幼馴染が根源の姫だった件   作:ななせせせ

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色々あって書けなくなったり書けたり軽く自我を喪失しかけたりしてましたが今は元気です。
今年こそ賞に応募して作家デビューしつつ同人誌作って頒布しつつ友人たちと作っているゲームを完成させたいですね


ミリオン記念:ハッピーカルデアライフ2

 ――それは本来ならあり得ないはずの邂逅。

 小さな奇跡が重なった結果起きる、大きな悲劇。

 

 カルデアのマスター、藤丸立香にとってはもう慣れたことだが、同じ英霊であってもその別側面が別のクラスとして召喚されることがある。

 それはつまり自分でも知らない部分を直視することになるということで。

 

 

「あ」

「あっ」

「あ?」

「え?」

 

 

 ――カルデアの一角。

 十字路のような構造のそこで、とある英霊たち(正確にいうなら一人だが)がばったりと出くわした。

 

 東からは、エキストラと自称したセーバー。

 西からは、エキストラと自称するセイヴァー。

 北からは、エキストラと自称していたキャスター。

 南からは、エキストラと自称しているルーラー。

 

 

 ……彼ら彼女らの隣にはそれぞれ生前伴侶だった者が連れ立っており、大変面白おっと、険しい表情を浮かべている。

 いや、よく見たら全員挑発的な表情だ。

 

 つかつかと歩み寄り、身体が触れ合うほどの距離でガンを飛ばす。

 ちなみにその間セーバーたちは目を見開き、互いの顔を驚愕の表情で見つめている。

 同じ顔が三つ、性別が違うけれども似た顔が一つというのは中々に奇妙な光景であるが、それよりも何よりも、通路の真ん中で火花を散らすやべーのが意識を持っていく。

 

 どうしようもないビースト共の喧嘩の口火を切ったのはやはりというかなんというか、沙条愛歌である。

 

 

「ふ、ふふ……どこの誰かと思えば、その下品な身体で『わたしの』セーバーを誘惑した雌猫と駄神と並行世界のセーバーを無理やり夢に引きずり込んで快楽漬けにした夢魔じゃない」

「うふふふ……そういうあなたはその貧相な身体つきで『私の』セイヴァーを満足させることも出来ないような憐れな魔術師ではありませんか」

「――『わたしの』――」

「酷いな!? ボクがそんなことをするようなクズに見えるかい⁉ 『ボクの』ルーラー相手にそんなことするわけないじゃないか!」

 

 

 などと醜い戦いを繰り広げる横ではセーバーたちが――

 

 

「……なんていうか、変な感じだな。並行世界の自分なんて初めてだ」

「いや、初めても何も普通はないだろ……?」

「まあ確かに……ただ、並行世界の女性である自分っていうのは、なあ?」

「……う、なんだ。あんまりじろじろ見ないでくれ。その、マーリンが嫉妬する」

 

 

 その一言をきっかけにセーバーたちがすっと視線を逸らす。

 

 

「……その反応、もしかしてそっちもか?」

「なんというか、絞られる? いや、貪られる? みたいな?」

「半日ずっと、の時もあったなぁ……」

「あいつ、夜しつこいんだ……」

 

 

 全員が全員何らかの悩みを抱えているようで、段々とお悩み相談会のようになってくる。ちなみにその隣では――

 

 

「あったま来た! 本気で叩きつぶしてあげる!」

「私にも多少魔術の心得がありますし……それに、利口なペットもいますから。あなたのような狂犬にはいい手本になりますよ?」

「Aaaa、AAAAAAAAAA―――――――――」

「――妻の話をするとしよう」

 

 

 いよいよ怪獣大戦争染みた光景となり、近くを通ったカルデア職員が真顔で来た道を引き返していく。

 周囲の壁が罅割れ、砕けた破片がぱらぱらと散る。

 まさにカルデア崩壊の危機といったところだろうか。笑い話にもならないが。

 

 

「――あら、随分楽しそうなことをしてるのね。私も混ぜてもらっていいかしら?」

 

 

 その人外魔境に涼やかな声が掛けられ、頭に血が上ったビースト共が一斉にそちらを睨みつける。

 

 そこには――

 

 

「ちょうどこのコの試し切りもしたかったところだし」

 

 

 白い着物を着た黒髪の女性が、日本刀を片手に微笑んでいる。

 微笑んでいるというのにどこか寒気がするのは何故か。

 

 その隣で頬を引き攣らせていた青年――彼はエキストラと自称しだしたフォーリナーだ――がセーバーたちの方へと歩いていく。

 そして――

 

 

「そろそろ止めないと、やばいんじゃないか……?」

「愛歌はあのスレンダーなのがいいんだって。いや別にロリコンってわけじゃな――って愛歌なにやってんの!?」

「祈荒のいいところはあの身体だけじゃなくてな? 偶に見せてくれる照れた表情とかが最高に――おいいいいゼパルゥゥゥゥ!!」

「ティアマトは褒められ慣れてないのがまた最高に可愛くて――泥! 泥出てる!! ヤメテ!!」

「その、なんていうかふとした瞬間の気遣いというか優しさみたいなのはすごくきゅんと――なに私の黒歴史披露しようとしてるんだ!?」

 

 

 いつの間にか自分の嫁or夫の良い所語り大会のようになっていたところをフォーリナーのエキストラによって止められ、慌てて怪獣大戦争の様相を呈していたそこへと割って入っていく。

 彼らが入っていったことでカルデア崩壊の危機は止めることが出来たが、その様子を見ていた職員の胃は深刻な影響を受けたのだった。

 

 

 

 

 ――結果としてナイチンゲールの仕事量が増えてセーバーたちが怒られるのは、また別の話である。




こんな感じのことが度々起こってるんじゃないですかね()
一先ずあとは王様ーズとの話とかやって第三章かなー

次の話は?

  • スイート
  • ノーマル
  • ビター
  • デーモンコア

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