『おおおおおぉぉ!!』
「補助部隊は担当の六性図の配置に着き攻勢部隊に武具を具現化しろ! いいか! 元の十数倍以上の強化、そして歌をもらっておいて負けるなよ!! では作戦開始!」
9月1日午後10時過ぎ、ネオン達はホテルベーチタクルへ戻り自室でファッション雑誌を見ながら談笑し、ダルツォルネは別室でクラピカが蜘蛛のメンバーの1人を捕えたと報告を受け、ノヴェラビルに移送するよう指示をした後ネオンに報告する。
「お嬢様、賊を追っていた者達が蜘蛛のメンバーの1人を捕えました。これからノヴェラビルの地下に移送し尋問します」
「へぇー……、あの蜘蛛を捕えたんだ、凄いね。それでダルツォルネはノヴェラビルに行くの?」
「はい、これから私も合流しマフィアンコミュニティーに引き渡して来ます」
「じゃあ、引き渡しの電話をしたら連絡ちょうだい。後私が部隊をどう動かしたかお父さんにも言わないでね」
「はい、それでは失礼します。ジュメリ、ジュメレ俺たち以外に許可なく生物、無機物がこの階に入ろうとしたら殺せ」
ダルツォルネは双子に指示をし部屋から出る。指示を受けた双子はお互いに向き合って座り、両手をやさしく重ね合わせる。その瞬間二人の足元に2m四方の神字で書かれた陣が現れ、二人は円を部屋に沿うようにして覆う。
この円に触れたモノが僅かに攻撃の意思があった場合、目の前にジュメリが念で作り上げた紙が現れ【3度目は無い、これ以上進めば攻撃を開始する】と警告し、進むか引き返すかの選択を迫られる。
引き返すのならば無害で終わるが、無視をしてそのまま一定の距離を進めば肯定したとみなされ ジュメレが作り上げた念空間に飛ばされる。
その念空間では出入口は対象者が飛ばされたその場にしかなく、戻ったとしても飛ばされた場所に戻るだけだ。もしそのまま進めば、2人の協力と神字で威力が2人分の硬にまで倍増された古今東西の拷問具や罠の数々が、亜音速で360度縦横無尽に向かってくるのだ。
これだけではまだネオンに対しての防御としては不十分、この念には3度進入を試みると先程の念空間とは別の場所へ飛ばされ、強制絶状態になり、触覚以外の感覚が無くなり、しかも出口が無い場所で体を少しずつちぎられ死ぬ事になる。
何故これほどの強力な念能力に出来たかと言うと、相手に説明と承認、契約をさせるからである。
まず始めに紙による説明、その後相手に進むか引き返すかという選択肢が与えられる承認、そして3度目は無くても構わないという契約の3つがあるから……、相手に選択肢があるからこそ強力に出来る念能力だ。
どれだけ強力かわかりやすく言うとゲンスルーの【カウントダウン】の説明、グリードアイランドをプレイするために【ゲーム機に手をかざし、練を行う事】による承認、クラピカの【ジャッジメントチェーン】の契約だ。
この能力だからこそ任せられる、ダルツォルネはそう思い行きの車の中で賊に対してどう尋問するか思案する。
9月1日午後11時、侍女達と談笑していたネオンの元にダルツォルネから連絡が入り、これからマフィアンコミュニティーに賊を引き渡す旨が伝えられ、ダルツォルネは電話を切ろうとするが、ネオンに止められ嫌な予感がするからと占われる。
「……ダルツォルネ様、カメリエラです。すぐに賊を置いて仲間達と共にそこを脱出して下さい。【蜘蛛を引き入れて】の一文があるのでそこに幻影旅団が来ます」
「っ!! わかった、すぐに脱出する」
ダルツォルネはネオンが占うと言った瞬間から……いや、引き渡しの電話を報告しろと言った時からもしやと思っていたので動揺は少なく、迅速に仲間と共に車で脱出する。
しばらく車を走らせノヴェラビルが見えなくなると車内の空気が弛緩し、ダルツォルネは深いため息を吐きそれを合図するかのように、トチーノが場の空気を明るくするためおどけた調子で口を開いた。
「またボスのおかげで助かったな、これはもうボスに足を向けて寝られねぇぜ」
「……ねぇ、やっぱりアタシの【インスタント・ラヴァー】でアイツを操作した方が良かったんじゃない?」
「ダメだ、俺は見てないがお前達は見たんだろ? 神経毒で首から下が動かないにも関わらず陰獣3人を倒したのを……、負わなくていいリスクは負うな。俺たちのターゲットは旅団ではなく競売品だ。始末はいずれつくさ、近い内にな」
ヴェーゼは腕と足を組み下唇を噛んで目を閉じる、ダルツォルネはリスクを負わなくていいと言ったが、それはヴェーゼの力を信じきれていないと言っているのと同義だ。それは理解している、思い出すのは尋問の時だ。
ヴェーゼはダルツォルネに自身の唇を軽くなぞり能力の使用の賛否を合図をしたが、ダルツォルネは静かに首を振った。
その否定にヴェーゼは安堵した、どうしてもあの時の陰獣が操作するためにキスをする自分に見えてしょうがなかったのだ。もしも能力の使用許可が下りても出来ただろうか? ヴェーゼは己に問いかけ、否と答える自分に腹立たせ唇を噛む力が強くなった。
「クラピカには俺から連絡する。イワレンコフ、ホテルへ行け」
「了解」
ダルツォルネは携帯でクラピカにノヴェラビルに蜘蛛が来ること、そしてベーチタクルホテルへすぐに帰るように指示をし電話を切り、9月に入ってからのこれまでの事を考察し、一層ネオンに対して疑念を抱いた。
(何故部隊に命令した時点でお嬢様は幻影旅団だと分かったんだ? あの時はまだ旅団だという事は分からなかった筈、引き渡しの電話をしたら連絡をくれと言ったのも不自然……、まるで全てを見通しているかのようだ)
ダルツォルネは不安を抱いたが同時に安堵するといった矛盾した感情に包まれた。全てを見通しているのならば自分達の安全は保証されたようなものなので、全てが終わってから教えてもらえればいいと考えた。
これはただのネオンの原作知識を持っているが故のミスだが、ダルツォルネは気づかない、少しずつ、少しずつ浸食するようにネオンに依存してしまっていることに。
「お嬢様、これで良かったのですか?」
「うん! ご苦労様カメリエラ。それはシュレッダーに入れといてね。あっ、トイレ行ってくる」
カメリエラとエリザは訝しげに顔を見合わせネオンを見送る、そして寝る用意をするために部屋を片付け、先ほど渡された紙を手に取る。そこにはこう書かれていた
ダルツォルネに占いの結果が【蜘蛛を引き入れて】の一文があるから賊を置いてすぐに脱出するように指示を出して
ネオンは敢えて占わなかった、もしウヴォーギン抹殺の詩が現時点で出るのを嫌がったためである。
まだ生きていてもらわなければ困るのだ……、ある目的のために
9月2日0時過ぎ、ダルツォルネはベーチタクルホテルに全員が揃ったのを確認をすると「少し席を外す」と言って別室に行き、ライトにネオンが部隊を旅団抹殺のために動かした事以外を報告する。
「やはり襲撃があったか、しかもあの旅団とはな」
「えぇ、陰獣は全滅したのでこのままではオークションも中止となることでしょう」
「俺も明日の夕方には着くがネオンはどうすると言っている?」
「お休みになられているのでまだお嬢様には聞いていません、サザンピースのオークションも参加なさるおつもりなのでまだ滞在なさると思います」
ライトはそれを聞くとしばらく唸ったあと、ネオンの希望通りに行動するよう指示を出し電話を切る。ダルツォルネが部屋に戻るとクラピカが呼び止めパソコンを見るように言う、そこにはノストラードファミリーの所有物件の情報が掲載されていた。
「……これは?」
「プロハンター専用サイトの情報だ。我々新人の情報はまだ無いが構成員の全リスト、所有物件が掲載されている、勿論リーダーの名前もある。
ヨークシン市内の宿泊リストと照らし合わせれば、この部屋まで容易にたどり着くだろう……。リーダー、早急に部屋を変え、ボスの身の安全を確保する事を提案する」
ダルツォルネは舌打ちしある程度パソコンを確認をして皆に指示を出す、ネオンの部屋を少々乱暴にノックをし続けネオンを起こす。ドアが開かれ口を開こうとするが、ネオンが寝間着ではなく私服のまま出てきたのでついあっけに取られてしまう。
「あっ……、お嬢様危険が迫っているので部屋を移動して下さい」
「OKOK、じゃあ皆行こっか」
予め準備していたのか、ネオンを先頭にキャリーバッグを持った双子と侍女達が続く。その様子をダルツォルネはなんとも言えない表情で見送り、センリツに案内させようとするがクラピカが待ったをかける。
「部屋はチェックアウトせず、センリツかバショウの名前で別の部屋を借りた方がいいのでは?」
ダルツォルネは少し考えそれが現時点で最良だと判断し、クラピカの作戦通り指示をする。何故自身とヴェーゼの名を挙げなかったのかと言うと、まだクラピカ自身の情報を出したくなかったのと、ヴェーゼは例の地下オークションへ行くため手続きをしたからである。
そして皆が部屋を出て行こうとすると、クラピカが真剣な表情でダルツォルネを呼び止め、ここに残り蜘蛛を迎え撃つ事を伝え、それを聞いたヴェーゼやトチーノは止めにかかる。
「クラピカ、お前は何を考えている? あいつを捕らえた手腕は見事だと思うが、今度は五体満足で動いている相手だぞ……死ぬ気か?」
「そうだぜ! それに言ったろ? 俺たちのターゲットは競売品だ、旅団の相手はコミュニュティーに任せればいい! 命を無駄に捨てる事はねぇぜ!」
「そうよ! 戦う必要は無いわ!」
「勝算はある、やらせてくれリーダー。この通りだ」
クラピカはダルツォルネに静かに頭を下げ許可が出るのを待つ、その雰囲気は何が何でも戦うという意思を感じさせ拒否を受け付けそうに無かった。ダルツォルネはクラピカは幻影旅団に何か私怨があるのだろうと思い、その思いに応えたかった。
だが許可は出せそうにない、出したくなかった。
ダルツォルネから見てクラピカは戦闘の腕は立つが、まだまだ現場慣れしていない新人で年も若い。憎い相手に対して、感情を抑えながら冷静に戦える経験を持っているとはとても思えなかった。
それに何よりダルツォルネはクラピカの事を気に入りはじめているので、ここで死地に向かわせるのは……否、向かうのは許せなかった。
「そんなに自信があるならやらせてあげればいいじゃん」
全員が声の主へと顔を向けると、右目を押さえ薄く笑っているネオンが居た。
「しかしお嬢様! 相手は旅団で並大抵の使い手ではありません! むざむざ死なせる真似をしなくてもよろしいはず!」
ダルツォルネは声を荒げ抗議するがネオンは左手で制し、クラピカに「自信はあるの?」と問いかけクラピカは
「あります」とネオンの目を真っ直ぐ見て答える。その反応に満足したネオンはふふっと軽く笑った。
「相手は鍛えられた強化系、操作系であるあなたに封じる手段があるのね?」
「はい、あります」
「手柄はあなたではなく私の物になっちゃうけどいいの?」
「はい、構いません」
「あなたを信頼するわ、勝ちなさい」
「はい、必ず勝ちます」
「最後に、明日の午後8時までに戻ってきてね」
「わかりました、有り難うございます」
矢継ぎ早に受け答えしたネオンは背を向け、去り際に「相手が本当に来れば、だけどね」と言葉を残した。ダルツォルネはクラピカにネオンが部隊を旅団に差し向けた事は言っていない、部隊の事はハンター専用サイトの情報にも乗っておらず、しかもこの事は組の内部でも極一部の者にしか知らされていない情報だからだ。
ダルツォルネは確かに予感していた、クラピカのこの行動に意味が無いと。ネオンが最後に残した言葉は相手の死を確定するものだと。
9月2日午後8時、クラピカが戻ってくるがその表情は優れず、護衛メンバーはクラピカを囲みケガは無いか等の心配の声をかけ労った。
クラピカは暗い笑顔と声で「私は大丈夫だ、そもそも相手が来なかったので戦ってはいない」と答え、意気消沈したかのようにソファーに座り、眠ってしまう。
ダルツォルネはやはり来なかったか、とボソリと呟き着信が鳴っている自分の携帯を手に取って別室へ移動する。確認をするとライトからの電話だった。
ダルツォルネはライトにクラピカのスタンドプレー以外の事を話す。
ライトは気流の関係で遅れる事と、引き続きネオンの事を頼むと言って電話を切る。
部屋に戻るとセンリツが何か言いたそうな顔を向けていたが、首を振りまだ言えないというジャスチャーを出す。
ダルツォルネはチラリとあの大男が来ない原因を作ったネオンを見ると、何かのゲームでもしているのか「レアゲーット、次はどれが来てくれるのかな?」と陽気な声で携帯を操作し、はしゃいでいた。
9月3日正午、ライトがホテルに到着し新人であるクラピカ達から自己紹介を受け、ライトが全員にコミュニュティーから持たされた最新の情報を伝える。
陰獣が運び屋を除いて死体が発見され、競売品は旅団の手に落ちたと見ている事、コミュニュティーは面子を保つため、旅団がまた狙ってくるのを承知の上で予定通り競売を開始する事、そして旅団の抹殺はプロの殺し屋に任せる事を話し、クラピカの方を向き口を開く。
「そこでだクラピカ、お前が蜘蛛を捕らえた事は聞いている。もしお前が正面から戦えるという自信があるのならば暗殺チームに参加してもらいたい。どうだ?」
クラピカはしばらく考え「参加します」と静かに答えライトを満足させた。
最後にライトはネオンの方を向き「お前はどうしたいんだ? お父さんの意見としては、出来ればすぐにでも家に帰ってくれると嬉しいんだが」と帰るよう優しく何度も説得するが、ネオンは首を振り今夜の競売に参加する事を伝え、そしてネオンは内緒話がしたいと言い、ライトとジュメレを連れて別室へ移動して行った。
クラピカからそのやり取りは、ライトがネオンを利用しているというよりむしろ、ネオンがライトを傀儡のように操っているように見えた。
別室へ2人を連れたネオンはジュメレに合図をし、3人は念空間へ飛ぶ。
ライトは念空間へ飛ぶのは初めてなので当初は戸惑い、そしてここがどんな場所かネオンから説明された時色々な考えが巡り、もしや自分はここで殺されるかもしれないと思い、僅かに恐怖を感じ始めていた。
ネオンだけはライトが恐怖を感じているのを分かっていないので、普段の調子で世間話から入り、占いの愚痴へと移り、しばらくしてもどうでもいい話しかしないので、焦れたライトは話を遮り本題は何だと切り出す。
「あのねパパ、部隊を動かした事は誰にも喋らないで欲しいの」
ライトは理由を聞こうとしたが、ネオンの背後にいるジュメレが人差し指を立てて唇に当てたのを見て止め、念空間から出るまで世間話の続きをして親のように接した。
9月3日午後4時過ぎ、ネオンは双子を連れホテル内を散歩すると言って出かけ、残りのメンバーはセメタリービルを監視する配置について話し合った。
監視位置はやはりビルやマンションの屋上からと決まった。地上で警戒して蜘蛛と鉢合わせでもすれば、確実に殺されるのが主な理由だった。
そして話し合いが終り、ネオンが帰ってくるがジュメリが居らず、気になったダルツォルネが聞くと「体調が悪いから別室で休ませてるよ、ジュメリが居なくてもジュメレだけで今回は十分だから」と答え競売に行く準備を進めた。
ただセンリツだけは、何故ネオンがそんな嘘をついているのか分からなかった。
9月3日午後7時監視をするメンバーは配置に着き、何時でも連絡できるよう待機し、ネオン達は検問を通り抜けセメタリービルに向かっていた。
ネオンは相変わらず朝から上機嫌で、携帯を見ながら時折笑い声を上げていた。
同時刻の蜘蛛アジト、ノブナガはゴンとキルアがもう遠くに行っているのを気づかずに円で奇襲に備え、アジト内を歩いていた。
すると前方と後方に風切り音がノブナガの耳に聞こえ、円の内に入った瞬間一息に切ろうと構え、来るのをまつ。
そして円に触れ、その小さなモノが2人の膂力では考えられない程の速度で迫りノブナガは驚いたが、冷静にその正体は飛礫と判断し避ける選択をする。
そして飛礫の正体に目を合わせた瞬間辺りに失明する程の閃光と鼓膜を破るような大きな音が鳴った。
その正体は改造されたスタングレネード、ノブナガの目と耳に多大なダメージと動揺を与えた。しかしノブナガも蜘蛛の一員、すぐに動揺を無くして頭は冷静に心は怒りに、円を維持したまま次の攻撃に備える。
(あいつ等か? いや違う、あいつ等はこんな物を持っていなかった。ならば新手か、嘗めた真似しやがって! 絶対に斬り殺す!)
警戒しながら目と耳の回復を図ろうとするが、間髪入れずに凄まじい殺気と強大な念での攻撃を前後から察知したノブナガは、窓から飛び出し脱出する。
その刹那ノブナガが居た場所を消し飛ばすような爆発が起きる。爆風と熱は堅をしていてもダメージを与えるほど強力であった。
ノブナガは落ちながら濃密な死の気配を感じていた、そして気づいていた……、外に逃げる事も敵は想定しているだろうと、しかしノブナガは笑う。
相討ちだろうが何だろうが1人は絶対に道連れにすると誓い、着地の衝撃に備えようとするが、地面は泥のようにノブナガを肩まで飲み込み、しかも鉄のように固まり身動きを封じる。
脱出しようと力を入れようとした瞬間、ザリッと踏み込む音が聞こえたと同時にノブナガは首に何かを通るのを感じ、その後痛みと息が出来ないほどの喉のつまりを覚えた。
首を斬られた──、ノブナガは最後の力で己を殺した相手を見る。
最初に目に付いたのは月に反射した薙刀の刃、次は長く闇夜に映える黒髪、右腕が義手で首から下は体に密着するような黒い甲冑、そして美しい金色の目をした女だった。
そこでノブナガの景色は反転し意識は閉じた。
9月3日午後8時セメタリービル内、クラピカは少し調べたい事があると席を外し、ネオンとライトは占いの顧客達と世間話を楽しんでいた。
「ネオンちゃん、今月の歌は特に良かったよ。また来月も是非頼みたい」
「俺もネオンちゃんの歌は凄く心に響いた、また頼むよネオンちゃん。今後ともノストラード家とは末永く付き合いたい」
「うん、またおじ様達のために私の歌をプレゼントするね」
顧客達が言う歌とは暗号でネオンの占いの事で、占いの事を知られるのを嫌った顧客達が占いの代わりに歌という表現を用い、ネオンの事を探ろうとする輩を煙に巻こうとしたのだ。
これはネオンが言っていた次の段階に移行したための副次効果である、最初は皆ネオンの占いは誰も信じられない、念能力者でも半信半疑だろう。
何せ未来の情報で信じろというのが無理な話だ。
だがライトの余りにも大きな成功を立て続けに見聞きすれば、騙されたと思って試す者も現れ、そしてそれが事実だったならばその信用度は0から6割以上に、さらにまた来月となると完全に信用することになり、占われた者は驚愕と興奮を覚える。
その時2種類の人間に分かれる事になる、他人に言うか言わないかだ。
他人に言う人間は、ネオンの占いがどれだけ価値のあるのかよく理解していなくて、逆に言わない人間は価値がどれほどなのか理解し、そして自分の立場をよく分かっている者だ。
言わない人間はよく理解している、占う者がたった1人の少女だけであり、占う人間の数に限界がある事を。この占いが金の鉱脈より価値があり、自分は現時点でのライトにたまたま選ばれただけだと、より財力や権力を持っている人間に何時でも取って代わられる事に……、知られないように捨てられないように暗号が必要なのだ。
そしてもしネオンを探る者が居れば、同じ考えを持つ者達が協力して始末し、情報を漏れるのを防ぐのだ。これによってネオンの占いは希少性が増し、より重宝される。
ネオンがバレてもいいと言うのはこういう事で、周りが勝手に始末してくれるのだ……、そしてその銃口はまだクラピカ達に向けられていてる。
事情を知っているネオンは、だから契約時に競売が終った後も雇いたいと言ったのだ。
そうなるとネオン個人についても暗号化が必要となる。今の顧客達はネオンを神格化し始め、未来を予知し、それを詩に表現する事からまるであの神話の神のようだと、とある神の名で呼ばれる事になる。
ネオンと占い能力の暗号は【オーディンの歌】と。
しばらくするとクラピカが調べ物が終り、ネオン達の元に合流し結果を話す。
「ハンター専用サイトでファミリーの事を調べました。数時間前までは載っていなかったヴェーゼとバショウの情報がありました。お嬢様の情報はまだありませんが、いつ掲載されるか分かりません。
充分に注意して下さい」
2人は頷きクラピカの事を褒め、ライトは引き続き顧客達と話し、今後新たに役に立ちそうな者がいて顧客に出来ないか探りを入れる事に従事し、ネオンは現場責任者に疲れたから休める部屋が欲しいと願い、部屋番号をライトとクラピカに告げジュメレと共に向かった。
9月3日午後8時40分、ネオンは501号室から爆発と煙を笑顔で見ていた。
「始まった、ようやく始まった、やっと始まった……、じゃあジュメリとジュメレは私の警護、そしてユッグは手筈通りにね」
ネオンが指示をだすとジュメレの影が大きくなり、ジュメリと金髪の優男が影からゆっくりと姿を現す、そして金髪の男はネオンに携帯を渡すと一礼をして部屋から出て行く。
「じゃあオークションが始まるまで待ちましょうか、果報は寝て待てってね」
やるべき事、出来る事は全てネオンはやって来た、全てはこの日のために……
もう二度と奪われないように。
この話を見て気づいた人は1話の部分に「あぁそういう事ね」となったと思います
は? となった方はオーディンの逸話を見ながら1話を見ると4割増しで楽しむ事が
出来ます。
何故憑依転生なのか、何故TSではなく女主人公なのか、何故原作知識ありなのか、何故ネオンなのか、死因は何故ああで季節は冬なのか何となくわかったと思います。
え? アレが無い? ありますよ、道路に木が落ちている理由は1つ街路樹です。日本にもあるんですよ。アレが、あの品種が……
感想で書いてくれていましたが、ヤドリギは神話に出てきてバルドルを殺すために出てきます。でも矢だけでは意味無いですよね、弓が無いと射てません。
しかし秋川奈緒美は弓を持っていますので射てます。弓を持っている事書かれてない?
書いていますよ。
そこで問題です。 秋川奈緒美の誕生月はいつですか?
え? アレもいない? います、ちゃんと乗っていました。
電車が走る前は何が走っていましたか? 鉄道が走る前です。
ここで芸大生設定が生き返ります(完全に死んだとはry
足の数と芸大を検索すれば奈緒美の出身地を絞れると思います。
タグと死因を伏線にするスタイル、多分もうここまで伏線入れるの自分が書く小説では無理だろうな……。