ゴーストストラトス   作:のんびり日和

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今回は珍しく長いです。
それと文章がおかしな部分あるかもしれないので、あったら報告をお願いします。(眠気が…)


21話

「さて、それじゃあまややんのISの説明をするね」

 

そう言いもう一機の方に近付く束。

 

「機体識別はF-15Eで名称はストライクイーグルだよ。武装はあっくんと同じ36㎜チェーンガンに120㎜滑腔咆を搭載したAMWS-21を2丁。そして120㎜のモジュールをロングバレル化したAMWS-21戦闘支援突撃砲が一丁と近接用長刀CIWS-2Aが一本。そして近接戦闘短刀CIWS-1A を2本積んでるよ。機動性、防御性共にバランスが良い機体で、F-22の配備が間に合わないIS部隊の所にはこの機体が配備されてる。因みにこれは改造を施してるから、ほかのF-15より機体性能は向上されてあるよ」

 

「なるほど。ではいずれ私もF-22に換装されるんですか?」

 

「いんや、この機体のままだよ。大丈夫大丈夫、性能はF-22に若干劣るけどそれでも十分戦えるほどの性能だから」

 

そう言い束は説明終わりと言う。

 

「で、これからどうするんですか山田先生」

 

アキトがそう聞くと、真耶は当初の予定通り訓練を行おうと思い体を生徒達の方へと向ける。

 

「えっと、では当初の予定通り一般生徒達は砂浜の海岸で打鉄で訓練を行います。専用機持ちはこのまま此処で訓練を行ってもらいます」

 

そう言われ生徒達はそれぞれ訓練する場所へと移動していく。

 

「まややん、君も新しい機体に乗るんだからかんちゃんと一緒に訓練してきたら?」

 

束にそう言われ、どうしようかと思っているとナターシャがある提案を出した。

 

「どうせ、一般生徒達の訓練に他の教員だけでは足りないって思ってるんでしょ。だったら連れてきた兵士を貸してあげるからそれで大丈夫でしょ」

 

そう言うと真耶はそれならいいかと思い、簪と共にISの訓練をしに行く。ナターシャは近くにいた兵士に一般生徒達の訓練に付き合ってくるよう伝え束の元に来る。

 

「で、束。其処にいる2人にアンタの妹がどうなったのか説明するんでしょ?」

 

「うん、するよ。だって言わないと後がうるさいし」

 

そう言い束は体を千冬達の方へと向ける。

 

「さて、さっきの続きと行こうか。愚妹がどうなったか」

 

そう言い束は黒い笑顔を浮かべながら説明しだす。

 

「愚妹に与えた罰。それは二度と陽の光が浴びれない場所で一生を過ごす罰だよ」

 

そう言われ千冬、そして一夏は驚いた表情を浮かべる。

 

「な、何でそんなことをしたんだ!」

 

「何でって、そりゃあ決まってるじゃん」

 

そう言った後束は更に黒い笑顔で答える。

 

()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()に決まってるじゃん」

 

そう言うと、束から滲み出る殺気に千冬と一夏は恐怖から一方後ろに後退る。

 

「いや~、それにしてもなかなか本当の事喋らなかったからすっごくストレスが溜まったよ」

 

そう言い束は思い出すように話し始めた。

 

時刻は遡り、臨海学校初日の夜。束は1年のいないIS学園へと侵入し地下の牢に囚われていた箒を連れ出しある所へと運んだ。そして箒は頬を叩かれた痛みで起きる。

 

「っ!? ……な、何で此処に居るんですか、姉さん!」

 

「何でって、お前を連れ出したのが私だからに決まってるじゃん」

 

箒は束が連れ出したという言葉に気づき周りを見る。周りは自身が放り込まれた牢屋とは違い、無機質なコンクリートなどで出来ていた。そして自身は十字架のような鉄筋に、二の腕と足首辺りが鎖で拘束されていた。

 

「こ、此処は?」

 

「此処? 此処はある国にある建設途中だったミサイルサイロだよ」

 

そう言われ箒は何故ここに連れてきたのか聞く。

 

「な、何故ここに私を?」

 

「そりゃあ決まってるじゃん」

 

そう言い束は箒の腹を思いっきり殴る。

 

「ぐっ!? な、何を!」

 

箒は束の顔を見ると真顔で、目は殺気を含んでいた。

 

「私の大切な子供で、私の大切な人を傷つけようとした。だからお前には色々と聞かないといけないことがあるんだよ」

 

そう言いながら束は何度も箒の腹を殴る。

 

「あのISを誰から貰った?」

 

「い、嫌です。例え貴女でも話しま…グッ!?」

 

束は箒が求めていた答えを出さないため何度も腹を殴り続けた。

 

「いい加減喋れよ。束さんだってこの後予定あるんだから」

 

「い、嫌です! 喋ったら貴女は私を殺すつもりでしょ!」

 

「殺すわけないじゃん。……もういいゴー君喋りたくなるようしてやって」

 

そう言うと束の背後にいたのであろう黒色のISが現れた。ゴー君と呼ばれたISはゆっくりと箒に近付き箒の右手の拘束を解き、手を掴み上げる。

 

「何をする気だ? 止めろ。……止めろ!」

 

箒は何かをされるという恐怖に大声で叫び、止めさせようとしたがISは止まることなく自身の右手を掲げる。その手にはペンチが握られていた。

 

「な、何をさせる気ですか姉さん!」

 

「何って、お前が喋りたくなるようにする為の作業だよ」

 

そう言うと同時にISはペンチを箒の掴み上げた右手の親指の爪を掴む。

 

「止めろ!」

 

「だったら喋ればいいじゃん。そうすれば止めてやるから」

 

束がそう言うが箒は口をつぐむ。束はため息を吐く。

 

「はぁ~、ゴー君。やっていいよ」

 

そう言うとISは掴んでいた爪を思いっきり引っ張り、爪を根元から引きちぎった。

 

「あぁぁっーーーーー!?!!!?」

 

箒は痛みで叫び、掴まれている手を解こうと暴れるが解けるはずが無く、ISは引きちぎった爪を捨て、次に人差し指の爪にペンチで掴む。

 

「ほら、早く言わないと次の爪が引きちぎられるよ」

 

「や、止めてくれ! 止めろ!」

 

箒は泣き叫びながらそう懇願するが、束は真顔で指を鳴らす。ISはそのまま箒の人差し指の爪を引きちぎった。

 

「ぎゃぁぁっーーーーー!???!!!」

 

箒の叫びはサイロの中に木魂するが、束はうるさい雑音と思いながら箒に近付く。

 

「いい加減早く言ってよ。さっきも言ったけど私にだって予定があるんだから」

 

束は真顔でそう言うが箒からの返答は

 

「……もう止めてください。これ以上は…本当に」

 

痛みなどで大きい声が出しづらくなった箒に、束は腹を殴る。

 

「だからさぁ、私が聞きたいのはそう言う事じゃないって言ってるだろ」

 

そう言い体の向きを変え、ISに告げた

 

「ゴー君、右手の爪全部引きちぎちゃって」

 

「!?」

 

箒はそれだけはと思い、止めさせようと声を出す前にISの行動が早く、ペンチで掴んでいた中指の爪を引きちぎった。

 

「っ!?!!???」

 

箒は言い様のできない痛みが体に走っている中、ISは薬指の爪をペンチで掴み引きちぎった。そしてそのままの勢いで小指の爪を引きちぎった。

 

「ほら言う気になった?……気絶してるし」

 

そう呟き束は入り口に置いておいた、水の入ったバケツを箒にかぶせる。

 

「ゲホッ、ゲホッ!」

 

「気絶する暇があるならいい加減喋りなよ」

 

束の言葉を聞いた箒は恐怖で口が開けなかった。自分が知っている姉とは全然違う事に。

 

「あ、貴女は本当に私の姉なのか?」

 

「はぁ? お前何言ってるの? 当たり前じゃん」

 

そう言い束は付け加えるならと呟く。

 

「お前と、あの姉弟(千冬と一夏)が大っ嫌いな篠ノ之束だよ」

 

そう呟く束の顔は笑顔だが目は笑っていなかった。

 

「さて時間もないし、お前に聞いてもどうせ喋んないしここいらでおさらばするか」

 

そう呟いた束は箒を拘束していた鎖をISに解かせる。箒は、漸く開放されると思っていた。だが

 

「あ、お前はこのまま此処で一生を過ごすから」

 

「え?」

 

束の言葉を聞いた箒は呆然とする間もなく、束は箒にケリを入れてミサイルサイロの穴へと突き落とした。

 

「バイバイ、愚妹。その下は水が張ってあるから落ちても衝撃を吸収されて大丈夫だと思うよ」

 

そう呟いて暫くしてから穴の底からバシャ―ンと水の音が響いた。底からは助けてと水をバシャバシャと溺れている様な感じで聞こえ、束は手近にあった木の板を放り捨てる。

 

「ほら、これで何とかすれば?」

 

そう言い束はその場から去ろうとする。

 

「ね、姉さん!」

 

そう聞こえ束はその場で止まる。

 

「しゃ、喋れば助けてくれるんですか?」

 

そう聞こえ束は上半身が見える様、穴を覗く。

 

「そりゃあね。けど本当の事じゃなきゃ…分かるよね?」

 

そう言われ木の板にしがみつきながら箒は助かるか、此処にいるかすぐに答えは決まった。

 

「わ、私にISを渡したのは……千冬さんです。姉さんに電話しても繋がらなかったから千冬さんに相談したら、後日ISをくれたんです」

 

そう言い束は嘘かどうか考える。

 

「それ、本当に?」

 

「本当です! 嘘じゃないです!」

 

そう聞こえ、束はしばし考えた後結論を出した。

 

「分かった、信じてあげる」

 

「だ、だったら早く助けて下さい!」

 

そう聞こえたが束はニンマリとした顔で言った。

 

「うん、分かった」

 

そう言い束は穴から姿を消し、扉の方へと歩いて行った。

 

「ね、姉さん? は、早くここから上げてください。姉さん? 姉さん!」

 

箒は叫ぶが自身の声が木魂するだけで何も帰ってこなかった。

外へと出た束はニンマリとした顔で呟く。

 

「助けるとは言ったよ。けど()()()()()()()()()()()()()()()()

 

そう呟いた後、束は人参型ロケットに乗り込みアキト達が居る海岸へと来たのだ。

 

 

 

「―――――これが愚妹との最後の会話って処かな」

 

束は千冬が箒にISを渡したと言う部分だけ省いた説明をして、あぁ清々したと呟きながら体を伸ばす。

 

「お、お前は自分の妹をそのサイロに放置したというのか?」

 

「そう言ってるじゃん。何? 頭にウジでも湧いてんの?」

 

そう言いながら束はアキト達の訓練風景を見ていた。

 

「お! あっくんISの動かし方大分上手くなってるね」

 

「そりゃあ私の弟なんだから当たり前でしょ」

 

ナターシャは自慢するように言うと、千冬の隣にいた一夏が反論する

 

「ち、違う! 秋斗は俺の弟だ!」

 

そう叫ぶがナターシャは呆れた顔を浮かべ一夏の方へと向ける。

 

「はぁ~、いきなり人の弟を勝手に貴方の弟にしないでくれる? てか貴方の弟はドイツで亡くなったじゃない」

 

そう言われそれでも!と一夏は反論しようとしたが、ナターシャが畳み掛けるように言う。

 

「と言うか、いなくなった方が貴女達にとっては良かったんじゃないの? ねぇ織斑千冬さん」

 

そう言われ千冬はうろたえるように反論する。

 

「ど、どいう意味だ!」

 

「だって、其処にいる彼を助けた後貴女、もう一人の弟を見捨てたんでしょ?」

 

そう言われなぜそこの事を知っているんだと驚愕の表情を浮かべていた。

 

「ドイツに私の古くからの友人が居るの。彼女から聞いたら織斑千冬は弟を見捨てる酷い女性だったって言ってたもの」

 

「それを聞いたときは私も本当にムカついたよ。自分は家族を大切にしてるとか言って、本当は一人だけ愛してもう1人はいらない子みたいに扱ってさ」

 

束とナターシャの話を聞いた一夏は、千冬に問う。

 

「なぁ千冬姉、嘘だろ。あの時、俺を助けた後秋斗を助けに行ったが間に合わなかったって言ってたじゃないか。どう言う事なんだよ?」

 

「い、一夏、惑わされるな! あいつ等が言ったのは「出鱈目じゃなわよ」う、嘘をつくな!」

 

ナターシャは呆れるようなため息を吐きながら言う。

 

「だったら貴方達はどうして一度も彼のお墓に花を手向けに行かなかったのかしら?」

 

「!? な、何でそのことを」

 

ナターシャの言葉に一夏と千冬は体を跳ね上がらせた。

 

「私が見てたからだよ」

 

束がそう言うと、千冬と一夏は驚いた表情を向けた。

 

「あっくんが死んだあと、葬式をした後一回もお前らは墓参りに行ってないだろ。あっくんが死んだあと私一人とあそこにいる鈴って言う子が何時も命日に花を手向けに来てたんだよ」

 

そう言われ二人は何も言えないと言った表情で俯く。

 

「これではっきりしたでしょ。つまりあなた達にとって織斑秋斗と言う弟は結局のところ要らない子だった」

 

ナターシャがそう言うと、一夏は違うとぶつくさ言っていると突然

 

「違う!」

 

と叫びながらISを展開しナターシャに斬りかかったが

 

「遅いわよ」

 

そう言いあしらう様に一夏を捻り潰した。

 

「攻撃の仕方、踏み込み方、どれもド素人同然よ」

 

そう言いナターシャは転がる一夏を千冬の方へと蹴り飛ばす。

 

「その子が斬りかかってきたことは今回は見逃してあげるわ。けど、次は無いと思いなさい」

 

そう言いナターシャはその場を後にしアキト達が訓練している場所へと向かった。

 

「束さんも見なかったことにしといてあげる。それと織斑千冬」

 

突然フルネームで呼ばれた千冬は一夏を介抱しながら顔を束へと向ける。その顔は真顔で目には殺気が籠っていた。

 

「お前がしでかしたことは数倍でお前に返してやるから、覚悟しておけよ」

 

そう言い束もアキト達が居る方へと向かった。千冬はもしやISの件がバレたと思い、どうすればと答えの無い葛藤に悩まされた。




次回予告
訓練が終了した次の日は帰りの支度をして学園へと戻ったアキト達。そして2週間後に控えた期末テストの為勉強会を開くこととなり、アキトとマドカの部屋で行う事となった。
次回期末テスト~「ご褒美はアイスでいいか?」「「「「「是非それで!」」」」」~

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