GWが終わり、外出していた生徒たちは皆一斉に学園へと戻ってきた。
アキトとマドカは寮から自分たちのクラスへと向かっていた。
「それにしてもお兄ちゃん、昨日アメリカ軍基地に出頭するよう言われてたけど、何だったの?」
「あぁそれか。いや実は上層部から昇進を言い渡されてな」
アキトが昇進したと聞くとマドカは驚き、賞賛する。
「本当⁈ すごーい! 流石私のお兄ちゃん!」
「は、ははは。ありがとな」
アキトはマドカの過剰な賞賛に苦笑いで答えていると、前方の柱にもたれるように立っている楯無を見つける。アキトが気付くと同時に、楯無もアキト達のことに気付き手を振りながら近寄る。
「おはよう、2人とも。相変わらず仲が良いわね」
「えぇまぁ。それで更識先輩はどうして此処に?」
「うん、ちょっとね」
楯無は少し言いづらそうな感じでいるがすぐに吹っ切り、用件を話し出す。
「実は今日の放課後に生徒会室に来て欲しいの」
「生徒会室に? なんでまた?」
アキトが疑問を口にすると楯無は理由を話し始めた。
「実は学園に置かれている部活の部員達が、男子を何処かの部活に参加させるべきだって要望が結構来てるの。それで先にアキト君にどの部活がいいか決めて貰おうと思ってね」
そう言われアキトは確かに自分は部活に参加していないなと思い、これを機に何処かに入るかと考えつく。
「そう言う事ですか、分かりました。では放課後に行きますね」
アキトの言葉に楯無は笑顔になり頷く。
「うん。それじゃあ放課後待ってるから。それじゃあねぇ」
そう言って楯無は何が嬉しいのかスキップしながら去って行った。
「俺が生徒会室に来るのがそんなに嬉しいことなのか?」
「さぁどうなんだろうね」
マドカは知らないふりをしながらそう返し、アキトと共にクラスへと向かった。クラスに着き中へと入り席へと着く。すると本音がひょこひょことアキトの近くに来る。
「ねぇねぇアッキー、今日転校生が来るんだって~」
「転校生? またかよ」
「いえ、今年は珍しいらしいですわよ」
そう言いながらセシリアもアキトの席に近寄る。
「ふぅーん。まぁ誰でもいいけど」
そこで転校生の話題は終わりいつものメンバーで談笑をはじめて暫くし授業開始のチャイムが鳴り、それぞれの席に着くと同時に、真耶と千冬が教室へと入ってきた。
「はい、皆さんおはようございます。もう皆さんも知っていると思いますが、転校生が2名こちらのクラスに入ってきます」
「全員静かにしておくよう。よし入ってこい」
「失礼します」「失礼する」
そう言って入ってきたのは一人はブロンドの短髪の女性とプラチナブロンドの眼帯をした女性だった。アキトとマドカはブロンド女性の方は知っていた為それほど驚くことはなかったが、一夏はブロンド女性の姿を見て頬を赤く染めていた。
「それではシャルロットさんから自己紹介をお願いします」
真耶にそう言われシャルロットと呼ばれたブロンドの女性は返事をし一歩前に出る。
「初めまして、アステック社の企業代表をしているシャルロット・シュナイダーと言います。どうかよろしくお願いします」
そう言ってお辞儀をするとクラスの生徒たちは拍手をして出迎える。
「はい、ありがとうございます。それではラウラさんお願いします」
そう言われラウラと呼ばれたプラチナブロンド女性は前へと出る。
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ。ドイツ軍のIS部隊に所属している。産まれた時から軍人としての教育を受けてきたから世間の常識等には疎いことと、喋り方が威圧的に感じることがあるかもしれないが、どうかよろしく頼む」
そう言って頭を下げる。隣にいた千冬は以前と違うことに驚いていると、生徒たちは拍手を始めた。
「大丈夫よ、ラウラさん。このクラス軍人さんが3人いるから」
「そうそう、世間の常識とか分からなかったら私たちに聞いてくれたら教えるから」
そう言われラウラは一瞬キョトンとするが笑顔を向け助かると呟き元の位置へと戻る。
「ではラウラさんは本音さんの隣で、シャルロットさんはセシリアさんの後ろの席になります」
そう真耶に言われ、2人は席へと座る。
「では皆さん、次の授業は2組との合同授業になるので遅れないように来てくださいね」
そう言って真耶は教室から出て行く。千冬も暫く呆然としていたがすぐに我に返り教室から出て行った。アキトと一夏も女子たちが着替える前に教室から出て行き、アリーナ近くの更衣室へと入り着替えを始める。その間二人は一切喋らずにいたが突然一夏がアキトに話しかけてきた。
「……なぁアキト。頼みが「話しかけるなって言っただろ」あ、あれはお前から一方的にしてきたことだろうが!」
そう言って一夏はアキトに掴みかかろうとするがすぐに手のひらを掴まれ自分の背中へと回され拘束される。
「確かに一方的だ。だがお前だって一方的に俺をお前の弟だって決めつけて言ってきただろうが」
そう言ってアキトは掴んでいた手を離し、一夏を放置してアリーナへと向かう。その背を一夏は恨めしそうに見ることしかできなかった。
人物
シャルロット・シュナイダー
原作だとフランス代表だが、本作ではアメリカに本拠点を置く大手企業『アステック』の企業代表。デュノア社社長と愛人との間の子で、産みの母親と共に山にある別荘で静かに暮らしていたところ、デュノア社の社長夫人が2人を消そうとしていたところを偶々、近くで任務をしていたアキトのいるゴーストのリーパーチームが遭遇。なし崩し的に二人を救助しアメリカへと亡命させた。それから母親がアステック社の社長と再婚し、新しい父親と仲良く暮らしている。そして企業代表としてアキト達と同じ日に学園へと入学しようとしていたが父親が親バカモードを発動し、こっそり日にちをずらしていたことが判明。
ラウラ・ボーデヴィッヒ
原作と同様でドイツのIS部隊の隊長。違うところがあるとすれば、力こそすべてと言う心情を捨てており、何故そうなったかは本編に書くのでこうご期待。
企業
アステック社
日用品から軍需品まで手を広げている大企業。アメリカ軍の一部の装備にはアステック社の物が使われている程、信用度がある。社長はシャルロットの義理の父親でシャルロットを溺愛するほどの親バカ。されど仕事は超一流ビジネスマン。
次回予告
アリーナへと出るとシャルロットと学園に入学が送れた訳を聞き苦笑いになる。するとラウラがアキトに近付き、友人になってくれないかと言われそれを承諾。そして授業が始まり鈴とセシリアが前へと出て、真耶と2対1の対戦が行われた。
次回合同授業~さてお二方、元とはいえ、軍人の本気見せてあげますよ!~