Fate / 「さぁ、プリズマ☆イリヤを始めよう」   作:必殺遊び人

19 / 23
言い訳はしません。
遅くなって本当にすみませんでした!!!!

日常の話を書くかずっと迷ってたんです・・・・・・

個人的に日常の話は苦手で(戦闘シーンが得意とは言ってない)時間がかかった割にそこまで大したものでなく申し訳ないのですが楽しんんで頂けると幸いです。


それはそうと!! 久しぶりに見たらお気に入りが1000を超えてました!!
皆さん本当にありがとうございます!!
自己満足なだけのこの作品をこんなに評価してくださる方がいてとても嬉しいです。

記念とお言うわけではないのですが、番外編として、特別な話を作成中です。
年明けらへんになると思いますが、楽しみにしていただけると嬉しいです。

それではどうぞ!




19話目とかとか~♪ 2Way 日常編 新しい家族

 

 

 

 

 睡眠と言うのは不思議なもので、日常では思い出すことのない過去の事が夢として出ることがある。

 その時見たのはかつての自分。

 それは衛宮士郎になる前の、本当にどこにでもいるような小さい男の子だった。

 何とか手を伸ばす。でも、届かない。

 自分とは反対側へかけていくその少年。気が付くと、その少年が誰だったのか、思い出すことすらできなかった・・・・・・。

 

 

 ****************

 

 

 その日は特に特別なものでもなく、本当に、本当にごく普通の一日、その始まり。

 衛宮士郎は目をさます。

「・・・・・・んっ。なんか懐かしい夢を見たような・・・・・・」

 そこは自身の布団の中。

 バーサーカーとの戦闘以降、家より病院にいる時間の方が長いといっても過言ではない士郎が、自身の布団で寝ているという事実。それこそが平和の象徴と言ってもいい。

 クロとの戦闘後に折れた骨も完治し、イリヤの中にいるクロの存在との出会い、それすらも数日前の出来事。

 イリヤとクロ、二人の関係は、当初に比べると良くなっていると言えるだろう。さすがにすぐにお互いを許容することは難しいようだ。それでも、イリヤはどこか戸惑いを覚えながらも受け入れて、クロは行き場ない心に折り合いをつけて、それぞれ前へと踏み出した。本当の姉妹のようになるのはまだ先の事だろう。

 だが、それでいい。士郎はこの数日間の二人を見て、そう結論づけた。理由などここ数日の二人を見ていれば分かる。

 なぜなら、二人の顔には以前と比べるまでもなく・・・・・・笑顔が増えたのだから。

(まぁ、仲良くなるのはまだまだ先っぽいけどな・・・・・・)

 イリヤとクロのなんとも言えない不器用な姿を思い出しつつ、士郎は”今の現状に”笑みを浮かべる。

 夢でも見てたのだろう。

 士郎は、何かを求めるように腕を伸ばしていた。それだけなら問題なかった。その腕が何かに挟まれているのだ。何かではない、それはとても柔らかいもので・・・・・・。いや、重要なのはそこではない。

 結論を言おう。

「むりゃむりゃ・・・・・・おに、いちゃん。・・・・・・だい、好き・・・・・・」

 クロ、もとい天使が――そこにはいた。

 

 

 まさに至福の時と言ってもいい状況だが、端的に言って、士郎の現状は詰んでいるといっていい。

 クロに挟まれている腕は・・・・・・否、太ももに挟まれてる腕は動かすことはできず、士郎は身動きができない。さらには、だんだんと音を大きくする階段の足音から、セラかイリヤが士郎を起こししに向かって来ていた。間違ってもリズではない。

(これはイリヤか・・・・・・?)

 息遣いや足音の大きさから、士郎はイリヤだと予想する。過去の戦闘がこんなところで役に立つとは士郎も思わなかった。まあ、わかったところで、何もできないのだが・・・・・・。

(あークロの寝顔可愛いなー。抱きしめたいなー)

 考えていることはあれなのだが、今回ばかりは見逃してあげるべきだろう。これは今の士郎が唯一できる現実逃避なのだ。

 そんな士郎の思考をよそに、バタン! と、扉を開く音が木霊する。

「クロ! またこんなところに・・・・・・!」 

「・・・・・・むりゃ? あっおはようお兄ちゃん。昨日の夜はとっても気持ちよかった・・・・・・お兄ちゃんの(腕の中)すごくあったかかった」

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

「あら? イリヤもいたのね。男と女の部屋にノックもなしに入るなんてダメよ。これくらい常識。それじゃお兄ちゃん、私着替えてくるわね」

 むりゃ、と言うあざとい言葉に始まり。トタトタと部屋を出る。

(見事に爆弾のみを残していきやがった・・・・・・!)

 士郎は、イリヤに向かってほくそ笑むクロの顔を確認しながら、この確信犯小娘の後処理を請け負う羽目になった。 

「なっなっ・・・・・・ななななななななな。そ、そそそんな・・・・・・クロとお兄ちゃんが・・・・・・」

「落ち着けイリヤ、とりあえずその誤解と勘違いしかない思考からやめような」  

「――う、」

「・・・・・・う?」

 クロが士郎の部屋に侵入するのは別段珍しくない。いままでもたびたびあったことだ、少し冷静になればクロの冗談だと分かるだろう。

「うわああああああああああああああぁぁぁぁああああああああああん!!!」

「!?!!!?」

 泣き出してしまった。

「うわぁぁああんばかぁぁああ!! お、お兄ちゃ・・・・・・ひっぐ、変態!!! もうお兄ちゃんなんで大っ嫌いだもぉおおおん!!」 

「え? えっ!? ちょっ、まっイリヤ、とにかく落ち着いてくれ。お願い! いや本当に・・・・・・! 俺が悪かったから! それ以上は本気でセラに殺さ・・・・・・っ!!」

 士郎が状況を認識できず、ただ過去の経験か本能の危機からかわからないが、最悪の可能性に行き着いた時。それはすでに目の前にいた。

 士郎の背後で、トンと小さな音が鳴る。

 それは何かが壁に当たった・・・・・・否刺さった音であり。過去数々の英霊と戦ってきた士郎からしたら、それはおもちゃのようなもので。しかし、人一人の命を奪うのには十分なものでもあり。

 確認はできなかった。目の前あれから目をはなしたら死ぬ。士郎の本能がそれを訴えている。

「シロウ、今の状況になにか弁明はありますか?」

 それには怒気すらなかった。ただ、温度すらなく、慈悲もない。本当に何もない声がその場に響く。

「うぅぅ、せぇぇらぁぁぁあ。お兄ちゃんが、お兄ちゃんが・・・・・・クロと・・・・・・うえぇぇぇええん!!」

 イリヤの声だけがこの場において絶対であり、もはや士郎には何もできない。

「・・・・・・弁明は、ありません」

「そうでしょうね。そうでしょうとも・・・・・・・・・・・・こんの、変態ロリコン野郎がぁぁぁぁあああああああああああ!!!!!!」

 

 平和だった。つい先ほどまで。

 唐突に士郎の平和は幕を閉じた。

 

 

「・・・・・・もぐもぐ」

 

 士郎は手を止めることはしない。

 ただ黙々と口を動かす。

 手に持っているのはサンドウィッチ。自分で作ったその料理を、機械と化したように口へと運ぶ。

「私は、こ・の! 『黒いの』! こいつについてちゃんと議論すべきだと思います!!」

「イリヤさん、その『黒いの』とは・・・・・・?」

「・・・・・・もぐもぐ・・・・・・」

「もちろん、今朝私たちをだましてお兄ちゃんを”こんな”にして・・・・・・さらには、ちゃっかり私とお兄ちゃんの間に座っているこいつの事です!!」

 イリヤはビシッっとクロの事を指さすと。威嚇の意味でも込めているのか、グルルと可愛いらしいうなりをあげる。

「ちょっとイリヤ、お兄ちゃんが”こんな”になったのはあなたとセラの勘違いからでしょ? ・・・・・・可哀そうな”士郎”、私が慰めてあげる。今日は一緒に寝ましょ? 朝は私がイリヤ達から守ってあげるからね?」 

 普段なら絶対見ることのできない士郎のしおらしい姿にでもやられたのか、普段の甘えん坊な姿とは違い、姉の様な包容力を見せている。だが確かに実際の年齢ならクロの方が上。クロは妹キャラに甘えん坊キャラ、さらにはお姉ちゃんキャラまでどの立場からでも士郎に甘えられる最強の存在なのだ。そして、それを生かさないクロではない。

 とは言え、今回の事は見事なまでにマッチポンプ。策士としても優秀だった。

 妹であるイリヤに罵倒され、セラにも手ひどく説教された士郎は、精神と体、両方に多大なダメージを受けていた。

 目は虚ろに光り、口元は何が可笑しいのか微かに笑みを浮かべている。何も知らない者が見れば、今の士郎は完全にヤバい奴である。

「元はと言えばあなたが・・・・・・!!! ぅがぁぁぁぁあああ!!」

 八つ当たりだという自覚があるのか、行き場のなくした怒りを言葉へ変える。

「まぁどちらが悪いかはこの際置いとくとして、セラ、少し士郎にちょっときつすぎるかもしれないわね。誤解を招いた士郎も悪いかもだけど、ここまでする必要はなかったわけだしね」

「申し訳ありません奥様・・・・・・。私もわかっているのですが・・・・・・どうもシロウが相手だとカッとなってしまうといいますか・・・・・・」

「「・・・・・・・・・・・・」」

 セラの言葉に、クロとイリヤは、何を感じとったように『えっ?』顔をする。

「あらあら」

 イリヤの母親、アイリだけが何かを確信したように面白い笑みを浮かべている。

「ねぇセラ、あなたは士郎の事が嫌いなわけではないのよね?」

「もちろんそのようなことは・・・・・・! 家事を任せてからは私の邪魔をしない程度に手伝ってはくれますし、買い物などがあるときはすすんで荷物持ちをしていただいていますので・・・・・・。料理の話をしている時などは楽しくもありますし」

 クロとイリヤはここに来てまさかの伏兵にびっくりである。

 クロはもちろんイリヤですら過去に二人きりでお出かけ、どころか買い物すらしたことがないのだ。二人きっりで、と言うと学校の登下校ぐらいだっただろう。

「考えてみれば二人がよく家事を一緒にこなしてたのを見かけたかも・・・・・・!!」

「侮っていたわ・・・・・・家事のできる女性はそれだけでポイントが高い。それに兄妹と言う縛りがないぶん、女性としてお兄ちゃんはより意識しやすかったはずだわ」

「強敵現るね、二人とも」

 アイリは、士郎に関してだけは妙に息の合う二人の様子にウフフ、と楽しそうに笑みを浮かべている。

「――?」

 ぐぬぬ・・・・・・! とセラを睨みつける二人にセラは困惑した顔を浮かべる。ここに来て天然までキャラが加わった。まさに最強の存在である。

 そこで「あっ」とアイリが何かを思い出したように手を叩く。

「そういえば、士郎はもう学校に向かったわよ? 二人も早く準備をしなさいね」

「「っえ!?」」

 イリヤとクロはここで始めて士郎がいないことに気付く。

 二人は慌てたように残りの朝食を口へ放り込むと、慌てたように「行ってきます!!」と飛び出していった。

 

「士郎も大変ね? セラも頑張りなさい」

「――? はぁ・・・・・・? 何かはよくわかりませんが」

 

 これもまた士郎の日常である。

 

 

 イリヤは朝壊れたブリキと化した士郎を追うべく、ダッシュで家を飛び出した。

 隣にはイリヤと全く同じ顔、褐色がかった肌と、髪の色を除けば本当に瓜二つの女の子。

 クロが家族の一人となって、すでに半月が経った。

「じゃあねイリヤ、その遅い足でゆっくりきなさいな、お兄ちゃんとの登校は、あなたの分まで私が満喫してあげるわ!」

 そう言い残すと、クロは英霊の力をためらいなくに使い、道のショートカットのためか、家の屋根へととんでいった。

 最初は仲良くなれるか不安だった。それでも、家族が増えたことにイリヤ自身嬉しかったし、素直に楽しかった。クロはイリヤにとって家族だ。迷うことなく断言できる。

 だからこそ本心で、イリヤは思う。

 

(あいつ!! 絶対いつか泣かす・・・・・・!!!)

 

 あいつは絶対に許さない、と。

 

 そもそもはじめて家に来た時から危険な予感はあった。

 イリヤは思い出す。

(あの時、あの時・・・・・・! ちゃんとした上下関係を決めておけば・・・・・・!!)

 

 

  ****************

 

 

 士郎とクロの喧嘩、もとい仲直りが終わったそのすぐ直後。どうやって嗅ぎつけたのか。そもそもどうやって来たのか。森の中へ車で登場したイリヤ達の母親アイリ。

『あれ、母さんなんでここに?』

 明らかにクロとの戦闘後よりも生傷が多い士郎に周りが疑問を抱かないのは、彼女らがそれを付けた犯人だからである。

『いやーさすがは母親の感ね! なんとなくでもちゃんとイリヤちゃんたちのところにたどり着いてんだもの!』

『・・・・・・・・・・・・』

 あきれた表情でアイリを見る士郎。その時の事はイリヤもよく覚えてる。

 イリヤにとって何より印象的だったのはクロの反応だろう。

 士郎の背後に周りさながら怯えている子猫のようにアイリを見るその姿は、見てるだけで愛らしいほどだ。

『あらあら、ちょっと見ない間にイリヤちゃんが二人になってたなんてお母さんびっくりよ。えーっと・・・・・・初めまして、何ちゃんかしら?』

『母さん、今回ばかりは真面目に頼む。俺たちがクロにしたことが、間違いだったと思うなら』

 アイリは「そうね、」と一言呟くと、士郎の言葉をどう受け取ったのか、クロの目の前で手を伸ばす。

 そして、

 

『一緒に帰りましょ、私たちの御家へ』

 

 謝りはしなかった。それはアイリなりに思うことがあったのだろう。クロに行ったことの否定は、イリヤの否定になる可能性もあるからだ。

 それでも、アイリはクロを家族として、自分の娘として手を伸ばした。

『クロエ・フォン・アインツベルンそれをあなたの名前にしましょ? 私と切嗣の娘。さみしかったと思うわ、だから、嫌っていうほどこれから愛してあげる。大切にしてあげる』

 そういうと、アイリの手をふるえるようにとったクロを引っ張り、強く抱きしめていた。

『うわぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁっぁあぁぁぁぁぁぁぁん』 

 その時、無邪気に泣きじゃくるクロの姿を見て、イリヤは初めて『クロ』と言う存在を知った。

 殺されそうになって怖かった、何を考えているのか分からなかった、どういった存在なのか不安だった。けどそんなことはどうでもよかったのだ。その存在は、なんてことのない、普通の少女だったのだから。

 ただただ普通のイリヤの家族。それがクロエ・フォン・アインツベルンなのだ。

 

 

 その後、士郎によって凜達へ事後報告が行われた。

『衛宮君、あなたはいつも何かをはぐらかす。今回ばかりは私たちも詳しく知りたいのだけど?』

『俺がそれを言わないのは、そのほうが”この世界”にとって都合がいいからだ。まぁこれもヒントみたいなものだけど、もう少し・・・・・・』

 少しためらうと、

『・・・・・・聖杯戦争、それが今起こってるすべての起源だ。まっ、そこから先は自分たちで調べてほしい。俺自身完全に理解してるわけじゃないんだ』

『聖杯戦争・・・・・・』

 凜がかみしめるように呟く。

 聖杯戦争。イリヤの中でこの言葉だけがぐるぐると回る。知らないというのは恐怖だ。それでも今まで戦ってこれたのは、士郎と美遊、二人が一緒にいたからだ。しかし、今回の事でイリヤは、士郎は”何か以上に知ってる”と、そう確した。

 だからこそ少し怖かった。自分の兄の知らない部分を見たように、ほんのちょっぴり・・・・・・怖かった・・・・・・・・・・・・。

 

 そして、ルヴィアの手によってクロの身分は正式なものへとなり。学校へ通うことも決まった。

 

 

 そこまでは良かったのだ。そこまでは・・・・・・。

 

 

 

 クロが初めて家へと来た時、イリヤの受難は始まった。

 驚きと戸惑いを隠せないセラと珍しく目を見開いているリズへ向かって、クロはあろうことかイリヤの目の前で、

『初めまして。クロエって言います。お兄・・・・・・士郎さんの”恋人”です!!』

 こう宣ったのだ。

『『――!?』』

 驚きの表情をしている士郎とセラを無視して、クロは士郎の腕へと自身の腕を回す。

『もうキスもしちゃったもんね、士郎?』

 事実だが、言ってはいけない事実を口にした。

 突然の事で反応できなかったイリヤは、満面の笑みを浮かべるクロを見ていることしかできなかった。

 

 

 クロの初登校の時も・・・・・・。

 学校へと到着したイリヤは朝から友人たちから追われることになった。

『見つけたぞイリヤ!!!! お前の性癖をどうこう言うつもりはないけどな、私たちを巻き込むとはどういうことだーー!!!』

『覚悟はできてるんだろうな! 私たちの初めてを奪った責任、その身で受けてもらうぞイリヤ!!』 

『うっぐ、ひっぐ』

 上から雀花、那奈亀、龍子である。

 普段ならば仲良くつるむイリヤの友達ではあるのだが、何が起きたのかイリヤへの怒りがすごい。

『えっ? 何、どうしたのみんな? そんな恐い顔して・・・・・・?』

『『問答無用!!』』

『なんでーー!!!』

 必死に逃げるイリヤにはなにが起きてるか分からなかった。

 だがそれも数分の出来事で。屋上へ逃げてきたイリヤがそれを目にするまでの、である

『い、イリヤちゃん・・・・・・、ダメだ、よ。女の子同士でこんな、こと・・・・・・』

『でも逃げないのね美々。外では優等生の振りして、本音はこういうことに興味深々何でしょ? 大丈夫、身を任せればいいわ、痛くしないから、ね』

『んっ、んっ・・・・・・』

 キスをしていたのだ。

 

 まさかのレズ現場である。

 

 それも自分と同じ顔をした女の子、さらには、自分が友人のである。

 ここは見なかったことにするべきだろう・・・・・・。 

 

『・・・・・・って、んなわけあるかー!!! この変態キス魔野郎ー!!』

 

『ぐはっばら!?』

 イリヤの飛び膝蹴りがクロへと決まる。

『何やってんの!? 何してくれちゃってんの!? クロのせいで私今すっごい大変な状況なんだけど!?』

『仕方ないじゃない。魔力が少し足りなくなっちゃったんだから・・・・・・まっそれはそれとして、今は逃げたほうが良いわよ、じゃあね』

 それだけ言い残すと、クロはその場から姿を消した。

 文字通り、パッと消えたのである。

『(あの野郎! 奪った魔力で転移魔法使いやがった・・・・・・!!!)』

 すぐにでもクロを追いかけたかったイリヤだが、今の状況がそうさせてくれなかった。

『『見つけたぞ、イリヤ!!』』

 屋上へ逃げていたイリヤには逃げ場はなく、怒りに目を燃やす友人たちへの説明を余儀なくされた。

 

 そのあと、転校生としてクロはイリヤたちの前に表れた。

『初めまして! クロエ・フォン・アインツベルンです! よろしくね!』

『クロ!? よくものうのうと・・・・・・!! てか、今までどこにいた!!!』

『あっ! あなたはさっきの!? なんでここに!?』

『そんなラノベ主人公とヒロインの出会いテンプレみたいなノリはいらんわ!』

 イリヤと全く同じ顔をしたクロの登場に、教室が静寂と化した中、「・・・・・・ラノベのノリとかよく知ってわね・・・・・・」と言うクロの呟きだけその場に響いた。

 

 

  ****************

  

 

 クロの破天荒ぶりにイリヤは振り回されっぱなしである。

 早くこの状況をどうにかしなければならない。

 イリヤは、転身まで使いクロを追いかけ、士郎との二人きっりを阻止しようとする中、必死にこれからの事に頭を悩ますのだった。

 

 

 これもまた、イリヤの日常である。

 

 

 

 




今回も読んでくださりありがとうございます!

戦闘シーンもなし、シリアスもなしは初めてだったのですがいかがだったでしょうか?
本当はすぐに次の戦闘に入るべきかとも思ったのですが、どうしてもツヴァイは日常の描写が多く、違和感が残ってしまうと思いこんな感じになりました。
あと一話分だけ日常変を書くことになると思います。
(あー早く戦闘シーン書きたい・・・・・・)

今回の「吾輩は猫である」
 なしの方でお願いします。
 ちょっと疲れました(笑)


そして今回も誤字報告をしてくれた方ありがとうございます

加賀川甲斐様 +0様 lumi27様 熾火の明様

本当にありがとうございます!!

次回はなるべく、なるべく早く出したいと思います!!
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。