眠れないから暇潰しです。
本編とは一切関係ありません。
ボブは爽やかだそうです
「おはよう一輝、ステラ。いい朝だと思わないかい?」
「「え?」」
早朝、何時ものようにステラと20Kmランニングをしていたのだが、気付いたら真横に衛宮がいた。真っ赤なジャージを着た衛宮が。
既に11Kmは走っている距離なのだが、衛宮は息切れ1つしていない・・・いやそんな事はいい。
———なんなんだその満面の笑みは。
「いやぁためしに走ってみるもんだなぁ!最近はずっと部屋で筋トレしかしてなかったから新鮮だよ」
「あ、ああそうだね。確かに朝のランニングはとっても気持ちいいというか・・・」
「ええと、今日は随分機嫌が良いのね。何か良いことでもあったのかしらぁ・・・?」
「うん?機嫌が良いのはいつものことじゃあないか!毎日爽やかな気分で生きてるよ、オレは」
はっはっは!と笑う衛宮。
目を夢見る少年の如く輝かせている衛宮。
凄く爽やかな衛宮。
見た目真っ黒なのに内面真っ白な衛宮。
———訳がわからない。
「さて、折角だ。競走でもするか?」
「いやいやいや、競走なんてしたらランニングの意味がないっていうか」
「今だってちょっとキツイのにペースなんて上げたら・・・」
「よし、じゃあ先に行っているよ。車には気をつけるんだぞー!」
そう言って凄まじい速度で走って行く衛宮。もう見えなくなった。
「・・・ってなんなんだアレ!?衛宮?本当に衛宮!?」
「わかんないわよ!?何があったのよあのガングロボブ!?」
ランニング中呼吸を乱すのはいけない事なのだが、そんな事言ってる場合ではない。
とりあえず衛宮士郎(らしきもの)ものを追いかけ真相を確かめねば。
「ステラ、一気に行くぞ!」
「わかってるわよ!」
すぐさま魔力で身体強化を施す。コレで普通に走るよりも速度も持久力も増強された。
「うん?そういえば魔力の残滓を感じないな・・・」
「え、なに。ボブの奴まさか・・・」
「「地力で走ってった?」」
思考が一瞬止まった。伐刀者とはいえ余程のスピード特化でもない限りあんな速度出せる訳がない。
「ホントなんなのよアイツー!」
「ステラ落ち着こう!この速度で走ってるんだから安全確認怠っちゃダメだ!」
ひたすら走り続け約1時間。ようやく学校まで戻ってくる時には既に僕達はヘトヘトだった。
そこで目にしたのは
「2人とも遅かったじゃないか。ほら、スポーツドリンクだ。確り冷やしておいたから、落ち着いて飲むんだぞ?」
先と変わらず満面の笑みの衛宮だった。その手には二本の水筒。どうやら僕とステラのぶんらしい。
うん、有り難く頂こう。
「・・・じゃなくて!衛宮、君本当にどうしたんだい?いつもの衛宮はもっとこう、言っちゃ悪いけど仏頂面で目が虚ろで・・・」
「そうよ、やっぱりアンタなんかおかしいわよ色々と!」
「?2人ともなに言ってるんだ?さっきも言ったがオレはいつも通りだよ。短い人生だ、存分に楽しんで生きないとなぁ!」
今度は笑い声がHAHAHA!に聞こえる気がする。なんというか、もう深く考えちゃ負けな気がしてくる。
「うーむ、朝のHRにはまだまだ時間があるな。折角だしもう一周してくるか」
「「は?」」
またとんでもない事を言い出した。いやお前マジでどうした。
「2人も来るか?」
「「遠慮しておく!」」
「そいつは残念だなぁ。じゃあ行ってくる、時間までにはしっかり戻ってくるから安心してくれ!」
またまた満面の笑みで走って行った。凄まじい速度で。多分時速200Kmは出てるんじゃないかな・・・。
「・・・一旦部屋に戻ろうか、ステラ」
「・・・そうね、凄く疲れたし」
今日はこのままあの衛宮と過ごすことになるのか・・・?精神持つだろうか・・・。
「ん?なんだこれ」
ふとベンチを見ると、なにか置いてある。2つの・・・布で包まれた箱。この形、まさか・・・。
「「弁当箱・・・」」
よく見れば弁当箱の下になにかが置いてある。・・・メモだ。
『普段仲良くしてもらっているからな!食堂の厨房を借りて2人に弁当を作って置いた。コレでも腕には自信がある。よく味わって食べてくれ!あ、食べる前に確り手を洗うんだぞ!食べ終わった後は確り歯を磨くように!』
「・・・オカンだ」
「・・・オカンね」
・・・・・・
「・・・・・・」
「い、イッキ?顔色悪いけど・・・」
「いや、なんでもない。なんでもないよステラ。僕は至って正気だ、なにも変な夢なんか見てない。満面の笑みで走り回る衛宮なんて夢は見てない。うん、断じて、絶対に、間違いなく」
「ちょっとイッキ、本当に大丈夫なの・・・?」
「オレがどうかしたのか?」
「うわぁぁ!?」
「あ、ボブ。おはよう」
「ああ、気怠い朝だな。顔を見た途端飛びあがられるせいで余計に気怠い」
「え、えーと。衛宮だよね?普段の仏頂面で目が死んでで内面空っぽな衛宮だよね?」
「ちょっとイッキ!?」
「友人に対して随分な言い様だな黒鉄。まあ別になんとも思わんが・・・一体どうした?なにか悪い物でも食ったのか?」
「あ、この話し方、態度。間違いなく衛宮だね・・・。そうか、これは現実か、夢じゃないのか!」
「あの、ボブ」
「言わなくてもいい。まあ、暫くすれば大人しくなるだろう」
この日、黒鉄一輝は何かから解放されたような、晴れ晴れとした顔をしていたという。
彼になにがあったのかは不明である。
ふざけましたハイ。
ただのネタですハイ。