それから活動報告でのタイトルについてのアンケートですが
ハリー0票、ハーマイオニー15票、その他2票でした。
一応、まだ変えませんがおそらくタイトルのハリー・ポッターがハーマイオニーに変わると思います。
では34話どうぞ。
34. 脱獄囚より一人の少女
1993年の夏休みはテイラー家にとって多忙な休みとなっていた。
闇の帝王の配下であり、大量殺人犯のシリウス・ブラックがアズカバンより脱獄したからだ。
闇払い局の副局長であるアースキン・テイラーは休みなく毎日朝早くから夜遅くまで対応に追われている。レナード・テイラーも魔法省からしつこくシリウス・ブラックの捜索のために魔法や魔法具の開発を依頼されていた。レオとしてはシリウス・ブラックに興味を持てなかったので協力はしていなかったが、あまりにしつこいため捕縛用の魔法具だけ開発して、捜索は難しいと嘘をついて関わらないことにした。
今日は久しぶりに一家全員が揃っての夕食になった。
「ああ~……。やっぱり我が家が一番だ~。愛すべき家族とくつろげる空間……。ここに帰ってくるために仕事をしてる……。一秒でも早くあのバカを捕まえなきゃな。」
「あなた、まだシリウス・ブラックは見つからないの?」
「そうなんだよ。どうやってアズカバンから脱獄したのかさえ不明だ。杖は処分されてたし何かしらの魔法を使った痕跡もない。レオはこれについてどう考えてる?」
「うーん……。実際に現場を見ないことには何とも言えないかな。そんな事より久しぶりの全員一緒での食事なんだからめんどくさいことは考えないようにしようよ。」
今日の夕食はフェリスが張り切って作ったので必要以上に豪勢だった。まるでパーティーでも開くかのようだ。
「そういえばレオ、ハーミーちゃんはどうしてるの? しばらく遊びに来てくれてないけど。」
「ハーマイオニーはフランスに家族旅行に行ってるよ。僕には毎日のようにふくろう便が来てるね。旅行の感想や魔法について色々とやりとりしてるよ。夏休み最終日には戻ってくるからダイアゴン横丁で買い物するつもり。」
「そうなのねぇ。どう変わっているかちょっと楽しみだわ。」
1993年8月31日。夏休み最終日。
ダイアゴン横丁で久しぶりにレオと会ったハーマイオニー・グレンジャーは変貌していた。
彼女を知っている人物は思わず夢かと思って頬をつねるだろう。
ボサボサだった髪は真っ直ぐになり、出っ歯も矯正して普通になっている。
ただそれだけでハーマイオニー・グレンジャーは劇的に変わった。男子だったら十人中八人ぐらいは振り向くような魅力的な少女に変身していた。
「しばらくぶりね、レオ! その……どうかしら? ちょっと髪とかいじってみたんだけど……。変じゃないかしら?」
「いや、正直びっくりした。髪とか変えるだけで印象って変わるものなんだね。うん、綺麗だ。前も別に変だとは思ってなかったけど今の方がいいんじゃないかな。その髪は魔法薬を使った?」
ストレートに綺麗だと言われるとは思っていなかったのか顔を真っ赤にしながら返答するハーマイオニー。その様子を両家の親たちはニヤニヤしながら見守っている。
「あ、ありがと……。こ、この髪はスリーク・イージーの直毛薬を使ってるの。でもかなり面倒だから毎日するにはちょっとね。」
「それだったら僕が魔法薬を調合しようか? 一度使えば好きに髪型を変えられるような薬を造れば一回で済むし、元の髪型にも戻せるよ。」
「そんな、私のためにいいの?」
「ちょっと早い誕生日プレゼントだと思っていいよ。誕生日にも別にプレゼントはするしね。さて今日の買い物をさっさと済ませちゃおうか。」
歩き出した二人の後ろを歩く親達はその様子を見ながら話している。
「いやー、あんなに綺麗になるものなのだな。レオのヤツちょっと羨ましいぞ。」
「あなた、後で話がありますからね。それはさておき、ハーミーちゃんすごいわね! というかレオが素直に綺麗って言うなんてそれだけで一歩前進よ!」
「親バカかもしれんが我が娘ながら美しいと思う。ちょっと嫁にやりたくなくなってきた……。」
「諦めてくださいよ、パパ。ハーミーがああするまでの相手ですからね。今年はガンガン攻めて落すのよ、ハーミー!」
二人の関係について一番盛り上がっているのは親たちなのは確実であった。
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僕、ロナルド・ウィーズリーは気分が良かった。
いや、僕だけじゃない。家族全員が幸せだ。この夏休みはガリオンくじが当たって家族でエジプト旅行に行けたし、今日は新しい杖まで買ってもらえた。おこずかいも通常ではありえないくらいもらって今もダイアゴン横丁でフローリアン・フォーテスキュー・アイスクリームパーラーで三段重ねのアイスを食べて幸せだ。
隣で親友のハリー・ポッターも同じようにアイスを食べていると何かに気付いたみたいだ。
「あれ、テイラーじゃないかな? 新学期の買い物かな。」
その名を聞いて複雑な気持ちになる。
あいつは魔法が上手くて勉強もでき、さらには強い。でも嫌みでこっちのことを考えていないヤツなんだ。ハグリッドのこともあってとことん嫌いだ。
それでも、秘密の部屋の一件でジニーを助けてくれたことも事実だ。僕はどう接していいか分からなくなっている。ハリーもきっと同じ気持ちだろう。
ハリーの方を見ると口をあんぐりと開けて固まっている。アイスが溶けて手にこぼれているが気づいてもいないみたいだ。
「どうしたんだ、ハリー? スネイプが笑顔でタップダンスでも踊ってたのかい?」
「ロン……。あれ……。」
テイラーの方を指さしたまま再び固まるハリー。僕もそちらを見る。
その光景を見た瞬間、頭に呪いでもかけられたような衝撃が走った。
テイラーの横を歩いていたのは僕が今まで見たこともないほどにかわいい女の子だった。
僕は生まれて初めて恋に落ちた。これが一目惚れってやつなのかな?
同時にテイラーのヤツに対して対抗心が沸き上がった。
魔法が上手くてその上、あんなかわいいガールフレンドがいるなんて!
いやいや、待て待て、待つんだロナルド・ビリウス・ウィーズリー。落ち着くんだ。
まだあの子があいつの彼女と決まったわけじゃない。あいつだって決してハンサムなわけじゃないし、背は僕の方が高い! ……よし!
「すっごい変化だね……。ちょっ、ロン!?」
ハリーの声を無視してあの子に近づく。とりあえず、テイラーの知り合いだってことで声をかけよう。
「やっ、やぁ。久しぶりだねテイラー。げ、元気?」
「ああ、こんにちはウィーズリー君。元気だよ。」
「あら、ロンじゃない。久しぶり、あなたも新学期の買い物?」
え? この声?
「ハ、ハーマイオニー……? え、なんで?」
「そうだけど、もしかしてこの髪のせいで気が付かなかったの? 確かに前のボサボサ髪とは大違いだけど、失礼よ! 女性を髪でしか認識してなかったのかしら。行きましょうレオ!」
「そう怒らない。それだけ君が変わったってことだろう。ウィーズリー君、またホグワーツで会おう。」
立ち去っていく二人。
え? あのかわいい子はハーマイオニーで? ボサボサは? 出っ歯は? あれ?
ハーマイオニーは誰の目にもテイラーのことが好きだとわかる。気が付いていないのはテイラーぐらいだ。
てことは? 僕の初恋は? え? あれ?
ポンと肩を叩かれる。ハリーだった。親友の顔には同情の色しかなかった。
がくりと膝をつく。僕の初恋は5分もしないで終わった。
「マーリンの髭!! ちくしょう、やっぱりお前なんか嫌いだテイラー!」
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レオとハーマイオニーは魔法動物ペットショップにいる。教科書などの他の買い物はすでに済ませて、最後にハーマイオニーがペットを飼いたいらしくて見て回っている。
「レオは何が良いと思う?」
「うーん……。ゴメン、そういうのは全然役立てそうにない。とりあえず直感に従えばいいんじゃないかな。」
「直感ね……。」
店内をぐるりと見る。その中で一匹の猫と目が合った。赤毛の巨体でがに股、潰れたような顔のインパクトのある猫だった。それでもこの猫だ、と直感がハーマイオニーに告げた。
「すいません。この子をお願いします。」
ハーマイオニーが指さした猫を見て店員は仰天した。
「お嬢さん、この……こういっちゃなんだがあまりかわいくない万年売れ残りのこいつを希望してるのかい? もっとかわいい、お嬢さんにお似合いの猫もたくさんいますぜ?」
「いいんです。この子に決めました。」
「それならいいんだが。後で別の猫に変えてくれって泣きついても知らんですぜ。」
ハーマイオニーがクルックシャンクスと命名した猫を抱えてペットショップから出る。これで買い物は終了だ。
「ハーマイオニー。この子、体に魔力がある。多分ニーズルか何かの血を引いてるね。いいペットだと思うよ。」
「本当!? この子を見た時、びびっと来たのよ。ニーズルってことは頭がいいのかしら。
これからよろしくねクルックシャンクス。」
夏休み最終日は終わり、明日からはホグワーツでの日々が再び始まる。
シリウス脱獄。もしレオが興味持ってしまったら即終了でした。
ハーマイオニー変身! 原作だとダンスパーティーの時でしたが時期が大分早くなりました。
ロン失恋。ついでにレオに対しての態度が元に戻る。いやもっと悪くなったかも。
レオに突っかかってついでにハーマイオニーにいいとこ見せようとして失敗しそう。
クルックシャンクス登場。アズカバンの囚人ぐらいしかまともな出番がないから頑張れ!
では次回お楽しみに。