少女の愛犬ポロのリードを掴みながら少女の後ろを歩く。
あの公園から出て数十分はもう立っている。
今更ながらよくポロのリード渡してくれたなと思う。
俺だったらそのまま交番に駆けつける自身があるぞ?
それにしてもこの小さな少女が
俺にはこの世界のことを知っている。
しかしなぜかほとんどの記憶に靄がかかっておりほとんど無知の状態だ。
もはや意味すらないが別に支障はない。なぜなら家からでなければいい(フラグ
転生特典なんてもらってるはずなくこの世界で俺teeee
できるはずもない。
しかも自分の境遇にも疑問しか生まれない生活をしている。
高校生で一人暮らしならともかく中学生で一人暮らしなんか聞いたことない。
どんな親なのかまだ知らないがどう考えても育児放棄としか考えられない。
もし俺に家事能力がなければ幽霊じゃなくて栄養失調でBADENDまっしぐらだ。笑えねぇ…
しかもいきなり転生して目覚めた場所がもうなんかボスでもいるんじゃね?的な雰囲気しか感じないトンネルだったところなんかは悪意しか感じない。
考えれば考えるほど疑問が頭の中を埋め尽くしていく。
そしてそのどれもが解決できなさそうなものばかりで次第に頭痛がしてきた。
考えることを放棄して足にまとわりついてくる犬を踏まないように気おつけながら時折こちらに目線を向けてくる少女の後を離れないように歩く。
少女の家につくまでは言葉はなかった。
少女の家につく頃にはそろそろ帰らないと本格的にヤバイくらいには暗くなりかけている。
ポロを少女に半場押し付けるように渡して「じゃあね」と、言うとすぐに回れ右をして少女の反応を待たずに自分のアパートに全力ダッシュした。
走りながらアパートまでにつく時間を考えると多分、いや確実に間に合わない。
そう考えると泣きそうになったがその気持ちを飲み込んで無言で『死にたくない』と思いながら走った。
予想通り間に合わなかった。
見上げればアパートが見えるところまで来たがその道のど真ん中にある街灯下の明かりに照らされる黒いもやもやがが待ち構えている。
草かげに見を潜めてそいつがいなくなるのを待つ。
どうやらやつはとても鈍いようだ。
前に追いかけられたときは焦っていたがそこまで足は早くない。何なら子供でも逃げ切ることができるぐらいだ。
それでも安全に帰りたいため待っているがどうやら動く様子はない。
回り道をしてもいいが奴らは光を当てないと見えないやつがいる。
あいにくスマホはおいてきた。今度からは懐中電灯を持って歩こう。
草かげに隠れながら深呼吸して気分を落ち着かせる。
すぅ〜〜、は〜、すぅ〜〜、は〜
覚悟を決めて草かげから勢い良く飛び出す。目指すは
気づいた『ソレ』は襲いかかるが動きは鈍いため簡単に避けられる。
そのまま死にもの狂いで走り自分の部屋がある二階までノンストップで走り切り扉を乱暴に開けてすぐに鍵を掛ける。
そのまま扉を背にへたれこむ。
その日は軽くシャワーを浴びて飯を食べずに気絶するように眠った。