【完結】ハーマイオニーと天才の魔法式   作:藍多

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別の物語を書きたいと思うことがありますが
まずはこの物語を完結させねば!

それでは59話どうぞ。


59. 不死鳥の誘い

レオが姿現しでホグワーツの競技場に到着する。

競技場や観客席は混乱と恐怖が支配していた。

レオが迷路を破壊しただけでなく、その場から優勝杯とともに消えたと思ったら次はハリー・ポッターが傷を負って優勝杯と共に現れた。更に追い打ちで闇の帝王が復活したと叫んだことでパニックになっていたのだ。

そんなことを知らず戻ってきたレオは周りの人間を何事かという感じで見ていた。

殆どの人間はレオの存在など気が付いておらず三大魔法学校対抗試合(トライウィザード・トーナメント)の進行もストップしているようなので研究室に帰ることにした。

 

「お待ちなさい!」

 

そこへ声がかかる。声の主はマクゴナガルだった。

 

「ミスター・テイラー! 無事だったのですね! あなたが消えてからポッターが戻って例のあの人が復活したと言い、この場は非常に混乱しています。ポッターがその場にあなたもいたと言うのです。今、ポッターは校長室でダンブルドア校長と話しています。あなたも来なさい。あなたには説明の義務があります。」

 

有無を言わせぬといった感じでレオを校長室へ連れて行くマクゴナガル。

 

「ベル〇―スオリジナル。」

 

いつもの様にお菓子の合言葉でガーゴイル像が退き校長室に入る。

中にはダンブルドア、ハリー、そしてスネイプがいた。

ハリーはレオの姿を確認すると走って殴りかかろうとしてくる。

クーがマントから戦闘形態に変形してハリーの腕を取り骨を外し拘束した。

 

「ぎぃっ! クソっ! 何をするんだ、離せ! そいつが何をしたか……いや何もしなかったせいであいつが復活してしまったんだぞ!」

 

「黙れ。それ以上マスターに害をなすつもりなら殺す。」

 

「二人とも落ち着きなさい。ハリーあまり動くと傷に障る。レオも彼女を抑えてくれんかのぉ。」

 

とりあえずクーを下がらせるが、ハリーはレオを睨み続けている。

 

「テイラー! なんで儀式を止めなかった! そのせいであいつが蘇ってしまったんだぞ!」

 

「止めても良かったけど、多分君が死んでた可能性が高いよ。それにあそこで妨害してもいずれは復活していただろうし、それなら君の血で復活した方が後々の為には良かったと言えるね。」

 

「訳の分からないことを言って誤魔化そうとするな! どうせ儀式が見たかっただけだろう!?」

 

「ハリー、落ち着きなさい。レオの言ったように邪魔をすれば君は死んでいたかもしれん。レオ、確認するがあやつはハリーの血を取り込んだのじゃな?」

 

「ええ、間抜けですね。」

 

「ああ、愚かじゃ。さて、ハリーから今夜の出来事については聞いた。確認のためレオにも話を聞いておきたい。優勝杯と共に姿を消してからどこに行って、どのようなことがあったのかを。」

 

レオは起こったことを全て隠さず話した。ヴォルデモートが復活したこと、その目的が何であるか。闇の陣営に誘われたこと、そして決別と死喰い人(デスイーター)を殺害したことも。

 

「最後に向こうが撤退したのでホグワーツに戻ってきました。研究室に戻ってもいいでしょうか?」

 

レオの何でもないように話す様子を見て全員が不気味に感じていた。

ダンブルドアはこのまま帰すわけにはいかないと思った。何が何でもこちらの味方につける必要がある。それに人を殺めたことに何も感じていないのはダメだ。そこだけでも正さねば。

 

「レオよ。君ほどの力があれば殺さずに無力化することもできたじゃろう。悪人だからといって殺すことはいいことではない。」

 

「殺さずに無力化もできましたけど、こちらの命を狙う輩を生かしておいたら面倒です。死は最高の無力化ではないでしょうか? アズカバンにでも入れますか? 多数の大人が未成年を殺そうとしてたんですよ、正当防衛だと思いますけど。」

 

「アズカバンは無理じゃろうな。おそらく魔法省は」

 

そこまで言った瞬間、校長室の扉が勢いよく開かれた。

入ってきたのは魔法大臣のコーネリウス・ファッジ、そしてハリーを心配してやってきたシリウス・ブラック、そしてレオの父、アースキン・テイラーだった。

 

「ダンブルドア! これはどういうことだ!? バーテミウス・クラウチがハリーを連れ去った? 戻ってきたハリーは怪我をしていて、例のあの人が蘇ったなんて叫ぶ! いったい何がどうなっているんだ!?」

 

「落ち着くのじゃ、コーネリウス。全て事実じゃ。ヴォルデモートは復活した。これからお主はやらねばならんことが多くある。」

 

「おいおいおい、冗談はやめてくれ。嘘だろう? ばかばかしい。そんな子供の戯言を信じるのかい?」

 

「嘘ではない。それにハリーだけでなくレナード・テイラーもその場に居合わせて復活を目撃している。」

 

ファッジはダンブルドアの視線の先にいたレオを見る。

 

「本当ですよ。何なら復活の儀式の詳細や必要な魔法薬を教えましょう。」

 

ファッジは見るからに狼狽している。ここにいる全員が頭のイカれた狂人に見えて仕方がなかった。

 

「そんな……ありえない、ありえない、ありえない!」

 

狼狽するファッジにスネイプが左腕に刻まれた闇の印を見せつける。

 

「大臣、これが何であるか説明は不要でしょう。ハッキリ言いましょう。あの人は帰ってきた。」

 

「ファッジよ。至急アズカバンを吸魂鬼(ディメンター)から解放するのじゃ。吸魂鬼(ディメンター)はすぐにでもコントロールができなくなるじゃろう。それと巨人への使者を送る必要もある。」

 

「はぁ!?」

 

ファッジのダンブルドアを見る目が変わった。明らかに敵として見る目をしている。

 

「そうか、そうなんだな! お前たちは私を貶めたいのだな! 認めんぞ。お前たちは間違っている! 偉大な魔法使いもとうとう歳で頭がおかしくなった! 英雄気取りの小僧も老人にいいように使われている! 優れた研究者などと称賛されているが所詮は子供! どうせ自分の研究の失敗でイカれてしまったんだ!」

 

そうわめき散らしてファッジは帰ろうとした。そこへ声がかけられる。

 

「ファッジ。」

 

その瞬間、ファッジは動けなくなった。

ダンブルドアやその配下の教師ども、それにポッターやテイラーの小僧どもが何を言っても無視して帰るつもりだった。

だがその声を聴いた瞬間、止まるしかなくなった。その声にはそれだけの力があった。

その声の主は怒りで自身の力が制御できていない。漏れ出す魔力だけで周囲に影響が出ている。部屋にあった魔法具がいたるところで壊れ始めている。

声の主、アースキン・テイラーはファッジに近づき話しかける。

それだけでファッジは息ができなくなりそうだった。

 

「ファッジ。今俺の息子になんて言った? イカれてるだ? レオの言ったことが信じられんと、そういうわけなんだな。」

 

ファッジは口をパクパクとするだけで声が出ない。

 

「父さん抑えて。僕は気にしてないから。」

 

息子の声で魔力を抑える。

校長室全体に圧し掛かっていた重圧が消えファッジは捨て台詞を言いながら走って逃げていった。

 

「アースキン・テイラー! お前は、クビだ! わ、私は帰ってやることが山のようにある。失礼する!」

 

そのあまりに情けない姿に全員がため息をつく。

気を取り直してダンブルドアが先ほどの話の続きをしだす。

 

「今見た通り、魔法省はダメじゃろう。アズカバンもすぐに機能しなくなる。レナード・テイラー君、君には不死鳥の騎士団に入って欲しい。」

 

「不死鳥の騎士団? 何ですかそれ?」

 

「以前に猛威を振るっていたヴォルデモートに対抗するために設立された組織じゃ。

再び闇に立ち向かうために結成する必要がある。君にはぜひそのメンバーになってもらいたい。

その力、知恵、どれをとっても十分すぎる資格がある。どうか、この老い先短い老人の頼みを聞いてくれんかの。」

 

「僕にメリットがありますか? 正直縛られて自由がなくなる気がします。」

 

「わしに出来ることならどんな要望でも聞こう。任務も君が必ず必要になるものでなければ無理強いはしない。これでどうじゃ?」

 

「……なぜ、そこまでして僕を不死鳥の騎士団に入れたいのですか? 僕が入ることで不協和音が生じる可能性は高いと思います。」

 

「…………分かった。本心を言おう。君と敵対したくない、それだけじゃ。

君という特大の不確定要素をできるだけ自分の陣営に置いておきたい。ヴォルデモートと敵対している時に君とも敵対したら確実に負ける。ヴォルデモートと敵対してくれれば最高じゃが、こちらに牙をむけないでくれるだけで良いのじゃ。だからわしは君の機嫌を損なうようなことはしたくないし、要望もできる限り叶えようと思う。これが嘘偽りないわしの考えじゃ。」

 

ダンブルドアの言葉は真実であった。ヴォルデモートでさえ強大な敵であるのにそれ以上の脅威と敵対などしたくない。予言のことなど無くともそれが嘘偽りのない本心であった。

だが、ダンブルドアのあまりのレオへの下手な態度に納得していない者もいた。

ハリー・ポッターやマクゴナガルがそうであった。

 

「ダンブルドア先生! なんでこんな奴の力を借りなくちゃいけないんですか! こいつはきっと僕たちが死にそうになってる時でも平然として裏切ります!」

 

「校長。わたくしもテイラーの騎士団入りには反対です。確実に問題が起きます。」

 

ダンブルドアとマクゴナガル、ハリーやシリウスなどが話しているのを聞きながらレオはどうしようか考えていた。そこへ声がかけられる。

 

「レオ。好きにすればいい。俺はお前がどんなことをしても受け入れるし、許す。もちろん叱る時は叱るけどな。それが親ってもんだ。」

 

「ありがとう、父さん。でも、入るにしても何かしら惹かれるものが欲しいな。」

 

その時校長室のある存在が目に入った。決まりだ。

 

「ダンブルドア校長、騎士団に入ります。ただし名目だけで自由に行動させてもらいます。それと後で頼みたいことがあります。」

 

「ありがとう、レオ。今日は疲れたじゃろうから戻りなさい。詳しくは明日話そう。これから忙しくなる。ハリーは医務室へ。マダム・ポンフリーが待っておる。」

 

レオは研究室に戻っていった。その際、他の先生たちや観戦に来ていたウィーズリー家の人とすれ違った。

ルーピンはレオの無事な姿を見るとドン引きするほど涙を流して喜んでいた。

校長室ではこれからダンブルドアを中心に色々と対策を練っていくのだろう。

興味はないが。

 

研究室の前でハーマイオニーが待っていた。

 

「お帰りなさい。それと優勝おめでとう。」

 

「ただいま、ありがとう。」

 

ハーマイオニーは何も聞いてこなかった。レオに対して絶対の信頼を寄せているからだ。

レオはそれを感じ取って闇の帝王の誘いを断ったのは間違いではなかったことを再認識した。

それに、色々あって誰からも優勝については祝ってもらえなかったが、ハーマイオニーに一言おめでとうと言われただけで十分だった。

明日になってから何があったかは話すとして今日はゆっくり眠ることにした。




レオ帰還。会場はハリーの叫びで大混乱。

クーに骨を外されれるハリー。原作主人公なのにこんな扱いですまん。

儀式を妨害したらハリーは死ななくても酷い目に合ってた可能性は高いですよね。
それにハリーの血を使わない方が後々お辞儀にとってはいいはずだし、結果的にはあのまま復活でOKだったはず。ダンブルドアもそう認識しているし。

ファッジの拒絶。あそこで連携してたらもっと被害は無かったろうに。

アースキンの怒り。レオが抑えてなかったらファッジは五体満足でなかったかも。

ダンブルドア「何でもしますから!」
ハリーからはダンブルドアが裏切り者と思ってるレオに対して低姿勢過ぎて幻滅気味。

レオ一応騎士団入り。ほとんど形だけ。
対価には何を貰うのだろうか。

ヒロイン(ハーマイオニー)は静かに待って「お帰り」とだけ言う。
それだけで十分なんですよ。

それでは次回お楽しみに。

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