夏休み最終日、アキトとマドカは冬用の服等を入れたカバンを背負い家の入り口に行く。
「それじゃあ姉さん、行ってきます」
「行ってきます、お姉ちゃん」
「2人とも行ってらっしゃい。気を付けていくのよ」
ナターシャは入口で手を振りながら、2人を見送る。そして2人はタクシーに乗り込み空港へと向かった。
2人を見送り終えたナターシャは家の中へと入ると、突然電話が掛って来てナターシャはそれに出ると、相手はスコールだった。
「あら、スコールじゃない。久しぶり」
『久しぶりね、ナタル。今いいかしら?』
「えぇ今は大丈夫だけど、どうかしたの?」
ナターシャはリビングへと行き椅子に座りながら、アキトが淹れたぬるくなったコーヒーを飲む。
『実はさっき、CIAの知り合いからある情報を貰ったの』
「ある情報?」
『知り合い曰く、今世界中の女性権利団体が何かをやらかそうと動いてるみたいなのよ』
スコールの説明にナターシャは眉をピクッと動かす。
「まさか、彼女たちが戦争でも始める気?」
冗談染みた事をナターシャは笑いながら言うが、スコールからは何も返ってこなかった。
「……嘘でしょ?」
『どうやら本当みたいよ。けど何故今になって動こうと思ったか、其処が問題なのよ。いま彼女達が密かに建造したISの違法改造をする工場は次々と摘発されていて、下手に動くのは可笑しいのよ』
スコールの説明にナターシャは持っていたコップを机に置き、ある一つの可能性を導き出す。
「アイツ等が今動こうとするって事は……」
『えぇ、私も彼女が関与していると考えたわ』
その言葉にナターシャは手を握りしめる。
『そこで、貴女に提案があるんだけど乗る?』
「提案?」
突然のスコールの提案と言うのにナターシャは疑問符を浮かべる。
『実は今回の件、軍上層部はもう動き始めていて、それで私達ファントム・タスクにも出動命令が下されたの。向かうよう言われた場所は日本よ』
「! けど、私はスコールとは違う部隊よ」
『大丈夫。もう貴女の上司には私の夫が説明して一時的にファントム・タスクの隊員として入れるようにしているから』
ナターシャはスコールの準備のよさに、感服しつつ感謝する。
「ありがとう。それじゃあ私もすぐにそっちに『ピンポーン』ん?」
ナターシャは電話越し、そして空いた耳から家のインターホンの音に気付き、まさかと思いつつ扉を開ける。
「迎えに来てるわよ」
「……そうみたいね」
ナターシャは苦笑いを浮かべながらも、必要な荷物などを持ちスコールと共に家を後にした。
次の日、アキトとマドカはクラスへと足を向けていた。
「夏休み楽しかったね、お兄ちゃん」
「そうだな。次の冬休みはゲレンデでも行ってスキーでもするか」
2人はそう談笑しながら歩いていると、何時の間に教室へと着き中へと入る。
「おはよう」
「おはようさん」
2人はそう言いながら中へと入ると、クラスには数人ほど生徒達がもう着いていた。
「あ、2人とも久しぶり~!」
「相変わらず仲が良くて羨ましいなぁ」
「2人とも、お土産のお菓子食べる?」
アキトとマドカはクラスの人達と談笑に混じり、授業開始前まで談笑していると次々にクラスメイト達が入ってきた。
「あ、シャルちゃん久しぶり~」
シャルが入ってきたことに一人の生徒が気付きそう挨拶をする。
「あ、清香久しぶり。あ、これお土産なんだけど皆で食べて」
そう言い机の上にシャルロットはお菓子を置く。
「わぁ綺麗なお菓子!」
「何だか食べるのが勿体無い気がするよぉ」
そう言いながらお菓子を眺める生徒達。
「ねぇねぇシャルロットさん。これアメリカのお菓子?」
「うん、フランズチョコレートって言うある大統領が大好きなお菓子なんだぁ」
そう言うと、お菓子の周りにいた生徒達は驚いた表情を浮かべた。
「ね、ねぇシャルロットさん。これ因みに幾ら位なの?」
「これ? えっと、20個入りを2つ買ってきたから57ドルで、日本円にしたら6146円くらいかな」
それを聞いた生徒達は、自分たちが持ってきた物より高いと思い、味を噛み締めるように食べたそうだ。
そしてチャイムが鳴り、生徒達は席へと着く。
「みなさ~ん、おはようございます!」
真耶は元気よく教室へと入って来て、挨拶をする。
「おはようございます、先生!」
「先生、夏休み何処行ってたの?」
生徒達から夏休み何処行ったから聞かれた真耶はフフフ。と笑いながら受け答えをした。
「はい、夏休みはアメリカに行って新しいお家の確認に行ってきました。それとプールに行ったりと楽しい時間でしたよ」
「いいな~、アメリカって最近オープンした大型プールパークが出来たって有名だもん」
「そうだよねぇ」
生徒達は新しくできたプールに話題になっていると、真耶が手を叩きながら静かにさせる。
「は~い、皆さん、お静かに。本日のSHRなんですが、1時間目に全校集会を行います。内容がもうすぐ文化祭が始まりますので、その注意事項等です。皆さんしっかりと聞いておくように。そのあとの2時間目には1組の出し物を決めますので織斑君、クラス代表として進行をお願いします」
そう言われ、一番前の席にいた一夏ははい。と言う。
「では、SHRは以上となります。皆さん、全校集会に遅れずに屋内集会場に来てくださいね」
そう言い真耶は教室を後にし、そして生徒達もぞろぞろと教室を出て集会場へと向かう。
数十分後、屋内集会場へと集合した生徒達はそれぞれクラスごとに列に並ぶ。
『ではこれより第○○回文化祭の説明を始めます』
そのアナウンスと共に説明が始まった。そして数分後文化祭の注意事項などの説明や親戚などを呼ぶ際の注意事項を説明が終わり、次は生徒会長の挨拶で締めとなった。
『はい、皆さん。私が当学園の生徒会長更識楯無よ。今回の文化祭は1年生は初めてだから2年生の人達、自分達が手本となるよう行動するように。3年生は最後の文化祭の為思いっきり楽しんで良い思い出を作ってください。以上です』
そう言い刀奈は壇上から下りていった。
『では以上を持ちまして文化祭説明会を終わります』
そう言い生徒達はぞろぞろと集会場から出て行った。
1組クラス
『男子とポッキーゲーム』
『男子とワルツ』
「こんなのダメに決まってるだろ!」
一夏は大声を上げて反論する。
「えぇ~、けどこれ以外思い浮かばないし」
「「「「うんうん」」」」
多くの生徒達が一同に首を縦に振ると、ラウラが手を挙げた。
「なら喫茶店でもやればいいのではないか? コストも抑えられて売り上げあげられるからな」
そう言うと周りにいた生徒達はそれが良いと賛同していき、結果喫茶店をやることとなった。
放課後、アキトは生徒会室へと向かい中へと入る。
「虚さん今日って何か仕事ってありますか?」
「あ、アキト君。いえ、会長がほぼ終わらせて今ゆっくりしているところなんです。今紅茶入れますね」
そう言い虚は席を立ち紅茶を入れに行く。アキトは珍しいと思いながら目線を刀奈の方へと向ける。
「珍しいですね、刀奈さんが仕事を片付けておくなんて」
「だってアキト君とゆっくりしたかったんだもん!」
そう言いながら椅子から立ち上がりアキトの背後から抱き着こうとする刀奈。だがそれを簪が止めた。
「お姉ちゃん、そんな事すると本音が持っている物を吹き付けるよ」
そう言い簪は本音が持っていた物を突き付ける。それは痴漢撃退用のスプレーだった。缶の隅に
『痴漢の目に向けてトリガーを引いて下さい。撃退した痴漢の目が失明等した場合貴女に非等はありません。向こうが先に仕掛けてきた為正当防衛が適用されるからです』
と書かれていた。
「本音ちゃん!? 何でそんな物持ってるの!」
そう言われ本音はダボダボの袖の中でゴソゴソと動かし、机の上に手を出す部分を下ろすとゴトゴトと撃退用のスプレーやらスタンガン、ナイフに小型拳銃など色んな武器などが出てきた。
それを見た刀奈は唖然とした表情を浮かべた。
「全部、かんちゃんや私を守るための護身用の物だよぉ」
本音は普段通りののほほんとした感じで話す。
「……なんかあったら本音から借りるか」
そう言いながらアキトは虚から紅茶を受け取り、のんびりと生徒会室で寛いでいるとふとアキトは簪のクラスが何をするのか気になり簪に聞く。
「そう言えば簪。簪のクラスは何をするんだ?」
「えっと、ISを子供でも分かる様に説明する催し。ISは競技をする為の物ではなく宇宙に上がるための物だって広く知ってもらいたいからね」
「へぇ~、良いじゃないか。ウチなんて喫茶店なんだぞ。しかもタキシードを着て接客してって言われたし」
アキトはため息を吐きながらそう言うと本音を除く3人は
(((絶対に1組の催し物には行こう)))
と決心したそうだ。
次回予告
遂に始まった文化祭。午前は特に問題も無く行っていると、突然衝撃学園を包んだ。それと同時に多くの違法改造されたISが現れた。それが始まりだった
次回
戦争の鐘がなる