今回はちょっとラブコメっぽいかも?
それでは48話どうぞ。
10月も終わりに近づいている。
三大魔法学校対抗試合のために今日の夜にはボーバトンとダームストラングが到着する予定だ。
朝から屋敷しもべ妖精がパーティの準備をしているのか美味しそうな香りが漂っていた。
生徒たちも他校の生徒たちがどのような感じなのか話し合っている。
夜になると両学校を迎え入れるため生徒たちは城の前へと集合させられていた。
マクゴナガルが整列させているが皆興奮しているのかなかなかうまくいっていないようだ。
そうしてしばらく待っているとボーバトンが先に到着した。
その方法はとても派手なものであった。
12頭もの巨大な天馬が大きな館ほどに思えるほどのサイズの馬車を引いて空を駆けてホグワーツに向かってきたのだ。
地響きを立てて到着した馬車からはかつて森番をしていたハグリッドと同等の大きさの女性が出てきた。
ボーバトンの校長であるオリンペ・マクシームである。
「遠い所からようこそホグワーツへ。マダム・マクシーム。」
「ダンブリードール、おかわりーあーりませんか?」
校長同士挨拶をしていると馬車からボーバトンの学生が姿を現した。
海外の学生に興味津々で見ていた生徒のほとんどは一人の少女に目を奪われていた。
人とは思えぬような美貌に他者を引き付けるオーラの様なものを纏った少女であった。
男子は勿論、中には女性とまでもがその虜になってしまっている。
ボーバトン一行は早く温まりたいと校舎内に案内されていった。多くの男子生徒がその様子を見えなくなるまで見つめていた。
次のダームストラングはどんな方法でやって来るのか待ち構えていると、湖の中から巨大な帆船が浮上してきた。
ボーバトンといい、ダームストラングといい普通の方法で移動してこなかったのは魔法学校としての力を示したかったのか、それとも単に彼らにとってはこれが普通であるのかは判別がつかなかった。
帆船からはイゴール・カルカロフ校長が生徒を連れて降りてきた。
「ダンブルドア! やあやあしばらくだね。元気かね?」
「もちろん元気じゃよ。カルカロフ校長。」
ダームストラングの生徒を見ていた生徒の誰かが大声を上げた。
「ビクトール・クラムだ!?」
その男の登場はクィディッチ好きに衝撃をもたらした。
世界最高のシーカーとして知られている名選手だ。
あちらこちらからサイン貰えないかな、とかいろいろな声が聞こえてくる。
ダームストラングが到着したので全ての生徒と教師は大広間に移動し始める。
大広間にはホグワーツ、ボーバトン、ダームストラングの生徒が集まっている。
ボーバトンはレイブンクロー、ダームストラングはスリザリンのテーブルに座っている。
ビクトール・クラムという有名人を自分たちの所に引き込めたスリザリン生達は得意げな顔でグリフィンドールのテーブルを見て、それに反応したグリフィンドール生達が睨み返すといういつもの光景が広がっていた。
三校を代表してダンブルドアが立ち上がって挨拶を始めた。
「こんばんは、紳士淑女、そしてゴーストの皆さん。客人の皆さんホグワーツへの来校を心から歓迎いたしますぞ。本校での滞在が快適かつ楽しいものとなることを願っております。
三大魔法学校対抗試合は宴の後に正式開始が宣言される。それまではどうか食事を楽しむとしましょう!」
次の瞬間にはいつものように目の前の全ての皿が料理で満たされた。
いつも以上に豪華で多種多様な料理の数々から対抗試合に力を入れているのが分かるというものだ。
海外からの客人を招いているからかイギリス料理では見られない料理も多々ある。
レオも普段食べられない海外の料理を食べることができて満足げだ。
普段は比較的静かに食事をしているレイブンクロー生もボーバトン生がいるせいか少し騒がしい。
他の生徒を見てみると男子の多くが例の美少女を見つめている。
そして女子がその様子に溜息をついている。
美少女はフラー・デラクールという名前らしい、席を変えながら色々な男子に話しかけている。
そうしていると話していた生徒たちがレオの方を指さしている。フラーはレオの方に近づいて話しかけてきた。
「こんーばんわ。あなーたが、レナード・タイラーでーすか?」
『こんばんは。そうですね、ぼくがレナード・テイラーです。』
フランス訛りの英語で話し難そうだったので用意していた翻訳魔法を使って話す。
これで向こうにはフランス語で聞こえているはずだ。
フランス語が通じると分かるとフラーもフランス語で会話を始めた。
『あら、フランス語ができるのね。この寮で一番優秀な人があなただって聞いたけど嘘じゃないみたいね。』
『フランス語が話せるわけでは無いですね。翻訳魔法で言語の認識を調整している感じです。』
『すごいじゃない。その魔法私にも教えてちょうだい。』
レオは隣に控えていたクーから箱を受け取り、フラーに渡す。
『これをどうぞ。中に翻訳魔法を付与した指輪が20個ほどあります。ボーバトン生が何人来るかわからなかったので個数が足りているか解りませんが、それを着ければフランス語を話していても僕たちには英語で認識されます。後でダームストラング生にも渡す予定です。』
早速指輪をはめてみるフラー。先ほどまで通じていなかったフランス語で他の生徒たちに話しかけている。レオの方に戻ってきたその顔を見るに満足する結果の様だ。
「あなた本当に優秀なようね。私、あなたのことが気に入ったわ。これから競技の間なんかにホグワーツの中を案内してちょうだい。」
その発言に周りの男子たちが羨ましそうにレオを見ている。
「お断りします。」
続くレオの言動にフラーと男子が固まる。レオも異文化交流はしたいとは思っているがホグワーツの案内をするほどではないと判断した。
硬直から復帰したフラーは深呼吸して、祖母譲りのヴィーラの魅力を全開にして再度問う。
周りはフラーのオーラに当てられて求婚するような勢いになっている。中には女性までフラーに熱い視線を向けている。
「聞こえなかったのかしらね? 私にホグワーツの案内をしてちょうだい。」
「聞こえていましたよ。お断りします。それとその魅了は僕には効かないので無駄ですよ。」
フラーはショックを受けていた。ヴィーラの魅了に耐性がある人間はいる。精神力が高かったり心から愛する人がいる人間には弾かれてしまう。
それでもフラーは魅了など無くてもこの自身の美貌だけで少年から老人まで数多の男を虜にしてきた。ゆえにフラーは美しさに対しては絶大な自信を持っていた。
恋人がいるのか? それともゲイなのか? そうだ、そうに違いない!
「あなた、恋人がいるの? もしかしてゲイだったり?」
「いきなり失礼ですね。どっちもノーです。」
フラーへの追い打ちが炸裂した。恋人もいないゲイですらない男が虜にならない。
つまりこの男はフラーの美しさなど無価値であると言っているようなものだ。
そう感じたフラーの心には衝撃こそあれ、それほど怒りなどの不快な気持ちは無かった。
(そう……、いままで会った男はみんな私に対して美しいだの、綺麗だのしか言ってこなかった。こんな対応をされたのは初めてだわ。対抗試合のために来たけど、ふふ、面白くなってきた!)
「レナード・テイラー! 決めたわ! あなたに私のことを美しいって言わせてやるわ!」
「美しい。」
「心が入ってないわよ!? いいわ、絶対にあなたのこと魅了してやるんだから!」
そう大声で宣言して元の席に戻っていった。その声は大広間中に聞こえており、多くの男子にレオは睨まれているが気にせず食事を楽しんでいる。
ちなみに隣にいるクーはフラー・デラクールのことを
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私がいつものようにレオのことを見ていたらいきなりボーバトンの同性から見ても超絶美少女認定せざるを得ない女が近づいてきた。何か話した後に箱を渡して……。
(指輪!? いったいどうゆうことなの!?)
指輪をつけて満足そうなあの女のことを睨みつける。近くでネビル他数人が「ひぃぇ……。」なんて言っているが無視だ。
その後も何事か話していると大広間全体に何かが広がる。次の瞬間にはほとんどの男子たちがあの女に愛を叫び始めた。ハリーなんか走って向かいそうな勢いだ。ロンは思ったより反応してないのがちょっと意外だ。あ、ジニーがハリーのことすごい表情で見てる。怖い。
「レナード・テイラー! 決めたわ! あなたに私のことを美しいって言わせてやるわ!」
「心が入ってないわよ!? いいわ、絶対にあなたのこと魅了してやるんだから!」
どうやらレオにはあの女のことが魅力的に感じなかったようだ。
(良かった。ま、まぁほとんど心配してなかったけどね。レオがあんな綺麗なだけの女に惑わされるような人じゃないって知ってたし!)
でもとりあえず宴の後にどんな会話をしていたのかだけでも聞くことは絶対にすることに決めた。
ボーバトンとダームストラングが到着。
翻訳魔法はフラーやクラムの口調が面倒なんで作りました。
レオならこのぐらいは余裕でしょうし。
原作だと魔法界が閉鎖的だから翻訳魔法が無いんですかね。
フラーのキャラが原作と大分違うかな?
フラーの魅力は指輪の『遮断』で防いでますが、それが無くてもフラーに魅了されることは無い気がしますね。
ハーマイオニーの嫉妬。
今までレオの周りに女がいなかったのでこういった感情は初めてです。
魅了されなかったロン。
未だにハーマイオニーに惚れたままでいるので原作と比べて抵抗値が上がってます。
それでは次回お楽しみに。