過去の三大魔法学校対抗試合の内容を妄想して書きましたけど、実際どんな内容だったんだろうか。そもそも死人が出るようなもんを開催する方が間違ってるよな。
それでは56話どうぞ。
とある屋敷。
その一室にそれはいた。
大きさは赤ん坊ほどである。しかしその顔は決して赤ん坊のようにかわいらしい存在ではなかった。頭髪は無く、肌は青白い。鼻は無理やり切り込んだように潰れ、瞳も人ではないことを表すように赤い。全体的に蛇のような印象を与える存在であった。
それが言葉を発する。
「儀式の準備は順調であろうな?」
ベッドの上にいるその小さく醜い存在からの言葉で平伏している男は震えながらも答えた。
「も、もちろんでございます。必要な材料の確保、場所、魔法薬の作成完了いたしました。呪文も完璧でございます。後は血さえあれば……。」
「血以外は出来て当然のものだ。聞いたのはそういうことではない。お前自身のことだ。その身を捧げる覚悟はできているのかと聞いたのだ。」
男はより一層震える。計画している儀式には必要不可欠なものが三つある。そのうち一つは自身の肉体なのだ。
(嫌だ、痛いのは嫌だ。ここで逃げたい。ネズミになってもいいから生きていたい。でも……、ここで逃げたら確実に殺される……!)
「も、もちろんでございます……。この身を捧げる覚悟はできております。」
「ならばよい。しばし眠る。お前はいつもの薬を用意しておけ。」
深々と礼をして部屋から男が出ていく。
醜いそれは自身の復活の計画とその先を考えながら眠りに落ちていく。
(あのようなネズミの如き屑に頼らねばならんとは、忌々しい。だがそれもあとわずか。予想外のことがあったがそれでもまだ問題ないだろう。むしろほとんどの人間の目は奴に注目するはずだ。ダンブルドアでさえ奴を見る目は普通ではなかったからな。復活の儀式には奴もいるだろうが、ほぼ妨害はないとみて間違いはあるまい。奴は儀式に興味は持ってもその邪魔はしないはず。後は忠実なあいつがポッターの小僧を連れてきさえすれば……。その後は再び……。)
その存在は自身の復活もその後の支配も疑うことなどなかった。
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第三課題当日。
レオがいつもと変わらない朝食を食べているとフリットウィックが声をかけてきた。
「テイラー君。代表選手のご家族が招待されてきています。こちらにおいでなさい。」
案内されて部屋に入ると父アースキンと母フェリスが待っていた。
他の代表選手たちもそれぞれ家族と久しぶりの会話を楽しんだり激励を貰っている。
「おお、来たなレオ。派手にやってるみたいだな。このままもっと驚かせるようなことをしてもいいぞ。俺が許す!」
「あなた、あまりそんなこと言わないの。それよりも……、何か報告することはな~い?
ほら、ハーミーちゃんとはどうなったとか!」
嬉しそうに聞いてくるフェリス。とっくの昔にハーマイオニーの両親経由で二人の仲は知っているのだが、息子の口から改めて聞きたいのだ。
「ああ、そのことですか。知ってるみたいですけど改めて、ハーマイオニーと恋人になりました。」
「へ~ふ~ん。そうなのね。で、どっちから告白したの? どこまでイッたの? というかハーミーちゃんはどこ!?」
「フェリス、落ち着け。母さんがこんなだが二人のことは応援してるぞ。もちろん俺もだ。結婚も賛成だが……、責任は取るようにな。」
「はい。ハーマイオニーのご両親にも挨拶に行った方が良いかな?」
「ハーミーちゃんの家族も結婚までOKよ。むしろ二人の仲を見てたら恋人になるのも遅いぐらいよ。私たちはずっともやもやしてたのよ。今学年が終わったらみんなでお祝いしましょう。」
「ハーマイオニーにも伝えておくきますよ。優勝賞金で盛大にパーティーができるね。」
「おいおい、もう勝った気か。でもそれでこそ我が息子だ。」
「聞き捨てならんな、アースキン。」
レオの優勝宣言と父親の当然といった態度にセドリックの父親のエイモス・ディゴリーがアースキンに近づいて来た。
「君の息子は大層優秀で素晴らしいみたいだが、勝つのは我が子セドリックだ。」
隣にいるセドリックは止めて欲しそうにしているがエイモスの息子自慢は続いている。相当に親バカの様だ。
アースキンもそれを知っているのか適当に聞き流して対応している。
その後は代表選手同士や家族で団欒して時間が過ぎていった。
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ホグワーツ内にあるクィディッチ競技場。
毎年各寮のチームが熱戦を繰り広げている場所だ。
それが今や人の何倍の高さの生垣による迷路に変貌している。
それを見れば一目瞭然、第三課題の内容は迷路だ
第一、第二課題の点数の高い順に迷路に入り、様々な障害を乗り越えて優勝杯を手にしたものが勝者となる。
代表選手たちはすでに競技場に到着しており迷路の入口で開始の時を待っていた。
観客もすでに満員である。全員が最後の勝負を楽しみにしていた。
『紳士、淑女の皆さん!
バグマンの宣言で会場の熱気は最高潮に達した。
『これから代表選手たちにはこの巨大な迷路に隠された優勝杯を探してもらいます。最初に優勝杯を手に入れた者が優勝です。今までの課題での獲得点数順に迷路に入ってもらいます。さぁ、一番手は89点! イレギュラーな代表、レナード・テイラーだ!』
レオが一歩前に出て迷路に近づく。
その姿はいつもの制服姿だが一点だけ違っていた。
制服の上に漆黒のマントを羽織っているのだ。レオは迷路の入口に進みながらマントに声をかける。
「行くよ、クー。問題ないかな?」
「神経接続、魔力接続、衣服及びマントへの偽装、全て問題ありません。」
マントからクーの声が返ってくる。と言っても周りには聞こえず、レオの脳内に直接送られる声であった。
迷路に入る。途端に入口が生垣に覆われる。探知魔法を発動するが当然のように妨害されている。突破することも可能ではあったが、今回は別の方法で迷路攻略をすることにした。
「さて、やってみるとしようか。」
レオと二位のクラムとの点差は9点、1点につき20秒の差がある、つまりは3分の猶予がある。それまでに事を済ませよう。
「『制御発動』。『貯蔵』解放。結合開始。」
指輪によって今までに吸収したものと自ら貯めたものが次々と解放されていく。
解放された魔法はそのまま放たれることなくレオの前方5メートル先で一つに交わり大きな光の球体になっていく。
「よしよし。最後に仕上げとして
魔法式をいじって
光球はすでに3メートルほどなっている。その中には様々な効果を併せ持つ魔法が高密度で圧縮されている。
「クー、地面にアンカーを打って体を固定。衝撃に備えてくれ。」
「了解です、マスター。」
マントが伸び分裂して杭に変形する。それを地面に突き刺してレオの体を固定する。
ズボンからも同様に杭が伸びて固定を補助する。
「合成魔法……。えーと、
光球の前方から極光が溢れ出す。太さ10メートル以上の巨大な極光の光線が突き進む。
進路上にある生垣、罠、様々な魔法生物はその極光に飲まれていく。
燃やされ、切り裂かれ、砕かれ、分解され、その微小な一片までも消滅し完全に消え去っていく。
迷路の先端まで到達したところで放出を停止させた。後に残るのは無残にも真ん中を貫かれた迷路の残骸であった。
想像してほしい。紙の上に鉛筆で書かれた複雑な迷路があるとする。その迷路の半分ほどの大きさの消しゴムで紙の上から下まで一直線になぞって迷路を消してしまう。後に残ったものはもはや迷路とは言えないだろう。
観客も実況も代表選手も誰もかれもレオの所業に声を出せなかった。
レオが入って一分と経たずに巨大な光が迷路を破壊してしまったのだ。
そんなことを気にせず自身の魔法の効果に満足気なレオ。
しかし次の瞬間、珍しく焦りだす。
「
迷路の残骸の前後左右に上をレオの全力の
驚く観客たちと教師にレオの声が響く。
『防御系の魔法を使える全員は念のため身を守ってください。先生方は観客席の周りと迷路の周りに全力で結界をお願いします。多分爆発します。』
それを聞いた全員はできる者は
「クー!」
「了解!」
レオと体で繋がっているクーには言葉を発せずともその考えが解った。
レオの衣服を鎧に変え、全身を隙間なく覆う。更に細胞を増殖分離させ光球の周りに覆うように硬化させた。
次の瞬間に光球が爆発した。
光球を覆っていたクーの肉壁は破壊される。だがそれでも威力の大半を削ぐことができた。
そのおかげで迷路は完全に消滅したがレオが張った多重の
光球の目の前にいたレオもクーの鎧、指輪の守り、自身の魔法で無傷だ。
今、迷路のあった場所に存在するのはレオと優勝杯だけだ。誰も何も言えずにその光景を見ている。それを無視してレオは歩き出す。
「クー、大丈夫か?」
「はい。細胞のいくらかは消滅しましたが、既に再生済みです。」
「良かった。それにしても久しぶりに失敗したなぁ。制御が甘かったか、数が多かったか、それとも呪文の組み合わせに問題があったのか。」
ブツブツと今回の失敗の原因を一人で考えながら優勝杯に向かって歩ていく。
集中しているせいで優勝杯の
そして、優勝杯を手にすると同時にレナード・テイラーの姿は消え去ってしまった。
第三課題でした。
レオ全力装備です。
指輪の他にクーを形態変化させて装備しています。この状態ではほぼ無敵ですね。
久々の指輪紹介その9
・制御
魔法の細かな制御ができるようになる。
地味だが他の全指輪の能力を最大限に引き出すには必須な指輪。
全力で戦うには必ずこの指輪で制御して戦闘する。今回も殲滅魔法を作るのに使用。
・殲滅魔法
今回レオが作りだした魔法。
イメージはメドローアや仮面ライダーカブトのマキシマムハイパーサイクロン。
当たったら消滅、死ぬ。防ぐ手段は攻撃力以上の再生をするしかない。効果対象は設定可能。合成する魔法の数を減らして小規模にすることも可能。
珍しく実験失敗。
たまには失敗することもあります。
プロテゴ・マキシマの多重展開は結界師の結界の多重展開のイメージ。
レオは失敗の反省で考えてたため移動キーの変更に気が付きませんでした。
それでは次回お楽しみに。