パチュリーさんは現代の家で居候しています。   作:閏 冬月

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6話 パチュリーさんはインスタントに打ちのめされました。

お寿司2人前を手に取った時、パチュリーさんにTシャツの裾を引っ張られた。

どうしたのかと思って振り向いた。

そして、パチュリーさんは何を言いたいのか。見ればすぐに分かった。

パチュリーさんの指が指しているのは、インスタント麺のコーナーだった。

 

「気になるんですか?」

「ええ。あんな袋や容器の中に入っているものだけで、あんな料理が出来るとは思えないもの」

 

あんな料理というのは、カップ麺や袋麺に描かれているイメージ画像のことだろう。

あの見た目のものが出て来なければクレームを言うのかな?

 

「買います?」

「お願い」

 

仰せのままに。

パチュリーさんの要望に応えて、卵とお寿司と米に加えて即席ラーメンも買うことにした。

米は来月まで保つだろう。パチュリーさんは多分、少食だろうと予想している。

レジを通した時にレジの人が横にいるパチュリーさんのことを四度見したことは言わないでおく。

 

「パチュリーさん、OKですよ」

「それじゃあ帰るわよ」

 

パチュリーさんにはカップラーメン一つとお寿司2人前が入っている袋を持ってもらうことにした。

パチュリーさんがいつ倒れても大丈夫なように手を繋ぐためだ。

一種の幸せな時間だ。

この幸せな時間を打ち壊す者は万死に値する。いや、万死では物足りん。億死に値するだろう。それでも足りるか不安になる。

 

「煉、何を考えているのかしら」

「パチュリーさんとの時間を打ち壊す者は死刑宣告を受けても問題ないなって思ってました」

「何その馬鹿みたいな理論」

 

あなたに比べると誰でも馬鹿でしょうよと言いたい気持ちをぐっとこらえて、パチュリーさんの歩くペースに合わせて歩く。

パチュリーさんは頻りにインスタント麺に目線を送っており、よほど気になるのだな。と感じることが出来た。

そういやお湯ってあったっけな。

まあ、沸かすか。

 

 

 

 

 

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家に帰ってくるなり、いきなりパチュリーさんはインスタントラーメンを開けようとして、唸っている。

しかし、魔法を使うことの出来ないパチュリーさんは非力なもので、袋を開けることが出来ず、結果俺が開けることになった。

 

「魔法が使えないのは不便なものね」

 

パチュリーさんはソファーに座りながら、そんなことを言った。

それに関しては使えないが同感である。

移動では魔法を使っていたのに、いきなり徒歩になると、体力不足が目立ってしまう。

 

というかジャンクフードを食べて、パチュリーさんは更に体力が低下しないのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

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「吐きそ……」

「ここでは吐かないでくださいね」

 

パチュリーさんは勢いでインスタントラーメンを食べました。その時のパチュリーさんは美味しい!って言いながら食べてたので、後悔はしてなさそうで。

 

「煉、お手洗いはどこかしら」

「廊下の右側にある扉です」

 

「ちょっと失礼するわ……」

 

今度からパチュリーさんにはなるべく体に優しいものを買わないといけないな。

 

そう思った俺であった。


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