「こめっこさん!?」
そういい現れたとっても強そうなモンスター…やべぇ…直感的に俺にはわかるこいつには今の俺じゃあ勝てねぇ…せめてマスタークラウンがあればまだ渡り合える気がするが…いや、そんな事はどうでもいい。とりま奇声とともに突っ込んでった何時ぞやの幼女を助けねば…正直怨みしかないが、めぐみんの妹だ。妹が死んで泣き喚くめぐみんなんて見たくない。だが、
クマさんの群れと格上モンスターか…うーん…最低でも全治3ヶ月は余裕かな…
そう軽く絶望してると
「!おいそこの……あー…青いヤツ!お前ちょっと手伝え!こめっこさんが死んじまう!」
なんと強そーなモンスターが助けを求めてきた。とりま敵対してもデメリットしか見当たらないしここは従っておこう…
「わ、わかったヨォ!」
魔力球を出現させ、クマさんに投球する。
*****************
数十分後
俺は今、例のモンスターと対峙してる。そして…
「いいカイ?その子を離すなヨォ?そのまま押さえておいてクレ」
「ホースト離して!そいつ食えない!」
「お、おう。な、なぁこめっこ?一旦落ち着こうぜ?俺には何があったかわからんが食べるのはやめとこうぜ?な?代わりにまたなんか食わせてやっからよぉ」
このホースト?というモンスターに取り押さえてもらい、説得してもらっていた。
「むぅ…わかった!」
やっと大人しくなるこめっこ。にしてもこの子、俺みたいな
「フゥ…サテ、ジャア話をしてもらおうカナァ?エット…ホーストサン?」
「俺としてはお前の方が怪しいんだが…しょうがねぇなぁ…姿も見られちまったし。…俺はウォルバグ様の側近である上位悪魔、ホーストだ。で?お前は?」
「ボクはマホロア、こんな見た目ダケド、元は人間で今はマホロアダヨォ」
「マホロアってなんだよ…」
「マホロアはマホロアダネェ…」
そうとしか答えようがない。つーか俺が聞きたい。
「そ、そうか…しかし、まいったな。こいつも口封じしなきゃならんのか…」
おっとなんか危ない言葉が聞こえたような…チッこうなったら
「ホーストってスゴ〜ク強そうだヨネェ!ボクが今まで見たモンスターの中で一番迫力があったヨォ!
何時ぞやの女神の時と同じ作戦を試してみる。
「そんな見え見えの煽てに乗ると思うか?」
クソ!こいつ意外と頭がいいな…あの駄女神といいゆんゆんといいこの世界の住人はみんなチョロイのだと思ったのだが…
「だがそうだな……マホロア!お前が俺の事を喋ったらこいつがただじゃすまねぇと思え。そしたら見逃してやる!」
何か悩んだ後にそんな条件を突きつけてきた。力じゃどうしようもないしここは諦めて従おう…
「わかったヨォ…約束するヨォ」
「…悪魔は約束や契約にうるさいんだ。破ればどうなるか……な?」
なかなか賢いなこいつ…痛いところを的確についてきやがる。そう思ってると、ホーストの背中からこめっこがぴょこっと出てきて
「ホーストのくせになまいき!」
「こめっこさん…今はちょっと勘弁してくださいよ…」
「もうキミの方が尻に敷かれてないカイ?」
「ぐっ…否定できねぇ…」
あたま(頭部)を掻きながら目をそらす上位悪魔…おかしいなぁ、さっきまでとても怖いイメージがあったホーストが今はとてもなよなよしく見える…
その後俺はホーストがこめっこに害を与えていない事を確認した後、暇だったし俺は人間だった事を話して、ホーストは何を目的にしてるかは話してくれなかったが、こめっこと遊んで(?)いるという事を話してくれた。ホーストのは3/4が愚痴だったんだが。
後は適当にこめっこも混ぜて
そんなこんなと話してる内に夕方になった。
「じゃあネェホースト!キミとは仲良くなれそうダヨォ!」
「ヒャッヒャッ!だが俺の事は話すなよ?約束だぜぇ?」
「じゃあな!ホースト!また明日!」
「おう!」
そう言ってホーストはどっかに飛んでいった。あいつ怖い見た目のくせに話してみると意外といい奴だったなぁ…
「ジャアボクらも帰るヨォ」
「うん!……じゅるっ」
返事をして、俺の方を美味しそうに見つめてくるこめっこ。
え?まだ俺の事を食う気なのこの子?
「……こめっこ?ボクは美味しくないヨォ?」
「美味しくないって事は食べられるね!」
キラキラした瞳で見つめてくるこめっこ。まじかよ…このままじゃ俺は物理的に食べられちまう…とりあえずこの子の意識を変えよう。
「………こめっこ?ボクの体にはネェ、呪いがかかってるンダ。だからボクを食べると、キミ死んじゃうヨォ?」
とりあえず意外とありそうななんかの童話のような嘘を並べてみる。
「……じゃあ呪いを解いてから食べる!」
たくましいなぁ!おい!
「わかったヨォ…呪いが解けたらこめっこのところに行くカラ…その時ネ?」
逆手に取って延命措置を施してみた。
「……しょうがねぇなぁ!見逃してやる!」
「……」
ホーストの口調が移ってる…。
*****************
そんなこんなでこめっこ、もといめぐみんの家についた。
「ジャア、また今度ネェ!ホーストがいるケド、森の中は危険だカラ気をつけるんダヨォ?」
「わかった!バイバイマホロア!早く呪いを解いてきてね!」
笑顔で早く
そして家に帰ってると…
「……おや、マホロアじゃないですか。こんなところで何をしてるのですか?」
めぐみんとばったり出会った。
「…チョット修行しててネェ」
ホーストの事は言えないので適当に誤魔化しておく
「そうですか……マホロア、少しいいですか?」
転入当時の様に俺を誘ってくるめぐみん。
「いいケド…マタ締められるノ?」
「違いますよ!ちょっと…相談したい事がありまして…」
そう言って近くのベンチまで連れて行かれた。
「デ?めぐみんが悩み事なんて珍しいネェ。明日は雪でも降るのカナァ?」
「私だって女です!悩み事くらいしますよ!」
そう言ってめぐみんは俺の隣に座ってくる。
お?なんだ?俺にフラグが立つのかな?そう期待してると…
「えっとですね……私……巨乳になりたいのです」
…シラネェヨ
ベンチから立ち上がり無言で帰宅しようとする手をめぐみんが慌てて掴んできた。
「エェイ!離せヨォ!キミの胸事情ナンテ知らないヨォ!牛乳でも飲んでレバ育つんじゃネェノ!?」
「ち、違います!今のは冗だ……いや冗談ではないのですが……ともかく!次は真面目な話ですから!」
聞こうじゃないか
俺は仕方なく再びベンチに腰(?)掛ける
本当に重要な事を話すのか、めぐみんは大きく息を吸い
「私、爆裂魔法を覚えようと思うんです」
と告げた。
爆裂魔法…確かクッソ魔力を使うからまともに使えないし、音もデカイから魔物を呼び寄せる。そして唯一の取り柄の超火力も、大体がoverkillで覚える意味がないネタ魔法って先生が言ってたな。
「…ゆんゆんにはソノ話ハ?」
「してません。マホロアは世間知らずですし、この里の人間じゃないので話そうと思いました」
「?里の人間じゃないカラ?」
「はい。ほら、私って紅魔族随一の天才じゃないですか。そうなると…ほら、周りからの目がありましてですね…」
あーはいはい。知能と魔力が人より優れてる期待の星が、蓋を開けてみれば産廃魔法使いと知ったらみんながっかりするだろうしねぇ。
「……めぐみんは爆裂魔法を覚えテどうするノ?」
「……私は子供の頃、魔獣に襲われた事があったのです。そこにはたまたま通りかかった魔法使いのお姉さんが、爆裂魔法でその魔獣を撃退したのですよ。その時の爆裂魔法の破壊力!圧倒的な暴力!絶対的な力!それはもう凄まじく、最強魔法の名に相応しい威力でした。あれを一度でも見てしまったなら、他の魔法を覚える気が起きませんでしたね。ともかく!そのお姉さんに私の爆裂魔法を見せて、こう聞くのです!"あなたに教えてもらった、私の爆裂魔法はどうですか"と」
昔の事を語る英雄の様に力強く語っためぐみん。その目には強い決意が見える。なら…
「イイんじゃナイ?ボクは素敵だと思うナァ」
「…反対しないんですか?」
「マァ、僕自身爆裂魔法を見た事がないシ、本当にネタ魔法なのカこの目で見たわけじゃないシネ。…ソレに、チャーントした目標を持ってるナラ、ボクは応援するヨォ。ソレがもし単なる好奇心とかだっタラ反対してたけどネェ」
本人が絶対に叶えたい夢をいたずらに否定したり笑ったりするのは許されない事だと思う。それにこの歳でもう人生の目標を見つけてるんだ。そこは友達として応援するべきだろう。
すると目をパチクリさせためぐみんが。
「…意外です。てっきりいつもの様にバカにされると思ってました」
「ラシクない事をしたとは思うんだケド…ボクにはボクなりの価値観があるからネェ」
自分の価値観を持つのは大事だと思う。
「…この事は内密に頼みます。今知られてしまえば上級魔法を覚えさせられそうなので…もちろんゆんゆんにもです。……あの子にはいずれ話します。」
「胸のコト?」
「違いますよ!爆裂魔法の事です!」
「冗談ダヨォ〜それに、めぐみんはいつか虚乳になれるッテ!」
「あ、ありがとうござ……なんか釈然としないのですが…」
今日で2つも秘密事が出来てしまった。
「気のせいダヨォ…アァ、ソウダ!代わりにボクの頼みも聞いて貰おうカナァ」
とたんに嫌そうな顔をするめぐみん。
「ミンナにこの事言いふらすヨォ?」
「ぐっ…卑怯です!何故私はこんなのに話してしまったのでしょう!」
悔しがるめぐみん。
「こんなの」って…
「はぁ…悔やんでも仕方がないです…で?頼み事とは?」
「そうダネェ…
ふにふらやどどんこがゆんゆんと何かあったのは知ってるダロォ?ーーーーー」
*****************
傷心のニートが家に引き篭もってから3日が経った。血迷って私の秘密を悪友に話した時に脅された。全くなぜ私はあんなのに話してしまったんだろう。何時ぞやのマホロアの言葉に影響を受けてしまったのだろうか…ともかく最近はある調査をしている。それは
ーゆんゆんの様子がオカシイのを調べてちょうダイー
との事だ。
「めぐみんおはよう。はい、これ」
教室に入った私は、マホロアの様に無償で弁当を手渡された。
やはりこれは重症だ。
「なんですか?ひょっとして私の事が好きなんですか?いきなり一足飛びに、こういった愛妻みたいな事をされてしまうとちょっと……」
「愛妻ってなに!?ねえなに言ってんの!?今日は勝負をするつもりもないから、素直にお弁当渡すだけよ!お弁当あげるから絡んでこないでねって事!」
…なあんだ。
「というかその言い方だと、弁当をもらえない場合私がゆんゆんに弁当をたかる無法者みたいに聞こえるのですが」
「毎日勝負を挑む私も大概だけれど、めぐみんも無法者じゃない」
アッサリと言ってくれたゆんゆんをどうしてやろうかと考えていると、白い服を着たマホロアが教室に入ってきた。
「オハヨウ!」
短く挨拶するとマホロアは私に向かって手招きした。
「……デ?ドウ?調査は順調カイ?」
「いえ、今の所なにがあったのかわかりませんね。ただ、今日の朝ゆんゆんが無償で弁当を手渡してきました。」
「……ホント?イツモ野盗の様に勝負を挑んでクルゆんゆんが?」
信じられないと言った口調で驚くマホロア。
「はい。マホロアの方は何かわかりましたか?」
「イヤ、3日前からゆんゆんに遠回しに聞いテルんだけドネェ、『……な、なんでもないわよ…』とか『と、友達と遊んで疲れたのよ、きっと!』しか言わなくてネェ…」
「そうですか…恐らくマホロアが作ってあげた友達ですし、言えないのでしょう」
「フム……ジャアますます君に頼らなくチャァいけないネェ…」
ゆんゆんにどうやって吐いてもらおうか考えてると担任が教室に入ってきた。
ざわめいていた教室内が静まり、担任が教壇に立つ。
「おはよう。この間の授業でマホロアが葬った、邪神の下僕と思われるモンスターが里の中でも目撃されたらしい。流石にうかうかしていられない状況になってきた」
担任の言葉で教室内がざわめいた。
紅魔族の姿を見るだけで、先日の一撃熊くらすでもなければ、大概のモンスターは逃げ出してしまうはずなのだが。
…もしかしてマホロアの第二形態の事では?あの姿は正直悪魔にしか見えない。
「という訳で、まだ準備は足りていないが人数を集めて強引に再封印を行う事になった。儀式は明日の夕方から明後日の朝にかけて行われる。万が一失敗でもした際には、里に邪神の下僕が溢れる事になる。そのための対策も講じてはあるが、儀式が始まったら家からは出ないように」
普段はいい加減な担任が珍しく真面目な表情で言ってきた。
「それとマホロア、放課後職員室に来るように」
「エッ?」
あの馬鹿何か余計な事をしたのだろうか…
*****************
放課後
「ソレで?話って何カナァ?」
いつになく真面目な先生に呼び出されたので、今日一日の時間が早かった。
まさかホーストの事がばれたのか…?
「朝話した通り里中にあのモンスターが大量に溢れ出している。これは族長とも話し合って決めたんだが…お前はあの時そのモンスターを消しとばしただろう?だからお前にも儀式に付き合って欲しいんだ」
違った。にしても封印に付き合って欲しいねぇ…
「いいヨォ…ケド、マスタークラウンがないとキビシイのだけド…」
「……あれは俺は管理してないからな、帰ったら族長に相談するといいい」
はようマスタークラウンを使いこなしたい、後里のみんなに第二形態みせとかなくちゃ修行中に俺が襲われかねないし…全力で説得しよう。
「じゃあ明日の放課後教室に残っていてくれ」
「わかったヨォ」
そういい俺は職員室を後にする。
*****************
夜、家にて
「ト、いう訳でマスタークラウンを返して欲しいんダケド」
族長に懇願中である。
「ううむ、確かに生徒とぷっちん以外
はマホロア君の…その第二形態?を見てないし…わかった里のみんなへの紹介も兼ねてマスタークラウンの使用を許可しよう!」
「アリガトウ族長さん!」
「しかしその第二形態がとても気になるのだが…紅魔族的にとてもポイントが高いぞ!マホロア君!明日が楽しみだ!」
「この姿よりもカッコよくて大きくなるヨォ。楽しみにしてテネッ!」
なんとか丸め込む事に成功した。
最初はダメって言われたが、第二形態の事を大袈裟に話すと許可してくれた。紅魔族の人達は交渉とかに向いてないような気もする。
とりあえず許可をもらった俺は寝るまで暇なのでゆんゆんを部屋に呼んだ。
そして現在。ゆんゆんとトランプタワーを製作中。
「へぇ…マホロア明日儀式に行くんだ」
「マァネェ…マスタークラウンも許可もらったシ、みんなに第二形態見せてくるヨォ」
ふとゆんゆんの手が止まる。
「マホロア!?またあれを使うの!?あれを使ったらマホロアまた倒れるんじゃないの!?大丈夫なの!?」
タワーを崩して俺を揺さぶるゆんゆん。
「オイオイ落ち着きなヨォゆんゆん。マッタク…心配性ダナァ、ゆんゆんは。大丈夫ダヨォ…ただみんなにボクの第二形態を見てもらうだけダヨォ。ボクの第二形態を知らなくて里のミンナに攻撃されるかもしれないダロォ?」
「うん…確かに……そうだけど………じゃあ前みたいに無茶して倒れないって約束してくれる?」
上目遣いで俺を見てくる。どこでそんな必殺コンボを覚えてきたのやら…
「…わかったヨォ魔法は使わない様にするからサァ」
俺がそう返答すると安心した様で俺から手を離し一息つくゆんゆん。
「そう………えっと…マホロア?めぐみんにも話したんだけど……………」
お?ついに話してくれる気になったか?
「ドウしたノ?」
「………ごめん…やっぱりなんでもない……おやすみ…」
そう言って部屋から出て行くゆんゆん。
めぐみんの言う通り俺に話すのは気がひけるのだろうか…まぁめぐみんに話したって言ってたし明日聞いてみよう。
*****************
tomorrow
「ヤァ…オハヨウめぐみん」
「おはようございます。調査の結果が出ましたよ。……あの二人、ふにふらとどどんこはゆんゆんにお金をたかってるようです」
……舐めたことしてくれるじゃねぇか
「ヘェ……ジャア今日の昼休みにでも締め上げようカナァ…アノ二人…」
「待ってください。マホロアが手を出せば追放されますよ?」
ッチそれはそうなんだが…
「……コノまま見過ごす事はしないよネェ?」
「わかってますよ。…まぁここは私に任せてください。ーーー私に考えがありますーーーー」
*****************
「ではこれより、魔道具作製の授業を始める。魔法薬や魔道具の製造などは、我々魔法使い職の者にとっては大切な収入源となる。覚えておいて損はないぞ。では各自好きな材料を使っていいから簡単な体力回復のポーションを作ってみろ。上手くできたら、そこにアレンジを加えてもいい。調合の比率によって、ポーションの効果が変わってくるからな。自分だけのレシピを作ってみろ」
さて、俺たちは今学校の地下室でポーション製作の授業を行っている。そして、
「ではマホロア。私は作戦通り病を治療するポーションを作ります。マホロアはそのサポートをしてください」
「オッケェー」
そう言って先生にレシピをもらいに行くめぐみん。
なぜ俺らは無謀にも難易度の高い物を作ろうとしてるかと言うと、
ーーあの二人はゆんゆんに病気の弟の為に薬を買うお金が欲しい。という体でお金をたかったそうです。だから、私達で病を治すポーションを作って渡せば何も言い逃れができないはずです。だから、今日のポーション製作の授業でそれを作りましょう。ーー
との事だ。
おっと、何か怒った様子のめぐみんがレシピを手に帰ってきた。
「ドウしたノ?」
「いえ……ちょっと爆裂魔法を最初に打ち込む相手が決まっただけです」
「?」
「いいから、これ見て材料を集めてきてください」
気にしても仕方ないので言われた通り材料を集めていく。すると
「めぐみんとマホロア、そんな材料集めてきて何を作るつもりなの?それよりも、体力回復ポーションは?クロちゃんがグッタリして弱ってるんだけど、できればこの子の薬を……」
俺たちが集めてきた材料をみて、近くにいたゆんゆんが心配そうな顔で言ってきた。
「これは私の友……友達?との秘密の事ですので、ライバルのゆんゆんには言えません」
「オイ、なんで言い淀んだのカナァ?」
「あっ!な、なにそれ!ふにふらさん達からの相談を内緒にした事への当てつけ!?」
ゆんゆんの言葉を聞き流しながらめぐみんは淡々と作業を進める。
「ゆんゆん。ジャアキミがクロちゃんを助けてアゲテくれるカイ?ボク達チョット手が離せなくてサァ」
「ま、マホロアまで内緒にするの!?…確かにマホロアには…話してないの
だけど……」
「マァマァゆんゆん。イズレわかるヨォ。その時はターップリと話し会おうネェ?」
「え?う、うん……マホロア何か怒ってる?」
「気のせいダヨォ」
軽く遺憾に思う程度かな…
とりまゆんゆんを説得して作業に戻る。
その後、めぐみんがすり潰してた鉢から火の手が上がり火事になりかけた。そこで先生が鎮火するために使った≪クリエイト・ウォーター≫が勢い余って、近くにあったマンドラゴラに直撃。そして俺は今、大脱走を繰り広げるマンドラゴラと鬼ごっこ中だ。
「エェイ!チョコマカと!大人しく捕まってヨォ!」
この植物早っい。この世界の野菜はたくましいのだが、それは植物全般に言える事なのだろうか…そう思ってると不意に追いかけていたマンドラゴラが誰かに捕まえられた。
「ほい。一本捕まえたよ。なにを作ってるのか知らないけど、面白そうな事をやってるね」
あるえがマンドラゴラをぷらんぷらんしながら話しかけてきた。
「アァ…めぐみんと、あるポーションを作っていてネェ…ソレをめぐみんの所に届けてキテくれるカイ?後、暇ならアイツを手伝ってやってチョウダイ。ボクは残りのマンドラゴラを捕まえてくるからサァ」
「構わないさ。マホロアも頑張ってね」
そう言ってめぐみんの所に行くあるえ。さて、残りの植物共を捕まえて来るか。
ーーー
そこそこの逃走劇を繰り広げた後に
「ヨシ!ヤット捕まえ…イッタァ!!」
なんと捕まえたマンドラゴラに指(?)を噛まれ、怯んだところを逃げられてしまった。そして、してやったとばかりにこっちにあっかんべーをする雑草ちゃん。
ーー調子に乗りやがってッ!
「ミニマム≪キルニードル≫!!」
「ギィィィィィィィ!!!???」
股下から割り箸くらいの太さの≪キルニードル≫で頭まで穴を開けられた雑草野郎は断末魔の様な悲鳴をあげると動かなくなった。
「クックク!ナァンダ…最初からコウすれば良かったのカァ…」
「「ヒィ!!」」
偶然近くにいて、その現場を目撃してたふにふらとどどんこが顔を青くして小さな悲鳴を上げた。
……まぁ…マンドラゴラって人の形に似てるからなぁ…。ここで
『ふにふらサン、どどんこサン。ココに穴の空いたマンドラゴラがあるダロォ?………数分後のキミ達の姿ダヨォ』
って言ってみたいなぁ。言わないけど。
その後残りのマンドラゴラたちを串祭りにした。小さな人形植物を追いつめて問答無用で串刺しにしていく俺を見た生徒や先生はドン引きしながらその様子を見ていた。
余談だが、今回のこれのせいか後日から俺に『マンドラゴラキラー』というたいして嬉しくないアダ名がついたのはまた別の話。
穴の空いたマンドラゴラ達を、抱えてめぐみんのところに戻ると。
「めぐみんは、レベルが上がった」
「ばかあああああーっ!」
カモネギというどう見てもポケ○ンのカモネギの姿をしたモンスターの首を握りしめ、冒険者カードを掲げるめぐみんにゆんゆんが泣きついていた。
……なにがあったし。
*****************
放課後
「では、あの二人の所に行ってきます。……呼び出した時に『マ、マホロアは来ないよね?』と随分怯えた様子で聞いてきたのですが……あなた何やったんですか?」
病用ポーションをちゃぷちゃぷ揺らしながらそう尋ねて来るめぐみん。
「マダ何もしてないヨォ…ボクはただマンドラゴラを締めてただけダヨォ」
方法は伏せるがな…
「そ、そうですか…では後の事は任せてください。そっちもいろいろあるのでしょう?終わったら家でたっぷり聞くなりするといいです」
いつもはストレスの種のめぐみんがなんだか頼もしく見えてしまう…
「…ワカッタ。ジャア健闘を祈るヨォ」
そう言って俺は教室を出て行く。
*****************
「では儀式の流れについて説明する。
まず封印をする人が8名。そして、恐らく邪神の下僕が邪魔をしてくると思われるので封印を行う8人を取り囲む様にして迎撃部隊を配置する。時間は封印が終わり次第終了だ。以上、何か質問はあるか?」
現在俺は、担任のぷっちんに連れてこられ、里の集会場で作戦会議中だ。そして、
「誰が封印をするんだ?」
という質問をして、かれこれ1時間ずっと話し合っている。内容は…
「俺がやる!邪神の封印なんて美味しそうな役……ごほん!そんな大事な役目、この中でも魔力が人一倍高い俺が適任のはずだ!」
「いや!我だ!我が身に宿る闇の力は邪神を封印するのに最も相性がいい!」
「違うね!俺には前世で奴との因縁がある!今こそ!この俺が奴をもう一度封印してみせるッ!」
といった様にだーれも譲ろうとしない。みんながやりたくないという押し付け状態よりかはマシだが…このままじゃあ埒があかない
「ハイ!ココはクジ引きでいいんじゃないカナァ」
「ダメだダメだ!それじゃあ誰が相応しいかわからないだろう」
「……いや、案外ありかもしれんぞ?本当に相応しい者は因縁としてクジ引きくらい引き当てるのではないか?すなわち!選ばれし者は自ずと決められてるということかッ!」
「!……確かに!よし!早速クジ引きの準備をしよう!」
……今更なんだが、いい年した大人が集団で中二病的な発言で会議をしてるのを聞いてると頭が痛くなる…
そしてクジ引きで8人が決まった。
決まった時にまた言い争いになるかと思ったが、決められた事には誰も文句は言わなかった。ここはこの人達のいいところだと思う。
「よし、じゃあ出発するぞ!」
「ア、チョット待ってチョウダイ」
危ない危ない、肝心な事を忘れるところだった。
「どうしたマホロア?怖気付いたか?」
「マサカ……イヤ、実はボク第二形態がアルんだけどネェ。見た目が凄く悪魔っぽいからサァ、ミンナに一度見せておこうと思ってネェ」
「ナニィ!?第二形態だとぉ!?そんな素晴らしい設定まであるのかキミは!」
「なんてことだ……クソっ!何故紅魔族には形態が変化しないんだッ!」
「早く!早く見せてくれ!」
みんなが興奮して目が紅くなっていく…
「マ、マァ落ち着いテ。急かさなくテモ見せるカラサ」
そう言って俺は何時ぞやの様に第二形態になる。
…あぁ、やっぱり視点がだんだん高くなっていくこの感覚と満ち溢れていくパゥワァの感覚がすばらしい!
「「「「「オォ!!!!!」」」」」
「すばらしい!想像の何倍もカッコいいよ!マホロア!」
「今度あんな感じになれる魔道具作ってみようかなぁ…」
みんなにも大好評の様だ。
「よし、じゃあ早速封印に向かう。各自マホロアに見惚れてないでちゃんと任務を遂行しろよ?では出発する!」
族長がそう言った瞬間。
邪神の墓の場所と思われる場所からおびただしい数のモンスターが薄暗い空に飛び広がっていった。
今回は要素を詰め込みすぎた気がする……
感想、評価なとありがとうございます!
これからも頑張ります!