さて、レオはどんな選択をするのか。
それでは58話どうぞ。
「レナード・テイラーよ。この闇の帝王ヴォルデモート卿の為に力を使うが良い。」
いきなりの勧誘に少し驚くレオ。
だが、レオ以上に
「我が君!? なぜこのような子供を!」
「こいつの父親はあのアースキン・テイラーです。危険です!」
「いくら優れていようとも純血でない者など!」
「黙れ。」
ヴォルデモートの一声で騒々しかった声は一切なくなる。
「腰抜けの貴様らの何倍もの価値がこいつにはある。
魔法を極めるためには非情になれる精神性、今までにない魔法や魔法薬を作り出す創造性、優れた魔法の手腕、そして何より魔法を読み解く『眼』。
どれをとっても素晴らしい。あのような
どうだ、レナード・テイラーよ。俺様の元で思う存分研究をしてみたくはないか?
どんなに倫理から外れようと咎めはせん。闇の魔法であるからと忌避もせん。
お前も今の環境ではいずれ限界がこよう。こちらに来ればそんなものは存在しない、どうだ? 悪い話ではないだろう。」
レオは考える。確かに悪い条件ではない。今の環境では学べないことも多くあるだろう。
だが、そんな短絡的な考えで闇の帝王の陣営に与したらどのようになるだろうか。
まずは、話をよく聞いて吟味しなければ。
「確かに魅力的ですね。こちらからも質問してもよろしいですか?」
「構わん。」
「ありがとうございます。まず一つ、あなたは僕に何を求めますか? 二つ、あなたは最終的に何が目的ですか? 三つ、僕が断った場合どうしますか?」
とりあえず疑問に思った事を聞いてみた。さてどのような返事が返ってくるか。
「順番に答えてやろう。お前に求めるものは優れた魔法や魔法薬の開発、俺様の目的のために多くのことをしてもらいたい。そして俺様の最終目的は全ての支配だ。優れた魔法使いが劣ったマグルを支配する。優秀なものが支配するのは当然の摂理だ。最後に逆らった場合……。拷問、洗脳、その『眼』を抉り出して我が物とする。まぁ、最終的には殺す。俺様に逆らう者は全員が死の恐怖を味わうことになるだろう。」
闇の帝王ヴォルデモートの最終目標は世界征服。魔法使いによる世界の統治だ。
それを聞いたレオはいかにも帝王と呼ばれる存在の目的だなと思った。
「僕は自分の研究を最優先にしたいのであなたの要望は後回しになることもありますよ。」
「それならばお前が興味を引くような要求を考えるまでだ。さぁ、どうする?」
(魅力的な提案ではある。闇の陣営が負けたら洗脳されたとでも言って逃げればいいか。……それともう一つ聞かなくては。)
レオの頭に
「支配した後はマグルはどうなりますか? 具体的な統治方法やマグル生まれの処遇は?」
「まずは、イギリス魔法界を統一してからマグルのトップを全員服従の呪文で傀儡とする。そうすれば平民どもは意のままだろう。他の国の魔法界も順次支配していく。マグルは家畜や奴隷だ。マグル生まれはそうだな、マグルよりは少し上等な労働力といった扱いだな。」
ヴォルデモートは自分が支配している光景を思い描いて優越感に浸っている。必ずそうなると信じているようだが、そうは上手くいかないだろう。マグルも他国も侮りすぎだと言わざるを得ない。
それにマグル生まれの扱い、つまりはハーマイオニーを、最愛の恋人をくだらない存在であると認識していることが分かった。それだけでレナード・テイラーが味方することはあり得ない。
以前までのレオであればより良い研究ができるとあっては闇の陣営に躊躇なく参加しただろう。
しかし、ハーマイオニーの存在がそれを変えた。告白されたとき魔法を優先すると言ったが、その場面になったらハーマイオニーの方が大切になっていることに気が付いた。
愛は時に全てを上回るのだ。
「色々聞かせてもらったが、断る。」
「ほう。意外だな、より素晴らしい魔法の研究ができるのだぞ?」
「今の研究環境に限界があることなど理解しているし、改善策など構築済みだ。それにいずれは負けるような場所には興味ないな。」
今の発言には流石に怒りがこみ上げてきたヴォルデモート。
冷静に声を出そうとしているが隠しきれない怒気が溢れてきている。それだけで周りの
「この闇の帝王が敗れるだと? 天才魔法使いの貴様は何をもってそう断言する。」
「箱と血。」
「箱……まさか、なぜそれを! それと血とは何だ!?」
「敵に答える必要があるか?」
二年前のトム・リドルの日記からヴォルデモートは不死になるために
それから復活時にハリー・ポッターの血を使ったせいで血の守りがそのままヴォルデモートに宿っている。あんな状態ではハリー・ポッターを殺せないだろう。
「それじゃあどうしようかな。……面倒だし帰ろうかな。」
「このまま逃がすと思うか? なめられたものだ。」
ヴォルデモートは
主の期待に応えるため、自分たちより価値があると思われている生意気なガキを制裁するため、そして憎きアースキン・テイラーの息子を痛めつけることができるというだけでたぎってくる。
仮面で顔は隠れているがニヤニヤと嘲笑っているのが分かる。そんな顔がすぐに出来なくなるとも知らず。
先頭の一人が姿が消えた。
その場には血と肉でできた水たまりが広がっている。
そして次々と見えない力に押しつぶされて肉塊と血の海が広がり続ける。
その光景に固まっていた仮面の男の数人の首が音もなく落ちる。
次々と仲間たちが屍と成り果てていく様を見て混乱する
こんなことをする人間は、敵対している存在はレナード・テイラーしかいない。
だが、レオは杖を構えてすらいない。ただ見ているだけだ。だがそれだけで見られた人間が潰れていく。首が切り落とされた奴らは見向きもされていない。
恐慌状態に陥った生き残りたちは一斉にレオに向けて呪文を放つ。
だが、レオのマントが伸びほとんどの呪文を弾き飛ばしてしまった。
それでも防ぎきれなかった数発の呪文もレオに当たることなく反射されて
だが、言い逃れや賄賂で平穏な生活に戻っていたような奴らは心が折れてしまっていた。
「化物……。」
誰かが呟いた。
そうだ、こんなの化物だ。顔色一つ変えず作業をするように人を殺していく。魔法も通じない。まだ、父親のアースキン・テイラーの方がマシだ。アレは規格外なだけで魔法使いには違いない。だが、ここにいるこのガキが得体の知れない存在に思えてならなかった。
「やはり、貴様らではこいつの相手は無理であったか。下がれ。無能な貴様らでも貴重な資源だ。これ以上数が減ったら後々の計画を修正せねばならん。俺様が直々に始末をしてやろう。」
ヴォルデモートがレオの前に立つ。同時に他の
しかし、流石は闇の帝王。不可視の力を頭上に展開した盾の呪文で防ぎ、斬撃を素早い姿くらましで避ける。
姿を現した帝王は墓地中の墓石を浮遊させレオに向けて高速で突撃させた。
レオは周囲に無数に呪文を展開してこれを撃ち落とす。
ヴォルデモートもこんなものではレオに傷一つ与えられないと知っていた。
だが僅かでも隙ができた。その隙をついてレオの真後ろに姿現しをして死の呪文を放つ。
「
ヴォルデモートは勝利を確信した。ハリー・ポッターの時とは違い、誰かが犠牲になって守護しているわけではない。反対呪文も存在しないこの魔法は必殺なのだ。
だが、その常識もレナード・テイラーには無意味であった。振り向いたレオの胸に直撃したのに何の効果も発揮していないように平然と立っている。
胸のあたりを確認するように触っているが何のダメージも無さげだ。
「ははは、流石はクーだ。最強の闇の魔法使いの死の呪文も防ぐことができるか。」
「おのれぇ……!」
闇の帝王は馬鹿ではない。このまま何の対策もせずに目の前の脅威に挑んだら敗北する可能性が高いことなど理解していた。自分だけなら戦えるかもしれないが下僕どもは残らず殺されるだろう。
怒りに顔を歪ませ、プライドが粉砕されても最後に勝つための方法を選んだ。
「全員、姿くらましで撤退だ! レナード・テイラー! せいぜいその命を大切にしておけ。いずれ必ず殺す!」
闇の帝王と生き残った
「ちょっと面倒なことになったかも。これなら復活を妨害しても良かったかな。ああ、そうすると復活の儀式が見れなかったしなぁ。世の中ままならないってことかな。」
「これからどういたします、マスター?」
「別にどうもしない。向こうが攻撃してきたら殲滅。何もしてこないなら研究しながらいつものように過ごそう。」
死体の処理は魔法省か復活を悟られたくない闇の陣営がどうにかすると判断して姿くらましでホグワーツに戻った。
レオはお辞儀と敵対する方を選びました。
ハーマイオニー存在しなかったら、レオを攻略していなかったら、お辞儀の勝利が確定していました。やはりヒロインの存在は大きかった!
虐殺される死喰い人(モブ)。パパフォイは逃げることに成功しました。
押しつぶしたのは全力の
手加減していないので容赦ないです。
逃げるお辞儀。
死の呪文はクーの細胞を一つ殺しただけで全体に効果はありません。クーは細胞一つ一つが生きていてアバダ・ケダブラは殺せる命は一つという設定。
このままではお辞儀は勝てません。さてこれからどうするのか……。
書いてる私にも勝てる未来が見えん。頑張れ!
それでは次回お楽しみに。