初めての現代入りものなので至らない点がございますが、どうぞ、ごゆるりとお過ごしくださいませ。
「煉、紅茶を淹れて」
「分かりました」
「茶葉はダージリンでお願いね」
「パチュリーさん。紅茶の茶葉、昨日できれたっぽいです。麦茶でいいですか?」
動かない大図書館こと、パチュリー・ノーレッジさんはパソコンを見ながら唸った。
どうやら今日は紅茶の気分だったらしい。けれど、買いに行くことも出来ない。
今は午前1時。コンビニがこの家の近くに無く、近くにあるのは、午後11時に閉店するスーパーが2、3軒。
「むう。仕方ないわね。ちょうだい」
「承りました」
なぜ、こんなところに東方projectの登場人物である、パチュリー・ノーレッジさんがいるのかは、1週間ほどまで遡る。
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1週間前、ただインターネットで東方project原作の2次創作を見ていた。
この2次創作物は俺の大好きな紅魔館グループをメインとした物語だ。紅魔館の中だったら咲夜さんとパチュリーさんが好きだ。そんな個人の好みなんていらないけれど。
これは面白い!
そう思った俺は、徹夜での読破を企んだ。
読んでいる媒体はノートパソコン。寝転びながら読むにはとても嬉しい。デスクトップはデカいから。
布団を敷くために、押入れを開けた。
その時、後ろからこの世とは思えない音が聞こえた。
後ろに振り向くと、天井から落下しているパチュリーさんを見た。ドサッと音を立てて床に落ちると、目を回していた。
俺は何が起こったのかなんて分からない。ただ、救命しないと、と思った。
そして、神様ありがとう!と思った。
「だ、大丈夫ですか?」
目を回しているのだ。大丈夫なわけがない。
とりあえず布団を敷いて、パチュリーさんを寝かせようとする。
今は、無理に動かさない方が良いのだろうか。
それなら、どうやって動かそうか。おんぶは危険、転がすのも危険。
なるべく体勢を変えない運び方…。
それはすぐに思いついた。そう、お姫様だっこの形だ。
それは途中で起きてしまえば、俺自身の社会的死が待ち受ける。しかし、冷たいフローリングの上で寝かせておくのも、俺のパチュリーさん好きの精神が死んでしまう。
悩みに悩んだ末、お姫様だっこで布団まで運ぶことに決定した。
持ち上げると、ゆったりとした服装に見合わず細い体が腕に当たる。
何この子守りたい。
そんな呑気なことも考えられる暇もなく、すぐに布団の中に潜らせた。
案外、早くに寝息が聞こえてきたので、安心して自分のソファーへと向かった。
パチュリーさんの寝顔は可愛い。確信が出来る。
「……。飲まず食わずで、不眠不休だったとしても、パチュリーさんの寝顔だけで一カ月は生きていけるかもしれない」
ガチでそう思った。