ティアマトの幼馴染にしてしまうと気絶王が色んな意味で人間をやめてしまうため嫁にクラスチェンジです
それからこの話はちょっとエロいぞ
……うん。いや、あのね?
言いたいことはたくさんあるんだ。それはもう、この一日かけてもなお言い尽くせないほどには。けれど今は、この一言だけにしよう。
「どうしてこうなった……!」
ガッ〇ム。ホー〇ーシット。フ〇ック。次々と罵倒の言葉が出てくる。何に対してかって? 俺をこんな状況に叩きこんだ奴に対してだ。
……オーケー、じゃあ説明するぜ? 台風が上陸して大変なことになった時に、田んぼの様子を見に行ってしまったがゆえに死んでしまった情けない男がいた。そう、俺だ。そして、死んだと思ったら古代メソポタミアに王族として生まれていた。は? って思っただろ? 俺も思った。
とにかく、俺は気付いたらメソポタミアで王になる運命にあった。面倒なことこの上ないが、ほとんど肉体労働しなくていいということに気付いて以来、それはもう鬼のように頑張った。反逆とか怖いし、まともな王であろうとしたのだ。そんな日々が過ぎて、気付いたら俺は立派な王として認めてもらえるようにはなった。
……ここまではいい。問題はその先だ。何やら近くの国の王は色々とすごいらしいという噂が入った。その名を――ギルガメッシュ。その時全てを悟った。いや、嘘だ。この時空が型月時空ということしか悟らなかった。まあでも、ギルガメッシュがいるだけなら別に問題ないだろう……と甘く考えていたのが悪かった。
そして、俺は血迷った。頭脳労働しかできないくせに、ティアマトと対峙することを決意したのだ。なんかいけそうな気がしたのだ。
で、気付いたら。
「?」
「ああもう可愛いなぁ! ちくしょう!」
「――てれる――」
物凄い角の生えたエロい格好の女神の頭脳体をお持ち帰りしていた。いや、違うんです。警察は……俺が法じゃないか。これは別に犯罪じゃない、いいね? 足を怪我していたから手当てをしてやって、通じない会話に遠い目になりつつ、飯を食わせ、一日中頭を撫でて過ごしていたらいつの間にか発情していた。そして、発情したこのティアマトの頭脳体、ファム・ファタールというらしいが、これに襲われ、三日三晩の戦いの末に勝利し、黄色い朝日を拝んだ。
寝不足と疲れからくる謎のテンションで、俺は人類を救った! と小躍りしながら担いで都市まで連れ帰り、民たちに喝采されながら城まで来てぐっすりと眠り、起きたのがさっき。本当にどうすればいいのだろうか。ティアマトはきっと旧人類を滅ぼすだろう。しかしなぁ……ううん。
「――なやみごと、きく――」
「……ティアマトは、
「――う――」
「けれど、けれどね。俺は王だ。王なんだよ。俺は民を守らなきゃいけない。彼らの笑顔を、生活を、命を、消させるわけにはいかないんだ」
「――じゃあやめる――」
「だから俺は今とてつもなく――うん?」
「――ほろぼすの、やめる――」
……うん?
「――でも、おいていかないで――」
「え、ああ。はい」
「――わたしから、また、はなれないで――」
ぽろぽろと、星の内海を映す瞳から透明な滴を零しながら、懇願してくる。ティアマトの神話は知っている。彼女が産んだ子らからどういった扱いを受けたのかも。だから、そっと抱きしめた。
「……うん。俺が死ぬまでは、絶対に。ティアマトを置いていくことはしない。離れたりもしない。一生を、君と共に過ごそう」
「――いいの――」
「いいよ。ティアマトは悪くないし。それに人類を滅ぼしたりはしないんだろ? なら、俺の悩みは解決だ。ティアマトは何か悩みとかはない?」
そっと抱きしめながら頭を撫でつつ、優しく言葉をかける。ゆっくり、
「――こども――」
「子供?」
「――こどもが、ほしい――」
「え、あー、うん。……そっか」
「――つくろ――」
「うっ」
ぷしっ、と鼻から鮮血が散る。なんという破壊力。なるほどビーストⅡとはこのことか。今のは途轍もなく破壊力が高かった。おかげで臨戦態勢になってしまった。元から刺激の強い格好をしているし、体はどこも柔らかくて、不思議な、けれど心地のいい匂いがするせいで暴走しかかっていたのが一気にきた。
「じゃあ、うん。しようか」
「――いっぱいほしい――」
「分かった」
「――すき――」
「……うん。俺も、好きだ。結婚しよう」
「――けっこん、なに――」
「あー、結婚っていうのは……ずっと一緒にいることを誓う儀式、みたいな」
「――する――」
「あぁ……なんか色々考えたりしなきゃいけないことが……けどまあ、今は忘れておきますか」
それから一週間くらいずっと、ティアマトのことを抱きしめて頭を撫でながら、彼女の希望通りにした。動作の一つ、歌のような声、表情、全てが俺を捕らえる。どんどん彼女に溺れていくのを感じる。でも、ティアマトの方も同じように俺を求める。食事の間などもずっと、ティアマトに繋がったまま、一週間を過ごして。
ウルクからの使者が来たことでようやく、その生活は幕を閉じたのだった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
……。
「……」
「……」
沈黙が、痛い。
というか怖い。相手がかの
あのティアマトに溺れる生活が終わってから一月ほど。地味に色んな問題が発生していたため、それの対策などをしているうちに早くも一月が過ぎた。具体的にはティアマトが放置したラフムたちが暴走していたり、召喚されるだけされていたゴルゴーンとか、ケツァル・コアトルとか色々な女神関係。……本当に大変だった。
……それにしても、意外とまつげ長くないかこの人?
「……貴様」
「え? あ、はい」
「昔から阿呆だとは思っていたが、よもやここまでとはな……」
「いや、照れるね。エルキドゥにもよく笑われたよ」
「――フ、ふはは、ははははは! ははははははははははははは! よくもまあそんな馬鹿な真似が出来たものだ! シドゥリ、水差しを持て、これは! ふははは! 命がまずい! あのグランドキャスターめの計画を! この阿呆が! ふははは!」
腹を抱えて大笑いする英雄王――ギルガメッシュ。彼としてはかのグランドキャスターの計画をなんの考えもなかった俺が結果的に止めたことが大うけなんだろう。
「ギルくん笑い過ぎだぜ」
「ええいギルくんと呼ぶなと言ったであろう! ……フフ、しかし、よくやったと言わざるを得んな、これは。貴様のその馬鹿げた行動のおかげで我の手間が省けた」
「ま、これで民が被害を受けるってこともないし。結果良ければすべて良しってな。じゃあ俺は帰るよ。酒呑むならまた今度な」
「――ああ。また会おう」
あまり長く待たせるわけにはいかないのでギルガメッシュに別れを告げ、早めに出ていく。ギルガメッシュには悪いけど、仕方がない。人理の崩壊を防ぐ一助的なあれだから。
謁見の間から出ると、小柄な影が二つ近寄ってくる。一つはこの前式を行い、晴れて正式に妻となったティアマト。
「――おかえり――」
「ん、ただいま」
そしてもう一つは。
「お、おかえり。と……
「ただいまー。さ、帰ろう。
「……いや、ボクは疲れたりなんか――」
「――おちつき、なかった――」
「そっか。ごめんなー、長かったよな。よしよし」
「う、うう……」
「――わたしも――」
「ん。よしよし……」
ギルガメッシュの親友。エルキドゥの身体を元にした存在、キングゥ。彼はティアマトの子であり、ということはつまり、ティアマトと結婚した俺の子ということだ。かつての親友の身体をベースにしたキングゥが俺の子供になるということでギルガメッシュの顔が面白いことになっていたのだが、その話はまたいつかにしよう。
ただ、今はこの大事な家族を目いっぱい構い倒すのだ。
抱きしめた時に角邪魔そう()
王にした理由?
特に深い理由はないけどあえて言うなら神様を嫁にしても許されそうじゃん?
次の話は?
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