SAOの最新ゲーム《フェイタル・バレット》
とても楽しく遊ばせていただいています。
え?主人公の名前?
《Akito》ですけど(´・ω・`)?
ほんの少しだけ、過去に触れるお話です。
話は全然進みません。
その小さな部屋の中心で、彼は立ち尽くしていた。
周りに散らばる無数のポリゴン片は幻想的なまでに綺麗に見えた。
先程まで人の形をしていたはずのそれは、光となって宙へと舞っていく。
そうしてやがて、雪のように消えていくだろう。
その黒の剣士は両手の力が抜け、持っていたその剣は地面へと落とされる。
「……終わった、か」
PoHを無力化する事が出来たアキト。だがそこにあったのは歓喜とは程遠い感情。
達成感は無く、寧ろ大きな喪失感を感じた。
人として、大切なものを捨ててしまったかのような感覚を。
思い出す。最後、PoHにとどめを刺したあの瞬間を。
「……」
“これはフィリアの為だった”
“相手はAI、それに人殺しだ”
“殺さなければ、誰かが被害にあった”
“見逃せば、また同じ事が繰り返された”
“だから、仕方なかった”
「……」
どれだけ言葉を並べても、こんな考えは何一つ意味が無い事は分かっている。
たとえ、今言った事が全て正しい事だとしても、結局は自分が納得するか否か。
相手は人では無かったのだ。このSAOで生まれたプログラムの一つ、本物そっくりに造られたAIだった。
けれど────
「人の形をしたものを殺すって……やっぱり堪えるね」
「アキト君……」
アスナが戸惑う視線を向ける。アキトはそんな彼女に笑って見せた。
でも、それが作り笑いだとバレバレなのは、当人ですら知り得ていた。
もしあれが人だったら────
そう考えてしまう。
いや、あのPoHは人間と変わらない、一つの自我を持っていた。この世界で生み出された《ホロウ》だったとしても、自我があって、自身を認識していたのなら、それは人間と変わりないのではないだろうか。
なら、やはり自分は人を殺した事になるのだろうか。
幾ら悪人だったとしても、それは殺す事を容認する理由にはならない。なってはいけない。
ならば、自身がした事は許される事なんかではなく、この手はきっと、血で汚れてしまったのだろうか。
────ズキリ
途端に頭に激しい痛みが襲う。
左の眼は既に黒く染まり切り、右の眼も、もう黒く侵食されつつある。
けれど、その痛みを抑える程の力を、もうアキトは持っていなかった。
フラフラとバランスを崩し、その場に膝を付く。
「っ!アキト君!」
アスナの驚く声が耳に入る。
だが、それに応える事も出来ない。何故だか、とても眠い。
そのままうつ伏せに倒れようとするその身体を、どうにもする事が出来ず、アキトは気を失った。
朦朧とする中、感じ取れたのは────
何かを、失った感触だった。
●○●○
《ホロウ・エリア管理区》
アキトが倒れた事で、アスナとフィリアは一応の処置という事で管理区へと移動していた。
ここへ来たからといって何か出来るわけでもなかったが、あの空間でアキトが目覚めるのを待つのもあまり気分の良いものとは言えなかった。
何も無かった電脳空間とは違って、ここはまだ色々なものが残っている。コンソールやシステムウィンドウ、アインクラッドで実装される武器やスキルを統括するコンソールの天井は、星のように煌めいていた。
アキトも目を覚ました時にあの場に居るよりは、こちらの方が幾らか気分は良いだろう────なんて、ただの思い込みなのだが。
「……」
アスナは自身の膝の上で目を瞑るアキトを見下ろす。所謂膝枕というものだった。
固い地面よりはこちらの方が、と思っての善行だったのだが、アキトの元々の容姿と相成って、今では少しだけ気恥ずかしい。
死んだように、ただ静かにそこに眠るアキトは、アスナをとても不安にさせた。
「……目、覚めるよね」
「……うん。もうすぐ起きるよ、きっと」
フィリアの不安そうな声に負けじと、アスナは元気にそう言い放つ。
目が覚めるかなんて分からない。保証も確信も無い。けれど、そう思わずして、彼に何を思えば良いのか。
彼が自分達にしてきてくれた事全てを鮮明に思い出せる。彼が誰よりも頑張って来た事を、一番近くで見てきたアスナだからこそ。
アキトの頭をそっと撫でる。髪はとてもサラサラとしていて、まるで女の子のようで。
身体も全体的に細い。もしかしたら、キリトよりも細身かもしれない。
こんな細い腕で、今まで自分達を助けてくれたのかと思うと、色々なものが込み上げて来る。
「……早く、起きないかな」
「……」
フィリアがポツリと、そう呟く。
アスナも全く同じ事を考えていた為、思わず小さく笑ってしまう。
けれど────
「……謝りたい」
「っ……フィリア、さん……」
静寂の中、消え入りそうな程弱々しい声がアスナの耳に響く。
ふとアキトから視線を上げると、そこにはポロポロと涙を流すフィリアの姿があった。
アスナとアキトのすぐ近くでへたり込み、下を向いて泣いていたのだ。
アスナは目を丸くして固まった。フィリアが嗚咽を漏らして泣きじゃくる姿を見て、思わずその瞳が揺れる。
「私……わたしっ……アキトを……アスナを、裏切って……、ずっと、謝りたくて……!」
「フィリアさん……」
「普通なら、絶対助けになんて来ない……なのに、どうしてアキトは……」
フィリアの泣きながらのその質問は、アスナには答え難いものだった。彼女が仲間だと思ったから助けに来たのは事実だったが、一番の理由は違ったからだ。
それは、アキトが心配だったから。これに尽きていた。
裏切られたなら、きっと助けない。フィリアのその発言は的を射ていたけれど、アキトは決してフィリアの事を悪く言わなかった。
アキトはただ、フィリアの事を思って、助ける事だけを考えて、この世界の秘密や、彼女の立場、状況を調べ尽くした。
アキトは自分を裏切った人の為に、PoHと死闘さえも繰り広げた。
何故そんな事が出来たのかなんて、アスナにだって分からない。
「そういう人なの、アキト君は」
アスナは自身の膝の上で目を瞑るアキトを見てから、フィリアに向かって笑いかける。
フィリアは涙を拭う事もせず、黙ってアスナを見つめる。
「初めて会った時から、アキト君はこうだったもの」
アスナは、アキトの事を何も知らない。
この世界での二年間、どんな想いを抱き、苦しい想いをして来たのかを。
聞いても、きっと教えてくれなかっただろう。でも、こうして彼と深く関わる事で、もっと知りたいという気持ちは日増しに募っていた。
それはきっとアスナだけじゃない。彼と親しくなった人達全てがそう思っている。
だからこそ、フィリアをどうして信じきる事が出来て、助けに行こうと思えたのか、それは彼にしか分からない。
「私達に事情を説明してくれた時だってそう。アキト君は一度だって、フィリアさんに裏切られただなんて言わなかった」
「っ……」
「フィリアさんには何か事情があって、それを利用されたんじゃないかって、そう思ったのよ。だから、この《ホロウ・エリア》の事を必死に調べてた。ここはね、フィリアさん。一般のプレイヤーは立ち入る事すら出来ないらしいの」
「ぇ……」
「だから、この世界の事を調べられるのはアキト君だけ。彼だけが、ずっと貴女を信じてた。私はこのエリアの事をよく知らないけど、アキト君はきっと、フィリアさんの事を解決してくれる」
「……」
フィリアは何も言わずアキトを見下ろした。
言葉も無かった。何も言えなかったのだ。未だ頬を伝う涙は止まらないけれど、きっと拭っても拭っても溢れてくるだろう。
アスナは自分でそうフィリアに放つ言葉の一つ一つを反芻する。
そう、彼は優し過ぎる。本当なら、もっと怒っても良いのかもしれない。でも、彼はそうしない。
PoHとの戦闘後もそうだ。アキトは、PoHを殺した事を悔いたような発言をしていた。自分を殺そうとしたプレイヤーにも、彼は憎悪をぶつけられなかったのだ。
きっと彼は、どんな悪人でも傷付ける事を躊躇ってしまう。
そんな人なのだ。
そしてどんな悪からも、どんな危機からも、アキトならきっと助けてしまう。
自分も、そうやってアキトに何度も助けられた。
誰かの為に一生懸命になれるひたむきな所が、とても綺麗に思えた。
(だから、私は────)
アキトの顔を見下ろし、クスリと笑う。
自分が彼に膝枕をしている事実に、今更顔を赤くする。けれど、不思議と悪い気はしなかった。
(キリト君に、悪いかな……)
心臓が小さく脈を打つ。
そうして、自分が今ほのかに感じた思いに気付き、首を左右に振った。
────トクン
(……ううん)
きっと、違う。これは勘違いだろう。
それでいい。
だから、これ以上考えるのはよそう。
多分、これは見つけてはいけない感情だから。
この想いはきっと、秘めるべきもの。
そう思うから。
「ん……」
ふと、小さな声がアスナの膝元から聞こえる。
アスナとフィリアはすぐさま反応し、思わず声のした方へと視線を下ろす。
「……アスナ、フィリア……」
そこで意識を失っていた筈のアキトは、ゆっくりと瞼を開き、自身の真上にいるアスナとフィリアを視界に収めた。
そこにいる二人の少女の存在を確認し、小さく笑みを漏らした。
「……アキ、ト……」
フィリアはアキトの顔を見て、先程よりも大粒の涙を流す。
アスナも、その瞳が揺れ動く。
傷付きながら、それでも戦う事を止めなかった勇者の目覚めを、一番近くで感じながら、アスナは笑った。
「────おはよう、アキト君」
「……おは、よう……?」
アキトはアスナのそんな挨拶に、戸惑いながらも笑った。
そして、自分が今何処にいるのか周りを見た後、自分が置かれてる状況をゆっくりと確認する。
そして気付く。今、自身の頭がアスナの膝の上にあるという事実。
(……え)
何故、とそう思ったのも束の間、アキトが口を開く前に、フィリアがアキトに近付いた。
その瞳には涙が溜まっており、それを見たアキトはそれまで考えていた事が吹き飛んだ。
思わず目を丸くして、フィリアを見た。
「アキト!だ、大丈夫!?」
「フィリア?う、うん、大丈夫……っ」
とめどなく溢れる涙が、アキトの元へと落ちる。
言葉にならない想いを、どうにか言葉にしたいのに。目の前の弱々しいアキトを見ていると、何も口から飛び出さない。
そんなフィリアが、アキトにはとても脆く見えて。
「もし目が冷めなかったら、私……わたしっ……」
「……もう、大丈夫だよ。ほら、目、覚めたでしょ?だから……泣かないで」
「……うん」
横になった状態でも、フィリアの頭へと手を伸ばす。
自責の念に駆られる彼女に出来る事は、そのくらいだった。まだ動きにくいその身体、その腕をどうにか伸ばして、フィリアの頭を優しく撫でた。
フィリアは驚きで目を見開くも、何も言わず、小さく笑みを浮かべてそれを受け入れた。
涙はまだ、流れていた。
アキトはそんなフィリアに向かって笑う。アスナも吊られて笑ってしまう。
フィリアもそうだ。もう二度と、こんな風にアキトと笑い合える日が来るだなんて、思ってもみなかった。
助けに来てくれるなんて、想像もしてなかった。
自分はずっと────
「私……この世界に来てから、自分が自分じゃない気がしてたんだ」
「え……」
顔を上げたフィリアは、小さな声でそう呟いた。
突然の事で、アキトの表情は固まるが、ただ黙って彼女の言葉を聞いた。
アキトはその腕を下ろし、元の場所へと戻す。アスナも、フィリアの方へと向いた。
フィリアは腰を下ろし、自身のその膝を抱き、何処か遠くを見つめていた。
「私の中が空っぽな気がして……私は何処の誰なんだろうってね。だから生きる事に必死だったのかな」
「フィリアさん……」
「そんな時……私はアキトと出会っちゃんだんだ」
アキトへと視線を戻して笑うフィリア。
今思えば、かなり衝撃的な出会いだったと、アキトですら思う。
聞いた事も無い突然の強制転移、見た事も無いエリア、階層は表示されず、地図すら無い。
そんな状況で初めて出会ったのは、巨大なボスと、オレンジカーソルの女の子。
「アキトと初めて会った時……私、結構口悪かったよね。アキトはそんな私を見捨てる事もせずにボスと戦ってくれた。私、あの時のごめんなさいも、まだ言ってなかった」
「……」
フィリアの突然の切り出しに戸惑いながらも、アキトは黙って話を聞いていた。
けれど、彼女が小さく頭を下げた時、その目を丸くする。
「今更だけど……ホント、あの時はゴメン……それから、今回の事も……」
「あ、謝る必要なんか無いよ。俺が勝手にやった事なんだし、それに出会わなければ、こうやって仲良くなる事も無かったかもしれないし」
「アキト……へへっ、ありがと」
嬉しそうに笑うフィリア。けれど、それもほんの一瞬で、すぐさまその顔を暗くする。
膝を抱く力を強くして、その瞳を揺らし始める。
「不安、だったんだよね……」
「え?」
「自分自身の事もよく分からないのに、空っぽな私がアキト達の所へ帰ろうとする事は……すっごい怖かった」
でもね、とフィリアは顔を上げる。
さっきとは違って、その表情は明るさを取り戻していた。
「……でも、それからアキトと一緒に冒険して、アスナといっぱい話をして、クラインと宝箱を見つけて喜んで……私の中の不安が無くなっていったんだ。だから……やっぱり欲が出ちゃったのかな。みんなと一緒にいたいって。我儘、かな」
「わ、我儘だなんて、そんな事……!」
フィリアの不安げな声に、アスナが強く反応する。
何かを言葉にしようと口を開くアスナに、フィリアは首を振ると、アキトとアスナを見て呆れたように笑う。
「だけど……謎のエリア……素性不明オレンジプレイヤー、普通なら怖がられて当たり前なのに……二人はよく付き合ってくれたよね」
確かに、その字面だけ見れば、かなり危うい状況下だと誰もが思うだろう。
けれど、アキトとアスナ、それにクラインにとっては違って見えていたのだ。
フィリアという女の子の存在は。
「……謎のエリアは不安だったけど、フィリアは全然怖くなかったよ」
「私も。カーソルの色なんて関係無い。一緒に冒険して、フィリアさんが優しい人なんだって分かったもの」
二人は共に、優しく微笑む。
確かに、初めは戸惑った。オレンジプレイヤーがボスと対峙している状況など、あまり見受けられないからだ。
けれど、彼女はアキトの事を思って戻って来て、共に戦ってくれた。
過去に何かがあったのだとしても、あの時はその行為だけでフィリアの事を信頼出来ていた。
アスナも、そんなアキトが見込んだ人なら信じられる、そう思っていた。今は、ちゃんと自分の意思で、フィリアの事を信頼していた。
その言葉の意味、その温かさがフィリアの胸に届く。
言葉にならない感動と、抑えきれない感情がそこにはあった。震える声で、ポロポロと呟く。
「っ……アキト、達がいて……くれたから……私は人だって実感出来た。温かさを感じられた」
「お互い様だよ。俺もフィリアと冒険して楽しかった。ずっと忘れてた感覚を、思い出させてくれたんだ。感謝してる」
「でも!!……でもでも、私はそんなアキトを裏切って……しかもオレンジで……アキトやアスナと一緒にいる資格なんて無い……本当なら絶対私を……嫌いになるよ……」
再び俯くフィリア。
けれど、彼女の不安など露知らず、アキトは仰向けになったまま、膝を借りてるアスナを見上げて口を開いた。
「……アスナ、フィリアの事嫌い?」
「ううん、全然?」
「だよね、俺も」
そう言って、アキトとアスナで笑い合う。
フィリアは目を見開き、困惑を示していた。
アキトはフィリアを見上げて、優しい瞳のまま、その口を開いた。
「フィリアが自分の事をどう思ってるかなんて知らない。俺もアスナも、フィリア自身がどう思ってても、大切な仲間だと思ってるよ」
「そうだよ。みんなこうして生きてる。フィリアさんが自分を責める必要なんて、もう何処にも無いんだよ?」
「アキト……アスナ……」
「それに、フィリアが悩んでた事も分かったし。その解決策も見付けてる」
「えっ!?」
突然の告白に驚くフィリアは、その動きが一瞬止まる。
斯く言うアスナも、具体的な部分は聞いていなかったので、フィリア程ではないが驚いていた。
アキトはそんな二人の分かりやすい反応にクスクスと笑いながら、フィリアの方へと視線を向けた。
「前に話してくれたでしょ?もう一人の自分の話。この《ホロウ・エリア》は、アインクラッドに実装する前の武器やスキルをテストする場所で、普通のプレイヤーは入れない。このエリアには、そのテストを効率良く行う為に、アインクラッドにいるプレイヤーIDを参照したAIが存在しているんだ」
「……それじゃあ、フィリアさんが見たのはAIって事?」
「そう。《ホロウ・データ》だったんだよ。だから、フィリアは人を殺してなんかない。そのカーソルがオレンジなのは────」
アスナは飲み込みが早く、すぐさまそう問い返す。
アキトは小さく頷き、更に説明を続けようと口を開くが、途端にフィリアがそれを遮って食い入るようにアキトを捉える。
「ど、どういう事?私が《ホロウ・データ》で向こうが本物かもしれないじゃない!もしそうだったら、私は……」
「ち、違うよ。フィリアがオレンジなのはシステムエラーなんだ。君がここに来た日付、もしかして11月7日だったりする?」
「確か、11月……日にちもその頃だったと思うけど……」
アキトの質問に対して、フィリアは思い出そうと眉を顰める。
アスナはその日付を聞いて、僅かばかりに反応を示す。
「その日って……キリト君の……」
「……」
それ以上は何も言わなかったが、理解はしていただろう。
そう、あの日は別れの日。
原因不明の巨大なシステムエラーと、キリトという英雄と、ヒースクリフという攻略組の支柱の消失に加え、リーファがこの世界にログインした日だった。
「プレイヤーと同じ《ホロウ・データ》は、同時に存在出来ないんだ。もしそうなった時は、システムが《ホロウ・データ》を削除する仕組みになってるらしい」
「……でも、私は自分と……」
自信を失くして声が小さくなるフィリアを、アスナは静かに見つめ、やがてその口を開けた。
「さっきの日付はね、フィリアさん。アインクラッドに大きなエラーが発生した日なの。……75層のボス攻略の時だった」
「多分、フィリアはその時にこのエリアに飛ばされたんだよ。俺と同じで」
そしてフィリアは、『もう一人の自分』と出会ってしまったという事だ。
クエストを受けた訳でもなかったフィリアにとっては、かなり混乱した事だろう。そんなクエストだって、聞いた事も無い。
「フィリアは、システムが問題を感知して《ホロウ・データ》を削除する前に、混乱して自分の《ホロウ・データ》を攻撃した。75層のシステムエラーもあって、多分フィリアをエラーだと判断したんだよ」
そもそも一般のプレイヤーがこの《ホロウ・エリア》に来る術は無い為に、ここへ万が一にもプレイヤーが来てしまった事に対する処置の仕方は粗末なものだったのかもしれない。
その上、フィリアが都合良く自身の《ホロウ・データ》に会ってしまい、しかも攻撃したという事実は想定出来るものではないだろう。
予測外の事態が重なった結果、システムはフィリアのデータにエラーか生じていると認識したのだ。
そしてそれが、オレンジカーソルという形で現れたという事だ。
それを聞いたフィリアの瞳は、次第に色を取り戻していた。
口を震わせ、たどたどしく指を動かす。
「本当……なの?でも、私がプレイヤーだなんて確証は……」
「確認したから大丈夫。詳しい仲間がいるんだ」
アキトはアスナを見上げる。
アスナは得意げな表情で胸を張っていた。
「うちの娘は優秀でしょ?」
「両親に似なくて良かったよ」
「……ちょっと、どういう意味よ」
アスナのジト目が突き刺さるも、アキトは苦笑しながらフィリアへと視線を戻す。
自信をもって、彼女に告げた。
「ログを見てきたんだよ。PoHは管理区のコンソールを見てフィリアを《ホロウ・データ》だと思ってたみたいだけど、フィリアの事は別のコンソールに表示されてたんだ。フィリアが攻撃したのは《ホロウ・データ》で、削除したのはシステムだった。この目で確かめたから、間違い無いよ」
だから、と告げて、アキトは微笑んだ。
「フィリアは誰も殺してない。俺やアスナと何も変わらないプレイヤーだよ」
「……じゃあ、私は……」
「中央コンソールの場所が分かれば、フィリアのエラーは解除出来る。そうすれば、転移門も使えるよ。一緒に帰ろう」
それは今度こそ、フィリアに希望を与える言葉だった。
一緒に帰る。帰る事が出来る。それだけで、フィリアは涙が溢れそうな思いだった。
我慢しようとしても、止まらない。
「フィリアさん!?だ、大丈夫?」
「な、泣かないでって……」
「……怖かった、アキト。私……このまま一人で死んでいくのかと思った……」
アキトは慌ててフィリアに手を伸ばすも、PoHとの戦闘によって、まだ身体が思うように動かせなかった。
慌てたアスナが急いでフィリアの涙を拭う。けれど、それでも止まらないフィリアの涙に、アキトとアスナは苦笑いを浮かべる。
それはきっと、嬉し涙。だからこそ、とめどなく溢れてきていて。
フィリアの心には、もう感謝以外の言葉が見つからなかった。
その心はとても温かく感じていて、そして、それを与えてくれたのはアキト。
フィリアは思う。
アキトの言葉は、空っぽだった自分の隙間を埋める、温かい気持ちの欠片────
ホロウ・フラグメントなのだと。
●○●○
「……寝ちゃったね」
「まあ、疲れてただろうし、しょうがないよ」
泣き疲れたフィリアはその後、赤子のように眠った。
色々な事があって、体力も限界に来ていたのだろう。まだ全て終わった訳では無い。
アキトは思い出したように呟いた。
「PoHのしたアップデートの項目、ここのコンソールで見付かるかな……」
「アキト君が起きる前にフィリアさんが一応調べてたけど、多分ここじゃないって言ってた」
それを聞いて、アキトの顔が僅かに歪む。
PoHがやろうとした、《ホロウ・データ》をアインクラッドにアップデートするという計画。
間に合わない、とPoHは言っていた。つまるところそれは、やるべき事は全て済ませてた事になる。
後はアップデートが開始するのを待つだけの状態という事だ。
これはかなり拙い状況だった。
だが、アスナのその言い方が気になり、アキトは眉を顰める。
今の言い方だと、まさかフィリアは────
「……って事は、フィリアは中央コンソールの場所、知ってるって事?」
「うん。アキト君、アレを見て」
アスナの視線の先を、アキトが追う。
するとそこには、目を疑うものが現れていた。
今いるこの《ホロウ・エリア管理区》の中央、その床にアキトの手に現れる紋章と同じものが表示され、光を纏っていた。
見るからに、転移の能力が備わっているのが分かる。
「アレって……」
「さっき言った中央コンソールがあるダンジョンに飛べるワープエリアみたい。フィリアさんがPoHと居た時に、PoHがここの地下に入るのを見たらしいの」
「なら、すぐにでも……」
「入口は封印されてて、全てのエリアを解放しないと開かないって……私もさっき試したんだけれど、メッセージが来てダメだった」
「……じゃあ、PoHはこの《ホロウ・エリア》を踏破したって事か……道理で強かった訳だ……」
アキトは呆れたように笑う。
探していたコンソールが最初に見付けた場所に地下にあって、しかもそこに入るにはこの《ホロウ・エリア》の踏破とは。
PoHは永遠に人殺しを楽しむ為に、態々そこまでの事を行ったのかと思うと、呆れを通り越して関心してしまう。だが、決して賛同は出来ない
PoHが残したアップデート。こればかりは何が起きるか想像もつかない。
一度街に戻って、ユイと話す場を設けなければならないだろう。他のメンバーにも、酷く心配させている。
今日起きた事の全てを、話さなければいけない。
────そして、この事も。
思えば、目が覚めてからずっと気になっていた。
「……で、遅くなったけど……何してるのアスナさん」
「っ……」
アスナは途端に顔を赤くする。
そう、ここへ来て漸く、アキトはアスナが自分にしている行為についての言及を開始した。
この『膝枕』という状況についての。
アキトは目を覚ましてすぐに、アスナの顔が真上にある事への違和感を感じていた。
自分が横になっている事実に反して、頭は随分と高い位置にあり、加えて固い地面とは思えない柔らかさ。
そこから自分がいる位置と視界に映るアスナを見て考えると、自分は今彼女に膝枕されているという状況の出来上がりだった。
目が覚めたばかりのアキトは、一瞬でその目が冴えてしまっていた。フィリアとの事で突っ込むタイミングを失っていたが、フィリアが眠ってしまった今、話さなければならない事が見付からなかった。
アスナはそんなアキトの苦笑の表情戸惑いながらも、やがてムスッとその顔を膨らませた。
「何よ、固い地面に頭付けるよりは全然良いじゃない」
「良い訳ないでしょ……嫌だよ俺、キリトに殺される」
「い、嫌とか、そんな真っ直ぐ言わなくても……」
アスナの心に突き刺さる言葉がアキトの口から飛ぶ。
アキトは瞬時にアスナの膝から飛び起き、背を向けたまま彼女の方へと視線だけを向ける。
「……まあ何、うん……ありがとね……」
「……うん」
「……」
「……」
「…………」
「…………」
……なんだこれ。
アキトは一瞬で出来上がった沈黙に冷や汗をかく。
アスナと二人きりなんて何度もあったはずなのだが、こうしていざ静寂に包まれると何を話していいのか分からない。
だが、アキトがそんな事を考えている後ろで、ポツリと。
「……聞きたい事が、あるの」
「え……」
アスナが口を開いた。
アキトは振り返り、アスナの事を見る。
その瞳は僅かながら揺れており、戸惑いをその中に潜めていた。
「さっきの戦い……キリト君になった事と、その蒼い剣の事、それから……ギルドの事」
「……」
それは、PoHとの戦闘時。
不思議な現象が多々起こった事。彼女が気になっているのはそんなところだろう。
なら、彼女が武器は兎も角、自身のギルドの事を聞く理由がよく分からなかった。
「さっき、『《月夜の黒猫団》団長』って……」
「聞いた事、無いよね……まあ、メンバーが俺だけだから団長って名乗ってるだけだよ。本当はリーダーがちゃんといて────」
そう説明を始めるアキト。
だがアスナは、そんな彼の言葉を遮って────
「キリト君と、同じギルドだったんでしょ?」
「っ……」
途端に、アキトの動きが止まる。
目を丸くしてアスナの方へと視線が再び移動する。
アスナは不安気な表情でこちらを見つめており、まるで聞いても良い事なのかと思案しているような顔だった。
彼女がその事実を知っているという事はつまり。
「……そっか。アスナには話したんだ、キリト」
「……詳しい事は何も教えてくれなかったよ。ただ、そのギルドで一緒だった友達を一人にしたって、そう言ってた」
それは、闘技場で行ったヒースクリフとのデュエル後の事。
キリトが《血盟騎士団》へと入隊した時の話だった。
その時キリトが自分に教えてくれたのは、ソロを貫く前の、アスナと別れた後のキリトの時間。
どんな仲間が出来て、どんなギルドに入ったか。
そして、そのギルドが無くなってしまった理由も、彼から聞いた。
「自分がみんなを死なせたって……キリト君、ずっと自分を責めてたよ」
「……そっか」
「……じゃあ、アキト君が……」
否定しない彼を見て、アスナは戸惑いがちにそう問い掛ける。
アキトとキリトの話が本当なら、目の前の少年が、そのギルドのたった一人の生き残り。
そして彼が、キリトの心に根付いていた後悔。
「っ……」
これは二人の問題だから、深く聞くのは筋違いかもしれない。けれどアスナには、どうしてもアキトに聞きたい事があった。
それは、アキトが仲間を失った原因とも言えるキリトを、どう思っているのか。
「……キリト君の事、恨んでる……?」
「恨んでないよ」
即答だった。
アスナは思わず目を見開く。アキトは悲しげな表情を浮かべるも、その口元は笑っていた。
「キリトだって、同じ気持ちだっただろうし。辛かったのはきっと、お互い様だったんだよ」
「……」
口ではそう答えられる。そしてそれは紛れもない本心だ。
けどあの頃は、ちゃんとそう思えていただろうか。
「……いや、あの時は俺もキリトも、すれ違いがあったと思う。きっと……“今は”って事なんだろうな……あの時は、キリトの事を割り切れてなかったのかもしれない」
だから、キリトから逃げてたのはきっと────
「……俺の方、だったんだな」
「アキト君……」
アキトはただ、変わらない毎日だとしても。
“絶対”と言い切れる明日が欲しかった。
在り来りな日々だったとしても、大切な存在が居れば、それだけで世界が変わる気がしたから。
そんな存在を守れる“ヒーロー”になりたかった。
彼らの為なら。そう思った。
「笑っちゃうでしょ?確かに俺は今日、フィリアの事を助けられたのかもしれない」
アキトは傍で眠るフィリアを見て、小さく笑う。
「PoHを倒した事で、それがこの世界のプレイヤーを救う事に繋がったのかもしれない」
けどね、と告げるアキトの顔は。
とても辛そうに見えて。
「顔も知らない人達をこれから何千人と救ってもさ。────俺は好きな女の子を死なせたんだよ」
「っ……」
管理区は、変わらず静寂を保つ。
アキトのその冷たく感じる言葉は、音になった途端に消えていく。
アスナは何も言わずに──否、何も言えずに俯く。
なんて事はない。結局、アキトとアスナは似た者同士だったという事実だけが残っていた。
互いに約束を守れず、大切な人を死なせてしまった。それだけの、それだけでとても辛い物語だったのだ。
アキトは段々と蹲るように身体を動かし、その膝を優しく抱く。遠くを眺めるようなその瞳は、何を映していたのだろうか。
「それから、周りに誰もいない日々が続いて思ったんだ。……俺には、キリトが必要だった」
「……必要、だった……?」
アスナは気遣うような声で、でも知りたい思いを隠せなくて、そう口を開いた。
アキトは小さな声で、その続きを答える。
けれどそれは子どもみたいな、純粋な我儘のようなものだった。
「……独りぼっちが、怖かった」
あの日の事を、今でも鮮明に覚えてる。
みんなの為に走り、焦り、恐怖を抱きながら戦ったあの日は、生きた気がしなかった。
そして、その努力は実らなかった。
「……あの日、茅場晶彦が創ったSAOは、一瞬で俺を一人にした。弱虫な俺は、寂しくて寂しくて……どうにかなりそうだった。……だから、強くなろうって思ったんだ」
か細い声で弱々しく答えるアキト。
元々、アキトが欲しかったのは一人でも生きていける強さだった。
それが今になってまた欲しくなるなんて、皮肉なものだと笑った。
けれど、そんな強さがあれば、きっとこの孤独を紛らわせる事が出来るかもしれないと、あの頃はそればかりだった。
そしてそんな時、自分の仲間が放った一言を思い出したのだ。
────二人がいれば最強だな!
キリトとアキト、前衛で敵を上手く翻弄して、互いに連携しての攻めは隙のないものだった。出会って間もないはずなのに、キリトもアキトも、互いに互いを認め合っていた。
大切なものを失って、キリトは前に進んだ。けれどあの頃の自分は、キリトの事など考えもせず、生きる気力を失いつつあって。
だから。
「二人が揃えば、もっと強くなる。もっと強くなって最強になる。だから俺にはキリトが必要だった。彼が居れば弱い自分を変えられると思ったんだ……でも」
ここに来るまで、何度も挫折した。
一人になった途端何も出来なくなって。誰も助けてくれなくて。
ヒーローになりたかったはずなのに、ヒーローを求めていたあの頃の自分は、きっと。
キリトと会ったって、足を引っ張るだけなのかもしれないと、何度もそう思った。
結局は自分自身。誰かに頼る事しか出来なかった自分が、あまつさえヒーローの足でまといになる為に前線に行こうだなんて。
「結局はその程度だった。俺一人で出来る事なんてたかが知れてた。強くなった気になってただけで、今更ボロが出たんだなって、そう納得出来たんだ」
「……けど、アキト君はここまで来た」
アスナは真っ直ぐにアキトを見据える。
彼の言っている事は過去のもので、今はこうして前を向いているではないかと、アスナはそう伝えたかった。
「……色々なものに助けられたからだよ。今だって、アスナ達に救ってもらってる。アスナは攻略組をまとめてくれてるし、エギルは頼れる壁役だし、クラインはいざって時に引かないところが魅力的だと思うよ」
そう言ってアキトはおかしくなったのか笑い出す。
その後、笑うのを止めたかと思うと、その背に担ぐ鞘から剣の持ち手を掴んだ。
「《リメインズハート》を作ってくれたリズベットにも感謝してる。……これを作ってくれた奴にも」
アキトはそうして、鞘から剣を引き抜いた。
それは、アスナが知りたがっていたものの一つ。
あの時、PoHにとどめを刺す時に使用した、蒼い色の剣。キリトが持っていた《ダークリパルサー》によく似ていた。
透き通るようなその輝きに、アスナの瞳が揺れる。
綺麗───素直にそう思った。
だが、驚くところはまだ他にある。
「……プレイヤー、メイド?」
アキトに差し出されたその剣に、アスナは躊躇いがちにだが触れる。
そこには、その剣の名前が表示されていた。
片手用直剣カテゴリ :《ブレイブハート》
勇敢なる心、そう意味を込められたその剣は、アキトにとても合っていると思った。
そのステータスは、その《ダークリパルサー》とほぼ同等の強さを誇っており、アキトにとっては申し分の無いものだったろう。
ステータスをもう一度確認して、その事実に驚愕する。
リズベットの《リメインズハート》には及ばないが、それでもこの剣の強さなら最前線でも戦える代物だったからだ。
それを作ったとなると、かなりの腕の鍛冶プレイヤーだ。
けれど、最前線にいる鍛冶屋でそんなスペックを持つプレイヤーを、アスナはリズベット以外知らなかった。
「……誰に作ってもらったの?」
「クリスマスの時に言ったでしょ。ここに来る前に一人だけ、パーティを組んだプレイヤーがいるって。75層よりも下にいるから、メッセージで送って来てくれたんだ。『少しでも役に立ったら嬉しい』って、そう言ってくれた」
「ぁ……」
それを聞いて思い出す。
クリスマスパーティーの日に、アキトがそのフレンドからのメッセージを返す場面に自分が出くわした事を。
まさか鍛冶も出来るプレイヤーだったとは。
アキトはそう告げると、思い出したかのように笑い、そして憂う。
「……小さい頃の、自分を見た気がしたんだ」
人見知りで、自信が無くて。
そうして他人を避けていた、臆病で弱虫なあの頃の自分と。
けれど、それでも必死に生きている様子が、アキトにはとても強く見えていた。
彼女がくれたこの剣はきっと、勇気をくれる為のものなのだと、アキトは勝手に思ってた。
自分の為に作ってくれたこの剣を、使うべき時に使うと決めていた。
「彼女も、この剣も、前に進む勇気をくれている。だから……」
止まりたくない。間違ってても、進まなければと思うから。
その影は、アキトの表情を隠す。アスナは、思った事を素直に打ち明ける。
「PoHの事、後悔してるの?」
アスナのその的確な質問に、言葉に詰まる。
アキトは誤魔化すように笑うが、口から溢れる言葉は正直だった。
「……ちょっとね。時間が無かったし、ああするしか無かったけど……もしかしたら、剣で攻撃する前に、もっと何か出来たんじゃないかって……」
悪人であったとしても、傷付ける事を躊躇する。
それは、決して善人振った行いではなく、アキト自身が無意識に拒絶しているから。
だけど、それはきっと優しさで。けど何処か残酷で。
最後の瞬間、PoHにとどめを刺すその瞬間。
あれが、人を殺す感覚なのだと知った。
人を救う為に誰かを犠牲にする。正義の味方の限界を知った。そんな事、ずっと前から分かっていたのに、体験すると全く違って見えた。
何かを得た代わりに、何かを失ったような気がしてた。
「……強く、なりたいな。どんなしがらみも否定して立ち上がれるような、そんな心を持ちたい」
「……アキト君」
PoHを殺した事を否定して、みんなの為だからと割り切りたい。そう言っているようにアスナには聞こえた。
けれど、アスナは知っている。
敵にさえ情けをかけてしまうのは、優しさを見せてしまうのは甘さかもしれない。
けどそんな彼だから、誰かの為に頑張れるのだと。
PoHの行ったアップデートは、今後アインクラッドに影響を及ぼすだろう。
アキトは、どんな心持ちでそれに挑み、成長していくのだろうか。
アップデートまで、あと数日────
小ネタ
① 新たな武器
リズベット 「……」
アキト 「……えっと」
リズベット 「ん」
アキト 「……ん?」
リズベット 「ん!」
アキト 「……あ、メンテナンスか。お願い────」
リズベット 「ちっがうわよ!武器よ武器!あたし以外の武器を使ったそうじゃない!どれほどのもんか見せてみなさいよ!」
アキト 「い、良いけど……」
リズベット 「……ふ、ふんっ、た、対した事無いわね……あたしの《リメインズハート》には遠く及ばないわね……(震え声)」
アキト 「……そんな風に言わなくても良いでしょ(キレ気味)」
リズベット「(何よこれ《ダークリパルサー》と同じくらい強いじゃない!こんな鍛冶プレイヤーがいたなんて……)」
アキト 「……あの」
リズベット 「何処で知り合ったのよ!紹介しなさい!」
アキト 「え、対した事無いんじゃなかったの……?」
②《ブレイブハート》の製作者様へ
────ピコン♪
???「……?」
Toアキト
『武器ありがとう。凄く助かった。これからも使わせて貰うよ』
???「……」
???「……っ!?」
???「っ!?……!?!?」
???「……」
??? 「……えへへ♪」