ゴーストストラトス   作:のんびり日和

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20話

「さて、かんちゃんのこのIS、不知火弐型の説明をするね。この機体は機動性に優れているISで、F-22よりかは低いけどそれでも現存しているISの中では上位に入るほどの機動性があるよ。武装は87式突撃砲って言う36㎜チェーンガンに120㎜滑腔砲を搭載したライフルを今2丁積んでるよ。そして近接用の武器が74式近接長刀と65式近接戦闘短刀を積んでるよ」

 

「な、なるほど」

 

簪は束の説明を聞きつつ、自身のISの特性などをメモしていた。

 

「それで、この機体にはあっくん達のISと同じように背部に兵装用の担架システムが導入されてるんだぁ。だから試合毎に武装の変更が出来るんだ」

 

「そんなシステムがあるなんて…」

 

束の説明を聞いた簪は、自身が乗るISをきちんと使いこなせるかどうか不安になっていると、そっと束が簪の頭を撫でる。

 

「不安になるのは分かるよ。けどかんちゃんは一人じゃない、あっくんやマーちゃん達が居るんだから安心出来るじゃない」

 

そう言われ簪はそっと後ろを向くと、笑顔で頷いているアキトやマドカ達がおり、簪は自然と不安な気持ちが消え去った。

 

「さて、かんちゃんのISの説明は終わりっと。もう一機のISはナーちゃん、彼女に説明した?」

 

「いえ、まだよ」

 

束の問いにナターシャはまだと答え、体を真耶の方へと向ける。

 

「真耶、実はアメリア大統領から貴女に軍の復帰してもらえるよう頼んできて欲しいと頼まれたの」

 

「あ、アメリア大統領から?」

 

真耶はナターシャからの言葉に驚きが隠せなかった。

 

「えぇ。現在世界中でテロが横行しているのは知ってるわね? しかもその多くがテロリスト側にISが居る状態でよ。だから対IS部隊として組織された第78多国籍部隊に所属していた貴女に戻ってきて欲しいの」

 

そう言われ真耶は悩む。

 

「……けど、私が除隊してもう数年が経ってるわ。今戻っても勘が鈍ってて足手まといになるだけだし」

 

そう言いナターシャは戻りそうにないかと思っていると、束が真耶の目の前に手紙を差し出す。

 

「はい、これ。アーちゃんからまややんが悩んでいたら渡してくれって」

 

そう言われ、真耶は束が付けたあだ名に困惑しつつ、手紙を受け取り中身を読む。読んだ真耶は体が震え始め、そして

 

「ナタル! 私、軍に戻る!」

 

大きくそう宣言し、ナターシャは悩んでいた真耶が一瞬で戻る決意に至ったのか気になる。それはアキトも同じで真耶の持っていた手紙に目が行く。

 

「真耶さん、その手紙には何が書かれてたんですか?」

 

そう言いながらアキトは手紙の中身を見る。真耶は頬を赤く染めながらも、手紙の中身を見せ、ナターシャも手紙の中身を見る。

 

「えっと、『軍に戻ってきたら以下の事をお約束します。

1.アキト中尉が住んでいる家の隣に家をプレゼントします

2.アキト中尉と同じ部隊に配属します

3.階級などは除隊した時と同じ中尉とします』……何この1と2の約束?」

 

アキトは困惑した表情で見ている中、ナターシャは真顔で真耶の方へと向く。そして

 

「なんで私より先に貴女がアキくんと同じ部隊に配属されるのよ!」

 

と叫んで、真耶の頬を抓る。

 

「ひ、ひぃたい! ひぃたいから! おひぃついてよ、ナタル!」

 

「きーー! やっぱり胸なの? 胸の大きさでアキくんと同じ部隊に入れるの? 私が美乳だから転属願いを受け取ってもらえない訳?」

 

ナターシャは何度もアキトのいる、ゴースト部隊に転属願いを出しているのだがなかなか受け取ってもらえず、悔しい思いをしていたのだ。そしてまさか友人の真耶が先に行くことになったのが腹立たしかったのだ。

アキトはこれ以上ナターシャが暴れると危ないと判断し羽交い絞めで止めに入る。

 

「ね、姉さん落ち着いて!」

 

「落ち着けるわけないじゃない! この牛女! その胸寄越せや!」

 

ナターシャの抓りから助かった真耶は、赤くなっているであろう頬をマドカに確認してもらう。

 

「あうぅぅ~、マドカちゃん。私の頬っぺた赤くなってますか?」

 

「結構赤くなってますよ」

 

そう言われ、うぅぅ。と涙目になりながら頬をさする。束はにゃはははと笑いながら見ていると、一夏が困惑した表情で話しかける。

 

「束さん、実は箒が……」

 

「あ? あぁ愚妹の事? それだったら知ってるよ」

 

対応するのがめんどいと言った表情の束がそう言うと、一夏は真剣な表情であることをお願いする。

 

「箒を助けてやってください! きっと何かの間違いなんです。誰かが箒を貶めるために仕掛けた事かも知れないんです!」

 

そう言うと束は何言ってんだこいつと言う目線を向ける。

 

「お前さぁ、何言ってるわけ?」

 

「え? だ、だから箒が捕まったって」

 

「うん、それは知ってるよ。けどさぁ、それってアイツ自身が望んだ結果がアレなんだよ? 何処をどう見ればアイツが悪くないって言う要素があるの?」

 

そう言われ一夏は束の言っている事に、何も言えずにいると束が重ねるように言う。

 

「それとさぁ、もうアイツIS学園に戻って来れないし、もう日の下で歩けないと思うよ」

 

そう言われ一夏、そして千冬は驚いた表情を束に向ける。

 

「ど、どういう事だ束! お前、箒に一体何をしたんだ!」

 

千冬は怒鳴る様に束に問いかけると、束はやれやれと言った感じで答えだす。

 

「何って、簡単に言えば罰を与えたって処かな」

 

「ば、罰だと?」

 

「そう、罰だよ」

 

そう言いながら束は罰の内容を伝えようとしたが、チラッと簪達の方へと目線を向ける。そして目線を戻し、顔をニコッと笑顔へと変える。

 

「さて、軍に復帰が決まったようだし、まややんのISの説明するよ~」

 

そう言い、千冬達の元から離れて行く。

 

「お、おい! まだ箒の事を聞いていないぞ!」

 

「五月蠅いな~。後で説明するからそこら辺で三角座りして待ってなよ」

 

そう言い束はさっさとその場から離れて行く。千冬はイラついた表情を浮かべ、一夏は箒にもう会えないと言う言葉に愕然とした表情を浮かべ足元から崩れ落ちる。

 

 

そんな2人を放置し、束はアキト達の元へと行くとアキトはまだナターシャを羽交い締めで抑えていた。

 

「姉さん、そろそろ落ち着いてください!」

 

「無理! アキくんの頼みでもこればっかりは無理! 真耶の胸を捥ぎ取るまでは!」

 

「ひぃぃ~~~!」

 

真耶はナターシャから漏れ出す『爆乳持ちに対する嫉妬』という名のプレッシャーに恐怖し後退る。束はやれやれと言った感じで手をあげ、首を振る。

 

「ナーちゃん、そろそろまややんのISの説明したいから、暴走止めてくれない?」

 

「えぇい爆乳持ちの貴様の命令なんか聞くものですか!」

 

と取り付く島もない状態のナターシャに束は仕方ないとポケットからある物を出す。

 

「はい、これ」

 

そう言ってナターシャの目の前に出したのは、アキトが水着に着替えている最中の写真。それを見たナターシャは暴れるのをやめる。

 

「束、この写真言い値で買うわ」

 

「あのすいません、私も買います」

 

「わ、私も!」

 

「私も欲しいです~!」

 

「束お姉ちゃん私も買う!」

 

いつの間にか真耶、簪、本音、マドカも一緒に買うと言い出し、アキトは顔を真っ赤にさせて阻止しようとする。

 

「止めてくれ! と言うか、束さん! いつの間に撮ったんですかそれ!?」

 

「これ? ハエ型偵察ロボットのテストを兼ねて撮ったんだぁ。にしてもあっくんの胸筋マジやべぇ! この腹の筋肉の割れ方マジかっけぇ!」

 

と、アキトの筋肉を褒めまくる束。アキトはそんなロボット飛ばしてたのかよ。と思いながらポカーンとした表情を浮かべていた。




次回予告
束は、軍に戻ることになった真耶にISの説明を始める。そして専用機持ち達を訓練に行かせ、簪や真耶も新しい機体という事で同じく訓練へと向かわせる。残ったナターシャと束、そして千冬となぜか残された一夏。そして箒がどうなったのか束の口から語られた。
次回追及~どうせ貴女にとって織斑秋斗君はお荷物でしかなかったのでしょ?~

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