ふー・・・・・・これで残る敵は金ぴかアーチャー陣営に姫騎士セイバー陣営か。
面倒なのが残ったな・・・・・・どうしよう。え?何酒盛りしたい?あいつらと?
よく聞かせてくれ。ほうほう、話し合いでできないかどうか自分もやってみる?少なくとも探りは入れられるはず?
なるほど悪くないな。まああんたらも酒でものんで気晴らしに行きたいだろしな。いいんじゃない?
おっ、そうだ。その時なら時臣は一人になるよな?殴りに行っていい?オッケー、飲み会終わって金ぴかが帰る間ならいいんだな?
あー、ようやくあいつ殴れるよ。ほんとそんだけなのにいろいろ面倒だったな!
いつする?明日の夜?いいよ。じゃあそれまで時間あるな・・・・・・
そうだハサン。この間言ってた治してくれそうな知り合いに電話するよ。
ははは、そんなに喜ばなくても大丈夫だよ。
「あっ、こんちわ中禅寺さん?あー、はいそうなんですよ。聖杯戦争参加してます。
うっ、耳が痛いなあ。ええ、まあそうなんですよ依頼です。玉串料は言い値払います。
えーっと、アサシンの英霊で多重人格者なんですよ。なんとかなりません?ええ、はい。いや無茶言ってる自覚はあります。
大丈夫ですか!ありがとうございます!え?代われ?ええまあ急ぎですけど。いいんですか?おーいアサコさん、代われってよ」
「はっ、この電話の相手が治療してくれるアテの人物ですか?わかりました、このアサコ見極めましょう」
そっからすごかったな・・・・・・電話だけでざっくり統合しちゃったよ。
玉串量は高いぞ?って言って電話を切った中禅寺さんがこわい・・・・・・
アサコさんの中に全ハサンが融合したり、また分裂したりでもうやばかったわ。
最終的に三人になったんだからヤバイ。三人のハザンズは俺にひざまずいてる。
「百科のアサコ。ここに敬愛を」
なんかちょっと知的かつ家庭的・・・・・・なんだろうな、女性らしくなったアサコさん。
「明星のシール。ここに思慕を」
こっちは褐色ロリな子かー。色気がヤバイ。あっ、でもこの子愛が重そうだわ・・・・・・
「豪腕のハサム。ここに忠義を」
こいつが男人格が統合された奴か。でけー。2mあるんじゃないの。
すごいマッチョだけどトロそうな感じじゃ無い。めっちゃ素早く動くマッチョだこいつ。
こいつらの忠誠心がヤバイ。君ら神のため民のために戦う戦士じゃなかったのかよ!
あれか!ナデポとかチョロインってやつか!優しくされたことなかったのな君ら!
「我が主、お仕え出来て光栄でございます……一人の言葉ではなく、異口同音の賛辞とお思い下され」
「お仕えいたします、マスター。あなたは我が主。わたしの、すべて」
「これこそ我が、我らが理想の肉体!影に忍び悪を絶つ……貴方は最高のマスターだ、狩人殿」
全員が仮面を外し平伏する。オイオイオイ重いって!忠誠心が重い・・・・・・!
「お、おう。なんにしろ良かった。君らもがんばったね。とりあえずせっかく願いがだいたい叶ったんだしあとは生き残ろう。がんばろうな」
激しく肯定するハサンズ。
『ははっ御心のままに!』
「うん、中禅寺さんにも感謝しような?で、君ら今のステータスどんな感じ?」
顔を見合わせてうなずくハサンズ。アサコさんが前に出た。
「はっ、まず我ら全員が気配遮断と単独行動、短刀術と隠密術暗殺術を心得ています。
なにやらまとめてスキルになっている様子。ふむ「ハサンのたしなみ」?なるほど……
一通りの諜報活動と暗殺は可能とお考えくだされ」
なにそれすごい高水準の暗殺者三人とかマジヤバい。
「私は主に家事、料理、治療、商業といったその他学術系、ビジネス系スキルを取っております。平時の雑用と知識が必要な場合ご用命を」
アサコさんをチラ見しながらシールが前に出てくる。目が怖い!
「私は家事に舞踊、房中術にマッサージ、歌唱に演技技能などを取っています。夜のお供には、ぜひ私を・・・・・・!」
ハサムが女性陣に若干引きながら前に出てくる。近いって君ら!
「私は主に武術と戦術、まあ要するに荒事全般のスキルを取っておりますぞ。
なにやらこれも名前がついておりますな。
何々?「心眼(真)」に「無窮の武練」だそうですぞ。
鍛錬に戦闘、暴が必要なときはお任せあれ」
うん、分身はなくなったけど、引き替えにしてもけっこういいスキルを得られたようだ。
まあ、そんなのはおまけで、彼らの悩みが解決したならそれでいいんだ・・・・・・
「マスターは我々の恩人ですからな!皆形は違えど恩を返したく思っているのです」
ハサムがすげえいい笑顔でさわやかに言う。女性陣も大きくうなずく。
まあ、そういう風に考えてくれるならまだいいのかな……?
「お、おう。まあ解決したならよかった。調子大丈夫?」
全員が立ち上がってオーバーリアクションで答えた。
「脳裏の雑音はもうありませぬ。私の心はいま澄み渡り、静寂で満たされております。おお、素晴らしい・・・・・・」
「熱く、甘く、蕩けるように・・・・・・身も心も焼き尽くされているかのようです。すべて、すべて御心のままに・・・・・・」
「私にはもはや何の憂いもありませぬな。この身には力がみなぎり、技は冴え渡り・・・・・・生前と死後を通してもベストコンディションと言えるでしょう。
ご用命とあれば、死にに行く事に何の厭もありませぬ」
スゲエ、会って半日で忠誠度MAXだ。どうなってるの。
まあそんだけ多重人格いやだったんだろうなあ。
「よしわかった。うんまあ、恩と感謝をしてくれるのはありがたいよ。でもまあ、もうちょっと気楽に仕えてくれ。堅苦しいのは苦手なんだ」
『御意』
よーし飲み会まで休むか。なんだか疲れたよ。イスカンダルどうよこいつら。
何忠義の士だから大事に扱ってやってくれ?なんなら女どもは俺が抱いてやれ?それも部下に対するねぎらい?
マジかよほんとに?こいつらおぬしに惚れてるぞって?嘘だろ信じて良いの?夜も狩人な所見せてくれ?やかましいわ!
「まああれよ。ごますりだとしても、抱いて惚れさせてやればいいのだ。
それにほれ、言うではないか。体から生まれる愛もある、貴族とは結婚後に恋をするものだ、とかな。これもその類よ。
今はその気で無くとも抱けばお互い情が移る。そういうものだ。魔力供給がてらやってみるといい」
あんた人の色恋になると早口になるのな。近所の世話焼きおばちゃんか!
「気楽に言ってくれるなあ。シールちゃんとか絶対重いよ?」
「そこはほれ、甲斐性というものだ。ぐだぐだ言わずに抱いてやれ!ああいうのはそれこそほっとくと面倒だぞ!
ウェイバー、余は今夜の酒と肴を買いに行く、そうだな3時間ほどだ。供をせい。
それとそこのハサムも借りていくぞ。かまわんなハサム?」
ハサムがすげえいい笑顔でうなずいてるよ。仮面と同じくらいわらってやがる。
おめえ人ごとだと思ってるだろ!元はお前と同一人物だからなこいつら!
「ええもちろんですとも征服王。私もなにやら外の空気が吸いたくなりましたしな。狩人殿、ごゆるりと・・・・・・
シール、武運を祈る。それとアサコ、お前も家に残るといい。好意は素直に伝えるべきだ。では皆様楽しんで!」
シールとアサコが顔を見合わせてなんかぼそぼそ内緒話をしているよ!あっ、ハサムがすげえいい笑顔でサムズアップしてやがる!女性陣も無表情でサムズアップ返すなよ!
やっぱ一心同体だっただけあって息あってるな君ら!
行っちゃった・・・・・・振り返ったらそこには一人のお嫁さんがいた。
今までの黒い暗殺装束のイメージから真逆の純白の花嫁衣裳。
なにその衣装?拘束の花嫁衣装?英霊が魔力で衣装を編む応用?すげー・・・・・・
いや、似合ってるし綺麗だよ。あとなんで一人に?
「どうも主は二人分だと愛が重いご様子。三人でするのが苦手という御仁もいますのでその類いかと思いました。
そこでシールがどうも好意を抱かれているのはアサコの様子、ならば自らがアサコになればいい、と言い出しまして・・・・・・
我らはひとつになりました。もちろん、お望みであれば今ならまだ別れることが可能です。余計でしたか?」
う、ううむ。そこまでしてもらったら、なんだか逆に抱かないほうが悪い事してる気になるな。
実際性格も見た目もアサコさんのほうが好みではあるんだよな。
ちょっとふっくらして筋肉だけじゃ無く丸みもくびれもある。胸も前より大きく!
前よりいい感じだ・・・・・・
「いや、君たちがいいならいいんだけど。分身出来なくって不便じゃ無い?あっ、そもそも統合するのが目的だったし、俺も無理に分身してもらわなくってもよかったんだった。
あー・・・・・・まあ、だから今の君でいいんじゃないかな!
えっと、その衣装とかもだけど、つまりそういうこと?抱くよ?」
また跪いたよ。けど今度のはヤバイ。マジでやばい色気がある・・・・・・!
もういっかなあ。おじさん墓場行きの覚悟決めようかなあ?
「もちろんです、主よ。はっきりと申します。あなたに恋をしております。
一夜でもかまいません、この身にお慈悲を・・・・・・」
よし!男は度胸だ!なんでもやってみるものさ!
なあに付き合ってみてうまくいかなかったら、魔力路を渡すなり受肉させるなりしてさようなら、でもいいんだ!
とにかく付き合ってから考えよう!考える前にやろう!
よおしおじさん今夜は獣になっちゃうぞー
「わかった。俺も男だ、据え膳食わぬは男の恥だしな。顔をあげてくれ」
「はい、主よ・・・・・・んっ」
顔をあげたアサコさんとキスをする。獣のようなやつだ。
うーむ、アサコさんもなかなか情熱的だね・・・・・・
「シャワー行こう。脱がすとき楽しそうだねその服」
俺はアサコさんをお姫様だっこで持ち上げると風呂へと向かう。
「主よ、すてきです・・・・・・」
いやー、その日は久々に燃えた、とだけ書いておくよ。
だってこれ以上書くとこれ18禁になるじゃん。
■
「さくばんは、おたのしみ、でしたね」
イスカンダルがすげえにやにや笑いながら言ってきやがる。
だが俺は大丈夫だ、余裕の笑みで返せてるはずだ。
「ああ、楽しかったよ。うらやましいか?飲み会楽しんで来てな」
今夜の俺はひと味違うぜ。っていうかあれだ。やった後ってだいたい意味不明なハイテンションになるんだよね不思議。
イスカンダルがガハハと笑って背中を叩く。ウェイバーもなんかにやにやしてうなずいてる。
「うむ!一皮むけた男の顔をしておるぞ。いやあ、めでたいな!これは余も負けておられんな!」
「そうです王よ。今夜が勝負です」
あれなんでウェイバーが鴉羽装束になってんの?なんか距離近くない君ら?
「ふーん・・・・・・そうか、まあがんばってくれ。俺は時臣殴りに行くから」
「おう!狩人喚びの鐘だったか?これがあれば互いの所に行けるのだな?ならば何も問題あるまいよ」
「ふー・・・・・・よし!じゃあ生きて明日の朝日を拝もう。グッドハンティング」
俺たちは円陣を組んで気合いを入れた。ラグビーとかでやるハドルってやつだな。
「我らはこれよりいかなる時も一つ!我らはヘタイロイ(友)なり!
この場に集う者は孤高にあらず!」
「然り! 然り! 然り!」
え?俺も?よーし。
「さあてうまくいけばこれで最後の英霊狩りの夜だ。
この街の悪夢を終わらせよう。夜明けに目覚めを迎えよう。
いまや夜は汚物に満ち、塗れ、溢れかえっている。
……素晴らしいじゃあないか。存分に狩り、殺したまえよ。グッドハンティング!」
「グッドハンティング!」
うおーっと俺らは歓声を上げてそれぞれの戦場へと向かう。
イスカンダルは戦車で。俺たちはレンタカーで。
運転手はハサム、後部座席には俺とアサコだ。うん、寄りかかられるとあったかいね・・・・・・
待ってろ、時臣。