成績表配布から次の日、アキトは朝一の飛行機に乗り込み母国アメリカへと戻る。そして飛行機が空港へと到着後、迎えに来ていた車へと乗り込みそのままフォートブラッグ基地へと向かう。
そして基地へと到着したアキトはそのまま基地奥の指令室へと入ると、その場にはミッチェル、そしてリーパーチームのメンバーと何故か篝火博士がいた。
「ミッチェル大佐、何故篝火博士が此処に?」
「重大な事の為、博士にも来てもらったんだ」
そう言っていると、篝火はアキトに近付き手を差し出す。
「君があの時彼らと一緒に助けに来てくれた一人だね。改めてお礼を言わせて欲しいわ」
そう言われアキトは手を差し出し、握手を交わす。
「いえ、それが仕事ですから」
そう言うと篝火はそう。と朗らかな笑みを浮かべながら元の位置へと戻る。
「さて、アキトに急ぎ日本から戻ってきてもらったのは他でもない。例の違法改造の件だ」
ミッチェルにそう言われ、アキトは疑問符を浮かべつつ質問を投げる。
「それでしたら、元凶になった倉持技研を吹き飛ばして解決したんじゃないんですか?」
そう言うと、ミッチェルは首を横に振る。
「残念ながらまだ解決したわけじゃない。これを見ろ」
そう言いミッチェルは部屋を暗くし、スクリーンにある映像を映し出した。映像は何処からの工場か、多くの武器が並んでおり、映っていた武器はそれぞれある共通点があった。
「これはISの武器ですか?」
「そうだ。しかもどれもIS委員会が提示しているレギュレーションを大幅に超える威力がある物ばかりだ。さらにもっと厄介なものが有った」
そう言いミッチェルは映像の続きを再生させる。映像はその工場の奥へと進み、最後の部屋だと思われる場所へと移動する。すると、その場にはラファールを改造中だった物が鎮座していた
「……これって!?」
「お前の予想通り、このISは違法改造されている途中のISだ」
アキトは驚いた表情を浮かていた。ミッチェルは映像を切り部屋を明るくする。
「この映像は、パキスタンで作戦行動中だったプレデターチームが発見し映像を記録して送って貰ったものだ」
「何故違法改造されているISが其処に?」
アキトは驚いた表情を浮かべながらミッチェルにそう聞くと、ミッチェルの横にいた篝火が説明した。
「それは私が説明するわ。実はアメリカに亡命した所員の中に、第一棟の元研究員が居たのよ。その元研究員に聞いたら第一棟の所長は、どうやらよくある人物と会っている事を教えてくれたの」
「ある人物?」
ロイドがそう聞くと、篝火が誰なのか伝えた。
「女性権利団体に所属している女性だそうよ」
「!? 女性権利団体だと?」
マイキーは嫌そうな顔でそう聞き返すと、篝火は同意するように頷く。
「その女性と第一棟の所長とはどうやら昔からの知り合いらしわ。で、よく第一棟で出来た技術を政府に知らせずその女性に教えているって言う噂があったらしいの。それで元研究員は自身が開発した技術が何か恐ろしいことに使われるんじゃって、不安になって第二棟に異動願いを出してこっちに来たらしいの」
アキト達はなるほどと納得し、ある結論に行きついた。
「……という事は、今回見つかった違法改造されたISは第一棟の所長がその女性権利団体の女性に教えたってことですか?」
「恐らくね」
指令室にいた人間全員苦虫を踏んだような顔になる。
「今回は小さい工場の為一機しか見つからなかったが、まだこういった工場が何処かにあるかもしれん。チームには引き続き発見次第コアを回収し、機体を破壊するよう指令を出している。……最悪な事態が来なければいいのだが」
ミッチェルはそう言い全員、女性権利団体が世界に喧嘩を売ってくるか何時でも対処できるよう気を引き締めた。
ミッチェル達との会議が終えたアキトは、基地に置いてあるハンヴィーの一台を借りて家路へと着く。家の前に車を停め、家の中へと入ろうとすると普段より喧騒に包まれている事に驚く。
「なんか何時もより賑やかだな」
そう思いながら家へと入ると、意外な人物たちが居ることに驚く。
「あれ、何で此処に居るんですか?」
部屋には楯無達がゲームをして楽しんでいた。
「あ、アキト君お帰り~!」
「アキトお帰り」
「アッキーおっつ~!」
「アキト君お邪魔してます」
「お兄ちゃんお帰り~」
アキトは驚いている中、キッチンにいたクロエがジュースを入れたコップをアキトに手渡す。
「アキト様、どうぞ」
「あ、あぁありがとう」
アキトはコップを受け取り乾いた喉を潤いしつつ、ソファーへと座る。
「えっと、それでどうして此処に?」
アキトはさっきから頭に浮かんでいる疑問を口に出すと、マドカがそれを答えた。
「私が一緒に来る?って誘ったんだぁ。別にいいでしょ?」
「ま、まぁ別にいいが。寝る場所はどうするんだ?」
アキトがそう聞くと、4人はそれぞれコントローラーを置き、どうしようか相談を始める。
「どうする? 私は空いてる部屋があればそこで良いんだけど?」
「私も空いてる部屋があればそこで良い」
「わ、私も空いているお部屋があればそこで良いのですが」
3人は空いている部屋があればそこで良いと言っている中、本音はと言うと
「私アッキーと同じ部屋が良いぃ~!」
と、手を挙げながらそう言うと3人は一斉に本音を見てその手を下ろさせようと、拘束しようとする。
「本音ちゃ~ん? なに抜け駆けしようとしてるのよ!」
「本音、ずるい」
「ちょっと向こうでお話ししましょうか、本音」
本音は3人の拘束を躱しつつお菓子を頬張る。
「ちょっと~、外まで大声が響いてたわよぉ! 近所迷惑するなら出て行ってもらうわよ?」
と、部屋に入ってきたのは若干怒り顔なナターシャと、にゃははと笑っている束だった。
「別にいいじゃん。ちょっと騒いだくらい「居候が家主に逆らう気?」……イエ、ナンニモイッテマセン」
ナターシャの鋭い眼光に束はひょこひょこっとその場から自身の部屋へと戻っていく。
「あ、束お姉ちゃん。ご飯になったら呼ぶからね」
「はぁ~い!」
アキトの声かけに、笑顔で応答しつつ部屋へと戻る束。アキトの背後では楯無達は驚いた表情を浮かべていた。
「……どうしたんですか?」
「ね、ねぇマドカちゃん。もしかして篠ノ之博士もこの家で暮らしてるの?」
「え? うん、束お姉ちゃんはこの家の屋根裏を改造して暮らしてるよ。因みにクロエちゃんは私と同じ部屋」
へ、へぇ~。と楯無達は頬を引きつらせながら束が去って行った方向を見ていると、アキトがキッチンで何か作っているのが見えた。
「アキト、何してるの?」
簪がそう聞きながら、アキトが作っている物を見る。キッチンに立っていたアキトは調理台の上に、卵、砂糖、牛乳、生クリーム、バニラエッセンスを置いていた。
「いや、約束していたアイスを今作ろうと思ってな。ついでに今日の晩御飯もな」
そう言いながらアキトは慣れた手つきで、材料を混ぜたりしアイスを作り始めた。
「楯無さん達は「ねぇ、アキト君。何時までも楯無って呼ばずに、昔みたいに刀奈って呼んでよ~」……分かりました。けど、他の人達が居る前では楯無さんって呼びますからね」
そう言いながらアキトは混ぜた材料を冷凍庫へと仕舞い、夕飯の準備に取り掛かる。
その日の夕飯は、サラダと照り焼きチキンのあっさりソースがけで皆美味しそうに完食したそうだ。デザートのアイスも全員舌鼓して完食したとのこと。
楯無達の寝室は結局空いている部屋で布団を敷いて寝ることとなった
次回予告
夏休み開始から数日後、アキトのスマホにシャルから電話が掛ってきた。内容がアステック社が建造したプールパークへの招待だった。そして家にいた全員でその屋外プールパークに行くこととなった
次回
夏休み編2~あっくんどうよ、この束さんのグラマラスな体型は?~