【完結】ハーマイオニーと天才の魔法式   作:藍多

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皆さんにもハリー・ポッターで好きなキャラは一人はいるはず。
私は男ならネビル、女の子はルーナが好きです。

それでは54話どうぞ。


54. クリスマスダンスパーティー

12月25日。イエス・キリストの誕生日、いわゆるクリスマスというやつである。

いつもはこんなにクリスマス当日にホグワーツに人はいない。

殆どの生徒は実家に帰って家族と過ごしているからだ。

だが今年はダンスパーティーがあるからか多くの生徒が残っている。

どこか浮かれた空気が漂うホグワーツであっても我関せずといつも通り研究室で魔法や薬を扱っているレオ。クーはグリフィンドール寮でハーマイオニーの準備の手伝いをしているので現在不在である。

 

 

そして夜。ドレスローブに身を包んだレオは研究室の前でハーマイオニーを待っている。

しばらくするとハーマイオニーがクーを伴ってやってきた。

 

「こんばんは、レオ。どうかしら……?」

 

「こんばんは。綺麗だよ、ハーマイオニー。」

 

レオは感じたことをストレートに伝えた。そう口から出るほどにはハーマイオニーは綺麗であったのだ。髪をシニョンにして、ドレスを着ている、それだけで美しかった。

二人の後ろでクーは親指をグッと立てて満足げだ。

ちなみに二人のドレスローブはレオの母、フェリスの手作りである。

顔を赤くするハーマイオニーに右手を差し出して腕を組んで大広間に向かって歩き出した。

 

ダンスパーティーは想っていたよりは楽しむことができた。

音楽に合わせて優雅にダンスをする。事前にダンスの動きを魔法で再現していたので無駄なく踊ることができた。代表選手が踊った後は他の生徒たちも踊りだす。

一旦踊りを中断したレオとハーマイオニーはテーブルについて食事をすることにした。

ところがテーブルの上の金の皿には何も乗っていない。

 

「これどうするのかしら? メニューはあるけど。」

 

「ローストビーフ。こんな感じで言った料理が出てくるみたいだね。」

 

そうやってしばらく料理を楽しんだ。

デザートを何にするか考えていると、ホールの方が騒がしくなった。

見てみると白の美しいドレスを着た白い髪の美女と黒のタキシードを着たこれまた美しい男装の女性が高度に踊っているではないか。

周りの皆は気が付いていないが、それを見てレオは少し驚いた。

 

「何をやっているんだクーは。しかも分裂して自分自身で踊るとはね。」

 

「あー……。それはね、クーは多分レオと踊りたかったのよ。でも私に遠慮したんだと思う。他の男の人は嫌、でもダンスパーティーで踊りたかった。だからあんなことになってるんじゃないかしら。」

 

「そっか……。寂しがらせちゃったかな。クー! こっちにおいで。」

 

踊ってるクーを呼び寄せる。

踊りを止めてこちらに来たクーを見て周りがざわついている。

 

「今、クーって呼んだよな? じゃあ、やっぱりあの白い美女はクーちゃん? メイドバージョンじゃないから分からなかった……。」

 

「だったらあっちの男装美女は誰よ? そっちの趣味じゃないけど目覚めそうになったわ。」

 

レオに向かってくる間に二人分だったクーは変形合体して一人のメイド姿になった。

それを見て会場は更なる混乱していたが無視するレオ。

 

「お呼びですかレナード様。」

 

「うん。踊ろうか。」

 

クーは目を見開いてレオ、そしてハーマイオニーを見る。

 

「クー、遠慮しなくていいのよ。あなたは私の娘同然なんだから。楽しみましょうよ。」

 

「分かりました、お母様。しばしレナード様をお借りします。……お母様のお相手も私がいたしましょう。」

 

再び分裂して白のドレスと黒のタキシードに増える。

レオとハーマイオニーはそれぞれの手を取って踊り楽しんだ。

 

 

パーティーもそろそろ終わるという頃合い。

レオとハーマイオニーはホールから抜け出して校舎の周りを歩いている。

ハーマイオニーが人混みに疲れたと言って誘ったのだ。

周りにはクーさえいない。静かでそして星が輝いているだけだ。

 

「今日は楽しかったわ。ダンスも料理もすごくよかった。」

 

「僕も思っていたより楽しめたよ。」

 

「確かに楽しかった。でもね、レオ。私は多分……ううん、絶対あなたと一緒だったから、それだけで楽しめたんだわ。」

 

「僕もそうだよ。君とじゃなければそもそもダンスパーティーに参加してないんじゃないかな?」

 

しばらく無言で歩き続ける二人。ハーマイオニーがレオの目を見て話しかけてくる。

 

「あのね……。私、あなたに伝えたいことがあるの。聞いてくれる?」

 

レオは黙って先を促す。

ハーマイオニーは深呼吸をしてからハッキリと言った。

 

「私、ハーマイオニー・ジーン・グレンジャーはレナード・テイラーのことが好きです。

愛しています。私とお付き合いしてください。」

 

震えながらもハッキリと真剣に愛の告白をレオに放った。

それを聞いたレオは不思議と驚きがなかった。

彼女の気持ちも、自分の気持ちも確信した。それでも言わねばならないことがある。

 

「ハーマイオニー。僕は正直、変人だ。研究バカだ。魔法ばかり考えているようなヤツだ。君より魔法を優先することも多々あるだろう。そんな狂っているようなヤツをそれでも愛するというのかい?」

 

「そうよ。あなたが好き。それだけはどんな魔法でも変わらない私の気持ち。」

 

「君は僕に負けず劣らず狂っているね。」

 

「その通りよ。そして私を狂わせたのはあなたよ。だから責任を取ってちょうだい。」

 

「僕も正直に言おう。家族以外は他の人間のことはあまり関心が無かった僕が君のことは大切に思うようになっていた。この気持ちについて君に告白されるまで考えたことは無かった。そうだね……、僕は君のことが好きなんだろう。愛しているよ、ハーマイオニー。」

 

抱き着いてくるハーマイオニーを抱きしめ返す。

満天の星空の下、二人の顔が近づき唇が重なるのであった。

 

 

今日はハーマイオニーは寮には帰らなかった。減点があるかもしれないがそんなこと知ったことか。クーも気を利かせて禁じられた森へ散歩に出かけると出て行ってしまった。

ハーマイオニーはレオの腕を抱いて寄りかかっている。幸せは時間が経つほどに減るどころか増えていく一方だ。

 

「そういえば、ハーマイオニーはいつから僕のことが好きだったんだい?」

 

「んー……。多分、ホグワーツに入る前から好きだったんだと思う。でもハッキリそうだって意識したのはバジリスクから助けられてからかしら。それから色々と距離を縮めようと頑張ったんだけどね、誰かさんは鈍感でちっとも意識してくれない。私だけがドキドキ、もやもやしっぱなしよ。」

 

「そうだったのか。ゴメン。まぁ、何というか、今更距離も縮めようがないほどに近かったんじゃないかな。」

 

「そうかもしれないわね。それと知ってた? 私たちホグワーツの中じゃすでにカップルだって思われてたらしいのよ。」

 

「知らなかった……。何というかそう見えてたってことなのか?」

 

「私は知ってたけどね。ま、これで事実になったけれどね。」

 

そう言ってレオに抱き着く。レオの胸に顔をうずめて幸せを堪能している。

 

「ふふ。ハーマイオニー、何だか甘えん坊になったね。」

 

「そうよ。だから全力で甘やかしなさい。」

 

その後も場所をベットに移しても、イチャイチャと砂糖を錬成する空間を作り出していた。

レオはそっち方面には興味がないし、ハーマイオニーも節度は守るためそれ以上には発展しないまま同じベッドで幸せに眠りについた。

 

……仮にクーがいたらお母様のヘタレ! と活を入れていたであろう。

 

 

次の日。

クリスマスというイベントもあってかホグワーツには何組かのカップルが誕生したり、素敵な聖夜を過ごしたりしていたようだ。

寮に朝帰りをしたハーマイオニーは同室の生徒たちについにレオと結ばれたと報告したが、

 

「ワー、オメデトー。」

「それって今までと何が違うの?」

「子供ができてから報告したら? あ、ゴメン。もう娘がいたわね。」

 

何というか今までの二人の関係がすでにカップルを通り越して娘がいる夫婦のように思われていたため今更感しかないのであった。

一週間もすればとうとうレナード、ハーマイオニーが付き合いだしたという情報は学校中に広まっていたが、大抵の感想は

 

「知ってた。というかまだだったのか。」

 

というものであった。




ついにレオとハーマイオニーが結ばれました。

と言っても今までとそんなに関係性が変わるわけでは無いですね。
せいぜい、空間の甘さが増す程度かな。

それでは次回お楽しみに。

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