本当はもっと進む予定だったけど区切りが良かったので切りました。
「ト、言うわけで明日カラ学校に行くことになったヨ。ココにソードマスターをテレポート」
「本当にその姿で大丈夫なの?ソードマスターにクルセイダーで攻撃」
今俺たちはゆんゆんが持っていたチェスみたいなボードゲームで遊びながら今日の事を話していた。
「ムゥ、なかなか手強いネェ。マァ説明すればわかってくれるダロウ…紅魔族はいい人ばっかりダシ…アーチャーでクルセイダーを援護」
「うぅ…アークウィザードでソードマスターを攻撃。…ところでマホロアの職業ってなんなの?」
「アァ…エエット説明するのが難しいからコレを見てクレ。」
そう言って俺は昼作った冒険者カードを渡す。
「ま、魔術師!?こんな職業見たことないんだけど!?」
「ソレ親父さんにも言わレタ。…ウィザードでアークウィザードを氷結」
にしてもこのボードゲーム、なんでもありすぎるだろ。最初のうちはルールがわからなくてゆんゆんにボッコボコにされたが今はもう普通に戦える。百聞は一見にしかずってね。ルールを説明されてもわけわかめでした。
「それに見たこともないスキル…本当にマホロアって何者なの?」
「マホロアはマホロアダヨォ〜。ササッ、早く続きヲ」
「ウィザードの氷結魔法をクルセイダーのデコイで防御…ところでもう魔法を覚えてるなら学校に行く必要ってないんじゃ…」
「イヤ、この世界のことも勉強したいシ、ボクの魔法もどんどん解放していきたいシネ……ところでゆんゆん…罠にかかっタネ!」
クルセイダーを動かしたことで王様からアーチャーまでのマスがガラ空きになる。
「あ」
「アーチャーにプリーストのブレッシング!ソシテ狙撃!チェクメイトダ!」
初めてゆんゆんに勝った…まぁ俺の冒険者カードが目を引いていたお陰なんだが…でも勝ちは勝ち!ナイス!俺の冒険者カード!
「マホロア上達が早すぎるわよ…。でもいつも一人でやってたから友達とやるのがこんなに楽しいなんて思わなかった!ありがとう!マホロア!」
あぁ…なんか切ないなぁ。いつのまにか友達になってるけど悪い気はしない。これからも俺が相手になってあげよう…そうしよう。
「トモカク、明日はボクも学校があるし今日は早めに寝るネ」
「わかったわ…本当はもっと遊びたかったけど…またこれからたくさん遊べるしね!おやすみ!マホロア!」
「ウン、オヤスミー」
そう言って部屋から出て行くゆんゆん。なんかすっごい楽しそうだったな。ゴムボールで遊ぶ子犬みたいだったよ。
そんな事を思いながら俺は布団に潜る。
にしても明日から学校かぁ〜どんな学校なんだろう。あっちの学校みたいなのか…それともハ○ーポッターみたいな学校なのか…できれば後者がいいなぁ〜なんか楽しそうだし。後この世界の魔法はどんなんだろ。俺の魔法は見たことないって言ってたし…人によって姿が変わる守護霊獣を呼び出すとかそんな感じなのか?それに魔物ってなんだろう吸魂鬼とかいるのかなー。
…
考えてもキリがないしもう寝よう。明日あたりにみんなに聞いてみたりしてみよっと。それにしても昨日から何か大事なことを忘れてるような…こう…なんだろう…人として失ってはいけないって感じがするようなものが…
ま、いっか!
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(^q^)ツギノヒー
「ワが名はマホロア!紅魔の里に召喚されし魔術師にシテ、固有魔法を操るモノ!ソシテ…いつかは自分の姿を取り戻すタメに魔王を屠るモノ……ヨロシクネ!」
「いい自己紹介だったぞマホロア!じゃあみんな、これから仲良くしてやってくれ」
俺は今、大勢の美少女達の前で決めポーズをして、前の世界なら黒歴史直行物の自己紹介をしていた。誤解しないで欲しいのだがこれは紅魔族なら当たり前の自己紹介なのだ。以前の俺がこんなんだったわけではない。…本当だよ?
しかし紅魔族流の自己紹介はちゃんとしたはずなのにみんな( ゚д゚)って顔をしている。どこかおかしいところがあったのかな?ゆんゆんに至っては真っ赤になった顔を両手で覆っている。
「じゃあみんな、今からマホロアへの質問時間とする。質問があるやつはいるか?」
と俺の担任となる予定の先生ぷっちんが言う。なんかプリン食いたくなってきたな…それはそうとして先生がそう言った瞬間ゆんゆん以外の生徒が一斉に手を挙げる。目を紅く光らせながら…
「じゃあ…一番手を挙げるのが早かったあるえ!」
そういい先生は一際紅く目を光らせて、毛先がカールしている右目に眼帯を当てたいろんな意味で大人びている生徒を当てた。つーかこの子達本当に12歳?サバ読んでんじゃねってくらい大きいんだが…どことは言わんが。
「我が名はあるえ。紅魔族随一の発育にして、やがて作家を目指す者!」
自分でも自覚してんのね…
「えっと、…マホロアだっけ?ちょっと長くなるかもしれないけど質問いいかい?」
「構わないヨ」
そういい少女は大きく息を吸うと…
「まず君は何者なんだい?そして元に戻るための旅というところを詳しく…それとその姿になったのには一体どんな経緯があったのかも知りたい…それに君はどうやって浮いてるのか。後、召喚とはどういうことなのか、誰に召喚されたのか。魔術師って事は職業はアークウィザード?それとも別の職業?別の職業ならそれが何なのか、それに固有魔法というのは一体どんなものなのか教えて欲しい。それに(ry……」
あるえは一通り質問を終えると小さく息を吸って、席に座りメモ帳を取り出した。そして今か今かと俺の回答をお待ちになっていらっしゃる。
うん、この子…質問が多いよ!みんなが聞きたいことを代わりに一人で代弁したって感じだよ。ほらみんなまた( ゚д゚)って顔をしてる。
「エット…順番に答えていくね…まずは…」
それから俺は転生されてから3回目になる回答をした。
それに加えて魔王を倒すと願いを叶えて貰うという事を話した。
「アトは召喚された事についてダケド…サッキも言った通りおバカな駄目人間サンのせいだから関係ないんダ。….デモ強いて言うならソコのゆんゆんに召喚されたって事になるのカナ?」
「ゆんゆんが召喚した!?」
そうあるえが言うとクラスのみんなが一斉にゆんゆんの方に向いた。ゆんゆんは突然の事にビックリしたのか顔を手で覆ったままその場に俯いてしまった。
「ゆんゆん…後で君にも話を聞かせてくれるかい?」
ごめんねゆんゆん…つい口が滑っちゃった★
「アトは固有魔法についてダケド…今は封印されていてアマリ使えないけどこんなのとかダヨ!」
そういい俺は右腕を天井にかざし、魔力球を出現させる。クラスのみんなもゆんゆんから目を離し、視線は魔力球に集まる。俺は魔力球を破裂しないようにゆっくりと教卓の上に置いて
「アトはこれダネ!」
そういい俺は教室の後ろにワープする。俺がいきなり消えたので教室がざわざわするが
「こっちダヨ!」
そう言うとみんな一斉に後ろを振り返り。拍手を貰う。するとあるえが
「確かに見た事もないし聞いた事もない魔法だ!すごい!封印中の魔法についても聞いていいかい?」
「構わないケド、口で説明するのがムズカシイからそれはまた「パァン!」」
突如教室の前から何かが破裂した音が聞こえる。みんな前の方に向き直ると…
「…何をやってるんですか先生…」
先生が俺の魔力球に触ったのか教卓の机の部分が吹っ飛んでた。先生と共に…
「ト、言う感じデ、そこそこ危ない魔法ばかりダカラまた今度話スヨ…」
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「…スッゴイ疲れる1日ダッタ…。」
「人気者で羨ましいなぁ…マホロアは…」
そんな事があった初日の放課後。俺は昼休みとかも生徒のみんなに話をしていたのでとても疲れた。ちなみにゆんゆんのとこにもあるえがメモ帳を片手に迫っていた。はよ帰ってプリンでも食べようと思ってたら。
「少しいいですか?」
不意に後ろから声をかけられて振り返ると…一昨日水瓶を投げつけていた。少女がいた。確かめぐみだっけ?
「ウン、別にいいケド…」
「ならよかったです。ついてきてください」
「ワカッタ。ゆんゆん、先に帰っていてクレ」
そう言い残し俺はめぐみ?の後をついていく。着いたのは校舎裏だった…
「エット…めぐみ?「めぐみんです」…めぐみん…ドウシテここに?」
めぐみんだった…そんな事よりも俺は一体どうなるんだ…あれか!転校生にこの学校での上下関係を教える不良みたいに俺をシめるのか?なんか古くね?
「まずは先々日の事は謝ります。いきなり水瓶を投げつけたり、石で殴ったりしてすいませんでした。」
そう言ってめぐみんは頭を下げてくる。
お!これは違うパターンだ。謝罪するのが恥ずかしいから人目のつかないとこまで来たってとこかな?
「ウウン、気にしないでクレ。ニンゲン誰しも間違いなんて「ですが」」
?
めぐみんは顔を上げると紅く光った目をこちらに向け。
「私はまだあなたを信じたわけではありません」
うん、前言撤回これはシめる方向だった。
「あなた、ゆんゆんを誑かして仲間にしたそうではないですか。何故仲間にしたのか教えてもらおうじゃないですか。事と次第によっては…」
そうは言うけども魔法使える俺に勝てるわけがないんだよなぁ。でもここで手を出したら確実に俺は里から追い出されるか叩きのめされるし…ハァ…
「ウン。確かに弱みに付け込んだトハ思ってるし、悪い事もしたと思ってル。ケド、ボクだって早くホントの姿に戻りたいンダ。わかってくれないカナ?」
確実にこちらが不利だしここは正直に言おう。
「…わかりました。ですが私はまだ信じたわけではありませんよ?」
ぐぬぬぅ
「ドウしたら信じて貰えるノ?」
今はめぐみんの信用を勝ち取るのが最優先だ。そのためならなんでもしよう。
「そうですね…なら…」
そう言いめぐみんはニヤリとする。なんか嫌な予感が…
「ならば!これから毎日私に昼食を作ってきてください!」
「エェ…めんどクサイ」
「この場であなたに脅されたと叫び回ってもいいんですよ?」
「ワー!わかっタヨ…作ればいいんデショ?めぐみんも大概ダヨネ…」
うーん。まだ無理難題とか多額の金とかを要求されないよりましか…にしても俺は朝弱いから超絶めんどくさいんだが…仕方がないか…
「じゃあ明日からよろしくお願いしますよマホロア!」
「ハイハイ、やればいいんダロォ?めぐみん」
「あ、そうそう」
不意にめぐみんがこちらに振り返る。
するとにへらと笑って
「めぐみんじゃなくて、
めぐみん≪さん≫
ですよ?」
この女ぁ…こいつなかなかいい性格してやがる…
そう思いながら教室に荷物を取りに行くと…
「帰っててクレと言ったノニ…」
ゆんゆんがいました。
「帰れるわけないじゃない!いきなりめぐみんに呼び出されてどうなったのか気が気でなかったんだから!」
それはどっちの意味だろう。俺がめぐみんに何かされるという意味か、それとも逆か。あるいは両方?
「マァ、その話は帰りながらでもするヨ。とりあえず帰ロウ、今日は疲レタ…」
その後俺はゆんゆんと共に家へ帰る。ゆんゆんには、俺がめぐみんに頼み事をされたと言っておいた。
「アー、ゆんゆん。明日弁当を作るトキ、ボクを起こしてクレル?」
「え?どうして?…もしかして今日私のお弁当美味しくなかった?」
そう言って顔を青くするゆんゆん。目も潤ってる…
「イヤイヤ!ゆんゆんの弁当はとってもオイシかったヨ!これから毎日食べタイくらい!デモその頼み事の件で明日いろいろ作らなきゃいけないンダ…」
「そ、そうなの…よかったぁ」
はぁ…めんどくさいなぁ。どっちも…
*****************
次の日から俺の新たな習慣が始まった…
翌日
「おはようめぐみん!」
「おはようございますゆんゆん。それで、例のものは持ってきましたか?マホロア」
「ハイハイ…持ってきたヨめぐみん…「ん"っんん」…めぐみんサン…」
完全に尻に敷かれてしまった…年下に尻に敷かれるとは屈辱だなぁ…
「お願いってめぐみんに弁当を作る事だったの?」
「ソウダヨ…」
「じゃあ、…これからは勝負しないの?…」
寂しそうに言うゆんゆん。実はこの2人ライバル関係であり、いつもゆんゆんが勝負に負けては弁当をさらわれるらしい。
「いえ、ちゃんとゆんゆんとも勝負して弁当をいただきます。」
パァと顔を輝かせるゆんゆん。昨日のといい今日のといいこのめぐみん。ゆんゆんのことが本当に好きなんだなぁとわかる。うん。美しきかな友情愛。
それはそれとして
「太るヨ?」
「あぁ?」
「ゴメン」
「はぁ、余った分は妹に食べさせます」
こいつの妹…あぁ、あの噛り付いてきた子か…本当に飢えてるんだなぁ。この家族。可哀想だから次は多めに作ってやるか…
「んぐんぐ…ぷはー!まぁ普通って言ったところですかねマホロア。よくもなく悪くもなく普通です。次はもっと美味しくしてきてください」
前言撤回。こいついつか復讐してやる。
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それから何日かたったがこの習慣を続けていたが…
「マホロア、今日のこれは手を抜きましたね?次やったら許しませんよ?」
「マホロア、今日のはなんだが味がパッとしません。明日からは私の事をめぐみん様と呼んでください。」
「マホロア、今日のは…」
「マホロア…」
「マホ…」
「アホ」
こいつぅ!日に日に態度がでかくなってきやがる!もういい、今こそ復讐の時だ!目に物を見せてやるぜめぐみん様よぉ!
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「お、今日のは張り切ってますね。量も見た目も大違いです。」
「ハイ!めぐみんサマ!今日はイツモよりも朝早く起きテ、イツモよりも制作にこだわっテ、イツモよりも感情を込めて作ったんダァ」
復讐心という感情をなぁ…
「サァ!召し上ガレ!」
「ふむ、いただきます」
そう言ってもぐもぐ俺の作ったハンバーガーを食べるめぐみん。クククいいぞ、その調子だ…どんどん味わえ…そろそろかなぁ?
「ほむほむ、いふもとあんまりかわら……………ゴフッ!?!!!?!」
突然ハンバーガーを咳き込むめぐみん。ククク始まったか…
「ど、どうしたの!?めぐみん!マホロア!このハンバーガー何が入ってるの?」
「ン〜?大量のコショウとタバスコダヨォ?」
「み、水っ!!!」
「オット」
めぐみんが慌てて水筒に手を伸ばすが俺はそれを即座に抱え高く飛ぶ。
「ま、マホロア!!!!謀りまひたね!!!今なら許ひてあげまふ!!だから水を!!」
めぐみんが必死に俺に訴える。が、
「エェ〜、ヒト(笑)に物を頼む時の態度ってものがあるダロォ?クックク…まずは「調子に乗ってすみませんでした。」って言ってみよウカ」
「ごめんなさい!!!今まで調子に乗ってすみませんでした!!!だから早く降りてきてくださいマホロア!!」
「アァ、それともう一つ」
俺はにへらと笑うと
「マホロアじゃなくて
マホロア≪さん≫
ダロォ?」
めぐみんは目に涙を溜めながらとても悔しそうな顔をして
「今まで調子に乗ってすいませんでした…マホロア…さん」
「ヨロシイ」
そう言って俺は下に降りてめぐみんに水筒を渡す。めぐみんは水筒を受け取ると勢いよく飲みだした。
「ねぇマホロア?いくらなんでもやりすぎなんじゃ…」
「ゆんゆん。コウいうのは一度痛い目を見なきゃいけないンダヨ?」
俺は何か疎むような視線を送るゆんゆんにそう言った。日頃の恨みってやつなのさ…許せゆんゆん。
そう言ってるうちにやっと落ち着いたのか水筒から口を離すめぐみん。そして目をこれでもかと紅く光らせ、ゆらりとこちらに振り返り。
「っ!!」
つかみ掛かってきたが
「甘いヨ!!」
華麗に回避そのまま廊下へ出てめぐみんと追いかけっこを繰り広げる。
「クックク…クラスで一番体力がないのにボクに追いつけるわけがないダロォ?」
「っ!!!!」
もはや言い返す余裕もなく怒り狂い追いかけてくるめぐみん。怖えよ
「オニさんこちら〜手の鳴る方へ〜!」
めぐみんを正面に捉えて手を叩きながら小学生みたいな煽り文句を言う俺。
「ふぅ!ふぅ!」
既にもう疲れてきているめぐみん。だんだんと追いかけるスピードが遅くなっている。
「クックク…ハッハッハ!めぐみん!どうしたノ?ボクを捕まえるんじゃなかったのカイ?」
やっぱり復讐っていいよね!憎き相手の悔しそうな顔を見るのって大好き!
そんな事を思ってると
「ヘブゥ!!!」
突如ガン!と後頭部に鈍い痛みが走り。俺は廊下に倒れる。
「ウゥ…イタイ…」
見上げると俺の視界の先には時計があった。ほら学校の廊下の時計って天井とか柱とかから固定されてるだろ?アレだ。
そんな風に時計を恨めしく見てると俺の視界に2つの真っ赤な目が映り込む。
あ…やべっ死んだ
「ナァめぐみん。話をしよう。ナ?コレはあれだヨ。チョットした好奇心ってやつダヨ」
そう言うとめぐみんはにっこりと笑い俺の事を持ち上げる。そしてギリギリと力が入っていき……
「チョット!!めぐみん!ゴメンっテ!!待っテ!話せばわかる話せばわかアアアアアアアアアアアアァァァァァァ!!!!!!!」
その時のマホロアの悲鳴は学校中に轟いた。
やっぱりマホロアは黒い一面がないとね。
ゲスいところ書いてる時が一番楽しかったです。