このろくでもない世界に救いの手を!   作:あべかわもち

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第6.5話 駄女神様は褒められたい!

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魔王軍幹部であるデュラハンの・・・べ、べる公?がどっかに行ってから、カズマとめぐみんが真剣な表情で何かお話ししているけれど、なにかしら?

 

私を仲間外れにするなんて、正直面白くないんですけどぉ。

 

ただ、今はダクネスよ。

 

私たちのパーティーの大切なクルセイダーである女性騎士のダクネスは、あのバカアンデッドの呪いで苦しんでいるのよね。

 

私にできることっていえば・・・

 

 

「俺も行くに決まってるだろうが。お前一人じゃ最初の雑魚相手に魔法使って、それで終わっちゃうだろ。そもそも俺も、あの城に毎日通っていて、魔王軍幹部の城と気づかなかった間抜けだしな」

 

「・・・じゃあ、一緒に行きますか。でも、リビングアーマーやゴーレム相手じゃ、カズマのスキルは殆ど役に立たないでしょうね。ですので、こんな時こそ、私を頼りにしてください」

 

「だな。まぁ期限が二週間あるんだし、少しずつ攻略していけば」

 

「よせ!やめるんだ二人とも!私なんかのために・・・!」

 

「おいダクネス。呪いは絶対になんとかしてやるからな!だから安心して」

 

 

 

「セイクリッドぉ・ブレイク・スペルぅ!!」

 

 

「あああぁぁぁぁぁぁぁ!!!・・・?え、え?」

 

「へ?」「は?」

 

 

ドクロの顔をした死の呪いが天使によって取り除かれていく。

 

ダクネスの表情がとっても安らかなものになってるし、大成功ね。

 

あ!あの天使に言って、私も連れて帰ってもらえばよかったわ。

 

 

「デュラハンの呪いなんて、私にかかればちょちょいのちょいよ!どう?どう?たまには、プリーストっぽいことするでしょ?私」

 

 

『『『おおおおおおお!!!うぃぃーやっほー!!!』』』

 

 

 

『さすがはアークプリースト様だ!』

 

『只の宴会芸人じゃなかったんだな!』

 

『これでデュラハンの野郎もぎゃふんと言うに違いない!』

 

 

 

「どうもどうも!!いや~それほどでも~ありますけど!あはは。えへへ」

 

 

あぁ!

 

これよ!

 

私が求めているのは、こういう、私を称え!崇め!奉る!こういう反応なのよ!!

 

なんていい気持ちなのかしら!

 

そうだわ!今こそ、あのスキルを使う時!!

 

 

「いよ!勝利の花鳥風月~!」

 

 

『ヒュー!!さすがだぜ!』

『いやーはっははー!!!』

『やっほおぉー!!あのデュラハンの呪いを解いたことはまさしく勝利だよな!!』

『デュラハン自体に勝ったわけじゃないがな!!まぁいっか!!』

 

 

歓喜の声につつまれながら、芸を披露し、さらに賞賛をあびる。

 

私、この世界にきてよかったかも!!

 

一日中狭い部屋で書類と面接者を相手にするより何億倍も楽しいわ!!

 

これだけの賞賛を浴びたのだから、今回ばかりは、さすがにカズマ達だって!

 

 

「んー」

 

「んー」

 

「・・・しゅん」

 

 

あ、あれ?

 

なんで蔑むような視線を向けてくるの!?

 

カズマは百歩、いいえ、一万歩くらい譲って、こういう反応でもおかしくないかもですけど、めぐみんやダクネスまでって、どうしてよおおぉぉ!?

 

 

 

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魔王軍幹部のデュラハンの呪いを、さくっと解いて追い返したということで、ギルドの酒場では、さっきから勝利の宴が開催されているわ。

 

そう!女神である、このアクア様の大活躍によって!!

 

まぁ、なにか理由があれば、いつも開催しているんだけどね。

 

そんなことよりも、今は目の前のことよ。

 

私たちパーティーが崩壊するかもしれない大問題なんだから!

 

 

「なんで皆わかってくれないのよ!」

 

 

そう!さっきのべ、ベル公?の『死の呪い』を解いた件について、ここははっきりさせておかないと。

 

というか、素直に褒めてくれればすむ話なのに!

 

 

「だって、なぁ、めぐみん?」

 

「そうですねぇ、カズマ?えぇ、もちろんダクネスが『死の呪い』でほとんど苦しまなくて済んだことは最良でした。でしたけど・・・ねぇ?」

 

「二人してなんで素直に私を褒めてくれないの!?もういい!ねぇ、ダクネスは私を褒めてくれるわよね!?ねぇ?」

 

「へ?あ、あぁ、そうだな!アクアの活躍によって、私はこのとおりピンピンしている。ありがとうアクア。アクアは私の命の恩人だ」

 

「ほら見なさい!カズマもめぐみんも、ダクネスのように、素直に私を!「だが・・・」へ?」

 

 

ダクネスったら、どうしたのかしら?

 

 

「その、もう少し、あの『死の呪い』とやらの苦しみを味わっていたかったような。い、いや、これは違うぞ!?決して、アクアが解呪してしまって、ちょっと残念とか思ってなどいないからな!?」

 

 

必死に何か言ってるダクネスだけど、要するにあれでしょ?

 

私がしたことを誰も素直に喜んでくれてないってことよね?

 

 

「皆して私のことばかにしてんでしょ!?私だってよかれと思ってやってるのに!!」

 

 

酷いわ!せっかくこの私が頑張ったのに!

 

 

「どうして、みんなわかってくれないのよおおおおおお!!」

 

 

机を叩いて泣き叫ぶ!

 

こうなったらカズマさんの評判を下げてやる!

 

美しくも高貴で、『死の呪い』もさくっと解く優秀なアークプリーストであるこの私を、いつも泣かしてくる鬼畜野郎だってね!

 

 

「カズマのばかぁ、あほぅ、スケベ、ロリコンで変態野郎、ヒキニートぉ・・・」

 

 

泣いて机に突っ伏しながら、ぶつぶつとカズマを罵る言葉を重ねていく。

 

だんだんとカズマをみる周りからの視線が冷たいものになっていってるわ。

 

ふん!私をいつも泣かせるカズマが悪いのよ!今日はめぐみんもダクネスもだけど!

 

 

「わかった!わかったってば!・・・アクア。お前のおかげでダクネスは死の呪いから解放された。よくやったな。皆、感謝してるさ」

 

 

か、カズマ!

 

 

「カズマったら、よくわかってるじゃない!ふふん。そんな私をもっと崇めても罰はあたらないわ!」

 

「コノダメガミガ・・・」

 

「え?今、なんて言ったの?」

 

「いえ別に何も。ほら、注文していたシャワシャワとカエルの唐揚げ、あとはキャベツシューマイが来たみたいだぞ」

 

「待ってましたあぁ!!あー美味しい!!」

 

 

カズマが何を言っていたのか気になるけれど、今は目の前のシャワシャワと料理が重要よ!!

 

あぁ、このキンキンに冷えたシャワシャワ、たまらないわぁ!!

 

 

「アクアらしいですね」

 

「そうだな」

 

「まっ。今日くらいは素直に褒めてやるか」

 

 

 

 

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。。○

○。

 

 

 

 

頭痛い・・・

 

飲みすぎたわ・・・

 

あぁ、苦しい、気持ち悪い・・・

 

どうやら、カズマさんに背負ってもらっているけれど、寝床の馬小屋に向かう道中・・・よね?

 

 

「・・・カズマさん・・・ご、ご面倒を・・・」

 

「いい。もう何も喋るな。毎度毎度やらかすバカな駄女神をうっかり落としてしまいそうになる」

 

「・・・すみません」

 

 

チャラけた雰囲気も怒る雰囲気もなく、声のトーンが平坦・・・

 

これはかなりきてるみたいね・・・

 

次こそは飲みすぎないように気を付けます・・・

 

だから、あまり揺らさないで・・・

 

もっと、いえ、もうちょっとだけでも優しく連れて帰ってください・・・

 

お願いしますカズマさま・・・

 

 

 


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