このまま空き地でウジウジしていても仕方が無いので少女と一緒に空き地を出た。
その際に少女の姉が落とした懐中電灯を少女に渡した。
懐中電灯は2つあるから余程のことがない限り奇襲には合わないだろう。俺が気をつけていれば。
後気をつけなければならないのは俺の記憶がすごく頼りにならないことだ。
大事な場面でもその時に居合わせないと思い出せないぐらいには記憶が朧気になっている。
この記憶を頼りに空き地へ向かっている途中に何度も道を間違えそうになった。
簡単に言えばほぼ初見である。転生の意味ねぇな…
何処に行けばいいかわからないがそこは夜廻主人公のこの少女についていけばわかるだろう。
とりあえず家に帰る方針で来た道を戻って行く。
帰える途中はたくさんの『ナニカ』に合った。
それこそ個性溢れるいろいろな形をしていた。
人の頭ぐらいの大きさで噛み付こうとしてくる黒い塊。
車道をものすごい速さで走る首無し馬。
あとパトランプ。こいつはなぜかいきなり追いかけてきたので少女を脇に抱えて逃げた。まだ根に持っているようだ。
他にも襲われたり、逆に無害のものがいたりと様々な発見がある。
それにナニカは光に敏感らしい。
それでもこの懐中電灯の光は消せない、なぜなら光を当てないと見えないものがいるからだ。
きっと光が眩しいく妬ましいのだろうと思い心の中で謝る。
少女の手を取りながら歩いてるとピタッと少女が止まった。
「どうした?」
訪ねてみても返事がない。
どこかを信じられないと言う様な顔である一点を見ている。
まさかよまわりさん?、と内心ドキドキしてゆっくりと少女が照らしているところを見る。
そこには丸まった犬の尻尾と後ろ足だった。
少女が犬に近づこうとするとその犬はスクッと立ち懐中電灯の光を避けるように逃げて行く。
「ポロ!?」
少女は逃しまいと犬を追いかける。
それを俺は止める。
少女は俺を見て「なんで止めるの!」と少し怒りなが尋ねる。
「あれはポロじゃない」
はっきりと大きく答える。
「な、なんでわかるの?」
まずはあの犬には
少女が持っていたリードは少し怪我したぐらいではつかない量の血がべっとりとついていた。
それなのにあの犬は大怪我どころか血の一滴も垂れてはいない。
多分あれは…『ナニカ』だろう。完璧な根拠はない。でもあれは生きていないとはっきりといえる。
それに体型がおかしかった。
ポロはあんなに
それはこの少女が一番わかっているはずだ。
多分心に余裕がないのだろうわかる。
それでもきっと何を言っても確認しに行くだろう。俺のことは跳ね除けてでも。
少女の目は頑として確認すると言っている。
「…俺が何言っても確認しに行くんだろ?」
少女は力強く頷く。
諦めて少女の手を取り犬が行ったであろう『小学校』えと向かう。
それに諦めた理由は少女の強い意志だけではない。
これが正規ルートだからだ。
今のように何かしらのアクションが起きたとき、記憶がもとに戻ってきた。
もしかしたら何か思い出すことができるかもしれないと思いかすかな希望を胸に歩く。
【ある少年の日記】
最近この世界で生きていくのがバカバカしくなった。
自分でもわかる家庭環境の捻じれ。
親は俺をよく思っていないのは昔からわかっていた。
中学生になると同時に一人暮らしするように言われた。
誰からも望まれずに生まれた俺はなんだ?何のために生まれてきた?もう何もわからない。
どうせ生きていてもつまらないから死のうと思う。
そういえばこの街に行ってはならない洞窟がある。
どうせ最後だしその洞窟に行ってみようと思う。
本当に化物がいるなら見てみたいものだ。