学園襲撃から数ヶ月後、某国の山奥にある一件のウッドハウスが建っていた。その中にベッドの上で寝ている織斑一夏がいた。一夏はアキトが撃ったIS専用の対IS弾で背中を負傷、その結果背骨の神経が傷つき立てなくなったのだ。そして激痛から時折鎮痛剤を投与しないと寝ることが出来ないのだ。
ベッドの傍にいた姉千冬はぐっすりと寝る弟の頭を一撫でし部屋を後にし1階に降りてきた。部屋には護衛だと思われる女性達と役員だと思われる女性が居た。
「千冬様、弟様は?」
「今寝た。それで、状況は?」
千冬はソファーに座り話しかけてきた女性に聞く。
「……はい。状況は宜しくありません。あちこちで身を隠していた仲間は次々と見つかって捕まるか、殺されている様です。此処も何時ばれるか時間の問題です」
「チッ。早く戦力を回復しないといけないというのに。この国の連中は?」
「何とか交渉は続けているのですが、なかなか難しいと思います」
その報告にも千冬はイラついた表情を浮かべ、舌打ちをする。千冬はあの後まだ女尊男卑に染まっている国へと逃げ、こうして山奥で女性権利団体の上役と密議を行っていたのだ。
「兎に角、出来るだけ戦力を集めろ。また奴らの所に襲撃を掛けなきゃいけないんだぞ」
「わ、分かっております。ですが、あそこと戦うには戦力差がありすぎます。此処はゲリラ戦をとるのは「貴様何と言った!」ひっ!?」
千冬は女性の襟首を掴み上げ立たせる。
「ゲリラ戦だと? 私達はISに選ばれた者だぞ。それなのにコソコソと戦うゲリラ戦だと? ふざけるな!」
そう言い女性をソファーへと投げ飛ばす。
「兎に角さっさと戦力を掻き集めろ。傭兵でも何でも構わん」
そう言いソファーへと座る千冬。
「はぁ~、また馬鹿な計画を立ててるよアイツ」
ウッドハウスから少し離れた所の森林の中からアキトはそう呟きながら呆れるように息を吐く。その周りにはアキトの他、リーパーチームのメンバーと新たに入った真耶がいた。
彼らが何故この場所にいるかと言うと、数ヵ月前の学園襲撃の時からアキトは織斑姉弟を倒しても、テロは無くならないと思い女性権利団体の上役を片付ける機会を作るためにワザとアキトは織斑姉弟を見逃したのだ。その後は束に頼み女性権利団体の上役の動きを監視してもらい、そして今回上役が織斑と会う為このウッドハウスへと向かう事を知り、アキト達リーパーチームが来たのだ。
「どうせ、力こそ全てみたいな女は突撃以外の攻撃の仕方を知らないのよ」
アルベドはそう言いながら横にいる人物に目を向ける。
「所でバーサーカーは何でLMGを持ってきたの?」
「え? だって今回は殲滅が任務ですからこれが良いと思ったからです」
そう言われバーサーカーと呼ばれた真耶は驚いた声を上げる。真耶の手にはMk.43Mod1が有った。
「それより私のコールサイン、バーサーカーじゃなくてキャスターとかが良かったのですが……」
「残念ながらあみだくじで決まったんだ。我慢することだ」
セイバー事ロイドはそう言いながら銃の点検を終える。
「まぁいいじゃないか。軍にいた時のあだ名がガンスリンガーだからな」
アーチャー事マイキーは笑いながら言い、スコープで目標の建物を監視する。
真耶はうぅぅ。と納得できないと言った表情を浮かべながらもMk.43に付けたACOGで監視する。
「さて、それじゃあ片づけようか」
ロイドはそう言い立ち上がる。
「作戦は最初に言った通り、重要ターゲットは4人。女性権利団体の上役2人、そして最も重要なのが織斑姉弟だ。この2人だけは絶対に逃がしてはいけない。良いな?」
ロイドの問いに4人は頷き、森林を進んだ。
そしてウッドハウスが見える所まで付いた5人はそれぞれ撃てる様待機する。
「よしバーサーカーは其処からLMGで敵を排除しろ。残りは攻撃と同時に前進するぞ」
「「「「了解」」」」
それぞれ構えで待機し、ロイドがカウントを始めた。
「3…2…1…ファイヤ!」
その声と共に真耶はMk.43の引き金を引く。放たれた大量の7.62㎜はウッドハウスのガラスや木材に命中する音が鳴り響いた。
「Move‼」
ロイドの号令と共にロイド達は一斉にウッドハウスへと向かい、アキトは入口に取りつく。そして扉にブリーチングチャージを付けて退避し爆破する。
扉が破壊されたと同時にアキト達は中へと突入し警戒しつつ進む。そしてリビングだと思われる場所へと到着し、周辺を見渡す。窓の近くには上役の一人が頭から血を出し絶命していた。するとソファーの影に腹から血を出しながら倒れ、もがき苦しんでいる女性を見つけた。
「た、助けて……」
血で濡れた手をアキトに向けるが、アキトはM4を向け引き金を引く。3発の銃声が響き、弾は女性に命中し、女性は絶命した。
「ターゲットワン、ツー。チャウシェスク、アントワネットダウン」
アキトは無線でそう言いリビングを進む。すると突然隣の部屋から刀を持った千冬が攻撃をしてきた。その際アキトは避けた時にライフルを落としてしまう。
「おっと!」
アキトは持っていたナイフで攻撃するが、千冬はそれを躱し構え直す。
「ふん。そんな短いナイフで何が出来る?」
そう言い構えた刀を持ち斬りかかる。
「死ねぇ!」
そう言うが、アキトは特に取り乱すようなことはせず、振り下ろされる刀に的確に避け持っていたナイフで斬りつけ刀を落とさせた。
「このっ!」
千冬は怪我をしていない手で掴みかかろうとしたが、アキトは掴まれる前にサイドアームを取り出し、躊躇わず引き金を引いた。
アキトは2発撃つと、1発は千冬の左目に命中し、もう一発は肩に命中した。撃たれた千冬はそのまま倒れ、アキトは息を吐き落としたライフルを拾い上げ他の部屋へと向かおうとした。その背後ではまだ息の合った千冬が落とした刀で斬りつけようと考え、そぉーと刀に手を伸ばそうとしたが、その前にアキトがM4の銃口を千冬の後頭部に突き付けた。
「!? ……こ、降伏する」
そう言い千冬は、生き延びようと降伏すると言うが
「悪いが、それは受けられねぇよ糞姉貴」
そう言いアキトは何の躊躇いも無く引き金を引き、5発程千冬の後頭部に向け5.56㎜弾をお見舞いした。
「こちらアサシン。ターゲットスリー、エリザベートダウン」
そう言い他の部屋へと向かった。そして2階へと続く階段を上りある部屋の中に入る。其処にはベッドの上で寝ている一夏がいた。アキトはゆっくりとベッドの傍に行く。すると一夏は人の気配を感じたのか目を開ける。
「だ、誰だ?」
「俺だよ」
そう言い近付くアキト。一夏はアキトが自分の近くにいる。漸く帰ってきてくれたと思い手を伸ばす。
するとアキトも同じように手を伸ばすのが見え、一夏は嬉しく思ったが、一夏の手を握られることは無かった。理由はアキトが伸ばした手にはM9が握られ、一夏の頭に銃口を向けられていたからだ。
「あ、秋斗?」
「罰を受ける時間だ」
そう言いアキトは引き金を引き一夏の頭に9㎜を放った。撃たれた一夏は頭から血を出しながら絶命した。
「ターゲットフォー、ジャックダウン」
そう言いアキトは部屋を後にした。そして部屋の外へと出るとロイド他リーパーチームのメンバーが揃っていた。
「終わったな」
「えぇ。さぁ帰りましょうか」
そう言い歩き出すアキト。ロイドはフッ。と笑みを浮かべオーバーロードに撤収報告を入れウッドハウスを後にした。
その後、マイキーが用意したテルミット爆弾が作動し建物を燃やし証拠を全て燃やし尽くした。
それから数ヶ月後のある日。
アキト達は春休みでアメリカへと戻って来てリビングでゆっくりと寛いでいた。
「あぁそれにしても今日も平和な一日だぁ」
そう言いながらアキトはソファーに深く座り、ゆったりとしていた。
「本当にゆっくりしてるね、お兄ちゃん」
「はい、あんなにゆっくりできているお父様は久しぶりに見ます」
マドカとクロエは椅子に座りながらお菓子を食べながらそう呟く。
「仕方ないじゃない。あちこちでテロを引き起こした馬鹿共の始末やら何やらであっちこっち行ってたんだから」
「うぅぅ、私も疲れましたぁ」
冷えたコーラを飲みながらナターシャも椅子に座りながら言う。真耶もアキトと共に世界中のテロリストの排除の為、色々移動したりした為疲労が蓄積されていた。
「アキト君もし眠るんだったら私が膝枕を「いえ、私が」ちょっと虚ちゃん何しようと「アキト、横になって」簪ちゃん、抜け駆けしない「アッキー、私が抱き枕になってあげるぅ!」本音ちゃんも何言ってるの?」
更識、布仏姉妹は相変わらず仲良くアキト達の家へと来て泊まりに来ていた。
「あっくんが枕を所望していると聞いて飛んで帰って来たぜぇ!」
そう言い枕の着ぐるみを着た束が現れた。
「アンタ何やってんのよ?」
ナターシャは呆れた様な目線を束に向けつつも私も参戦しようかしらと立ち上がる。するとテレビでやっていたドラマが突然変わりニュースキャスターが現れた。
『突然ですが、緊急ニュースが入りました。本日アメリア大統領が緊急記者会見を開かれるとのことです。ホワイトハウスにメリッサさんがいます。メリッサさん』
そして画面はホワイトハウスの記者会見を行う会場へと代わり、アナウンサーの女性が映った。
『はい、間もなく大統領が現れると、今来ました! 大統領が今来ました』
そう言いアナウンサーは静かに見守る。
壇上にアメリアが立ち、んん。と言い会見を始めた。
『皆さん、本日はお越しいただきありがとうございます。本日の記者会見何ですが実はある法令を発表しようと思い集まってもらったのです』
大統領のある法令と言う言葉に記者達はどよめく。
すると一人の記者が手を上げ発言する。
『大統領、その法令とは一体?』
『はい、その法令とは男性操縦者重婚免除法です』
その発言に記者達は何だって!呟きながらとどよめいた。
『現在我が国には、アメリカ陸軍所属のアキト・ファイルス中尉以外の男性はまだいません。その為、アキト中尉には多くの女性と結婚していただき、生まれてくる子供特に男の子の場合、アキト中尉みたくISに乗れる可能性があるのではと判断しこの法令を提案し、先ほど可決され執行が決まりました。但しこの法令は多くの条件を乗り越えた者しか適用されません。現在は7人の女性が法令に適用し、何時でも結婚できるよう準備をしております』
そしてアメリアはカメラに向かってにこやかな笑顔を向けた。
『これを見ているアキト中尉。沢山子供を作って我が国の為に頑張ってくださいね』
その呟きを最後にアメリアは壇上から下り、退室していった。そして画面もまたドラマへと戻る。
リビングにいたアキトに好意を持っている女性達は一斉にアキトの方を見るが、其処にはアキトの姿が無く、外からバイクの音が響いた。
「何でこうなるんだよ!」
外へと逃げたアキトはそう呟きながらもバイクを走らせる。すると背後から
「「「「「「「待てーーー!! アキくん(アキト君)(アッキー)(アキト)(あっくん)!!」」」」」」」
と叫び声が聞こえ後ろを振り向くと、地上には人参型車に乗った束と本音と虚。そして上空にはISを身に纏った刀奈、簪、ナターシャ、真耶が追いかけて来ていた。
「ひぃいいーーーーー!?!!?」
そう叫びながらアキトはバイクを走らせた。その顔は恐怖で強張った顔ではなく嬉し泣きをしている様な顔付きであった。
Fin
これにてゴーストストラトスは終わりです。最後の終わり方が変?気にしないでください。その後は簡単に説明すれば結婚して仲のいい夫婦を築きあげたくらいです。
では最後に
最後までこの作品を読んでいただき、誠にありがとうございました!
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