて大変だったと愚痴が書かれていた。

どうも一人だけ状況を知らないでいたのが不満だったようだ。

それからは特に事件や任務はなく夏休みは平和に過ぎていった。

 

 

1995年9月1日 キングス・クロス駅 九と四分の三番線。

 

ホグワーツ行きの蒸気機関車に乗り込むレオたち三人。

両親たちとの別れの挨拶の最後にアースキンからの忠告があった。

 

「レオ、今年は魔法省から監査の名目もあって一人特大の厄介者が派遣されるらしい。一応注意しておけ。」

 

「分かりました。多分、ハリー・ポッターやダンブルドアが攻撃対象になるでしょうね。」

 

面倒な年になりそうだなと思いと共に列車は発進していった。

 

コンパートメント内でハーマイオニー、クーと三人で魔法についての意見交換をする。

自分以外の意見があると研究について構想が広がる。

レオ、ハーマイオニー、クーの三人は魔法使い、マグル生まれ、人外という異なった視点を持っているので一つの魔法について話し合うだけで面白いのだ。

そうしているうちに昼食の頃合いにすぐなってしまった。楽しい時間は過ぎるのが速いのだ。

 

「今日は私がお弁当を作ってみたわ。どうぞ召し上がれ。」

 

「ありがとうハーマイオニー。早速いただくとしよう。」

 

フェリスの指導の元ハーマイオニーの料理の腕はかなり上達している。

元来の呑み込みの早さもあってすぐにフェリスを上回るだろう。

 

「うん。おいしいよ。何というか食べていてホッとする感じがする。」

 

「おいしいです! やはり愛は最強の調味料ですね!」

 

「ふふ。ありがとう。ホッとするってことはフェリスさんの味、つまりレオにとって一番なじみがある、安心できる味だからじゃないかしら。私の料理もレオにとってそう思ってもらえるなら良かった。」

 

三人で食事を楽しんでいる。だがその空気をぶち壊すように扉が開かれた。

扉の先に立っていたのはグラッブとゴイルを連れたドラコ・マルフォイだった。

レオ達は無視してクーが扉を閉じようとする。

 

「ちょっ、ちょっと待て! テイラーに話があってきたんだ! おい、無視するな、僕は監督生だぞ!」

 

あまりにしつこいのでしぶしぶ扉を開けてマルフォイの話を聞くことにした。

 

「まったく、ペットの躾が行き届いてないな。」

 

「さっさと話してください。躾がなってないわたくしは今にも襲い掛かってしまいますよ?」

 

「ふぉっ!? ……んん。テイラーまずは伝言だ。“今からでも遅くはない。こちらにつけば悪いようにはしない。” ……僕からは聞きたいことがある。どちらが勝つんだ?」

 

「あれだけ殺すとか言っていたのに随分と弱気な帝王ですね。まぁ、いいか。質問の答えは闇の帝王が負けます。どこまで野望が実現するか、征服できるか、それは解りませんが、いずれは破滅するでしょうね。」

 

それを聞いたマルフォイは思いつめた顔になった。

 

「……そうか。僕たちに未来はないのか?」

 

「さぁ? 少なくとも死喰い人(デスイーター)には未来はないと思いますよ。」

 

マルフォイは扉を閉めて立ち去っていった。

父親が死喰い人(デスイーター)でマルフォイ自身にも何かあったのかもしれないが、興味はないことだ。

 

 

マルフォイが去ってすぐに勢いよく扉が開かれた。

そこには敵を見るような目をしたロナルド・ウィーズリーがいた。

 

「マルフォイの奴が何か話していると思ったら……。テイラー! お前やっぱりあの人の方に味方しているんだな!」

 

あまりにも意味不明な発言に流石のレオも理解が追いつかなかった。

ロンが何やら喚いているのを無視してハーマイオニーに聞いてみた。

 

「ハリーやロンはあなたの事を敵視しているからそれでマルフォイと話しててあちらに味方してると思い込んだんじゃないかしら? この人たちって一度認識したら改めもしないから。」

 

「なるほど。」

 

「おい! 無視するなよ! いいか!? ホグワーツで何か企んでいるなら僕が罰則を与えてやる。監督生には権限があるんだ。ハーマイオニーもこんな奴と付き合うなんておかしいよ。目を覚ますんだ!」

 

それを言った瞬間、ロンは吹き飛んで廊下に転がることになった。

やったのは勿論ハーマイオニーである。

 

「不愉快だわ。あんなことを言う人と同じ寮だと思うと恥ずかしいわ。」

 

「それにしてもマルフォイといい、ウィーズリーといい監督生は自慢したくなるのかな。」

 

「マルフォイは金やコネでどうにかなりそうだけど、ロンはどうして選ばれたのかしら? 選定基準がいまいち不明ね。」

 

「まぁ、どうでもいいことか。これ以上不快にならないようにこのコンパートメントに結界を張っておこう。」

 

騒音遮断、認識不能の結界を張ってこれ以上邪魔が入らないようにしてホグワーツまでの残りの旅を楽しむことにした。

 

誰も認識できなくなったコンパートメントの前で倒れていたロンを発見したのは双子の兄だった。弟を起こすと、なんであいつと、僕は間違っていない、とブツブツと言いながら自分のコンパートメントに戻っていった。

その様子に双子は肩をすくめるだけだった。




レオたちはウィーズリー家とロン、パーシー意外とは仲が良いです。
上二人の兄とは初対面ですけどビルとはグリンゴッツの金庫破り用の呪いを設置した関係で一応繋がりがありました。

もしハリーがレオと仲が良かったら臭い隠しの魔法具とか渡されて裁判すら起こらなかったですね。

マルフォイ一家はテイラー家と敵対したくない。けれどお辞儀を裏切れない。
という葛藤で現在揺れています。さてどちらに転ぶやら。

ハーマイオニーは原作と違って監督生になっていません。
両親公認とはいえ彼氏の部屋で過ごしているんじゃ当然かな。
グリフィンドールの女子はラベンダーあたりの名有りの女子が選ばれたと思ってください。それ以外の寮は原作同様です。

それでは次回お楽しみに。

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