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うりゅー君は下水道にざばざば入っていく。ここかあ・・・・・・まあこういう所だよね。この手のやつらのアジトって。
「そういえば撮影ってどんな内容のドラマなんすか?うわー、間桐さんが監督の特撮とか超COOL!録画してビデオも買わなきゃ!」
「んー、そうだね。それはアトリエでゆっくり話そうか。それより俺の写真どうだったよ?誰がお気に入り?」
「そっすねえー。やっぱフライフェイスさんとかレーコさんとかナイスバディで強そうな感じが気に入りました!
こう、傷跡あるのがたまんなかったであります。
あとは、ロリなら姫カットの死の河さんとか!
こう、すげー死の気配がする感じで・・・・・・」
「ほー、そうかー」
アトリエに近づくたびひでえ血のにおいと怨嗟の気配とかすかな悲鳴が聞こえる。
なんだかなあー・・・・・・
「あっ、ここです!ちょっと派手かもだけど俺芸術家志望なんで驚かないで欲しいっす!」
「ああ・・・・・・」
うっわあひでえ。なにこれ人間家具?生きてんの?趣味わりい・・・・・・
「おーい旦那!旦那と話が合いそうな人連れてきたよ!俺が大好きな写真家の人なんだ!旦那ー?
なんだ出かけてるのか・・・・・・ああ、どこでも座って!今お茶出してくるから!」
俺はゆっくりため息をついた。顔を上げると、狩人の俺に戻れる。
「あのさあ、俺のファンで芸術家志望っていうからどんなんかと思ったんだけどさ。
がっかりだわ。お絵かきの時間的な事なら一人でやってくんない?
正直ダサいしいろいろ雑。ぶっちゃけ幼稚。あんた才能無いよ」
そう言いながら俺はハサンに念話を飛ばす。
(ハサン、できるだけ早くこの子たちに麻酔かけてやってくれ。楽にしてあげよう)
(御意)
ハサンもなんか静かに怒ってるっぽい。
「なんだって・・・・・・!?」
すげえ顔芸してるうりゅークソ野郎に俺は真顔で淡々と言ってやる。
「おう反論あるだろうな。じゃあ一個一個指摘してやるよ。
ここのこれな?このへんヴィクトリア調っぽくしようとしたのは分かるんだわ。
でもこれじゃ駄目。直線多すぎ。あとこのモチーフは普通この様式じゃ使わないんだよ。
なんでか分かる?似合わないから。
君と同じようにこの組み合わせで作品つくった人のがあるけどぜんぜん売れてなかったよ」
「うっ・・・・・・たしかに・・・・・・言われてみればそうだ・・・・・・」
図星って顔だな。よしうまくヒットしてる。俺は別の作品を指さす。あーいやだ。
「あとこれな?そもアイデアがありきたり。
これやるならもう一工夫くらいないと面白くないから。
あと楽器としても音が最悪。そういう趣向ってのを割り引いてだぞ?
もうちょい低い音も出ないとそもそも演奏できないからなこれ?」
「そ、それは未完成で、改良しようと思って・・・・・・」
言い訳が多いなこいつ!うっぜえ。
「じゃあこれも言うけどさ。この本棚?防水処理が甘い。これじゃ本が湿気る。
あとこのデザインのこのへんのこれな?
何したいかはだいたいわかるけど、ざっくり言うとダサい。やるならこんなかんじだよ」
「うっ、たしかに俺がやるより良くなってる・・・・・・!」
俺は30分くらいかけてゆっくり丁寧にへこましてやった。
まあどんなんでも荒つけるほうは楽だしな。
「お、俺、そんなに才能ないのかな・・・・・・?」
ぼろっぼろ涙流して鼻水たらしてしゃくりあげるうりゅー野郎。
「無いよ。あともうこれも言っちゃうわ。
子供達ってのは宝だ。こんなダサい作品の材料にされていいもんじゃねえんだよ。無駄だ無駄。
あとな?お前の親がどうかは知らないけど、世間一般的には自分がやられたら嫌なことは人にやっちゃいけませんとか、そもそも犯罪すんなって教わらなかったのか?」
「でも、これは!それになんでそれが悪いの?それはさ・・・・・・」
またなんか屁理屈言おうとしたから聞かずに言ってやった。
「あっ、じゃあお前さんはすげー痛いやり方で家具にされても一向にかまわないんだな?拷問されても喜べるって?
じゃあその言葉どこまで本当なのかやってやるよ!もう取り消し聞かないからな!お前がやったのはそういうことだ!押さえろハサン!」
「御意!待ちかねておりました」
「チクショウ!畜生・・・・・・!」
泣きながらうりゅー君が回避してるけどいい動きするね。でも所詮無抵抗の相手を狩ってきた素人だ。
才能はあるかもだけど、それだけじゃ勝てないよ。ハサンはプロだし大勢いるからね。
回避上手いなあ。狩人になったらいい狩人に・・・・・・なれないわこいつ。即獣堕ちするわ。血に酔ってるもんこいつ。
「ああ、お前が知りたがってたドラマの内容な?とある地方都市に邪悪な魔術師の仕業で殺人鬼の幽霊が復活するんだわ。
で、そこにやってきたのが怪異ハンター。殺人鬼や魔術師は悪さをするけど、何一つ得られず無残に死ぬんだ」
うりゅーの目が見開かれた。どうやら聖杯戦争参加者だと気づいたらしい。おっ捕まえた。よーしやるか。
「まずは目からだ。お前は子供達の未来を奪った。この子達はもう何一つ楽しいことができない。
お前もそうされていいんだよな?だからお前はもう何一つ大好きな綺麗なものを見ることは無い」
目玉を内蔵攻撃でえぐり取ってやった。こいつ自分がグロくされても多分壊される俺かっこいい!とか言うからな。
もう何も見させない。芸術家気取りには一番きついだろう。
「お前の指を切り取った。お前はもう何も書けないし作れない。骨盤も折るからな。ここを壊されると勃起できなくなるんだよ一生インポになれ」
「だ、旦那!旦那助けてくれ!」
「あっ、この子達にはこんなんしといて自分は助け求めちゃう?いいよ別に。俺たちも聖杯戦争参加者だから」
「うっ・・・・・・!やっぱなしだ旦那!逃げてくれ!こいつらやばい!」
「ああ、お前がどう言おうとそのクソ野郎は連れてくるからな?今皮膚ごと令呪引っこ抜いたから。
この令呪に縛られてるサーヴァントに令呪三画を持って命ず。今すぐこの場に来て決して動くな」
なんかインスマス面のキモい大男が出てきた。なんか死にかけだな。やりとげた面してるよ。
「ああ・・・・・・やはりあなたは聖処女だ・・・・・・」
どーも他のサーヴァントと戦ってなにやら満足して死にそうになったらしいな。
「こっ、ここは!?」
あっ、イスカンダルに顔面殴られてる。さーてそのうちにやることやっちゃうか。
「君たち、助けが遅くなってごめんな。今からでもこのアホ共におしおきをしようと思う。
君たちの怒りや恨みをこのガイコツに集めてくれ。そう思うだけで良いんだ」
俺は呪詛溜まりをかかげて振る。うわあ、すげえ怨念が集まってきた。
母さん達のも含めて、もう元とはだいぶケタの違う威力になってんなこれ。
「おうカリヤ。こいつから宝具はすべて没収した。こんなもの宝と呼びたくないがな。
もうよかろう。うんざりだ。さっさとこの外道共を殺して帰ろう」
「ああ、俺もそう思うよ。うんざりだ」
俺は魚面のサーヴァントに近づいて口を開けさせて呪詛溜まりから取り出した今にも爆発しそうな怨念を口にぶちこんでやった。
「あががが!あががががが!」
「それこの子たちの怨念な。自分のやったことの報いを受けろ。
お前みたいなクズが満足できるような死に方できるなんて美味しい話あるわけないだろバーカ!」
俺は死にかけのうりゅーをつかんで皆と急いで脱出した。
うわあ汚ねえ爆発音。
「あっ、悪いイスカンダル、あとハサン。このクズは生かして警察に突き出すから。
喉と歯は壊しておくからしゃべれないようにするしね。
こんなやつ殺して楽にしてやる価値もない。
生きて生き地獄を味わってみっともない犯罪者として罪を償って生きてもらう。いいかい?」
「ま、よくは無いがな・・・・・・リスクが大きいしのう。だがまあ、おぬしが良いというならよしとしよう。その代わり例の料金は負けてくれるな?」
「ああいいよ。それで済むんなら。あー、胸くそ悪かったなあ。こいつ教会に見せてから警察に突き出すんで先帰ってくれ」
「ああ、こんな所に長居は無用だ」
俺は雑に教会に確認を取らせてさっさと死なない程度に治療して警察の近くに放り投げておいた。
令呪?もらったよ今回一番我慢してくれたウェイバーにあげた。
あー疲れた。