急にUAが増えるのはそういう時なのかな。
それでは49話どうぞ。
色々あったが美味しかった食事も終わり、皿が空になる。
それと同時に二人の男が入ってきた。
ダンブルドアが二人を紹介する。一人は魔法省、国際魔法協力部のバーテミウス・クラウチ・シニア。もう一人は魔法ゲーム・スポーツ部のルード・バグマンである。
この二人が
「それでは、フィルチさん。箱をここへ。」
管理人のフィルチは宝石がちりばめられた木箱を掲げてダンブルドアの前まで持ってきた。
ダンブルドアが杖で木箱を叩くと蓋が開かれる。
中には大きな粗削りの木のゴブレットが入っていた。そのゴブレットの縁からは溢れんばかりの青白い炎が踊っている。
「皆も知っての通り、試合で競い合うのは各校から選ばれた三名の代表選手じゃ。選手は様々な課題をこなしていくことになる。求められるのは魔法の扱いだけではない。勇気、知識、洞察力、危険への対処能力など様々な能力が必要になってくる。それらを兼ね備えた最も適性がある者を公正に選出するのが、この炎のゴブレットじゃ。」
大広間の全員が炎のゴブレットに注目する。レオも『眼』を使って解析している。
「代表に名乗りを上げる者は羊皮紙に名前、所属校を記載して24時間以内にこのゴブレットの中に入れることじゃ。明日のハロウィーンの夜に各校の中で最もふさわしい三名の名前を返すであろう。ゴブレットは玄関ホールに置かれる予定じゃ。」
ゴブレットに羊皮紙を入れるだけならばチャンスはあると判断した出場資格がない未成年の生徒たちは浮かれていた。
だが、ダンブルドアの次の言葉を聞いて苦々しい顔になる。
「なお未成年、17歳に満たない者がゴブレットに名前を入れぬように各校の校長がそれぞれ妨害を設置することになっておる。魔法省の二人や先生方にも協力してもらっている。成人しているならば問題なく通るが未成年は突破しようとすれば弾かれるじゃろう。17歳以上の誰かを操って入れたりなどの対策もしているから小細工は通用せんぞ。万が一これを突破できる生徒がいたら実力があると認められ名乗りを上げる権利があるとみなしてゴブレットに名前を入れることができる。そういった意味では最初の課題とも言えるかもしれんの。まぁ、名前を入れても確実に代表になるとは言えんがの。」
当初の予定に比べて格段に未成年対策を増やした。もちろんレナード・テイラー対策だ。
(これでどうにかなればいいんじゃがのぉ……。)
そう思いながらレオのことを見た。やる気になっているその姿を見て、ダンブルドアは己の失策を悟ってしまった。
各校長たちの妨害魔法がレオのやる気を刺激してしまっていた。元からそれなりには課題に興味はあったが、各校の校長が施す妨害をいかに破ろうかといった考えになってしまっていた。
(明らかにダンブルドア校長はこちらを意識していた。つまり僕に対してはより強力な効果が発揮するのだろう。ふふ……わくわくするね。)
宴が解散しホグワーツの生徒たちは寮へ、ボーバトンとダームストラングの生徒たちはそれぞれの馬車と帆船に戻っていった。
レオも研究室に戻ってどんな妨害があってどうやって炎のゴブレットに選ばれるようになるか考えながら眠りに落ちた。
次の日。ハロウィン当日であるから例年のごとくかぼちゃの匂いが充満しているホグワーツ。
玄関ホールには炎のゴブレットが設置され、17歳以上の生徒たちが次々と羊皮紙を投げ込んでいた。だがその様子を見ているのは同じ17歳以上や教師たちだけ。
未成年の姿はホールには一人も見られない、いやホールだけでなくその周囲にも全くいない。
これの原因は勿論、未成年への妨害によるものだ。今現在のホグワーツはマダム・マクシームとフリットウィックによる結界が覆っている。
その結界の効果は未成年は
この精神干渉を強い意志や防御で突破し、玄関ホールに到達した生徒を待ち受けるのはカルカロフとスネイプ、スプラウトによる妨害だ。
玄関ホールに未成年が立ち入る瞬間にホールが別の場所に変わる。
そこには三人が用意した数々の罠が設置された迷宮が待っている。もちろん生徒の安全を考慮して傷を負わせるようなものはないが、徹底的に嫌がらせと時間がかかるものだけで構成されている。
例えば、くしゃみと鼻水が止まらなくなってまともに思考もできなくなるほどの花粉症を引き起こす魔法植物、摩擦を限りなくゼロにした坂の上にある扉からしか出れない部屋、即座に眠りに落ちて24時間は絶対に起きない魔法薬が散布された部屋などである。
そこを超えると玄関ホールにたどり着くが最後にはダンブルドアによる年齢線が待っている。
これは未成年は超えることができないという単純なものだがこれを突破するには今世紀最高の魔法使いといわれるアルバス・ダンブルドアの力量を凌がなくてはならない。
ダメ押しに年齢線の向こうにはマクゴナガルによる炎のゴブレットと見分けがつかないほど精巧な偽物が合わせて百個ほど並んでいる。無論未成年にしか見えないのだが。
さて、この過剰ともいえる未成年対策。
これを用意するにあたってダンブルドア、およびホグワーツ教師陣はマダム・マクシームとカルカロフ及び魔法省を説得するに言ったのはたった一言。
「あのレナード・テイラーが立候補してしまう恐れがある。」
レナード・テイラーの名は他国にもその優れた研究成果によって知れ渡っており、ホグワーツの優勝の可能性を減らそうと両校長は協力的になった。魔法省としてもせっかくの試合は盛り上げたいので賛成した。
期限まではあと一時間足らず、その後はハロウィーンパーティーが始まる。つまりは一時間ほど後には代表選手が決まっている。今のところ未成年が玄関ホール付近に近づいた様子はない。
このまま何事もなく時間が過ぎて欲しいと、ダンブルドアは祈った。
そして誰も未成年が羊皮紙を入れぬまま期限が過ぎた。
パーティーの開始と同時に結界が解除されたことで未成年たちも
ハロウィーンパーティーを皆楽しんでいたがそれよりも誰が代表に選ばれるのかに注目が集まっていた。
皿の上の料理もきれいさっぱり無くなり、ダンブルドアが立ち上がって話し始める。
「さて、炎のゴブレットが代表選手の選考を終えたようじゃ。名前が呼ばれた者は隣の部屋に入るように。そこで最初の課題についての説明がされるじゃろう。」
ダンブルドアの杖の一振りで大広間中の蝋燭の炎が消え、ゴブレットの炎だけが輝いている。生徒も教師も皆ゴブレットに注目している。
ゴブレットは赤く燃え上がり焦げた羊皮紙を吐き出す。
それをダンブルドアが掴み取り、読み上げた。
「ダームストラングの代表選手は……ビクトール・クラム!」
大広間が歓声と拍手で溢れる。クラムは堂々とした足取りで隣の小部屋に入っていった。
またも炎が赤く変わり、新たな羊皮紙が現れる。
「ボーバトンの代表選手は……フラー・デラクール!」
フラーが立ち上がり、わざとらしいくらいに優雅に歩いて出ていった。
三度炎が赤くなる。三枚目の羊皮紙が出てきた。
「ホグワーツの代表選手は……セドリック・ディゴリー!」
ホグワーツの生徒、特にハッフルパフから腕が壊れそうなほどの拍手が鳴らされる。歓声は最早絶叫でありすでに優勝したかのような騒ぎだ。
代表たちが隣の部屋に消えたのを確認するとダンブルドアが再び話し出す。
「これで三人の代表選手が決まった。選ばれなかった者も……」
その瞬間、炎のゴブレットの炎が赤く変わり、四枚目の羊皮紙を吐き出した。
生徒も、教師も、魔法省の役人も、マダム・マクシームもカルカロフも、ダンブルドアでさえ驚いた表情をしている。
平静でいるのは一人の少年とそのペットのみ。
ダンブルドアは震える手でそれを掴み、読み上げた。
「レナード・テイラー……。」
「……どういうこと? 四人目は原作主人公の僕じゃないの? いやおかしいだろ! オリ主ものだってセドリックの代わりで僕が四人目が普通だろ!?」
「そうだそうだ! これでは我が君が復活できんではないか!」
「俺様、旅に出る。」
「我が君!?」
というわけでレオが四人目です。ハリー? 知らんな。
ハリーも選ばれない方が全体的に平和な学校生活でハッピーでしょう。
レオがどうやって過剰な妨害を突破したかは次回に。
それでは次回お楽しみに。