ゴーストストラトス   作:のんびり日和

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そろそろ終盤の為、こちらの作品を集中的にあげていきます


27話

「それで今度は失敗しないのだろうな?」

 

『も、勿論です! 6年前の様な失敗は決して!』

 

千冬は誰もいない屋上で何処かに電話を掛けていた。相手は6年前、アキトを誘拐し殺すよう傭兵に指示した女性権利団体だった。

 

「二度目は無い。また失敗した場合はお前たち全員私の手で葬るからな」

 

殺気を混じらせた脅迫に電話の相手は震える声で了承し、電話を切った。

 

「秋斗、お前があの時素直に死んでいてくれさえいれば、一夏と私は楽しい生活が送れていたんだ」

 

そう言い千冬は昔を思い出す。

織斑家は千冬が中学の時に親が蒸発し、千冬一人で2人の弟を育ていたのだ。そして2人が成長し、保育園児となった時、千冬は二人に剣道を教えようとしたが秋斗だけはやりたがらなかった。

 

『僕、剣道より鉄砲とかの方が良い!』

 

そう言い剣道ではなく銃の扱い方を束に教えて貰ったりしていたのだ。千冬はそれが気に喰わなかったのだ。自分の弟ならば銃ではなく剣の道を志すのが普通だと考えていたのだ。秋斗はそれを真っ向から否定したのだ。そして千冬は思った。

 

(こいつは私の弟なんかじゃない。だったらこんな弟はいらない)

 

そう思い、ずっと周囲には大切にしているように醸し出し、何時か捨てられるように準備していたのだ。そして運命の第2回モンドグロッソの時に密かに仲良くなっていた女性権利団体に命令して秋斗を誘拐させたのだ。だが秋斗だけを誘拐させたら不審がられると思い、苦渋の思いで一夏も誘拐させたのだ。そして一夏だけを救助して大会に戻り、そして秋斗のいた廃墟が謎の爆発で死んだと知った時は心の中で喜んでいた。

だが6年後、秋斗は2人目の男性操縦者として学園へとやって来たのだ。名前などを変えて。千冬はそれにより更に憎悪が高まり、今度は自分の手で殺そうと計画したが、自身の名誉。そして一夏に悟らせないために他の者にやらせようと、計画を立てていたのだ。

そして女性権利団体の一人からある情報を入手したのだ。それがISの違法改造だった。千冬は真っ先にその違法改造のISを一機送るよう指示したのだ。そして丁度その時に箒が自分だけのISが欲しいと愚痴っていたのを聞いていた千冬はデータ収集の目的で箒にISを渡したのだ。

だが箒は思っていた以上に弱かったのが、大きな誤算だった。その後箒は捕まり、そして違法改造をしていた倉持技研は謎の自爆により無くなった。その為女性権利団体は隠ぺいした小さな工場で違法改造のISを造っていたが、最近その工場が次々とその国の軍などに発見され、その数が激減し始めた。

それに焦っていた千冬はどうすべきだと思っている中、臨海学校が始まりそして2日目に束と会い、自身が行っている事を既に知っているぞと脅された。

千冬はこれには更に焦り女性権利団体に連絡していたのだ。

 

千冬は屋上を後にし、ある部屋の前へと向かった。そしてある部屋に着き扉をノックする。

 

「一夏、私だ」

 

「……何の用だよ、千冬姉」

 

一夏は扉越しに、用件を聞く。

 

「一夏、確かに私はお前に嘘をついた。だがそうするしかなかったんだ」

 

そう言い千冬は悲しそうな雰囲気を出しながら言い訳を言い出す。

 

「あの時、あぁ言わなかったら秋斗は殺すと脅されていたんだ。だからあぁ言うしかなかったんだ」

 

「……」

 

部屋にいた一夏から返事はないものの、千冬はつづけた。

 

「秋斗が私達に辛く当たっているのはあいつ等が、秋斗を洗脳して私達が見捨てたと思わされているんだ。だから一夏、一緒にあいつ等を倒して秋斗を取り返そう」

 

そう言うと、扉が開かれた。

 

「本当なのかよそれ?」

 

「あぁそうだ。私の知り合いがこれを送ってくれたんだ」

 

そう言い千冬が一夏に見せたのは、自身が作成した偽のメール文章だった。其処にはアキトを洗脳して、あの二人に敵対させるという風に書かれていた。

それを見た一夏は震える手でそれを読んでいた。

 

「何だよこれ。絶対あいつ等を許さねぇ!」

 

「そうだな一夏。その前に今のお前じゃああいつ等に勝てない。私の知り合いにISの開発をしている奴が居るからISを貸してくれ」

 

そう言われ一夏は何のためらいも無く、ISを千冬に手渡した。

 

「よし、秋斗を取り返す方法はまた伝えるから今日は休め」

 

「分かったよ、千冬姉」

 

そう言い部屋へと入って行った一夏。千冬は受け取ったISを持ち女性権利団体の配下の工場へと向かった。




次回予告
夏休みが終わった学園にアキトとマドカ達は戻ってきた。そしてクラスでは文化祭の準備に取り掛かることとなった。
次回
束の間の平穏

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