来年の今頃は何を書いているかな。
この物語は完結しているはずだけど、どうなっているやら。
それでは57話どうぞ。
レオが優勝杯を手にした瞬間に
だが転移先がおかしかった。
本来ならば迷路の入口に転移して優勝したことをアピールするはずであったのだ。
だが、レオが今立っている場所は暗い墓地の真ん中。
異常事態を感じて指輪の防御機構を全開、『聡明』も発動してどんなことにも対処できるようにしておく。
「クー、対抗試合の一環かもしれないけど警戒を怠らないように。」
「了解しました。……後方に人間がいます。」
振り向くと同時に
特別強力なわけでもないが、念のため躱す。それと同時にクーがコートから触手を伸ばしてその相手の腕を切り飛ばす。
倒れた相手を確認するために近づく。相手は男だったが知らない人物だ。明らかに正気では無い顔でうずくまっている。よくよく見ると魂にズレがあるように感じる。
「確かクラウチもこんな感じだったような……。」
「そいつはバーテミウス・クラウチだ。魂を息子と入れ替えて心は壊して服従させているがな。今、クラウチの中身は俺様の部下のクラウチ・ジュニアだ。」
墓場の奥から声が聞こえてきた。
そちらを見ると去年逃走したピーター・ペティグリューが醜い赤ん坊ほどの生物を抱えて歩いてきた。それを『眼』を使ってみて何であるか理解した。
「お久しぶりです。闇の帝王ヴォルデモート卿。ここに僕を連れてきたのはあなたの計らいですか?」
「そうだ。前に会った時、復活したら話そうと言っておいたはずだ。今日! 俺様は復活する!」
「どうやってです? 賢者の石なら渡すつもりはないですよ?」
「今に分かる。しばし待っておれ。忠実なしもべが最後の材料を持ってやって来る。」
レオはペティグリューが大鍋と魔法薬の準備をしているのを観察しながら考察する。
(墓場……死体。魔法薬は肉体を分解するもの。なるほどなるほど、最後の材料は誰かな?)
儀式の大よその見当がついた。しばらくして
「お待たせいたしました、我が君。ポッターを連れて参りました。」
ハリーは抵抗しているが縛られて動けない。
「クラウチ! これはどういうことだ!? なんで、ピーターがここにいる!? それに消えたテイラーまで!」
「黙れ! 貴様はこれから我が君復活の材料になってもらう!」
ハリーは墓石の一つに縛り付けられながら台座の上に置かれている醜い生物、ヴォルデモートを見た。
「ヴォルデモート……! クラウチ、ピーター! やめろ! クソっ、テイラー見てないで何とかしろ! お前ならこんな奴らどうにかできるだろう!?」
「無駄だ。こやつは俺様のことを恐れていない。何より今から行う儀式の方が興味があるだろう。」
ヴォルデモートは笑う。事実、レオはハリーのことなど眼中になく復活の儀式に興味津々であった。
「ご、ご主人様。準備が整いました。」
「始めろ。」
クラウチ・ジュニアが見守り、レオが観察する中儀式が始まった。
大鍋にヴォルデモートが入れられる。
「父親の骨、知らぬ間に与えられん。父親は息子を蘇らせん!」
トム・リドルと書かれた墓石が割れ、その下から出てきた骨が細かく砕かれながら鍋の中に投入されていく。
魔法薬は鮮やかな青色に変化する。
「しもべの肉、喜んで差し出されん。しもべはご主人様を蘇らせん。」
クラウチ・ジュニアがペティグリューの右腕を切り落とし鍋に放り込む。
鍋の中身は青から燃えるような赤色へと変わった。
「敵の血、力ずくで奪われん。汝は敵を蘇らせん。」
クラウチ・ジュニアがハリーの腕を切り付ける。
流れ出した血が鍋の中に注がれる。
「あっ……。」
レオは何かに気付いたが、儀式はすでに終わってしまっている。鍋の中身は目も眩むような白色に変わりその中から人が立ち上がる。
その人物は骸骨のようにやせ細り、背が高かった。そして顔は赤ん坊の姿と同じように崩れた醜い、人とは思えぬような顔であった。
今ここに、史上最悪の闇の魔法使い、ヴォルデモート卿が復活した。
ヴォルデモートは自身の体を隅々まで見渡しながら己の肉体があることの喜びをかみしめていた。一分ほどそうしていただろうか。
「ローブを着せろ。」
クラウチがローブを着せていく。壊れ物でも扱うように丁寧で慎重な手つきだ。
そして用意してあった杖を愛おしそうに手にする。
「腕を出せ、ピーター・ペティグリュー。」
ペティグリューはその言葉に材料に使った腕を治療してもらえるのだと思ったのだろう。先の無い右腕を差し出すがヴォルデモートは左腕を掴んで入れ墨、闇の印を確認した。
「戻っているな。全員が気が付いているはずだ。……何人戻ってくるのか、真に忠誠を誓っているのかがはっきりするだろう。」
ヴォルデモートは指を入れ墨に押し当てる。
瞬間、赤から黒に色が変わる。その様子をレオは観察している。
(へー。よくできているな。あれなら誰にも悟られず発信ができる。参考にさせてもらおう。)
しばらく後にヴォルデモートを中心に次々に姿現しで
「よく来た、我が下僕どもよ。今どんな気分だ? 貴様らは五体満足で何不自由なく過ごしていたわけだ。なぜ誰も主を助けようとは思わなかった?」
その言葉に誰も何も言えなかった。
しばらくヴォルデモートによる罵倒や磔の呪文による制裁が続けられることになった。
「さて、俺様の復活の儀に客人を招いている。誰もが知る英雄、ハリー・ポッターと若き研究家、レナード・テイラーだ。」
「テイラーについては後でじっくり話すとしよう。まずは……ポッター!」
ハリーへと磔の呪文が炸裂する。
絶叫を上げ泣きわめくハリー。
「はははははは! この小僧がこの闇の帝王より強かったなど誰が信じられる!? ただの何も出来ぬガキではないか!」
ハリーを縛っていた縄を解き、自由にさせる。ハリーは磔の呪文によって苦しそうに地面に横たわっている。
「さぁ、目の前に両親の仇がいるぞ、ハリー・ポッター。今の俺様は気分が良い。一対一で戦ってやろう。決闘のやり方は知っておろうな? さっさと立たんか!」
ハリーを無理やり立たせるヴォルデモート。
「さぁ、お辞儀をするのだ。決闘とは礼儀を守る必要がある。お辞儀をするのだ、ポッター!」
無理やりハリーの腰を折ってお辞儀の体勢にする。
両者が対峙して杖を構える。
「
「
緑と赤の閃光が空中で衝突する。ヴォルデモートの圧勝と思われたそれは空中で拮抗した。
その普通ではありえない現象にレオの目が開かれる。
(あれは……杖の共鳴か? あり得ないことじゃないけど初めて見る。今日は運がいいな。)
その後、ハリーの閃光が押し切りヴォルデモートの杖から死者の幻影が出てくるなど不可思議な現象は続いた。
死者がヴォルデモートを阻むことでハリーはレオを連れてきた優勝杯を使って逃げ出すことに成功する。今頃はホグワーツでダンブルドアによって保護されているだろう。
「おのれおのれおのれ! ……まぁ、良い。いずれ殺す、必ずだ! さて。」
今の現象を分析していたレオに向き直る闇の帝王。
「待たせてしまったようだな。」
「いえいえ。色々と面白いものを視させてもらって満足です。」
「満足したなら良い。さて単刀直入に言おう。俺様の仲間になれ。」
ヴォルデモートからの直球な誘い。
この誘いの結果が魔法界の未来を左右することになる。
ヴォルデモート復活!
ジュニアはレオが迷路爆破した後に処理をすると言って抜け出して
目くらましの術と透明マントを使ってハリーに近づいて拉致しました。
第三課題でレオが予想以上に派手な事をしたから成功したようなもんです。
レオなら何かしらやらかすと予想してその隙に拉致する計画でしたけど
正直ガバガバで、よくこんな方法で復活できると思ってたなお辞儀。
最悪ハリーが来なかったら別の人間で復活するつもりではいた模様。
オリ主が代表選手に選ばれて墓地まで転移させられても大体ハリーと一緒に縛られてる気がする。
しかし、今作のオリ主、レオは復活の儀式を見たいという理由で妨害もしない。
何というか、色々とあり得ん行動ばっかしてるやつだな。
お辞儀様からのお誘い
さてどうなるかな。
没案で復活の儀式の最中に大鍋に細工してお辞儀がレオの下僕になるルートもありました。その場合次回で最終回でした。
それでは次回お楽しみに。